NHKスペシャル

シリーズ ディープ・オーシャン 超深海
地球最深(フルデプス)への挑戦

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深海の秘境に、最先端の科学で挑むシリーズ。世界で初めてダイオウイカを撮影したNHK深海取材班が再び集結し、新たな探検へと旅立つ。
最終回は、水深6000mを越える「超深海」。地球の海の2%にも満たないという究極の深海ゾーンだ。「超深海」の最深部(フルデプス)はマリアナ海溝チャレンジャー海淵、10920m。57年前、人類で初めて潜航した海洋冒険家は、そこで深海魚を目撃したという。しかし写真などの証拠はなく、多くの研究者がこの目撃談に疑念を抱いてきた。すさまじい水圧のため、タンパク質が機能できなくなり生存不可能と考えられているからだ。一体、「超深海」とはどんな場所なのか?魚は?そして生命はいるのか?
番組では、フルデプスを自由に動き回れる無人探査機「UROV11K」や、4Kカメラを搭載した探査機器「ランダー」を研究者とともに新たに開発。のべ2か月に及ぶマリアナ海溝の探査航海に挑む。これまでの研究で撮影された魚の映像は、8152mが最深記録となっている。今回の潜航で、7~8000mでは天女のようにしなやかに泳ぐ深海魚、硬い装甲で覆われた巨大ヨコエビなど、予想以上に多くの不思議な生き物たちに遭遇。彼らはどうやって水圧をはねのけているのか?探査機はさらに、1万mを超す地球最深部を目指す。果たして生命はいるのか?生きる限界に挑戦し続ける命の世界に迫る。

放送を終えて

番組をご覧いただいた皆さん、水深6千メートルをこえる「超深海」に、ひっそりと暮らす生き物たちの姿はいかがだったでしょうか?
かわいらしい姿をしたマリアナスネイルフィッシュ、そして旺盛な食欲のヨコエビたち。そして、地球最深部に生きるナマコ。
どれも一見、地味な感じのする深海生物ですが、取材を進めると、恐ろしいまでの水圧がかかる極限の世界で生き抜くための驚くべき能力を秘めていることがわかってきました。
こうした生物の詳しい生態は、ほとんどわかっていません。
今回、水深8178メートルで撮影されたマリアナスネイルフィッシュの映像は、世界最深の記録として、世界でニュースとなりました。この先、更に調査が進めば、より深い場所で魚の生存が確かめられるかもしれません。
57年前に、トリエステ号に乗り込んだドン・ウォルシュさんが見たという魚も、もしかしたら本当にいるのかもしれません・・・。
これからも、世界各国の研究者が挑む超深海から、目を離すことは出来そうにありません。

番組ディレクター  廣瀬 学