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介護離職10万人 介護休業 介護休暇 仕事と両立するための支援制度は

  • 2023年10月13日

総務省によりますと家族の介護や看護を理由に仕事を辞める「介護離職」をした人は、2007年の14万5000人から2017年には9万9000人と減少が続きましたが、2022年は10万6000人と増加に転じました。介護離職を防ぐための「介護休業」「介護休暇」の制度はどんな制度なのか、また、新たな支援策についての動きをまとめました。

仕事と介護 支援制度は

離職を防ぎ仕事と介護を両立するための支援制度は育児・介護休業法で設けられています。

〇「介護休業」
家族の介護に直面した時に介護サービスの手配など仕事と介護の両立に向けた体制を整えるため、家族1人につき最大93日間取得でき、3回まで分割可能です。この期間は賃金の3分の2ほどの介護休業給付が支給されます。

〇「介護休暇」
要介護状態の家族の通院などのために、対象の家族1人につき年間5日、時間単位での取得もできます。このほか、短時間勤務や残業免除の制度があります。

支援制度の周知や相談に課題

総務省によりますと2022年の調査で介護をしながら働く人のうち介護休業や介護休暇などを利用した人は11.5%にとどまっています。

厚生労働省が、民間に委託して2021年に行った調査では、介護離職した人に離職の前に職場でどのような取り組みがあれば仕事を続けられたかを複数回答で聞いたところ、「支援制度に関する個別の周知」が55.1%、「相談窓口の設置」が33.7%「支援制度に関する研修」が31.7%などとなり、制度の周知や相談体制に課題があることが分かりました。

〇仕事を辞めた理由
「勤務先の両立支援制度の問題や介護休業などを取得しづらい雰囲気があった」43.4%
「介護保険サービスや障害福祉サービスなどが利用できなかった 利用方法が分からなかった」30.2%

“家族の問題を周囲に相談しにくい”

仙台市にある介護離職防止支援センターでは主に企業から介護離職についての相談を年間300件程度受けています。
センターに寄せられる相談の傾向として、介護をしている人は、家族の問題を周囲に「相談しにくい」と感じて、上司や同僚に介護の悩みを打ち明けにくく、会社に報告する時にはすでに離職の意思を固めているケースが多いということです。

会社側 介護休業・休暇 使った前例がないケースも

また、多くの企業では育児・介護休業法に基づき、就業規則に介護休業や介護休暇の項目が盛り込まれています。
ただ、センターに相談してくる会社の中では、社員に制度が知られていないことに加えて、会社側も介護休業や介護休暇を使った前例がないケースもあり、いざという時にすぐ使えるほど周知が進んでいないのが現状だということです。

介護離職防止支援センター 佐藤一臣さん
「会社に制度があっても従業員が理解していないと使えないので、制度の周知や、気軽に相談できる職場環境が大事になってくると思う。また、介護休業や休暇を取った際に、その期間を介護するだけで消化してしまうと、離職を後ろ倒しにしただけになるので、休みの間に、いかに仕事と介護を両立できるような環境を整えるかサポートすることも必要だ」

介護離職を防止 育児・介護休業法改正に向けた議論

厚生労働省は、介護離職を防止するため、育児・介護休業法の改正に向けた議論を12日始めました。
この中ではことし6月に厚生労働省の有識者による研究会がまとめた報告書をもとに新たに企業に求める対策として、介護が必要なことを申し出た従業員に介護休業や介護休暇などの支援制度を個別に周知し意向を確認することや、介護をしながら働く人がテレワーク制度を利用できるようにすることを努力義務とすることなどについて、意見が交わされました。

出席した委員

介護休業などは上司の理解があってこそ取得できるので、特に管理職向けの研修が必要ではないか。

出席した委員

テレワークができない職種や業態もある中で努力義務をつけた場合に、介護を申し出た人が、テレワークができる部署への異動を求められないようにしてほしい。

厚生労働省は引き続き審議会で議論を重ね、来年の通常国会に法律の改正案の提出を目指すことにしています。

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