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夏休み「校外体験の機会提供を」

  • 2023年7月12日

“夏休み中は旅行やスポーツ、野外学習など子どもの体験の機会に大きな差”
都内のNPO法人がひとり親家庭や経済的に厳しい家庭の子どもを対象に体験の機会を提供するプロジェクトを始めることになり支援を呼びかけています。

世帯年収300万円未満の家庭3人に1人「校外活動せず」

記者会見したのは保育園の運営や子育て支援を行うNPO法人「フローレンス」です。別の民間団体が、小学生の子どもがいる保護者を対象にした調査結果が紹介されました。

調査の概要は

調査は、民間団体「チャンス・フォー・チルドレン」が行いました。

子どもの「体験格差」実態調査
調査:「チャンス・フォー・チルドレン」
日時:去年10月12日~14日
方法:インターネット
対象:小学生の子どもがいる保護者2097人

1年間 子どもが校外の体験活動を「何もしていない」と答えた保護者

年収300万円未満の世帯が29.9%だったのに対し、300万から600万円未満の世帯は20.2%、600万円以上の世帯が11.3%となり3倍近い差がありました。年収300万円未満の世帯で子どもがやってみたいと思う体験活動をさせてあげられなかった理由を複数あげてもらったところ、56.3%が「経済的余裕がない」、51.5%が「保護者に時間的余裕がない」と答えています。

物価高騰も影響

物価高騰が子どもの体験機会に影響するか尋ねると「機会が減った」「今後減る可能性がある」と答えた保護者は、年収300万円未満の世帯が50.6%、300万から600万円未満の世帯が47.2%、600万円以上の世帯が34.7%となっています。

保護者が「校外活動経験なし」の子どもは…

保護者自身が小学生のころ「習い事などの学校外の体験活動をしていなかった」と答えた保護者は、年収300万円未満の世帯が39.8%、300万から600万円未満の世帯が31.1%、600万円以上の世帯が23.2%となり、経済状況が厳しい保護者ほど、自身も幼少期の体験機会が少ないことが浮き彫りになっています。

具体的活動は家庭の経済状況で差

『水泳』は
年収300万円未満の世帯が14.8%、300万から600万円未満の世帯が20.4%、600万円以上の世帯が32.7%。
『音楽』は
年収300万円未満の世帯が7.5%、300万から600万円未満の世帯が13%、600万円以上の世帯が17.5%と年収300万円未満の世帯と600万円以上の世帯で2.3倍の差が生じています。
「スポーツ・運動」「文化芸術活動」ともに年収が高い家庭ほど参加している子どもが多くなっています。

親からは…

自由記述欄には、親からの声が寄せられていました。

(小学4年生保護者/40代女性)
「やりたいと言われてもどれも経済的に無理なので、子ども自身が無理だよねって、何も言わなくなりました。だんだんわかる年齢になり、子どもなりに我慢しているようで、申し訳なく思っています」

(小学1年生保護者/30代女性)
「友だちが行っているからという理由でスイミングに行きたいと言っていたが、入会金や月謝が高額で行かせてあげられなかった」

(小学5年生保護者/40代男性)
「生活に余裕が無い。物価上昇に追いつけない。送迎ができない」

調査を行った公益社団法人「チャンス・フォー・チルドレン」
「『体験の貧困』は子どもの進路選択などに影響を及ぼし、格差の連鎖を生む点でも問題だ。
 子ども・家庭への活動費の支援や体験の担い手を支えるための基盤整備が必要だ」

NPO「校外での体験機会を提供」

こうした体験格差は、夏休み中はさらに広がるとみられることから、記者会見したNPOは、ひとり親家庭や経済的に厳しい家庭、1000世帯の子どもを対象に、ことし9月にかけて遊びや学びの体験の機会を提供するプロジェクトを実施することになりました。

具体的には、レジャー施設などの予約サイトを運営する企業など8社と連携し、スポーツ選手によるかけっこ教室、飛行機の格納庫見学や機内食の体験、プログラミング教室などに招待したいとしています。

費用については、NPOのホームページ内にプロジェクトの専用ホームページを設け、個人や企業から寄付を募り、参加する子どもたちの応募も始まっています。

記者会見したNPO法人「フローレンス」駒崎弘樹会長
「家庭の状況に関わらず、すべての子どもたちが夏休みの体験を楽しみ、体験を通して叶えたい未来を実現できる社会を目指していきたい」

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