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清水がおじゃまします!障害がある人とない人の"垣根を下げる"

  • 2023年12月21日

    コーナー「清水がおじゃまします!」。 
    地域密着リポーターの清水まどかが、県内のみなさんのもとに直接おじゃまして 
    地域で地道に頑張る人や魅力的な取り組みなどをお伝えします。

    放送した動画はこちら

    12月にユニークな福祉イベントが行われたのですが、テーマは「福祉をおもしろく」!
    障害がある人とない人が交流し、お互いの理解を深めたいと開かれました。
    笑顔あふれる現場に密着しました!

    交流が障害ある人とない人の“垣根を下げる”

    「FUKUSHI FES2023 おもふくたん」では、障害がある人や福祉施設などがブースを出展。
    物品を販売したり、体験コーナーで参加者と交流します。

    似顔絵を描いてくれるブースや・・・
    射的ブースも!

    イベント発起人のひとり・新潟の福祉をおもしろくの会 樋口督水さん
    「障害あるなし関係なしに、隣の人との垣根を下げるのは出会いから、ふれあうことからという 
     ことで、イベントを決定しました。知ることによって同じ『人どうし』なので、分かり合える
     ことがあるというのをここで体験してもらう場になっています」

    まず、私が訪ねたのはVRの体験ブースです。
    仮想現実の技術を使って、感覚過敏の疑似体験ができます。

    感覚過敏の人には、窓の光がまぶしく見えすぎたりすることがあるそう

    脳性まひの男性
    「脳性まひもビクっと体がなりやすいので、
     僕がわからないつらさや苦労を体験できるのはいいですよね」

    障害がある人とない人の「関わり合い」を大事にしているこのイベント。
    左足がうまく動かないという男の子も、
    車いすを使う男性と一緒にトランポリンを楽しんでいました。

    義手や義足を体験できるコーナーも!

    参加者
    「障害がある人もみんなと同じ暮らしをしているから、あまり変わらないなって」


    そんな中、自分の障害を広く知ってほしいとブースを出展した男性に出会いました。

    本田空良さん、26歳。
    誰とでもすぐに打ち解けることができるボードゲームを使うことで、
    親しくなった人に自分のことを伝えると言います。

    女の子と遊んでいた時、空良さんは自分の障害について打ち明けていました。

    本田空良さん
    「私は統合失調症という病気を持っていて、精神障害にあたります。
     そんな中でもボードゲームを通して、意外と普通だなと思ってもらえたらうれしいです」

    空良さんは、高校生のとき精神疾患を患い、現在も治療中。
    いまは就労支援の施設に通いながら、就職を目指しています。

    さらに自分の障害を知ってほしいと、この日、胸にヘルプマークをつけていた空良さん。
    ヘルプマークを見たボランティアの学生から話しかけられ、障害について伝えました。

    ボランティアの男性
    「多様性ってよく最近言いますけど、ニュースとか本とか読むよりもこの場所に来て体験して、
     きょう一緒にボードゲームをやったけれど、障害を持っている人もそれ以外の人も距離が
     すごく近くなるので、とても楽しく参加することができました」

    「自分の障害を知ってほしい」かける思いは

    自分の障害を広く知ってもらいたい。その思いはどこから来るのでしょうか。
    ご自宅におじゃまさせていただきました。

    部屋に案内していただくと、気になるものがありました。
    たくさん丸のついたカレンダーです。

    丸をつけることで自分の症状と向き合いながら、自らを勇気づける意味で7か月前から始めたと言います。

    本田空良さん
    「幻聴があって、自分に対する悪口を言われていて、どんどん自分の自尊心や自信が削られて
     いく中で、毎日丸をつけることで少しずつ自分が『こんなに頑張ってきたんだ今まで』という
     自信になる」

    専門学校でデザインを勉強していた空良さん。
    今回のイベントで使ったチラシも、自らデザインした自信作です。
    ここまでイベントにかける思いを、改めて聞いてみると…。

    本田空良さん
    「特に精神(障害)となると、怖い人だなとかよくわからないなとか、ネガティブなイメージが 
     つきまとってしまうのかなと思うんですけど、僕が表に立って人と接することで、障害を持っ 
     ている人っていうのも、普通だなっていうふうに思ってもらえるといいなと」

    地域の応援 前に進む力に

    そんな空良さんがやってきたのは、サッカースタジアムです。
    障害がある人がごみ回収や客席の清掃を行う、就労体験に参加していました。

    試合開始を待つサポーターからは、就労体験を行うメンバーに感謝と応援の声が。

    人と関わることが自信につながったという空良さん。
    地域の人のエールを胸に、前に進んでいきます。

    本田空良さん
    「自分から声をかけて前に出てごみをもらいに行ける、そんな感じになったなと思いますし、
     主体的に行動できるようになったと思います。僕は変わったんだと気づくことができました」


    イベント内で、実は私も義足の体験をさせていただきました!

    体験して感じたのは、「難しいけれども、ゆっくり歩けば前に進めるんだ」ということです。
    初めて義足を体験し、最初はおっかなびっくりでしたが、体験して知っていく中で、
    「障害があってもできることはたくさんあるんだ」と肌で感じました。
    そして、私が障害がある方と出会ったとき、どうサポートすることができるんだろうと、
    もっと学びたいという気持ちになりました。

    知らないとどう接していいかわからず、距離ができてしまいますが、
    お互いを知って「歩み寄る」ということが、ともに生きる社会につながっていくんだと思いました。

    おじゃまさせていただいたみなさん、ありがとうございました!!

    ディレクター(牧陽子)のひとりごと
    初めて空良さんにお会いした時、本当に驚いた。父の若いころにそっくり!!
    ありのままの自分を受け入れ、決してあきらめないー。空良さんの気持ちに心打たれた。
    カレンダーの「丸印」も素敵で、日々感謝することの大切さを改めて感じる事ができた。

    「いつもありがとう」「お疲れ様」。
    ビッグスワンスタジアムでの「就労体験」では、爽やかな、やりとりが心に響いた。
    この時、知的障害のある男性が、率先してバケツに水を汲み、
    エレベーターに乗る時も、急いで一番に乗って「開く」ボタンを押し、
    目的地に着いたら、また「開く」ボタンを押して待っていた。
    この男性、「FUKUSHI FES 2023」では、「似顔絵&占い」コーナーを担当。
    会場の隅で、清水が空良さんにインタビューする様子を撮影していたら・・・
    カメラを回していたにも関わらず、ツンツンと肩をたたかれ・・・振り返ると男性が!
    「あなたを書いた」と、私に似顔絵を渡してくれたのだ。
    清水の似顔絵とそっくり(笑)。温かな気持ちに包まれた。
    障害のあるなしに関わらず、ちがいは“らしさ”ではないかなと改めて思う。

    放送日は、12月15日、父の誕生日。
    「よく頑張った」と誉めてもらえた気がして、清水と共通のカレンダーに丸印をつけた。
    この一年―充実した毎日に心から感謝している。

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