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谷津干潟の歩み ラムサール条約登録30年 渡り鳥の飛来地 千葉

  • 2023年06月08日

都会の中にぽっかりと空いた四角い水辺。習志野市の谷津干潟です。渡り鳥の中継地として、湿地の保全に関する「ラムサール条約」に登録されてから、今年で30年を迎えました。どうして都会の真ん中に干潟が残されたのか。どのような自然が残っているのか。歴史を振り返りながらご紹介します。

(千葉放送局 千葉美穂・岡本基良)

にぎわいました!「谷津干潟フェス」

谷津干潟は、広さ約40ヘクタールの天然の干潟で、都会にありながら、シギ類やチドリ類といった渡り鳥の飛来地であることなどから、1993年、国内の干潟として初めて「ラムサール条約」に登録されました。6月10日、登録30周年を迎え、2日間にわたってイベントが開かれました。

にぎわう谷津干潟自然観察センター
イベントのポスター

記念式典などの映像はこちら

千葉 NEWS WEB「谷津干潟 ラムサール条約登録30年で記念式典」

自然観察センターでは、6月10日と11日の2日間にわたって、ジュニアレンジャーによる干潟の生きもの案内や、干潟に親しむ展示、工作体験など、さまざまなイベントが開かれ、子どもたちをはじめ、たくさんの人でにぎわいました。

ペーパークラフトで干潟の生きものをつくるワークショップも
鳥たちはいつものように干潟でのんびり(❛貝殻の島❜でお休み中)

淡水池では、カルガモが子育ての真っ最中。ときどき、ヨシの陰からヒナがかわいらしい姿を見せてくれました!センターの中から観察することができ、子どもたちから歓声があがっていました。

写真提供:習志野市 谷津干潟自然観察センター
習志野市のキャラクター ナラシド♪は、谷津干潟に住んでいます!
見覚えのある赤いお姿も・・・お祝いにかけつけました!

都会の中になぜ干潟?

谷津干潟があるのは、習志野市の南部。

南側にはJR京葉線と東関東自動車道が走り、東側には県立津田沼高校、西側には船橋競馬場、北側には住宅地や公園、商店街などが広がっています。

中央の水面が「谷津干潟」
手前に船橋競馬場、縦に貫くのが京葉線と東関東道

いかにも人工的に区切られた四角い水辺ですが、実はここは天然の干潟なんです。

かつての千葉県の東京湾沿岸は、アサリやハマグリがとれる干潟が広がっていたといいます。

しかし、高度経済成長期に県の主導で東京湾沿岸の各地で埋め立ての計画が進み、習志野市の海辺も埋め立て工事が一気に進みます。その中で、現在の谷津干潟のエリアは大蔵省(当時)の管轄だったことなどから、埋め立てを免れたとされています。

谷津干潟周辺の埋め立ての様子(昭和47年ごろ・視聴者撮影)

その後、2本の水路だけで1キロほど離れた海とつながる珍しい干潟となりました。

「ラムサール条約」第5回締約国会議(1993年6月)   当時のNHKニュースより

その後、渡り鳥の飛来地であることなどから、1993年に北海道釧路市で開かれた湿地の保全に関する「ラムサール条約」の締約国会議で、国内の干潟として初めて登録され、現在に至ります。

谷津干潟を訪れる 個性豊かな鳥たち

谷津干潟の周辺で、1年間に確認される野鳥の種類は110種以上にのぼり、四季を通してさまざまな鳥に出会うことができます。また、世界の北と南を行き来するシギ・チドリ類にとって、谷津干潟は、長い渡りの途中に羽を休め、虫などを食べてエネルギーを補給するために、なくてはならない貴重な「中継地」です。

写真提供:習志野市 谷津干潟自然観察センター

メダイチドリ

つぶらな瞳が愛らしい。5月 繁殖に向け羽の色が濃いオレンジ色になっている様子。

写真提供:習志野市 谷津干潟自然観察センター

セイタカシギ

その名のごとく、足がスラリとのび背が高く見えるのが特徴。1本足で立ってお休み中。

写真提供:習志野市 谷津干潟自然観察センター

キアシシギ

谷津干潟には、去年まで、同じ個体が12年連続で飛来し観察記録を更新中。しかも2羽も!確認されているのは毎年7~8月、今年もやって来てくれるでしょうか。(2011年 調査のために付けられた標識が目印)

写真提供:習志野市 谷津干潟自然観察センター

カワセミ

瑠璃色に輝く美しい羽が特徴。タイミングが合えば、水にダイブして魚をとらえる様子が観察できるかも。写真は幼鳥。

こちらもチェック!谷津干潟を映像で見てみよう

谷津干潟 秋の水鳥たち(NHKアーカイブス 2007年放送)

 

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