NHKスペシャル

女と男~最新科学が読み解く性~ 第3回 男が消える?人類も消える?

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性染色体がXXなら女、XYなら男。1億7千万年前に獲得したこの性システムのおかげで私たちは命を脈々と受け継いできた。ところが、この基本そのものであるシステムは、大きく揺らいでいる。じつは男をつくるY染色体は滅びつつあるのだ。専門家は「数百万年以内には消滅する」という。なかには、来週になって消えても不思議ではないとする意見さえある。
じつは「遺伝子できちんとオス・メスを決め、両者がそろって初めて子孫をつくる」というのは、私たちほ乳類が独自に獲得した方法だ。ほかの生物はメスだけで子孫を残せる仕組みを持っている。そのほ乳類独自のシステムが長くほ乳類の繁栄を支えた一方、いよいよその寿命が尽きようとしているのだ。
さらに人間の場合、Y染色体を運ぶ精子の劣化も著しい。これは生物学的に一夫一婦制が長くなった影響だという。
こうした性システムの危機に私たちはどう対応すべきなのか。シリーズ最終回では、いわゆる試験管ベイビーが生まれて30年、生殖技術をめぐる最前線もたどりながら、現在、性の揺らぎが引き起こしているさまざまな影響を追う。