新潟県が「起債許可団体」に 令和20年度に解消目指す
- 2023年08月04日
新潟県が2023年7月、借金にあたる「県債」の発行に国の許可が必要な「起債許可団体」に移行しました。新規の県債発行は国の管理下におかれることになるといいますが、実際どういうことを意味するのか?担当記者が解説します。(新潟放送局 記者 藤井凱大)
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そもそも起債許可団体とは?
そもそも起債許可団体とはですが、その名の通り、県の借金にあたる「県債」が国の許可がなければ発行できなくなる、実質的には県債発行が国の管理下に置かれるということを意味します。
起債許可団体には、自治体の収入に対する借金返済額の割合「実質公債費比率」が18%を超えると移行します。
総務省によると令和3年度の決算ベースでは、実質公債費比率が18%以上で起債許可団体となっている自治体は▽都道府県では北海道▽市区町村では北海道夕張市の2つだということです。
起債許可団体になるとどうなるの?
返済の割合が高いということは他県よりも自由に使える財源の割合が低いことを意味します。
厳しい財政状況が改めて可視化されたと言えると思います。また起債許可団体になると「公債費負担適正化計画」を作成しなければなりません。
具体的には▼いつまでに18%未満に戻すのかという目標や▼投資的事業に上限を設けるなど県債発行のルールを定めた計画で、実は県はこの事態を想定し、すでに令和2年に策定していて県の公共事業などに上限が設けられています。
計画では15年後の令和20年度に18%未満に引き下げることを目標にしています。実は6月の県議会ではこの時期を早めるべきだという声もありましたが、県は県民生活に影響が出かねないとして目標は変えない方針です。それまでは厳しい対応が続くことになります。
新潟県 どうして起債許可団体に?
今後収入が増えるという見通しのもとで借金を重ねたためです。
県は平成18年から29年にかけての財政運営計画について「高い経済成長率を想定し収入の伸びを大きく見込んでいて将来の見通しが十分でなかった」としています。
▽特に新潟県中越地震や新潟県中越沖地震からの復興などに国が返済を肩代わりしない「資金手当債」を最大限発行したことが重くのしかかっている状況です。
新潟県の対応は?
花角知事は就任後、借金返済などにあてる貯金「基金」が底をつくおそれがあることが分かったとして、令和元年から今年度まで▼出資法人の見直しや▼知事をはじめとする職員の給与削減などの緊急的な対策を行ってきました。
その結果、県債返済にあてる450億円、大規模な災害にも対応できる230億円の基金の確保にめどがたったとしています。
しかし、返済のピークを迎えるのは令和13年度です。
人口減少や医師不足といった県内の課題解決と行財政改革の推進をどう両立させるのか、難しいかじ取りが続くことになります。