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「東北大学学友会報道部×TOHOKU SOULFUL」コラボ記事(後編)

  • 2024年05月02日

NHK仙台放送局と東北大学学友会報道部のコラボ企画後編!東北で大学に通う現役学生記者がNHKのイベントの裏側に潜入し、学生目線で東北ゆかりの出演者、そして本イベントを作り上げた制作スタッフ陣へ取材しました。

※前編はこちら 
「東北大学学友会報道部×TOHOKU SOULFUL」コラボ記事

TOHOKU SOULFUL

「TOHOKU SOULFUL」は、東北にゆかりのあるアーティストが“東北魂”あふれたパフォーマンスを披露し、音楽やトークを通じて地元愛を表現する熱いステージ。公開収録が2024年2月25日(日)、仙台国際センターにて行われました。

後編では、セットデザイナーの佐藤小春さん、プロデューサーの古賀仁さん、ディレクターの岡崎雅さんに制作秘話を聞きました。(聞き手:鈴木舞優、林亮佑)

6県を一つの輪に 貫いた意志

 

NHK仙台放送局 映像デザイナー
佐藤 小春
2019年入局。2023年から仙台局勤務。
ニュース・音楽・バラエティのセットをメインで担当。

ー(鈴木)そもそもセットデザイナーとはどのような仕事ですか

(佐藤)
舞台に何を配置するかという設計をするのが主な仕事です。演出担当や照明担当などと何度も打ち合わせをしながらセットを作っていきます。

ー(鈴木)セットを拝見しましたが、全体的に丸いモチーフが多い印象でした

(佐藤)
東北全体が一つの輪のように緩やかにつながっていけたら、という思いを込めています。ステージ中央のパネルやMCパネル、サイドの照明タワーなども全て丸をモチーフに作っています。

ー(鈴木)ステージの中央のパネルにはどんな意味があるのですか

(佐藤)
これは東北で美術を学んでいる学生さんに作ってもらいました。6つのパネルは絵のテイストも作っている場所も全く異なります。それを一つの輪にすることで、個性がぶつかり合いながらも不思議な一体感が出せていると思います。

ー(鈴木)MCパネルのデザインにも意味があるのですか

(佐藤)
仙台で撮影するということで、杜の都を感じさせる緑を入れたいと思い、壁面緑化を取り入れました。

ー(鈴木)一つ一つのセットに意味があるのですね

ー(鈴木)今回のセットを作るにあたって、苦労したことは何ですか

(佐藤)
実務と画面映えの両立です。照明や舞台転換が成立しやすいセットを極めていくと、どうしても直線的でシンプルな形に収束してしまいます。ですが美術としては、曲線やアンバランスさなど、ちょっとした不安定さがないと画面で見たときの迫力がなくなってしまう。直線のほうがいいのではとよく指摘されましたが、そこを折れずに丸いモチーフを貫きました。

ー(鈴木)すごい。プロの情熱を感じました

(佐藤)
セットは自分が思っていたのと少し違った形になることのほうが多いです。ですがそれでも諦められないところは頑張って交渉して残していったり、逆に技術さんなどにアドバイスをもらったことですごく良くなったりすることもあります。他の業種の人と相談しながら作れることが、この仕事の面白いところです。

「東北の時間」作れた 膨大なインプットを経て

NHK仙台放送局 制作
古賀 仁
2009年入局。2021年から仙台局勤務。
これまで「紅白歌合戦」「有田Pおもてなす」「のど自慢」などの番組を制作。

NHK仙台放送局 制作
岡崎 雅
2018年入局。2023年から仙台局勤務。(3年間青森局で過ごしました!)
去年のねぶた祭は全参加!!(うち3日は中継お仕事!!)

