NHKスペシャル

激流中国 告発せよ 摘発せよ
~環境破壊との闘い~

大気汚染、水質汚濁などによって多くの被害者を抱え、“環境汚染”が大きな社会問題となっている中国。サミットや北京オリンピックを前に、調和社会への転換をアピールする胡錦涛政権にとって環境対策は生命線である。しかし、多くの地方では成長最優先路線からなかなか脱却する余裕がなく、一方、豊かさを手に入れつつある都市住民の間では環境汚染への不満が急速に高まっている。沿岸部と内陸部との環境意識の格差は広がるばかりだ。

汚染反対の住民デモが起きた沿海都市部では、国の号令のもと、汚染源となっている企業を次々と摘発し、完全閉鎖にまで追い込むという街が現れた。杭州市の環境保護局は、市内300以上の大手企業に汚染監視システムを設置し、24時間監視を断行。住民から通報があれば摘発部隊が汚染企業に突入し、悪質であれば容赦なく閉鎖にまで追い込む。しかし、汚染をまき散らす企業は後を絶たず、凄まじい攻防が続く。

一方、内陸の農村部では事情が一変する。山河を切り崩し、大規模なダム水力発電所を次々と建設「環境保護も大事だがまずは経済成長」として豊かさ獲得を至上命題に据えている地方は少なくない。雲南省山岳部の清流でのダム建設をめぐって、NGOと地方当局が住民を巻き込んで繰り広げてきた激しいつばぜりあいの結末は・・・。

中国の環境汚染の実態はどのようなものか。環境保護か経済成長かというジレンマを抱え調和社会への舵取りをどう進めるのか。都市・内陸それぞれで繰り広げられる環境をめぐる闘いを密着ルポする。