佐賀の金魚!NHK佐賀の竹野大輝アナウンサーがリポート
- 2023年08月08日
8月に入り、佐賀県内では夏祭りの季節真っ盛り。そうした中で出荷の最盛期を迎えるのが、金魚です。みやき町にある金魚販売店では、数ある品種のなかでも、とある品種に力を入れているそうです。竹野大輝アナウンサーのリポートでお伝えします。
親子3代で60年以上続く金魚販売店
夏の代名詞のひとつ、金魚すくい。夏祭りでも目にする、和金や出目金。それに、琉金、オランダ獅子頭、ピンポンパールといった鑑賞品種まで、色とりどりです。国内だけでも数十の品種が流通しています。
みやき町にある、金魚販売店。親子3代で60年以上続く店では、たくさんの種類の金魚を扱っています。九州各地から金魚ファンが集まります。金魚たちの水は、脊振山系から注ぐ地下水。良質で冷たい水が金魚の生育に適しています。
金魚の王様「らんちゅう」
金魚の中でも特に力を入れているのが「らんちゅう」という品種です。特徴的なのは、ぶくぶくっとした頭と丸みを帯びた体。 飼育の難しさや値段の高さなどから、金魚の王様と呼ばれています。1匹の値段は、なんと5万円するものも!中には数十万円ものらんちゅうが育つこともあるそうです。王様らしい値段です。
ほかにも店内には、さまざまな年齢、値段のらんちゅうが。となりの2つの容器には、当歳魚=ことし生まれたらんちゅうがいました。一見ほとんど変わりませんが、値段は手前が5000円、奥が1万円。同じ品種、同じ歳ですが、値段が大きく違います。何が違うかというと「ポテンシャル」が違うんです。
らんちゅうの品評会で勝つには?
らんちゅうには100年前から品評会の文化があります。見た目や泳ぎ方などを比べて、順位をつけて競います。「コンテスト用らんちゅう」は、コンテストでいい成績を残せそうな特徴があるものほど値も張ります。話を伺ったのは、店の2代目店主、江副克彦(えぞえ・かつひこ)さん。
代表的な品評会で用いられる基準が 「体型」「色合い」「泳ぎ方」です。 江副さんに実際のらんちゅうで比べてもらい、ポイントを教えていただきました!
【ポイント】
◆丸み…背中にごつごつがあってはいけない。
◆トメ…尾ひれの間に隙間があってはならない。
◆色合い…左右対称のものが良い。ひれにムラがあると、ダメ。
◆もっとも難しいのは泳ぎ方。 8の字を描くように優雅に泳ぐのがいい。
何がこの違いを分けるのか?育て方ではエサ、水、環境、気を遣うことは沢山あります。その中でもやはり、目利き・選別というところが大きいそうです。
「目利き」がポイント
目利きというのは、審査ポイントを満たす金魚を小さなうちに見抜くこと。らんちゅうは小さなころは、色もはっきりせず黒っぽいんです。らんちゅうは1匹でおよそ5,000~8,000の卵を産みます。その中から、素質のある魚を選んで育てて、最もいいものを大会に出します。
これから品評会シーズン!
これから地方大会・全国大会がシーズンに入っていきます。品評会は、全国各地で開かれますが、相撲のように、番付形式で順位がつきます。大関を3連続で獲得すると横綱に認定されます。
上位のものは、数百万円の価値がありますが、愛好家・ブリーダーたちは、趣味として名誉として高みを目指しているそうです。こうした中、佐賀の愛好会の中には全国大会で優勝する方がいるなど、近年、ますます盛り上がってきています。
店は3代目に!
江副さんの店は、親子3代にわたって、育て方や面白さを伝え、九州各地からお客さんが集まっています。最近、店のことは息子に譲りました。一生懸命、お父さんがノウハウを伝えているところです。近ごろは、インターネットで設備やエサが手に入りやすくなったため、らんちゅうの飼育のハードルも下がりはじめ、多くの人が趣味にできる状況です。一度、見に来てもらって、その魅力を伝えたいと江副さん親子は考えています。江副さんたち親子も参加するらんちゅうの品評会は、9月に新鳥栖駅で開かれ、誰でも観覧することができるということです。