NHKスペシャル

シリーズ阪神・淡路大震災20年 第1回
大都市再生 20年の模索

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6434人もの命が奪われ、11万棟もの住宅が全壊・全焼した「阪神・淡路大震災」。一瞬で崩壊した大都市をどう一から再生させていくのか、そして、都市を崩壊させる大地震にどう備えるのか、それは戦後、誰も経験したことのない、初めての挑戦となった。あれから20年、その格闘の道のりを2回シリーズで伝える。
1回目は、復興20年の最前線に立った行政担当者の模索や決断を追う。“奇跡の復興”を遂げたとされる神戸。ビルが立ち並び、交通網も整備され、災害に強い街づくりが行われてきた。しかし、その一方で、一部の町では復興が計画通りに進まず、「空き地のまま」のところが残る。復興住宅は高齢者ばかりとなり「孤独死」も相次ぐなど、今もなお課題を抱えたままだ。
この復興政策の先頭に立った行政担当者は、自分たちの選択が正しかったのか、20年たった今も自問自答し続けている。彼らは、前例がない中で、国との交渉などを重ね、復興の道筋の選択と決断を行ってきた。そこに、どんな挑戦や苦悩があったのか。彼らの経験から、私たちは何を学ぶのか。巨大都市・神戸再生20年の模索を描き出すとともに、その教訓を伝える。

放送を終えて

1月17日放送「阪神・淡路大震災20年 大都市再生 20年の模索」

ちょうど1年前、阪神・淡路大震災の復興住宅を取材したのが、きっかけでした。
著しい高齢化が進み、住民自治が成り立たなくなり、孤独死が相次いでいる復興住宅。「なぜ、いまも復興が終わらない状況が続いているのか」。「復興への課題が残された神戸の経験を、東日本大震災や今後起こりうる災害にどう生かしていけばいいのか」。こうした疑問に答えるべく、神戸局・大阪局の取材チームは、復興政策を担った約100人の行政担当者の話に耳を傾けてきました。
行政担当者の話からは、多くの発見がありました。未曾有の災害に直面し、復興を進めようとした時に壁となる、国の法律や制度。目の前の被災者を救いつつ、一方で将来を見通した政策判断を下すことの難しさ。番組を通じて、そうしたことの一部を伝えることはできたかと思っています。
放送後、取材した行政担当者から、開口一番、「20年で終わりにせず、今後も報道を続けてください」という言葉がありました。重く受け止めたいと思います。

(大阪放送局・報道部ディレクター  班目幸司)
(大阪放送局・制作部ディレクター  土山浩之)
(神戸放送局・放送部ディレクター  矢倉崇史)