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2024年01月17日 (水)

全国男子駅伝 取材記 長野 ~伝統の全員合宿でチームの一体感を~

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去年、全国男子駅伝を大会新記録で優勝、2連覇を達成した長野チーム
ことしも強力なメンバーをそろえ、長野が2度目の3連覇を達成するかが注目されています。

 

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チーム長野の伝統を継承


 

その長野チームの合宿が、新年1月4日から千葉県富津市で行われました。

去年暮れの全国高校駅伝を大会新記録で優勝した佐久長聖高校の選手たちをはじめ、箱根駅伝に出場した大学生全国中学大会に出場した中学生などの有力選手も数多く参加しました。

これまで全国最多の9回の優勝を誇る長野チーム。
新年の合宿には例年、他のチームにはあまり見られない特徴があります。
それは、社会人や大学生を含めて全国男子駅伝にエントリーされた選手全員が参加することです。

全国男子駅伝に出場する各チームの合宿は、中高生が冬休みの期間となる年末年始に多く行われます。
大学生や社会人にとっては、正月の各駅伝への調整期間や大会が終わった直後のタイミングとなるため、合宿には参加せず、大会直前にチームに合流するケースがほとんどです。
しかし、長野チームには全員参加の伝統が受け継がれています。
そして、その伝統こそが強さの源だと各選手は口をそろえます。

 

 

チームを引っ張るのは大学生・社会人


 

一般(大学生・社会人)の部でエントリーされた3人の選手に聞きました。

 

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(鈴木芽吹選手)

 

駒沢大学4年生の鈴木芽吹選手
チームのキャプテンを務めました。正月の箱根駅伝では2区を走り、トップでたすきをつなぎましたが、区間順位では惜しくも2位。レース後、人目をはばからず泣き崩れる姿もありました。
そこからわずか2日後に合流した長野県チームの合宿。
初日のミーティングでは「箱根駅伝の悔しさを広島で解消します!」と話したといいます。

(鈴木芽吹選手)
「箱根駅伝が終わったら、長野県チームで頑張ろうと思っていた。高校の時から先輩方が来てくださっていたので、自分もそうしていきたいと思っていたし、個人的にも後輩にやれることはしっかりしてあげたい。長野の強さは、大会に対する本気さ、勝ちたい思いが全然違うところにあると思う。駒沢大学でも他の選手が呼ばれて出場するが、こうして合宿に参加するのは僕だけ。この合宿でチームワークを高め、長野県チームの駅伝への思いを中学生や高校生に引き継いでいる。その文化が根底にあって、長野の強さを生み出しているんじゃないかなと。高校時代から感じていたことですが、今回、一般の立場で合宿に参加して、この合宿の大切さをあらためて感じている」

 

 

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(吉岡大翔選手)

 

順天堂大学の1年生、大学三大駅伝にすべて出場した吉岡大翔選手
全国男子駅伝では、中学3年生の時に6区で区間新記録。さらに、高校3年生で出場した去年の大会では、5区で区間新記録をマーク。全国男子駅伝の2つの区間で大会記録に名を残しています。

 

(吉岡大翔選手)
「この駅伝が成長するきっかけになりました。大学の三大駅伝と同じくらい、男子駅伝で走りたい、勝ちたい気持ちが強くあります。自分もそうでしたが、長野の選手は中学生のころからずっと、このチームで全国男子駅伝を勝ちたいという思いを持ち続けています。こうして合宿を一緒にさせてもらって、一般選手が参加しているのを目の当たりにしていたので、自分もそういう立場になった時には合宿に参加するのは当たり前という感覚でした。合宿を通して、今いるこのメンバーで一緒に走りたい、優勝したい。全員がそういう気持ちでいるからこそ、チームとして強くなる要因だと思っています」

 

 

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(伊藤大志選手)

 

早稲田大学の3年生、伊藤大志選手
出場予定だった箱根駅伝は大会直前にインフルエンザに感染して欠場。「その分、男子駅伝に向けて、走る力はたくさん残っています!」と前向きです。

(伊藤大志選手)
「長野県チームは毎年優勝をねらっていくチームだし、ねらわないといけないチームなので、そこは絶対条件として、どのカテゴリーの選手も思っている。箱根駅伝を走った大学生や、高校駅伝で優勝した高校生が一緒に練習してくれる。それを大会前から経験できるのはアドバンテージだと思う。自分も中学で初めて出場した時に、合宿での高校生の緊張感ある空気や、一般の選手のプロに近いような雰囲気を合宿から感じられて、それが大会でここぞという時に力を発揮できることにつながったのかなと。今回あらためてその空気に触れて懐かしい気持ちもあるし、もう一度帰ってきて、背筋が伸びる感じもする。合宿では中高生たちとコミュニケーションを取れるように、お風呂で積極的に話したり、部屋に来いよと言って一緒に話をしてあげたりということも多いですね」

 

 

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(高見澤勝監督)

 

ことしもチームを率いる高見澤勝監督です。
毎年、新たな選手が合宿に参加する中で、チーム長野の一体感を育むためのメッセージを伝えています。

 

(高見澤勝監督)
「ミーティングで毎年話をするのは、“長野県チームは常に優勝を目指すチームだよ”と。そういうチームにいるのは幸せなことだよ”と子どもたちに話します。“勝つことが宿命ではなくて、勝てる喜びを味わえるのが長野県チームだよ”と。そこで意欲がわいたり頑張ろうという気になれたりするんじゃないかなと思います。特に中学生世代は、全国男子駅伝に出場しない選手も招いて、この合宿に参加してもらいます。そこで、チーム長野としての一体感、大事にしている心構えなどを体感してもらいます。その中学時代に培ったものを高校や大学、実業団になっても継承してくれている。そして、メンバー入りした時には、こうした年明けの合宿に自分の意志で参加しますと言って来てくれる。それがチームの強さでもあり、そういう類の強さは長野チームにしかないのではないかなと言えますね。やっぱり駅伝は一人一人頑張るのはもちろん大事ですが、チームの一体感があれば、次の選手のために頑張ろう、前の選手が失敗しても自分が取り返そうと、駅伝独特の思いが生まれる面白みがありますよね」

 

 

高校生もトップクラス めざすは10回目の頂点


 

長野が今大会で優勝すれば節目の10回目、そして、2度目の3連覇達成です。
さらに、3大会連続での大会新記録での優勝という偉業も期待されています。

 

 

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(永原颯磨選手)

 

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(山口竣平選手)

 

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(濵口大和選手)

 

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(篠和真選手)

 

去年12月の全国高校駅伝大会記録を更新するタイムで優勝した佐久長聖高校の選手たちも4人がエントリー。
いずれも5000mのベストタイムは13分台。チームに1人いれば有力とされるタイムですが、4人全員が高校生トップクラスの充実した布陣です。

(高見澤監督)
「去年よりもまた一回り強くなった。いいチームに仕上がったと思います。中学生のレベルも去年より上がってきて、高校生も去年走った選手を含めて力をつけていて、一般も実績のある選手がそろった。過去最強のチームになる可能性も秘めていると思います。去年も大会記録を更新することができました。レースの展開しだいですが、ことしも更新できるチャンスのあるチームだと思います。ただ、やはりタイムをねらうというよりは、長野県チームとしてまずは勝ちにこだわりたいですね」

 

(取材:広島局・高木修平アナウンサー)

 

 

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