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ヒートショック 冬場に注意 防ぐには 対策はどうする?予防法を掲載

  • 2023年10月27日

寒さが徐々に本格化する中、急激な温度変化によって起こる「ヒートショック」が原因とみられる入浴中の事故が増える傾向にあります。亡くなった人の数が、交通事故の3倍ほどというデータもあり、これからの時期、特に注意が必要です。

入浴時の突然死 約9割が高齢者 冬場に集中

◇ヒートショックとは◇
「ヒートショック」は急激な温度変化により、血圧が大きく変動することで脳卒中や心筋梗塞などを引き起こす現象です。

鹿児島大学の研究グループは、2006年から2019年までの14年間に、鹿児島県内で入浴中やその前後に突然死した2689人について、検視を行った警察の協力を得て死亡した人の年齢や日時などについて疫学的な調査を行いました。

その結果、全体のおよそ9割が65歳以上の高齢者で、およそ半数のケースが12月から2月の冬場に集中していたほか、気温が低く1日の気温差が大きいほど突然死が起きやすいことがわかったということです。

こうした突然死は、脱衣所と浴室、それに浴槽内のお湯との温度差によって血圧が急激に変化し、心筋梗塞などを引き起こす「ヒートショック」が原因と考えられていますが、特に高血圧の既往症のある人が全体の4割以上を占めていました。

入浴する際、寒い脱衣所で服を脱ぐと血管が収縮して血圧が上がり、心筋梗塞などを引き起こすおそれがあります。また、お風呂に入ると今度は血管が広がって血圧が下がり、意識を失うおそれがあるのです。

統計上の分析では、鹿児島市で、最高気温が14.5度未満、最低気温が5度未満、1日の気温差が8度を超えた場合、入浴時の死亡リスクが高まるとしています。

2019年までの14年間に鹿児島県内で入浴時の突然死で亡くなった人は、同じ時期に交通事故で亡くなった960人の3倍近くに上っていました。

~対策は?~
調査に参加した鹿児島大学大学院の林敬人教授は、寒さが徐々に厳しくなる11月ごろから「ヒートショック」による事故が増えやすいとしています。

対策としては、暖房器具を使い、部屋や脱衣所、浴室の温度差をなくすことや、食後や飲酒後すぐの入浴を避けることなどを呼びかけています。

そのうえで、次のように話しています。

林 敬人 教授
「高齢者や高血圧の人は、特に寒い日や気温差が大きい日には自分の命を守るために入浴自体を控えることも検討してほしい」

入浴中の事故 どのくらいあるの?

消費者庁のまとめによりますと、2019年の1年間で入浴中に亡くなった65歳以上の高齢者は、全国で4900人にのぼります。

発生時期が分かっているケースを月別に見ると、10月から増加に転じ、寒さが厳しくなる、これからの時期に多く発生しています。

事故を防ぐためのポイントとして、消費者庁は次のように呼びかけています。

〔事故を防ぐためのポイント〕

 ◆入浴前の注意ポイント
1 脱衣所や浴室を暖めましょう。(断熱性の向上と暖房設備の導入を検討も)
2 こまめな水分補給をしましょう。
3 食後すぐの入浴や、飲酒後、医薬品服用後の入浴は避けましょう。
4 入浴する前に同居者に一声掛けて、意識してもらいましょう。

◆入浴時の注意ポイント
5 湯温は 41 度以下、湯につかる時間は 10 分までを目安にしましょう。
6 湯温や部屋間の温度差、入浴時間など普段意識しにくい部分について、温度計やタイマーを活用して見える化しましょう。
7 浴槽から急に立ち上がらないようにしましょう。
8 浴槽内で意識がもうろうとしたら、気を失う前に湯を抜きましょう。 

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