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2022年04月28日 (木)

"歩きたばこ" 大阪で多い? なんでなん?

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大阪では、路上でたばこを吸ったり、歩きたばこをしたりする人が多いように感じるという声が聞かれます。視聴者の皆さんからも大阪放送局の投稿フォームには、“歩きたばこが多いの、なんでなん?”という疑問の声が寄せられています。

調べてみると、大阪と東京では、屋外でのたばこの喫煙に関する規制に違いがあり、その違いの背景も分かりました。

こうした中、大阪市も、“歩きたばこ”を減らそうと、取り組みを強化しようとしています。

(大阪放送局 なんでなん取材班)


 

路上喫煙多い?大阪の繁華街で

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路上喫煙に、歩きたばこ。大阪でしばしば見かける光景です。

大阪の繁華街、天満では、雨もようにもかかわらず、1時間ほどで8人が歩きたばこで通過していきました。

通りかかった男性は「駅から降りたらすぐにたばこ吸って、この道を、酒を飲む店に行くまで吸っている人が多いね」と話しました。

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路上を見ると、たくさんの吸い殻が落ちていました。30本以上ありました。

 


大阪市 一部エリアで規制も ほかの地域は「努力義務」

路上でたばこを吸うことへの規制は、大阪市の場合、条例があり、人通りが多い場所で路上喫煙をすると、1000円の過料が科されます。

15年前からこれまでに8万7000件、処分されています。

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ただ、規制エリアは梅田周辺や御堂筋など、中心部の一部エリアに限定されています。

ほかの地域では、路上でたばこを吸わないのはあくまで「努力義務」。

取材をした天満周辺も含め、大阪市では、多くの地域で路上喫煙は「禁止」にはなっていないのです。

 


路上喫煙の規制 東京と大阪の違い

路上喫煙について、罰則のある規制を条例で導入していた市町村は、大阪府内では全体の3割。一方、東京都内では4割でした。

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大きな差はありませんでしたが、その内容を見ると、東京では、区全域で路上喫煙を禁止して過料を科しているところもあります。こうした自治体では路上でたばこを吸ったら、過料を徴収されます。
大阪府内では、全域を対象とするような厳しい自治体はありません。

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この違い、理由の1つは「東京オリンピック・パラリンピック」です。

東京では、国際的な大イベントを前に、世界からおくれをとっているとされる喫煙対策を進めようという機運が高まったのです。
大阪でも3年後に「大阪・関西万博」が開かれます。

万博を前に大阪市も、市内全域で路上喫煙を禁止とする方向で検討することになりました。

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「百害あって一利なし」会社ぐるみで“卒煙”後押し

たばこを吸う人をもっと減らせないか、大阪でも企業の間ではすでに先進的な取り組みが広がっています。

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大阪に本社のある製薬会社では、「たばこから卒業したい」という社員を会社ぐるみで後押ししてきました。

その名も「卒煙ダービー」。
1人で頑張るのではなく、グループで、たばこからの卒業を競うレースです。

10人が参加したレースには、喫煙歴20年前後の“強豪”がそろいました。

“1枠1番”の男性のキャッチコピーは「喫煙所を求めてさまよえる黒い弾丸」です。

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周りの社員もサポーターとして応援し、成功すればともに景品がもらえるため、期待を背負いながら禁煙に取り組めます。

3か月間のレースの結果、全員が“卒煙”に成功しました。

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こうした取り組みで、社員の喫煙率は18年前は28.7%でしたが、今では1%台に減りました。

新入社員の採用でも、たばこを吸わないか確認しているということです。

会社の担当者は「1人じゃないよというところ、みんなで応援するというところが大事です。たばこはやはり百害あって一利なし。禁煙の方向に皆さん持っていきたいなと思っています」と話しています。

 


“マナーが自然と向上” 喫煙所整備のプロジェクトも

マナーが自然と向上する喫煙所を整備しようというプロジェクトも、大阪で始まっています。

人々の行動を変えて社会問題の解決を図る「仕掛学」の取り組みです。

中心となっているのは、大阪大学大学院経済学研究科の松村真宏教授。

「ついついマナーがよくなる喫煙所」のアイデアを、JTと協力して、学生とともにまとめました。

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例えば、独特のマネキンを設置するアイデア。

どんなに邪魔されようとも、灰をきちんと灰皿に入れようとするその姿が、灰皿を意識させます。

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さらに、喫煙者のパーソナルスペースを確保する仕切りを設けた灰皿。

灰皿の近くで喫煙者はたばこを吸うようになり、広い範囲に煙が流れるのを防ぐことが期待されます。

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大阪市でも路上喫煙の規制を強化するのに合わせて、喫煙所の整備を検討しています。

日本や世界の未来を変えたいと開かれる、2025年の「大阪・関西万博」。
果たして、大阪のたばこ事情も、変えられるでしょうか。