ー(鈴木)なぜ「TOHOKU SOULFUL」を企画したのですか

(古賀)
今年もTOHOKU SOULFULの季節が来たなって、みんなに楽しみにしてもらえるようなコンテンツを作りたいと思ったからです。僕は普段「のど自慢」の制作に携わっているのですが、東北の方は他の地域と比べてもすごく熱量が高いんです。そのソウルを、アーティストだけではない一般の方も発露させられるような番組があればとても素敵だなと思って企画しました。

ー(鈴木)この番組にはどのくらいの方が携わったのでしょうか

(古賀)
100人くらいです。ドキュメンタリーだと10人くらいなのですが、ざっとその10倍。出演関係者も入れると150人くらいになります。

ー(鈴木)出演者の方を選出するにあたって、基準はありましたか

(古賀)
東北を語れる方、東北を歌える方。今年はすごく東北色の強いみなさんに出てもらうことができました。

ー(鈴木)制作にあたって苦労したことは何ですか

(岡崎)
私はエンターテインメントの番組に携わったことがなかったので、「人を楽しませる」ってなんだろうってことは悩みました。ただ気が付いたのは、制作側が難しく考えなくても、出演者の方がその場を楽しいって思ってくれれば画面に乗るということです。

ー(鈴木)楽しい場を作るために、何か工夫したことはありますか

(岡崎)
特にはないですね(笑)。ただ、TOHOKU SOULFULっていう名前が決まってからは、その名前に引っ張られていけばいいという感覚がありました。いかに東北らしくするかを考えたことで、自然に場が作られた気がします。

(岡崎)
青森局にいたとき、東北の人って「いや、うちらなんて…」っていう気持ちがすごくあるなと思ったんです。外から見たらすごくいいのに、もったいないなって。東北の真価に気づいてもらうにはどうしたらいいかってことは常に芯に置いて考えていたことでした。

ー(鈴木)収録を終えていかがですか

(岡崎)
成功したと思います。お客さんと会場とが一体になって、「東北の時間」を作ることができました。出演者の方も「あったかい気持ちになれた」と言ってくれて、それは見ている人にも伝わったはずです。東北に住んでいる人を楽しませることと、その魅力を外に伝えること、この両方が実現できたと思います。

(古賀)
こちらが100で考えていたものを、出演者のみなさんに150とか200にしてもらうことができたなと思っています。聞かれなくても東北愛を持っていて、それを表現できる人たちに集まっていただけました。

(岡崎)
学生のみなさんは逆に本番を見てどこがよかったなとかありますか?

ー(林)僕は普段テレビが映さない部分、例えば音響やカメラマンの仕事ぶりにプロを感じました

プロとして仕事をしているお二方に、学生の悩みも聞いてもらった。

ー(林)報道部の活動をしていると、ネタ探しに苦労することがあります。
みなさんはどうしていますか

(古賀)
基本的にはインプットを増やしまくることと、インプットの精度を上げることです。仕事と関係のない遊び、家族との会話、ニュース、美術展などなど、とにかくいろんなものをインプットしておいて、それを結び付ける何かを意識的に考える癖をつけるといいと思います。何かおすすめされたらまず見るとか、とにかく腰を重くせず、フットワークを軽くすることが大事です。林さんは好きなものとかありますか?

ー(林)僕は自転車が好きです

(古賀)
なるほど、多分自転車仲間なんかもいますよね。その人たちがどんなことを考えているのか聞いてもいいし、自転車から派生して考えてみるのもいいですね。

(古賀)
あとは一個取材しただけで終わらないようにすることです。企画が思いつかないとき、我々はよく「まだ向き合ってないんじゃない?」という言い方をします。例えば狩野さんのYouTubeが100本あったとして、100本見たのか。100本動画見てから書いた企画書と、有名だから出てくださいとだけ書かれた企画書では、全然重みも違ってきます。

ー(鈴木)勉強になります。

(古賀)
僕も最初からそうできたわけではないですよ。いろいろな先輩の仕事を見たり話を聞いたりして、自分なりの仕事の向き合い方を確立してきました。でもまだまだ勉強中なので、これからも頑張りたいです。

【感想】
今回の企画を通して、普通ならお会いできないような方々からお話を聞いて、たくさんの刺激とエールをいただきました。ありがとうございました!

聞き手

名前:鈴木 舞優
出身:青森県青森市
担当:取材
東北のすきなもの:りんごシャーベット

名前:林 亮佑
出身:福島県いわき市
担当:撮影
東北のすきなもの:メヒカリの唐揚げ

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