ふくらはぎなどに強い痛みが走る“筋肉のつり”。運動しているときだけでなく、寝ているときに急に足がつって飛び起きる経験がある方も多いのではないでしょうか。ふくらはぎがつる“こむら返り”は、寒い冬、寝ているときに特に起こりやすいそうです。冬にこそ気をつけたい“筋肉のつり”、その原因と対処法を、日本整形外科学会専門医の出沢明(でざわ あきら)さんに伺います。


【出演者】
出沢さん:出沢明さん(日本整形外科学会専門医)
森田デスク:森田智之ニュースデスク
武田キャスター:武田涼介キャスター
菅野キャスター:菅野真美恵キャスター


筋肉が強く縮んでいる状態

森田デスク: 運動しているときだけでなく、寝ているときにもふいに起こる“こむら返り”や“筋肉のつり”とは、体の中でどのようなことが起こっているのでしょうか。
出沢さん: 筋肉がつるという現象は、筋肉にある、伸びたり縮んだりする神経からの命令を受け取るセンサーが誤作動を起こしてしまい、筋肉が強く縮んで動かせなくなってしまう状態です。ふくらはぎがつってしまうのを“こむら返り”と言いますが、これは、ふくらはぎのことを「こむら」と呼んでいた名残です。特に負担がかかりやすい筋肉なのでふくらはぎがつってしまうことが多いのですが、すねとかお尻とか、ふくらはぎ以外の筋肉がつる方も珍しくありません。

原因は冷えと水分不足

武田キャスター: 寝ているときにも起こる筋肉のつりは、冬場に増えてくるということですが、筋肉のセンサーの誤作動の原因はどんなものなのでしょうか。
出沢さん: いろいろな原因が考えられますが、冬場の寝ているときに足がつる原因は、大きく分けて2つあります。1つは、冷えです。足元が冷えると血流が悪くなり、センサーがうまく働かなくなってしまいます。もう1つは、水分不足です。
武田キャスター: 冬場に水分不足が起こるのですか。
出沢さん: 水分不足というと夏場や運動しているときのイメージですが、冬場の寝ているときにも、乾燥してコップ1杯分の水分が呼吸などで発散しています。寒いとのどが渇きにくいので、気づかないうちに水分不足になりがちなんです。ですから寝る前にコップ1杯の水を飲むのもおすすめです。
また最近は新型コロナウイルスの影響で、ステイホームということで運動不足の方も増えております。筋力低下も筋肉がつる原因になりますので、適度な運動を心がけていただければと思います。

ゆっくり優しく伸ばしてあげる

武田キャスター: 寝ているときに急に足がつってしまうと本当に痛いんですよね。布団の上でもん絶してしまいますけど、早く痛みをやわらげる方法はあるのでしょうか。
出沢さん: 寝ているときに急に足がつった場合、非常に激痛で焦ると思いますが、ふくらはぎがつったのか、すねの筋肉がつっているのか、落ち着いて判断しましょう。筋肉がつるのは筋肉が強く縮んでしまった状態ですので、それをゆっくり、優しく、伸ばしてあげることが大事です。

ふくらはぎがつった場合の対処法

立って行っていますが寝ながらでも大丈夫。(写真提供:出沢明さん 以下同)

出沢さん:
つま先を上に向けて、かかとの角度が90度になるようにしながら、ひざの裏を床につけるように、ゆっくりと伸ばしていきます。手が届くなら、つま先を手でつかんで体に引き寄せるように、あるいは近くに壁があれば、足の裏で壁を押すようにしてひざの裏を伸ばしていきます。これを、痛みがおさまってくるまで、ゆっくりと続けてください。

すねの筋肉がつった場合の対処法

立って行っていますが寝ながらでも大丈夫。

出沢さん:
バレリーナのつま先立ちのようなイメージで、すねの筋肉をゆっくりと伸ばしていきます。

ふくらはぎ、すねの筋肉、どちらがつった場合でも、痛くて難しいという場合には、つってしまった筋肉を優しくもみほぐしましょう。

“波止場ポーズ”でストレッチ

足を伸ばして石原裕次郎さんになりきる!?

菅野キャスター:
予防する方法を、教えていただけますか。

出沢さん:
まず第一は、血流をよくするためにお風呂上がりや寝る前にストレッチをすることをおすすめしています。
階段やイスなど30~50センチほどのものに、無理のない範囲で片足をのせます。そして、のせていないほうの足のふくらはぎとひざ裏の筋肉を、30秒間ほどしっかりグーッと伸ばします。伸ばしている足のかかとは、床にきちんとつけてください。石原裕次郎さんが、波止場で船のロープをひっかけるくいに片足をのせて決めるポーズのようなイメージですね。

菅野キャスター: ポイントは、のせていないほうの、伸ばしている足のほうということですか。
出沢さん: そうです。のせていないほうの足を伸ばしてあげるということです。
菅野キャスター: ほかにはどんなことが大切ですか。
出沢さん: 体を冷やさないようにすることも大切です。眠るときも寝室に暖房をつけて温かくしたり、湯たんぽやレッグウォーマーを使ったりするとよいでしょう。ただしレッグウォーマーは、血流を悪くしないように、締めつけないように、緩いものを使ってください。
それからミネラル不足を解消するために、マグネシウムを意識して食べてほしいと思います。マグネシウムを多く含む食品は、スルメやワカメなどの海産物、アーモンドや落花生などのナッツ類です。献立やおつまみに取り入れてみてください。

頻繁につる場合はかかりつけ医に

森田デスク: 頻繁に筋肉がつるという場合、病気の疑いがあるケースもあるのでしょうか。
出沢さん: たまに筋肉がつるという場合はあまり心配しなくても大丈夫ですが、週に1回以上つるという方は、病気が隠れている可能性があります。すねの筋肉がつりやすい方は、腰部椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症など、腰や背中の神経が悪くなっているケースが多いようです。また首や大胸筋など上半身を含めて全身の筋肉がつりやすい方は、糖尿病や動脈硬化、心筋梗塞など、整形外科領域以外の病気が隠れている場合もありますので注意してください。

頻繁に筋肉がつる方は、「ちょっとつりやすいだけ」などと思わずに、早めにかかりつけの医師に相談してください。かかりつけの医師がいらっしゃらない場合は、まずは整形外科を受診していただきたいと思います。