『仙台みそ』学生がスウェーデンで発信
- 2024年03月21日
宮城学院女子大学で幼児教育を学ぶ2年生から4年生の10人が、2月中旬、カリキュラムの一環でスウェーデンでの研修に臨んだ際、宮城のことを紹介するために「仙台みそ」をPRしました。
学生たちは、みそについて特別な知識があったわけではありません。それでも、みその組合の強力なバックアップも受けて、仙台みその魅力を伝えるプレゼンに取り組みました。
彼女たちがスウェーデンで食育について学ぶなかで、交流の一環として教育関係者や料理人に紹介した「仙台みそ」。伊達政宗が城下で造らせたのがはじまりとされ、辛口で風味豊かなのが特徴です。
大学が以前、県内のみそメーカーなどでつくる組合と活動していた縁で、PRの題材に選ばれました。
4年生としてメンバーを引っ張ったのは、富谷市出身の福地明日香さんです。
4年生 福地明日香さん
「海外の人の日常で、みそや日本食が、染みつくまではいかなくても、ちょっとでも思ってもらえる機会があったらいいです」
協力するみその組合も、学生たちに期待しています。
出荷量が年々減っている仙台みその販路開拓のヒントが得られるかもしれないからです。
宮城県味噌醤油工業協同組合 専務理事 横山充洋さん
「組合としてもみその輸出を考えていましたが、遠くスウェーデンで
仙台みそを食べてもらえるとは思ってもみなかった。ありがたいことです」
学生たちは、今回のプレゼンに向けて去年の秋から準備し、
仙台みその歴史や造り方などを学んできました。
みその組合の人にも「メーカーによって味が違うのはなぜか」などと積極的に質問しました。
ちなみに、味の違いは原料の米こうじと大豆の量の違いによるもので、
米こうじが多いほうが甘みが出て、大豆が多い方がコクが出るそうです。
学生たちには、秘策もありました。宮城で仙台みそといえば、芋煮ですよね。
現地で作って、芋煮会をやることにしたのです。
去年12月には、組合の人を大学に招いて試作。
宮城定番の味を再現できるように、真剣にレシピを習いました。
幼い頃から芋煮に親しんできた福地さんは、みそが出す味わいを確かめました。
作った芋煮はキャンパスから集まってきた学生にふるまわれ、評判は上々。
笑顔があふれて大成功でした。
1月下旬、スウェーデンに行く前、最後の打ち合わせ。学生たちでまとめた資料を検討しました。
組合から「仙台みそは“大豆のうまみが強い”と書いてもらえるとうれしい」という意見が出るなど、活発にやりとりしていました。資料には、およそ4か月に及ぶ準備を通して気づいたことも添えました。
学生
「芋煮会が、地域にとってのつながりの場所。同世代の人や地域の人と一緒に
教えてもらいながら食べる機会というのは、日本ならではの文化のひとつ」
コミュニケーションの場でもある「芋煮会」。それに欠かせない仙台みそは、宮城の食文化を支えているのだと、スウェーデンの人たちに伝えることにしたのです。
学びを終えた学生たちには、組合からはっぴが託されました。
4年生 福地明日香さん
「おいしさから人と人のつながり合いにつながるのは、すばらしいこと。
芋煮を実際にみんなで作って、味を感じてもらいながら、日本の良さ、みその良さを
伝えていきたいなと思います」
2月13日に学生たちはスウェーデンに出発。およそ1週間の研修を、無事に終えました。
帰国後の2月28日。学生たちは、みその組合の人を招いて報告会を開催。
大成功した現地でのプレゼンの様子を紹介しました。
スウェーデン南部の都市・ヘルシンボリの施設で行われたプレゼン。
事前にみその組合の人から教わったことを中心に、通訳を介して説明すると、
現地の人たちは真剣に聞き入っていたそうです。そして…。
秘策の“芋煮”です。鍋と鍋の間に、仙台みそのパックが見えます。
現地の人たちは興味津々のようです。
できた芋煮がこちら。ちなみに、仙台みそ以外の食材は現地で調達しました。
売っていなかったので、白菜はキャベツで、きのこはマッシュルームで代用したそうです。
いよいよ芋煮会の始まり。おかわりした人もいたり、
「“おいしい”ってそっちの言葉でなんて言うの?」と聞き合ったりと話が弾んで、
宮城で私たちがやっているように、素敵なコミュニケーションの場になったそうです。
幼児教育について学ぶためのスウェーデン研修。
みそを通して食育活動への理解も深まったようで、学生のみなさんは
「みその組合の協力があったことで、より深い学びが得られた」と話していました。
みその組合も、スウェーデンでの反応を輸出の計画に生かしたいということです。
学生たちの学びに社会が積極的に関わる大切さを感じたとともに、これをきっかけに、宮城の自慢の逸品が世界に広く知られるようになれば、と思いました。
【取材:岩間 瞳キャスター】