NHKスペシャル

核クライシス 第2集 核兵器開発は防げるか
~IAEA査察官 攻防の記録~

国際社会の反対を無視し、核実験を強行した北朝鮮と核開発に邁進するイラン。核保有国に二重基準で対応し、核管理体制を足元から揺るがすアメリカ。今、人類は、核の恐怖と向き合う新たな時代を迎えている。冷戦時、核は先制攻撃に対する抑止力として機能する「使えない兵器」だった。しかし、核・ミサイル技術の発達と核拡散の危機の高まりで、今や「使える兵器」へと変貌を遂げようとしている。

現在、世界が直面している“核クライシス”は二つある。一つは、高度な軍事技術で使用が容易となり、攻撃力が格段にました「破壊の恐怖」。もう一つは、NPT(核拡散防止条約)体制が崩壊の危機に直面し、「ならず者国家」やテロリストが核を手にする可能性が高まった「拡散の恐怖」である。

新たな核の脅威はどのような惨禍を招きうるのか。核技術や核物質の流出を食い止めることはできるのか。NHKでは特別プロジェクトを編成し、新時代の“核クライシス”を二回にわたって徹底検証する。

人類が直面する新たな核の時代を描く「核クライシス」、第2集は、「核の番人」IAEA(国際原子力機関)の苦闘を通して、拡散する核の脅威を見つめる。

国連安保理の反対を押し切ってウラン濃縮を進めるイランに対し、IAEAは2週間おきに疑惑施設への立ち入り査察を行い、さらに核技術の入手ルートを徹底的に調べあげて、核拡散の芽をつもうとしている。しかし、イランは全面査察や情報提供を拒否、IAEAの調査は難航している。
NPT(核拡散防止条約)体制も危機に直面している。核保有国は新たな核兵器の開発を進め、利害関係のあるインドなどの核兵器開発を黙認。不満を募らせた非核保有国は、兵器開発にもつながりうるとして自制してきた原発の開発に次々と乗り出し始めた。核管理体制が揺らぐなか、IAEAはその存在意義を問われかねない正念場を迎えている。
“拡散の恐怖”をなくすことはできるのか。IAEAと核に固執する国々との攻防の最前線を追う。