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『びじゅチューン!×横浜トリエンナーレ なりきり美術館』 開幕!

  • 2024年03月14日

3年に1度のアートの祭典『第8回横浜トリエンナーレ』が3月15日(金)から開幕します。
それにあわせて、アートを身近に感じ、体感しながら楽しむイベント『びじゅチューン!✖横浜トリエンナーレ なりきり美術館』をNHK横浜放送局で開催します。
今回はイベントで体験できるコンテンツや、美術作品についてもご紹介します。

「なりきり美術館」でアートを存分に楽しもう!

Eテレの番組「びじゅチューン!」はアーティストの井上涼さんが世界の美術を取り上げて、楽しい歌とアニメで紹介しています。「なりきり美術館」は「びじゅチューン!」と東京国立博物館がコラボして生まれた展覧会です。
神奈川にゆかりのある葛飾北斎の「冨嶽三十六景・神奈川沖浪裏」や岸田劉生の「麗子微笑」など、4つの美術作品を題材にした展示を体験できます!

キーワードは「なりきり」。
絵に登場する人物や絵を描いた人になりきって、「びじゅつの世界のなか」で遊べるイベントです。
今回は「びじゅチューン!」で紹介された美術作品を紹介しながら、“なりきり”体験できる展示の内容もお伝えします。

思いっきり「びじゅつ」を楽しむその前に

「なりきり美術館」は、「びじゅチューン!」と東京国立博物館のコラボレーションにより生まれた展覧会です。

「なりきり美術館」では展示の題材となった4作品について国立文化財機構文化財活用センターの髙橋美奈子さんにお話をうかがいました。

文化財活用センター 髙橋美奈子さん
髙橋さん

文化財活用センター(通称〈ぶんかつ〉)は皆さんに文化財を通して豊かな体験と学びを得ていただくために、文化財を活用した新たなコンテンツやプログラムの企画・開発に取り組んでいる組織です。

プライベートでも美術館や博物館を訪ね歩くことが多いという髙橋さん。
いちばん好きな作品は?という問いに、いちばんを決めるのは難しいと言いつつも、前職で近代日本美術を研究されていたことからいちばんお好きなのは日本画と工芸のようです。

では、さっそく展示の題材となっている作品を見ていきましょう。

冨嶽三十六景・神奈川沖浪裏

まずは、葛飾北斎の「冨嶽三十六景・神奈川沖浪裏」。
世界的にも大変有名で、一度はご覧になった方も多いはず。

「冨嶽三十六景・神奈川沖浪裏」葛飾北斎筆 江戸時代・19世紀 東京国立博物館蔵

題名からも分かるように神奈川にゆかりが深いようですが・・・

髙橋さん

描いた場所については諸説ありますが、題名にある「神奈川沖」は東海道の宿場町「神奈川」(現在の神奈川県横浜市神奈川区あたり)の沖合を指すと考えられていますので、神奈川にも縁のある作品ですね。

この作品は海外の芸術家にも影響を与えたそうです。

髙橋さん

オランダの画家・ゴッホが弟への手紙の中でこの作品を絶賛したり、フランスの作曲家・ドビュッシーが自身の交響詩「海」の楽譜の表紙にこの作品を使ったり。19世紀末から20世紀初頭のヨーロッパでこの作品が人気だったことがわかります。

美しい青色が印象的ですが、髙橋さんによると19世紀半ばに輸入された「ベロ藍」という青色顔料を北斎や広重は好んで使っていたそうです。
そして、現在は日本のパスポートの査証ページの図柄にも採用されています。富士山と大波の構図が印象的なこの作品を「なりきり美術館」ではこのような体験ができます!

①『体感!ザパーンドプーン北斎』

「神奈川沖」の波はどのくらい大きかったのだろう?

『体感!ザパーンドプーン北斎』

『びじゅチューン!』では、富士山に恋する波が、自分をアピールするために高く伸びあがるというストーリーです。会場では特大スクリーンに「冨嶽三十六景・神奈川沖浪裏」を拡大映像化
絵のなかの舟に乗る人物になりきってみると、大きな波が大迫力で迫ってきます。
さらに、ジャンプの高さで波の高さにも変化が生まれる仕掛けもあり。
北斎が表現した「波」に負けないくらいの大きさの波を、あなたは作り出せるでしょうか? 

