地上放送高度化技術

地上波によるスーパーハイビジョン放送実現に向けた伝送技術の探究

高度な放送通信融合サービスを可能とするためのシステム

放送コンテンツと通信コンテンツを一括して送出配信するシステムを検討し、放送伝送路と通信伝送路を組み合わせたサービスを可能とする送出システムを試作しました。
放送コンテンツと通信コンテンツを一括して受信するシステムを検討し、PCによる原理検証で有用性を確認しました。受信システムとして検討しているホームゲートウェイは「放送通信融合技術による新たな地上放送サービス」のページでも紹介しています。

送出配信設備(ソフトウェア送出システム)

地上放送高度化サービスの送出システムをクラウド上に構築することを目指して、ソフトウェアベース送出システムの開発を進めています。このシステムは、従来専用ハードウェアで構成されていた各種送出機能をソフトウェアで実装するとともに、より高度な放送通信連携サービスの実現のため、複数の伝送路(地上放送、閉域網、インターネット網)を統合して扱う機能を持ちます。

これまでに、設定した番組編成情報に基づいて自動的にリソースを切り替える送出スケジューラ機能、放送所にプログラムを送出するための再多重化機能、放送と通信でコンテンツを連携させるための情報や災害時の付加情報の配信機能などの検証を行いました。また、ソフトウェアベース送出システムをCMAF/MMT形式へ対応させるため、MMT-SI (Service Information)信号を新たに実装しました。

CMAF/MMTの多重化

放送と通信の円滑な融合のために、双方のメディア形式の共通化を目指しています。通信のOTT(Over The Top)サービスで採用が進むCMAF (Common Media Application Format)を地上放送高度化サービスのメディア形式に適用し、MMT(MPEG Media Transport)で伝送することを検討しました。地上放送高度化サービスのCMAF対応では、新4K8K衛星放送では未導入のISOBMFF(ISO Base Media File Format)のメタデータ部を付加し、CMAFに準拠したチャンク構造でメディアを生成して送信します。その際、チャンク構造の利用により、GOP(Group Of Pictures)長の遅延(0.5秒程度)を要さずに低遅延に送出することができ、CMAFのメリットが放送のMMTでも活かされます。