NHKスペシャル

ホットスポット 最後の楽園 第4回
天空の秘境 パンダの王国 
~中国 南西山岳地帯~

この放送回の内容をNHKオンデマンドでご覧いただけます。NHKオンデマンド

今回は、“世界の屋根”と呼ばれるヒマラヤの造山活動によってできたチベット高原の周辺のホットスポットが舞台。チベット高原の東端に何本もの山脈が並行して走る不思議な場所がある。ここは世界一級の珍獣たちの故郷。竹林で特殊な進化を遂げたパンダや黄金のサル・キンシコウ、そして深山幽谷でコケのような菌類を食べる奇妙な顔をしたシシバナザルなどが暮らしている。さらに標高4千メートルのチベット高原やその周辺は、氷河期の生き残りの動物たちの宝庫。マントのような分厚い毛皮をまとったウシの仲間ヤクやナキウサギ、そしてある湖をめざして何万頭という大群で大移動をするチルー(チベットカモシカ)の群れ。高原の北部に広がる砂漠には、異様な大きな鼻をもつ珍獣サイガが暮らしている。こうした謎多き生きものたちは、どのように生まれ、どのような進化の歴史を辿ってきたのか?その謎を解明するため、福山雅治さんが訪ねたのは、標高3千メートルにある一面塩でできた純白の湖。さらにパンダの進化の秘密を探るため四川省の山間を訪ね、大人のパンダと至近距離での感激の対面を果たす。雲南省の秘境では、シシバナザルが食べていたトロロ昆布のような不思議な物体の試食にも挑戦!
番組では、パンダの進化をめぐる驚きの新事実も紹介しながら、極限の環境に適応し特殊な進化を遂げた生きものたちの不思議に迫る。

放送を終えて

今回ご紹介した中国の山岳地帯。日本のすぐ隣にも、殆ど知られていないこんな秘境があるとは驚きでした。舞台となった横断山脈にはシャングリラという場所があります。シャングリラとは、理想郷や桃源郷という意味でも使われていますが、実際の場所は、雪深く、寒く、空気も薄く、食べ物も限られる厳しい環境です。そんな場所にも動物は進出し、想像もつかないような進化をしていました。
しかし逞しい生命力を持っているのは、人間も同じです。パンダの森はもちろんのこと、チベット高原にも進出しています。チベット高原では、放牧で生計を立てる人々と、ナキウサギとの間で、問題が起きています。繁殖力の高いナキウサギは草原の至る所に巣穴を掘ります。その穴に羊やヤギが足を取られる為、遊牧民はナキウサギを駆除しています。
またチルーが移動をするルートには、世界一高い場所を走る青海チベット鉄道(青蔵鉄道)が通っています。チルーの移動に鉄道や道路が影響していないか研究も進められています。野生動物がどのような状況にあるのか、たった一つの地球に一緒に暮らす生命として、知って頂くきっかけに、私たちの番組がなればと思っています。

(担当ディレクター 一ノ瀬尚子)