第16弾

パラカヌー × 君と

黒部舞奈 役・渡邉美穂さんインタビュー

“できることを精いっぱいやる” すばらしさを感じてもらいたい

2時間みっちりのアフレコ収録お疲れさまでした。

渡邉:ありがとうございました。難しかったですけれど、すごく楽しかったです。もともとアニメ見るのはすごく大好きなので、ふだん自分が見ているアニメの中でそうやって輝いている、命を吹き込んでいる声優の皆さんとご一緒させてもらえて本当に楽しかったです!

声優は初めてですか?

渡邉:ほぼ初めてですね。一応経験が全くないわけではないですけど、本格的にるのはほぼ初めてでした。

今回の舞奈という役は、どういうイメージで演じられましたか?

渡邉:最初、キャラの設定を見たときに「すごく天真らんまんな子」というところが印象的だったので、とりあえずセリフを言うときは全部口角を上げて、目を見開いてセリフを言おうと意識していました。

じゃ、ブースでは目を見開いてしゃべって…。

渡邉:はい、基本的にずっと笑っていました。

演技はやりやすかったですか?

渡邉:キャラクター的には結構近しいものを感じたかな。私もふだん、ワーッと明るく騒いでいるタイプなので、キャラクターは似てたかなと思うんですけど、声の出し方などが分からなかったので、自分の声より高めに出してみようとしたんですけど、結構難しかったですね。

「舞奈はひまわりみたいな笑顔」という表現がありましたけど、まさにそんな感じでしたよ。

渡邉:え! 本当ですか。うれしいです。

(おめの言葉)いただきました! ありがとうございます。(笑)

「このセリフは難しかった」などありますか?

渡邉:(声優経験の少ない)私からすると全部なんですけど、特に「はい」の一言が難しかったです。「はい」を一つ言うにしても、「はい!」って返事するのと、OKが出たのはなんだか情けない「はいぃ~」っていう言い方で。この一言がこんなにも難しくて、言い方一つで全然受け取り方が変わるのがすごく深いと思いましたね。

声だけですからよけいにですよね。

渡邉:そうなんですよ。でも、声だけでも表情を伝えないといけないじゃないですか。ふだん、生活していてそういうことがないので、初めての体験でした。

映像の演技と声優は違いましたか?

渡邉:全然違いましたね。私も語れるほどではないんですけど、映像では細かい表情とか、それこそ声のボリュームも大きい声からささやくような声まで色々ありますけど、ご一緒させていただいたみなさんは声にズドーンと芯があるんですよね。映像とはちょっと違うものがある。発声から違うのは…腹式呼吸ですかね? 雰囲気も全然違うと思いました。

今回のパラカヌーは、初めて知りましたか?

渡邉:ちゃんと気にかけたのは初めてでした。なので、いろいろ調べたり見たりしました。
すごく腕の力などが必要で、なにより体幹。ただでさえ細長いカヌーの狭い中、水の上でバランスを取らなきゃいけないのはかなり難しいことなのに、さらに上半身の力だけで動くのは難しそうって思っていました。

瀬立モニカ選手の印象は?

渡邉:アニメにも描かれていたように、すごく明るくて前向きな方だなって思いました。あと、パラカヌーを始められる前にもいろいろなスポーツもやってらっしゃって、すごく運動神経が抜群で活発な方だという第一印象でした。

作品中の「水の中は自由だよね」というセリフは実際、モニカ選手の言葉なんですよ。

渡邉:すてきな考えですね。やっぱり、ふだん陸上では車いすを使っていらっしゃって、ハンデのようなものがあると思うんですけど、自分の好きなことができるカヌーの環境では関係なく「自分もみんなと同じ立場だ」って胸を張って言えることはすごくすてきだなって思いました。

「水の中だからこそみんなと一緒に動ける」というところですね。この話は、けがをして一回カヌーが出来なくなったモニカ選手の実体験なんですけど、渡邉さんご自身、やめようと思ったときに周りに支えられたような経験はありますか?

渡邉:自分も幼少期からずっとバスケをやって、ひざをけがして手術をしたときは「もうやめよう」と思いました。普通に歩けなかったり、走ることや跳ぶことができなかったりして「もうやめようかな、意味ないし」と思ったんですけど、周りの人から「やった方がいいよ」と言われて頑張ってけがを治したので、“背中を押してくれる力”はすごく大きいと思いますね。

今回、アニメを見た方にどんなメッセージを伝えたいですか?

渡邉:モニカさんと私達とは実際、カヌーをこぐときに使う体の部位は違うかもしれないけれど、それでも自分ができることを最大限にやる、持っているものを全て武器にするところは、私も見習わなきゃと思いました。アニメをご覧になった皆さんにも「今の自分にできることを精いっぱいやる」素晴らしさを感じてもらえたらと思います。

ありがとうございます。1年半後のパリパラリンピックに向け、挑戦を続けているモニカ選手にメッセージを。

渡邉:モニカ選手のことをより深く知って今回アニメにも携わらせていただいたので、ホントに誰よりも応援したいと思います。世界で輝く姿を見られたら、私たち応援している人たちの幸せでもあるので、パリパラリンピックを全力で頑張ってほしいです。応援してます!!

ありがとうございました。