大人気テーマ「足や手の筋肉のつり」第2弾! 対処法と予防法

24/01/31まで

NHKジャーナル

放送日:2024/01/24

#医療・健康#カラダのハナシ

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ジャーナル医療健康。今回のテーマは、手や足の「筋肉の“つり”」です。冬の睡眠時には、ふくらはぎなどの筋肉がつりやすくなるので、悩んでいる人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、筋肉がつった場合の対処法や予防法について専門家に伺います。(聞き手:山崎淑行ニュースデスク、打越裕樹キャスター、結野亜希キャスター)

【出演者】
電話ゲスト:出沢明さん(日本整形外科学会専門医・整形外科クリニックの理事長)

読むらじる。人気記事の第二弾!

――実は出沢さん、3年前にもこの「NHKジャーナル」のコーナーに出ていただきました。その時の放送内容を文字にした記事として掲載しているサイト「読むらじる。」があるんですが、常に上位にランキングされていてですね、多くの方が出沢さんの解説を心待ちにしているのではないかと思います。

出沢:
どうもありがとうございます。

第一弾の記事「ふくらはぎなどの“筋肉のつり” その原因と対処法」はコチラ

筋肉が“つる”とは何か

――そもそも「筋肉がつる」とはどういう状態なんでしょうか。教えていただけますか。

出沢:
「つる」というのは、筋肉にある「縮みすぎをコントロールするセンサー」の誤作動によって起きるんですね。筋肉が強く縮んでしまって硬直して動かなくなってしまった状態を指します。
センサーの誤作動の原因は、多くはミネラルバランスの乱れにあると言われていまして。そのほかには、運動による筋肉疲労、あるいは、加齢が最も多いんですけれども運動不足による筋肉の萎縮・減少とあります。水分不足による脱水、あるいは、冷えからくる血行不良なども影響していると言われています。

冬につりやすい理由

――冬に筋肉がつりやすいというのは、やはり、これは「冷え」の影響が大きいのでしょうか?

出沢:
そうですね。冷えが大きいと思うんですけれども。さらに、冬は乾燥しますから。その割には水分補給を怠りがちになるので、脱水傾向になるということも影響していると思います。

また、冬は人によって布団に毛布を多く重ね着したりしますので、その重みで、仰向けに寝た状態のときに、つまさきが上に向かずに、つまさきと足の甲とが真っすぐ伸びたようになりがちですよね。つまさきの方が先の方に向いてしまっちゃっているって感じですかね。これを尖足位(せんそくい)と言いますが、この状態だと、ふくらはぎの筋肉が緊張が続くことになり、少しのキッカケでつりやすくなってしまうんです。

ふくらはぎがつった時の対処法

――今の時期に多いということですが、寝ているあいだ、もしくは寝起きにふくらはぎがつってしまったとき、どうしたら良いでしょうか。

出沢:
「寝たままでできる ふくらはぎ伸ばし」をオススメしております。

出沢:
急激に行いますと筋肉を傷める可能性があるので気をつけてください。

ふくらはぎ表層には「腓腹筋」という筋肉がありますが、伸ばされているのが分かりますか? こうしていると過剰に収縮した筋肉がほぐれて、次第に痛みが治まってきます。

――思うように動かせないという人もいると思うんですが、どうしたらいいでしょうか?

出沢:
ベッドの柵などに足を押し付けるようにすることによって、寝ている状態でもできます。あるいは、足を壁につけて押すと効果的にふくらはぎを伸ばすことができます。

それからもう1つポイントがありまして。ふくらはぎの腓腹筋には内側と外側があるのですが、つまさきを引き上げるときに足の小指の側に意識して引き上げると内側の筋肉が、反対に、親指の方を意識するとふくらはぎの外側が伸ばせます。両方やってみて、痛みが治まる伸ばし方を探してみてください。

すねがつる場合も多い

出沢:
それから、1つ知っておいていただきたいのが、睡眠中に足がつって重症なときは非常に痛みがあるために、どの筋肉がつっているのか分からないという人が非常に多いんですね。「ふくらはぎがつった!」と思ったら、じつは違う場所がつっていることがあります。

すねがつった場合ふくらはぎを伸ばしてしまうと逆効果になります。ですので、ゆーっくりふくらはぎを伸ばしていきます。で、「これは違うな、すねかも」と思ったら、すねの筋肉をゆっくり伸ばしてみてください。

(すねの筋肉の伸ばし方は、上の画像内で確認を)

就寝前にやっておくと良いこと

――予防法についても伺いたいんですけれども。就寝前にやっておくと良いことはありますか?

