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【まとめ】阿波おどり「プレミアム桟敷席」が違法状態 経緯は

  • 2023年08月28日

    徳島市の阿波おどりで、1人20万円の「プレミアム桟敷席」が建築基準法に違反した状態で提供されていたことが分かりました。阿波おどりの実行委員会は問題のいきさつや原因を確認し、9月の会合で報告することにしています。問題のいきさつをまとめました。

    1席20万円 「プレミアム桟敷席」とは

    「プレミアム桟敷席」は徳島市の阿波おどりに海外の富裕層を取り込もうと、ことし初めて設置されたもので、東京のイベント会社が企画や会場の設営を担当し、踊り手団体や経済団体、それに市役所などで作る実行委員会が全体の運営を担いました。

    市内の藍場浜演舞場に1人20万円で1公演につき最大20人分が用意され、県産食材を使った食事や踊り手と交流できるサービスが提供されました。
    阿波おどり期間中は、台風で中止された最終日を除き8月12日から3日間、あわせて6公演で提供されました。

    なぜ“違法状態”で提供? いきさつを確認へ

    徳島市などによりますと、仮設のやぐらに設ける桟敷席が完成した開幕前日に市の建築指導課が検査し、建築基準法で定められた基準より、階段の幅や手すりの高さ、出入口の幅がいずれも10センチ足りないことがわかりました。
    検査した職員はその場で阿波おどりの実行委員会や運営会社に改修を指示し、席を使うのに必要な検査済証は交付しませんでした。

    実行委員会ら運営側は、指摘を受けたあと、手すりの高さと出入口の幅は改修したものの、階段の幅は変えることができず、検査済証がない違法な状態のまま3日間あわせて6公演でサービスを提供していました。桟敷席の利用者にけが人はいませんでした。

    実行委員会は夜に利用客を誘導するスタッフの数を増やし、階段にも照明を新しくとりつけたことを理由に「安全が確保できると見込んだ」としていますが、市の建築指導課に対応を報告しなかった理由や違法な状態だと認識したうえで提供していたかについては、28日時点で「担当者が不在で答えられない」として明らかにしていません。
    そのうえで実行委員会は「違法な状態だったことは利用者に心配をかけているので申し訳ないと思っている」としています。また28日付けで公式サイトに謝罪文を掲載しました。実行委員会は問題のいきさつや原因を確認して9月4日に予定される会合で委員に報告することにしています。

    一方、市の建築指導課は「検査済証を交付していないことは認識していたが、実行委員会側が法的な問題はクリアしただろうと思っていた」としています。
    また徳島市の内藤市長も「実行委員会がプレミアム桟敷席を建築基準法に違反した状態で提供したことについては遺憾に思う。2度とこのようなことが起こらないよう取り組んでいきます」とコメントしています。

     

    観光庁が聞き取り調査

    「プレミアム桟敷席」などの阿波おどりによるインバウンドの活性化事業には、観光庁が5500万円の補助金を交付することにしていましたが、今回の問題を受けて観光庁が28日、補助金を申請した東京のイベント会社に聞き取り調査を行ったことが分かりました。
    観光庁によりますと、建築基準法に違反したか電話で事実確認を行い、会社側は違反を認めたということです。

    観光庁は今後、必要に応じて阿波おどり全体の運営を担う実行委員会にも聞き取ったうえで、交付の見直しを検討することにしています。
    観光庁の担当者は「安全の確保と法律の順守が前提だ。ルールを踏まえて適切に対応していく」としています。
     

    台風への対応でも・・・問われる実行委員会の判断

    徳島市の阿波おどりでは、台風への対応をめぐっても実行委員会の判断が議論を呼びました。
    3日目の8月14日には、台風7号が接近する中、実行委員会がメンバーの多数決で開催を決めたため、当日夜には市内全域に避難情報や暴風警報が出ていましたが、踊り手たちは大雨にぬれながら屋外の演舞場を練り歩きました。

    実行委員会は開催を決めた時点では警報が出ておらず、雨も少量の予報だったことなどを開催の理由にあげています。

    一方、徳島市の内藤市長は避難情報を出す予定があるとして、実行委員会に中止を求めていたことを明らかにしています。

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