麗子微笑

続いては、岸田劉生の「麗子微笑」。麗子のなんとも言えない表情が印象的な作品です。
こちらの作品も神奈川にゆかりがあるようです。

重要文化財 「麗子微笑」岸田劉生筆 大正10年(1921) 東京国立博物館蔵
髙橋さん

岸田劉生は東京出身の画家ですが、この作品を描いた時期に神奈川県の鵠沼に居住しており、こちらも神奈川県と縁のある作品ですね。

作品で描かれた「麗子」は劉生の娘。髙橋さんによると劉生の日記からこの作品がわずか10日ほどで完成されたものであることがわかるそう。劉生は鵠沼に居住していたころ、たくさんの麗子像を残していたようです。
この作品が完成されたときの、父と娘のほほえましいエピソードも残されています。

髙橋さん

劉生の日記には、父と娘のエピソードがたくさん登場しますが、この作品が完成した日の日記には、とても美しい月の夜、父に言われて手を合わせて拝む娘の姿を見た劉生が『可愛いやつだ』と書き残しています。

こうしたエピソードを聞くと、父親の前でなんだか恥ずかしそうにしている麗子にも見えます。
さまざまな表情に見える「麗子」。なんと「なりきり美術館」ではあなたの顔が作品になっちゃいます!

②『顔パフォーマー麗子』

麗子になりきり、キモチも一緒に。あなただけの「麗子像」を表現しよう。

『顔パフォーマー麗子』

岸田劉生の「麗子微笑」。『びじゅチューン!』では悪夢をみかんの香りで撃退する少女として登場する麗子。
この麗子にデジタル顔はめで、あなたオリジナルの「麗子像」が作れます。麗子の気持ちになってせりふも入れてみませんか。

名所江戸百景・大はしあたけの夕立

さて、次は歌川広重の浮世絵「名所江戸百景・大はしあたけの夕立」。

「名所江戸百景・大はしあたけの夕立」 歌川広重筆 江戸時代・安政4年(1857) 東京国立博物館蔵
髙橋さん

「名所江戸百景」は、題名の通りとおり江戸の名所や江戸近郊の風景を描いた歌川広重、最晩年の揃物(そろいもの)です。「大はしあたけの夕立」では両国橋の下流にかけられた新大橋を、夕立に見舞われた人たちが、雨を避けて急いで走っていく様子が描かれています。

髙橋さんによるとこの作品もヨーロッパの画家たちに影響を与えた作品でゴッホもこの作品を模写したとのこと。

髙橋さん

雨を墨線で引いて描くというのが当時、とても斬新かつ大胆で西洋の画家たちを驚かせたようです。

西洋絵画の雨の表現といえば、水滴や水たまり、あるいはぼかしや刷毛目のような線で雨風や湿った空気を表現することが多いですよね。
「なりきり美術館」ではあなただけの「大はしあたけの夕立」を制作できます!

③『雨は愛すがどう描く?(ワークショップ)』

「ざぁーーーーーっっっ」
「さぁさぁ」
「ぽつぽつ」
あなたならどんな雨を降らせる?

雨は愛すがどう描く?(ワークショップ)

『びじゅチューン!』では、主人公になった雨。
会場には、雨の線がすられる前の「名所江戸百景・大はしあたけの夕立」が用意されていますので、そこにどんな雨をふらせるか、作者になりきって考えてみます。台紙に3種類のスタンプを押して、自分の好きなように雨をふらせましょう。浮世絵の製作工程を知ることができる、すり工程見本も展示しています。

洛中洛外図屏風(舟木本)

