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教えて加藤さん 新潟県は全国的にみても雷が多いの?

  • 2022年12月15日

気象予報士の加藤直樹です。NHK新潟放送局の夕方のニュース「新潟ニュース610」で平日毎日、気象情報をお伝えしています。みなさんからお寄せいただいた気象・天気に関する疑問や質問に懇切丁寧にお答えします。

「最近頻繁に雷注意報が出されていますが新潟県は全国的にみても雷が多いのでしょうか?」という質問をいただきました。結論から言うと、新潟県の沿岸部は全国的にみても雷の多い地域です。特に晩秋~冬に雷が多くなりますが、冬の雷は世界的にみても非常に珍しい現象です。

全国で3番目の多さ

気象庁の組織として5つの管区気象台(札幌・仙台・東京・大阪・福岡)、50の地方気象台、そして沖縄気象台があります。合計56か所ある気象台では雷の観測の平年値があります。雷の年間日数を比較して多い順のランキングを作ってみました。

1番多いのは金沢市で45.1日、2番目が福井市で37.4日、そして3番目に新潟地方気象台がある新潟市で34.7日。1年のうち1か月分以上雷の日があることになります。そしてランキング上位を北陸地方と東北地方日本海側の秋田市が占めています。

特に冬に多い

新潟市のデータをもう少し詳しく見てみましょう。新潟市における月別の日数をまとめてみました。

8月は夕立が起こりやすく、春や秋よりも雷の日が多い傾向です。そして何より目をひくのは11月から2月にかけて。特に12月が最も多く6.1日も雷の日があります。

世界的にも珍しい

新潟県にお住いの方は冬に雷が多いことを珍しく感じないかもしれませんが、特に太平洋側の地域では冬には雷がほとんど起こりません。冬に雷が起こるのは世界的にみても非常に珍しい現象で、北欧のノルウェーの西沿岸、北米の五大湖から東海岸、そして日本の北陸地方を中心とした沿岸部の3つくらいしかないようです。

その理由は…日本海

そんな珍しい冬の雷が起こる理由は日本海にあります。日本海は外部の海とつながる海峡が浅く、閉鎖的な地形をしています。そこに対馬海峡を通って温暖な対馬暖流が一年を通して流れ込んできています。このため新潟県沿岸では冬でも海面水温が10~14℃くらいあります。新潟市の冬(12~2月)の平均気温の平年値が3.7℃であることを考えるとかなり高い値です。

そんな温暖な日本海にやってくるのが冬の季節風です。季節風は大陸から吹き出してくるときは乾燥し冷たい空気ですが、暖かい海面を通ることで熱と水蒸気をたくさん吸収し、次第に湿った冷たい空気に変わり雲が発達します。

雲の発達の程度は気象条件によって異なりますが、積乱雲まで発達すれば雨や雪が強まり雷を伴うようになるというわけです。このような仕組みの雷は「冬季雷(とうきらい)」とも呼ばれます。

冬季雷の場合、発達した積乱雲のエネルギー源は海面からの水蒸気なので、陸地にのると勢いを失います。そのため冬季雷は特に沿岸部で多い傾向があります。また雷が起こるときには雨や雪も強まります。冬の日本海沿岸では天気急変に十分注意が必要です。

今回のお答え

新潟は全国的にみても雷が多い
冬に雷が多いのは世界的にも珍しい

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「新潟ニュース610」で気象情報を担当している加藤直樹キャスターが、みなさんの天気の
「?」=疑問・質問にお答えします。質問はコチラから。

  • 加藤直樹

    気象予報士

    加藤直樹

    秋田放送局を経て新潟放送局1年目。休日は山登りをしながら空を眺めています。

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