NHKスペシャル

沸騰都市 第6回
サンパウロ 富豪は空を飛ぶ

BRICsの一角を担い、新興国パワーの象徴でもあるブラジル。世界的な金融危機の荒波は、ブラジルをも襲っている。その試練をブラジルは、圧倒的な農業力と豊富な資源で乗り切ろうとしている。
経済の中心地である、サンパウロには、「空飛ぶ富豪」と呼ばれる人たちがいる。日常の移動手段はヘリコプター。自宅からビル屋上のヘリポートに上がり、オフィスや商談へと、まるでタクシーのように乗り回す。誘拐や強盗の危険や劣悪な交通渋滞を避けるためである。サンパウロの空を飛ぶヘリコプターは4百を超える。個人所有の数は、ニューヨークを抜いて世界一、ヘリポートの数も4百以上でこれも世界一を誇る。
そうした「空飛ぶ富豪」たちの中で、最近増えているのが、バイオ燃料エタノールで財を成した人たちである。広大な農地から収穫されるサトウキビを原料としたエタノールは、ブラジルの自動車の増加とともに、売り上げを伸ばしている。さらにポスト石油文明を模索する、アジア、アフリカなどからの投資も急増している。
空飛ぶエタノール富豪のビジネスを追いながら、金融危機後の世界でリーダーを目指すブラジルの挑戦を描く。