最後は、「洛中洛外図屏風(舟木本)」。なんと会場にはこの作品の高精細複製品が展示されています。

「洛中洛外図屏風(舟木本)」の高精細複製品
髙橋さん

「洛中洛外図」というのは、京都の市中(洛中)と郊外(洛外)の景観を俯瞰して描いたもの。この屏風では豊臣の時代から徳川の時代へと移り変わっていく時期の京都の町や人々のくらしが、いきいきと描かれています。

こちらの複製品、かなり細かいところまで再現されています。よく見ると酔っ払いを介抱する人もいたり・・・

国宝 「洛中洛外図屏風(舟木本)」(部分) 岩佐又兵衛筆 江戸時代・17世紀 東京国立博物館蔵
髙橋さん

この複製屛風は、先進のデジタル技術と、京都の伝統工芸の匠の技を融合させてつくられています。実作品の質感や色彩を再現しており、金箔は職人さんが手作業で貼っています。

本物であればケース越しにしか見ることができませんが、この会場では、複製屏風を間近でじっくり鑑賞することが可能です。
よくよく見ると・・・楽しそうに宴会をしていたり、女子会をしていたり、歌舞伎を見たり、侍が堂々と歩いていたり・・・当時の庶民の生活がかいま見られて、見る度に新たな発見が。

そして、「なりきり美術館」では洛中洛外図屏風でおいしいものめぐり!

④『洛中洛外 グルメチェック』

いつの時代だって、みんなおいしいものが大好き!
あなただけのお気に入りのお店を見つけよう!

屏風に描かれた400年前の京都の街に繰り出して、おいしいものを探してみよう!
岩佐又兵衛筆「洛中洛外図屏風 (舟木本)」はたくさんの人で大賑わい!『びじゅチューン!』では、この屏風に登場する食べ物に注目しています。
屏風をじっくり見てみると、400年前の人々のいきいきとした暮らしが見えてくるはずです。絵の中の住人になりきって、京の街をあちこち散歩。
お重、おまんじゅう、焼き魚、しじみ汁など、京のグルメを探すクイズ形式の体験展示です。

びじゅつの世界でまってます

NHK横浜放送局では、3月15日(金)から4月7日(日)まで「びじゅチューン!✖横浜トリエンナーレ なりきり美術館」を開催します。
すばらしい芸術作品を後世に残してくれた作者の気持ちになって、さらに作品の世界に入り込んでアートを楽しんでみるのはいかがでしょうか。
見慣れた作品も新たな発見があるかもしれません。
横浜では3月15日より3年に1度の現代アートの祭典「横浜トリエンナーレ」も開催されます。
春のお出かけ先に、美術館などで芸術に触れてみませんか。
皆さまのご来場をお待ちしております!

『びじゅチューン!』とは?
世界の「びじゅつ」を歌とアニメで紹介するNHK Eテレの番組です。作詞・作曲・アニメ・歌などすべてを手がけるのはアーティストの井上涼さん。
豊かで自由な想像力で美術の楽しみを広げる番組です。 
▼番組ホームページ
びじゅチューン!
毎週火曜 午後5時30分放送
<再放送> 毎週金曜午後11時50分
4月から放送時間が変わります。
毎週金曜 午後11時50分放送
<再放送> 毎週日曜午後7時50分

MIXびじゅチューン!
毎週水曜午前8時35分放送
<再放送> 毎週金曜午後3時30分

イベント情報
「びじゅチューン!✖横浜トリエンナーレ なりきり美術館」
会期:2024年3月15日(金)~4月7日(日)
開館時間:午前10時~午後6時(最終入場は午後5時30分)
会場:NHK横浜放送局 (横浜市中区山下町281) 
※入場自由・無料
詳しくはこちら

第8回横浜トリエンナーレ
「野草:いま、ここで生きてる」
会期:2024年3月15日(金)~6月9日(日)
会場:横浜美術館、旧第一銀行横浜支店、BankART KAIKO、
クイーンズスクエア横浜、元町・中華街駅連絡通路
開館時間:午前10時~午後6時(入場は閉場の30分前まで)
休場日:毎週木曜日(4/4、5/2、6/6を除く)
お問合せ:ハローダイヤル 050-5541-8600(受付時間・午前9時~午後8時)

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