首都直下地震が発生した場合、都心部はがれきや放置された車などによる深刻な渋滞などが起きるおそれが指摘されています。自動車を運転中に大地震に遭遇したらどのように対応すれば良いでしょうか。警視庁や首都高速道路が呼びかけている対応です。
関東大震災の発生から100年となるのを前にした8月30日、首都直下地震などの大地震を想定して高速道路上の放置車両を移動させ緊急車両の通行ルートを確保する訓練が行われました。訓練では車を誘導したり残された車を運転したりして、通行できる車線を確保していました。
首都高速道路では震度5強以上の揺れを観測すると一部の区間を通行止めにして点検を行うほか、震度6弱以上の揺れでは、被災地に向かう緊急車両の専用道路となるため、緊急車両が通行するスペースをいち早く確保する必要があります。
自動車を運転中に大地震に遭遇したらどのように対応するか。警視庁や首都高速道路が呼びかけている対応です。主なポイントは「急ブレーキは厳禁」「情報収集」「車から離れるときはキーをおいて」です。
揺れを感じたら急ハンドルや急ブレーキは避けてゆっくりと減速して道路の左側に車を停めてください。
高速道路では左側にスペースが無い場合は車を右側にとめて、緊急車両などが通る車線を確保してください。
急ブレーキは追突事故につながるおそれがあり大変危険です。ハザードランプをつけるなど周囲に知らせてから減速をすることが大切です。
停車したらスマートフォンやラジオなどで地震の情報や交通情報を確認してください。地震で道路に被害が出ている可能性もあるため、むやみに動かず警察や高速道路のパトロール隊の指示に従って移動するようにしてください。
車を置いて避難する場合には、貴重品を持ち出して連絡先を残した上で、キーは車内に置いて、ドアのロックをかけずに離れるようにしてください。
救助活動などのため、自衛隊や警察、消防など緊急車両の通行を確保するため、道路上の一般車両を移動させる場合があるためです。
災害時の交通について研究している千葉大学大学院の丸山喜久教授は2003年に起きた宮城県沖を震源とするマグニチュード7.1の大地震の際に、東北自動車道を通行していたドライバーおよそ200人にアンケートを行い、揺れの強さと運転手の行動の関係などについて分析しました。
その結果、震度5弱の揺れではドライバーのおよそ8割が地震に気づきましたが、2割は最後まで気づかなかったと回答しています。また、揺れを感じた人にどのような行動をとったか聞いたところ、路肩に停車した人は2割にとどまっていました。
千葉大学大学院 丸山喜久教授
「揺れを感じてすぐに減速すると地震に気づいていない車に追突されるおそれがある。首都圏は特に車間距離が近く直下型地震では緊急地震速報も間に合わないおそれがある。二次災害を防ぐためにもハザードランプをつけて周囲に知らせながらゆっくりと減速してから停車することが重要だ」