第16弾

パラカヌー × 君と

もっと知りたい!パラカヌー

パラカヌーとは?

パラスポーツのカヌーは、水上に設定された真っすぐなレーンで複数のカヌーが一斉にスタートし、200メートル先のゴールに向かって順位を競うスプリントレースです。1人乗りのシングル種目がパラリンピック競技に採用されたことから、世界的に競技人口が増加しています。


競技用カヌー

パラの競技用カヌーには、カヤックとヴァーの2種類があります。

【カヤック】
カヤックは、選手が乗り込むコクピット部分以外の甲板がすべて覆われているカヌーです。両端にブレード(水かき)が付いたパドルでこぎ進みます。スプリント専用の競技用カヤックは、直進性を高めるため、細く長い作りになっています。このため、カヌー経験者でも乗りこなすのは難しいほど安定性能や回転性能は低く、高い操縦技術が必要です。

【ヴァー】
ヴァーは、カヤックの片側にアウトリガーと呼ばれる浮き具(日本では「アマ」ともいう)を取り付けたカヌーです。アウトリガーのサイズに規定はありませんが、大きくなるほど安定性は増し、直進性は低くなります。片側にブレード(水かき)が付いたパドルを使い、ブレードと反対についたグリップとシャフト(柄)を持ってこぎ進みます。


クラス分け

カヌー競技には、脊髄損傷、下肢切断、二分脊椎など下肢に障害のある選手が参加します。選手は障害の重い順からL1・L2・L3の3つのクラスに分かれて競技をします。

【L1クラス】
胴体が動かせず、肩と腕の機能だけでこぐ選手。主に腕と肩の両方、または腕か肩を使ってカヌーを操作します。座位でバランスをとることが困難なため、高い背もたれのついたシートに身体を固定してカヌーをこぎます。

【L2クラス】
胴体と腕を使ってこぐことができる選手。下肢の機能が著しく弱いため、継続してふんばる、または腰かけてカヌーを操作することが困難な選手。体幹バランスがいいので、背もたれのないシートで、上半身の力をすべて使ってカヌーをこぎます。

【L3クラス】
腰、胴体、腕を使うことができ、力を入れてふんばる、または上半身と腰でカヌーを操作することができる選手。下肢切断の選手。体幹が効き、上半身から腰までの力をすべて使ってカヌーをこぎます。腰を使ってバランスを取ったり、方向を変えたりできるため、動きやすい小さく軽いシートを使用します。

クラスは、カヤックを表す「K」または、ヴァーを表す「V」のアルファベットを前につけて表記します。例えば、カヤックのL1クラスはKL1、ヴァーのL3クラスはVL3となります。瀬立モニカ選手はKL1クラスです。


豆知識

【カヌーってどのくらい速いの?】
最も障害の軽いKL3クラスでは200メートルを40秒ほどでゴールします。時速にすると約18km/hになります。

【シートと装具】
カヌーにおいて、こぎ手がその能力を無駄なく発揮するために重要なのがシートや装具です。選手は自分の障害に合わせて、足の位置、シートの形、シートと身体の固定具など、個々に出せる力を推進力につなげるための装具を制作します。
また、万が一カヌーが転覆した場合に備えて、素早く抜け出すためにも、沈脱(シートから出る)練習を行います。

写真提供:日本障害者カヌー協会