相模鉄道本線で海老名駅のお隣、かしわ台駅をご存じでしょうか? この駅に隣接するのが、電車の検査などをする 相模鉄道車両センターです。
NHK首都圏局の“きっぷ鉄”後藤茂文記者が、荒木さくらアナウンサーとともに探検しました。
駅から跨線橋を歩いて車両センターへ。見下ろした線路には、相鉄に加え 直通運転している他社の車両も!
2023年3月に東急線との直通運転がはじまり、車両にどんな変化があったのか。
車両開発に携わる 車両課課長代理の平山典正さんに教えていただきました。
あちらに留置している21000系を紹介します
こちらは東急線との直通運転で使用している最新型。イメージカラーの「ヨコハマネイビーブルー」がかっこいいですよね。
直通運転の途中で相鉄と東急の運転士が交代するため、両社とも使えるようにカスタマイズされています。
たとえば運転操作をするマスコンハンドル。相鉄では片手でハンドルを操作してきましたが、東急は両手で操作。そのため、どちらにも対応できるよう、両手用のハンドルを導入しました。
また、車掌がおらずワンマン運転を行う東急線にあわせて、乗客の乗り降りなどを確認できるモニターも運転席の窓上に設置しました。
弊社はツーマン( 運転士と車掌)で運転していますが、乗り入れ各社の協定に基づいて、ワンマン運転( 運転士のみ)の機材を入れています
一方で、独自のこだわりも。
車内に鏡があるんです。
昔はですね、横浜にお買い物に行くお客様、横浜に行ってお買い物をするのがステータスだったと聞いております。そのための身だしなみを整えるために、鏡をつけたと。
今後は直通運転で、渋谷でのお買い物でも。
そうですね、できれば横浜でお買い物していただきたいのもありますけど。
ワンマン対応の機能が運転台にあるあたりは乗り入れ各社共通にしていますけど、車両のデザインは各社の個性を出せるんですね。
つづいては、整備エリアへ潜入です。
相鉄の車両はおよそ450両。そのすべてを走った距離や期間に応じて入庫させ、車両の分解も行って徹底的に整備します。案内していただいたのは、
車両センターに勤務して17年、業務区長の大谷学途さんです。
こちらは相模鉄道の9000系という電車の検査を行っているところです
20トンくらいはある車体。上にある大きなクレーンで持ち上げて移動するそうです。
整備中の車内をのぞいてみると…。
いすの下にも大事な機能が詰まっていました。
ドアを開閉する装置です。検査の時には車両の部品を細かく分解して、消耗品を交換したりとか、悪くなったドアの開閉部品を交換したり。細かいビスやボルトが1本ないだけでも大事故につながってしまうこともありますので、そういったことがないようにしっかりと確認を行っています。
数え切れないほどの部品が使われている車両。
直通運転によって、整備にも少しずつ変化が出始めていました。
電気を電線から取り入れるために欠かせない「パンタグラフ」。常に電線に接していますので、走ると摩耗していきます。
削れていってしまうので、時期を決めて交換しないといけないわけですね?
走行距離に応じて摩耗していきますので年に1回くらい交換が必要なんですけども、直通運転で走行距離が増えた分、それが少し早まった感じはあります。
直通運転によって車両の台数や種類が増えたため、整備の作業量も増加しているそうです。
レールの幅が違う路線も割とあったりするんですか?
鉄道会社によってもレールの幅は多少違います。今回乗り入れさせていただいている会社は全部同じ幅になっています。
東急線も同じ、だから直通がかなったと。
今までは沿線のお客様だけでしたけれども、都心のお客様ものせて走るということもありますので、やっている内容は変わりませんけど、今まで以上にしっかりと検査を行っていきたいと思っています。
列車が毎日当たり前のように走っている裏には、このように昼夜整備に尽力している現場があるんだと再確認できました。こうした現場を知ると、公共交通のありがたみをより感じますし、もっとほかの鉄道の現場も取材したくなりました。