出沢:
いちばん大事なのは、脱水状態にならないように水分補給に気を付けることですね。

足の疲れをとくに感じる日やむくみが強いときは、寝る前の10分から20分ほど、仰向けの状態で「足枕」をするのがオススメです。ふくらはぎの下にバスタオルやタオルケットなどを置いて、斜めに”面で”足のほうを高くしてあげるということですね。
ただ、この足枕で寝てしまうと筋肉が緊張してしまうので、寝る前には外すことが必要だと思います。

足首を曲げて固定するのも良い

出沢:
そして、ふくらはぎがつりやすい方限定のアドバイスですが、つまさきと足の甲とが真っすぐに伸びた「尖足位」にならないように、足首を曲げた状態で軽く包帯で固定しておくことも一つの方法です。捻挫をしたときに、足首を曲げた状態で固定されたことがあるかと思いますが、あの感じで、ゆるく軽く固定するということです。

市販のサポーターなどのグッズを使う手もありますけれども、サイズが小さいと血行が悪くなるので、適切なサイズを選んでほしいと思います。

近年増加「手のつり」対策

――ここまで足のつりについて伺ってきましたが、筋肉がつるのは足だけに限らないそうですね。

出沢:
そうですね。お尻とか、首、肩、それから胸の筋肉などがつります。最近とくにスマートフォンが普及しまして、長時間使う若者でも、つりが起きる場合があります。手が固まってしまって動きにくいっていうような場合、「手のひら反らし伸ばし」というのをオススメしています。

――5本の指をぜんぶ反らすんじゃなくて、まず小指と薬指。そのあと親指なんですね。
この「手のひら反らし伸ばし」はイタ気持ちいい感じがしますね。

出沢:
そうですよね。普段から、ストレッチ運動として行うのもオススメです。

――予防にもなりますか?

出沢:
そうですね。非常に有効だと思います。

筋肉の“つり”を予防する食事

――筋肉がつるのを防ぐために、普段の食事はどんなことに気を付けると良いですか?

出沢:
バランスよくミネラルをとることが重要です。マグネシウムとカルシウムが不足しがちな傾向があるので。とくにマグネシウムですね。マグネシウムは伝統的な和食の食材に非常に豊富で、スルメや煮干しなどの魚介類、納豆や豆腐などの大豆食品、玄米などの雑穀類、わかめなどの海藻類などがオススメです。スルメは、筋肉のけいれんを防ぐタウリンも含まれていますから、おやつなどで積極的にとり入れると良いと思います。

マグネシウムやカルシウムは体内に吸収されにくい形をしています。それを吸収しやすい形にしてくれるお酢やかんきつ類などのクエン酸と一緒に食べられると良いと思います。

病気が隠れている場合もある

――教えていただいたことをやっても筋肉がつってしまうという方が仮にいたとしたら、これは何かの病気が隠れていたりすることもあるのでしょうか?

出沢:
週に1回以上あるいは毎日つるような方も私の外来に見られますけれども。そういうときは、脊椎の疾患ですね、椎間板ヘルニアや狭窄症などの神経が悪くなっている場合とか、糖尿病、動脈硬化、心筋梗塞などの内科系の病気が隠れている場合もあります。
ですから、頻繁に筋肉がつる方は、かかりつけの医師によく相談されることが必要かと思いますね。


<番組に寄せられた質問にお答えいただきました>

広島県40代男性
僕は両足の太ももがよくつることがありすが、太ももがつった場合にはどのような対処や運動をしたら良いのでしょうか

出沢:
一番よくつるのが、ハムストリングスという内側のところ。股関節とひざを曲げる筋肉なんですが。そこがつることが多いんですけれども。そのときは、ひざを真っすぐ伸ばすような感じでゆっくりと息を吐きながら内側の方の太ももとひざの関節を伸ばすような姿勢にするストレッチの方法が一番効果的だと思います。

――ひざを伸ばすということですね。

出沢:
はい。

SNS
こむら返りは起きなくなったけど、よく太ももの裏がつって猛烈に痛くて困ってます。カイロを貼ったら効果あるのでしょうか?

出沢:
そうですね。冷やすことは特に冬はよくないものですから、できるだけ温めていただけるように心がけていただければと思いますので。効果的だと思います、温めること。カイロを使うことは非常に効果的な方法だと思いますね。

――先生、これは太ももだけじゃなくて、つった場所が手でも足でも温めるというのは効果があると言うことですよね。

出沢:
はい。効果がありますし、予防にもなると思います。

SNS
ビタミンB12の摂取も良いですか?

出沢:
ビタミンB12というのは末梢神経障害に非常に効く薬なんですね。ですので、非常に長く患っていらっしゃるこむら返りの方などには効果的で、出す場合もあります。

――病院に行けば出してもらえるということでしょうか。

出沢:
そうですね。出していただけると思います。


【放送】
2024/01/24 「NHKジャーナル」

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