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スポーツクライミング 安楽宙斗選手が八千代市訪問 詳しく

  • 2023年09月01日

スポーツクライミング界で、今、最も勢いのある16歳、安楽宙斗選手。ことし初めて参戦した「ボルダー」のワールドカップでは、最終戦で初優勝し、この種目の年間総合優勝を果たしました。
9月のワールドカップ2試合での優勝や1年後に迫るパリ・オリンピックへの出場を目指す安楽選手。地元・千葉県の八千代市役所を訪れた際に見せたのは、年間チャンピオンとは思えない飾らない姿でした。訪問の様子を詳しくお伝えします。

(千葉放送局記者・金子ひとみ)

ワールドカップ「ボルダー」で年間総合優勝

ワールドカップの種目「ボルダー」最終戦で優勝

ことし、初めてワールドカップに参戦した安楽選手。複数のコースを制限時間内にいくつ登ったかを競う、「ボルダー」という種目では、6月の最終戦で初優勝し、世界の強豪を抑えて、この種目の年間総合優勝を果たしました。

「ボルダー」では年間総合優勝

7月には一発勝負で壁を登り、制限時間内に登った高さを競う「リード」という種目のワールドカップでも初優勝しました。

2023年 安楽選手の成績(1位~3位)

4月9日 ジャパンカップ「ボルダー&リード」 優勝
5月21日 ワールドカップ「ボルダー」第3戦 2位
6月16日 ワールドカップ「ボルダー」第6戦 優勝
7月9日 ワールドカップ「リード」第3戦 3位
7月15日 ワールドカップ「リード」第4戦 優勝
8月6日 世界選手権「リード」 2位

年間総合優勝後では初の訪問

8月29日、千葉県の八千代市役所にユニフォーム姿の安楽宙斗選手が姿を現すと、大勢の市職員が拍手で出迎えました。

服部友則市長からは、花束が贈呈されました。

安楽宙斗選手

市長さんのところには小学6年生のときに初めて大会の報告に来ました。優勝してここに来るのが恒例なので、今回も来ることが出来て、ちょっと安心したという感じです。

「強い選手を食っていくスタイルで」

ことし、初めてワールドカップに参戦したあと、すでに2勝している安楽選手。軽やかな登りを支えているのは、身長より13センチも長い腕の「リーチ」で、その長さは日本選手の中でも屈指です。

安楽選手

無理やり力で解決するのではなくて、動き一つ一つを力を使わずに合理的にいいポジションに持っていくのが得意です。

今シーズンの好成績の要因については次のように話しました。
 

初めて参戦したワールドカップで、あまりプレッシャーを感じませんでした。強い選手を「食っていく」という、前だけ見て進んでいくというスタイルでいったのが、今回の好成績につながったのかなと思います。
ボルダー種目では、6回中4回決勝に進みましたし、たまたまというよりは、かなり安定して結果を出しているのが自信につながっています。

昔はゲーム感覚 転機は高1の大会

THE NORTH FACE CUP 本戦に出場(小学2年時)

安楽選手は八千代市出身で、大和田中学校を卒業後、今は県立八千代高校の2年生。小学2年の時に近所にジムがあったことがきっかけで、クライミングを始めました。

安楽選手

父と一緒に、「楽しそうだし、行ってみよう」と始めたんですけど、めちゃくちゃはまって夢中でやっていました。夏休みはジムに入り浸っていた記憶があります。トレーニングというより、楽しみというか、ゲームといった感覚でした。

IFSC Youth World Championships in Voronezh 2021(世界ユース選手権、 中学3年生時)

小学生のころから国際大会で活躍していましたが、「勝ちたい」という気持ちが強くなったのは、高校に入ってからだと言います。

高校1年の時の大会で、優勝したんですけど、あまり納得できる登りではありませんでした。「もっと本気にならないと勝てないな」と感じ、そこからは気持ちを入れ替えて、次の大会で納得した勝ち方が出来るようトレーニングするようになりました。

「オリンピックに出て、競技を盛り上げたい」

表敬訪問を終えたあと、報道陣の取材に応じました。

クライミングのどこが面白いですか?

安楽選手

色鮮やかなホールドを登って競い合うのが僕は単純に楽しくて、競技をしています。同じ課題は2度と出てこないので、「今回のコースはどう登ろうか」と考えるが楽しいです。

今も地元を拠点とするメリットはどこですか?

学校や練習場所が近くて、移動などのむだな時間があまりありません。その分多く練習に時間をあてられると思います。クラスの人たちもすごく応援してくれているので、背中を押されている感じがします。

数学が得意ということですが、数学とクライミングで似ているところはありますか?

今まで蓄えた知識をもとにどう解決していくかを考えるという点が似ているのではないかと思っています。

課題と感じている部分はどこですか?

フィジカル、筋肉量は海外選手との差が全然まだ埋まっていないので、そこを徐々につけていきたいです。さらに自分の得意とするテクニックを磨いていきたいです。

決勝の舞台は、周りが暗く自分だけ照らされるような状況で、歓声も大きいため、まだ苦手です。決勝であまりいい結果を出せないことが多いので、まず雰囲気に慣れるのが大事だなと思います。

今後の目標について教えてください。

9月のワールドカップ「リード」の残り2戦と、11月のオリンピック選考大会の両方で優勝を狙いたいと思います。

自分がオリンピックに出て、優勝といった、いい成績を残すことで、クライミングをより多くの人に知ってもらいたいです。クライミング界を盛り上げたいという気持ちが一番強いです。応援よろしくお願いします。

同行していた、安楽選手の母・久美子さんにも話を聞きました。

安楽久美子さん

クライミングの能力は突出していますが、あとは普通の高校生という感じです。家では家族に対して優しく、ラーメンやからあげが好きです。栄養が偏らないようには気をつけています。

結果が出ないことがあっても、精神的に安定してきていて、そのあたりは成熟してきたのかなと感じています。

「宙斗」という名前は、夫が宇宙好きで、出産前から決まっていました。

  • 金子ひとみ

    千葉放送局 記者

    金子ひとみ

    千葉局在籍6年目に。8月から八千代市を担当しています。

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