高校駅伝男子

2022年12月20日 (火)

全国高校駅伝 取材記 西脇工(兵庫)~チーム力で狙う20年ぶりの優勝~

 勇気ある1区の飛び出し

去年の男子のレース。1区でスタート直後に飛び出した選手を覚えていますか?
西脇工業の当時の2年生、長嶋幸宝(そなた)選手です。
長嶋選手は、小雪が舞う中、競技場の中から集団を抜け出して、前半は1人でレースを引っ張りました。
終盤、後続に吸収されて順位を落としましたが、高速レースのきっかけを作った勇気ある走りは鮮烈な印象を残しました。

hsmen_relay221219_a.jpg去年のレース

レース直後、足立幸永監督「来年はこの経験を活かそう。」と長嶋選手に声をかけると、「いや、来年も飛び出します。来年は、そのまま逃げ切ります。そういうトレーニングしていきます。」と答えたそうです。
長嶋選手は、去年課題として見つかった後半の粘りを克服し、再び、都大路に挑もうとしています。

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【長嶋幸宝選手】
「高校生の間はチャレンジして限界を作らないようにしたいと思っていたので、去年の走りに悔いはありません。走り込みの量を増やして後半の課題を克服してきました。1区か3区が希望です。1区なら区間賞をとって、後続に差をつけて、たすきを渡し、去年の借りを返したいと思います。日本選手の最高記録を目指します。3区ならチームの流れを変えること、留学生との勝負を視野に入れて走ります。できれば佐久長聖の吉岡選手と同じ区間で勝負したいです」

3年生16人が思いをひとつに

ことしの3年生は16人
中学時代に実績を残した選手も多く、入学したときに、学校の正門の前で、「俺たちの代で、全国大会で優勝しよう」と誓い合ったそうです。
都大路の10人の登録メンバーに入った3年生は7人、残りの9人は都大路でたすきをつなぐという夢はかないませんでした。
濵野宙良選手もその1人です。3年間、駅伝メンバーに入ることはできませんでした。

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濵野選手は、2年生のときから、選手兼主務としてチームの運営に携わっています。
チームを陰で支えながら、自らもメンバー入りを目指して練習してきました。

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ことし6月、濵野選手は神戸市の記録会で5000mを初めて14分台で走り切りました。
先日の記録会でも、さらに自己ベストを更新。
主務の仕事をしながら、こつこつと努力してきた成果が実を結びました。
濵野選手だけでなく、今年は、自己ベスト15分台だった3年生が次々と自己ベストを更新、11月には3年生全員(競歩の2人を除く)が14分台を出しました。
長嶋選手など主力が練習でもチームを引っ張り、励ましあいながら全体の底上げを図ってきました。
3年生全員が14分台を出したことで、チームの士気も高まっています。

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【足立幸永監督】
「3年生たちは本当にすごいことをやってくれました。小林祐梨子さん(北京五輪日本代表)が、須磨学園時代、3年生全員3000mを9分台で走ろうと声を掛け合い、京都の記録会でレギュラー陣も応援して、全員が9分台を出したという話を思い出しました。その年、須磨学園は全国優勝をしています。うちもチーム全員で駅伝を戦うという雰囲気が出てきていると思います」

hsmen_relay221219_5.jpeg登録メンバー以外の9人の3年生

3年生たちは、年末の都大路で、西脇工業での陸上生活の区切りを迎えますが、16人中14人が卒業後も陸上競技を続けます。
濵野選手も、卒業後は主務としてではなく、競技者として大学で陸上を続け、箱根駅伝出場を目指します。

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 20年ぶりの優勝を目指して

3年生が入学時に目標に掲げた全国大会優勝。
これまで西脇工業は全国大会で8回優勝しています。
昭和の時代には、報徳学園と兵庫の代表の座を激しく争い、兵庫を制すれば全国を制するとも言われました。
しかし、最後の優勝は平成14年、しばらく優勝から遠ざかっています。
ことしは、去年7位入賞のメンバーが4人残りました。
兵庫の予選で出した2時間3分31秒は、倉敷高校に次ぐ2番目に速いタイムです。
3年生を中心とした層の厚い戦力で20年ぶりの頂点を狙います。

(取材:男子ラジオ実況担当・三瓶宏志アナウンサー)

 

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