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教えて加藤さん 高気圧と低気圧の分かれ目は?

  • 2022年11月02日

気象予報士の加藤直樹です。NHK新潟放送局の夕方のニュース「新潟ニュース610」で平日毎日、気象情報をお伝えしています。みなさんからお寄せいただいた気象・天気に関する疑問や質問に懇切丁寧に説明します。

高気圧と低気圧 その分かれ目は?

日々の気象情報では天気図に高気圧や低気圧が登場します。高気圧は青いマルに「高」の文字、低気圧は赤いマルに「低」の文字が書かれています。
視聴者の方から「気圧はどこからが高気圧で、どこからが低気圧になるのですか?」というご質問をいただきました。今回は、この疑問に分かりやすくお答えします。

気象情報に登場する天気図には中心気圧の数字が記されています。でも、この中心気圧の数値のみによって高気圧と低気圧に分けられているかというと、そうではないのです。標準的な海面気圧は「1気圧=1013.25ヘクトパスカル」ですが、この数値を基準に決めているわけでもありません。

じゃあ どうやって決めているの?

ズバリ結論からお伝えします! 高気圧や低気圧は「周りとの比較」によって相対的に決まります。「中心気圧がこの数字以上は高気圧、以下は低気圧」という具体的な数値の基準はないのです。あくまで周りと比べて気圧が高いことを高気圧、低いことを低気圧といいます。

高気圧を山、低気圧を谷に例えると分かりやすいと思います。下の図をご覧ください。

山の頂を高気圧、その間の谷を低気圧に例えます。お気づきですよね。右側の谷(低気圧)より、いちばん左側の山頂(高気圧)の方が低くなっています。山か谷かは、その標高で判断される訳ではなく、周りより高いか低いかの地形でそう呼ばれているのです。高気圧と低気圧もこれと同じなんです。

具体的な天気図で見てみましょう

2021年の天気図365日分に目を通して、具体例になるものを探してみました。

左は2021年1月1日の天気図です。広くみると冬型の気圧配置です。黄色いマルで囲った部分をご覧ください。大陸の高気圧の北には1030ヘクトパスカルの低気圧が解析されています。数値だけ聞くと高気圧だと思うかもしれませんが、その南にある高気圧より低いので低気圧なのです。

一方、右が2021年6月5日の天気図です。こちらも黄色いマルで囲った部分、大陸の2つの低気圧の間に1002ヘクトパスカルの高気圧が解析されています。高気圧にしては低い数値だという印象かもしれません。でも東西の低気圧より高いので高気圧です。
1月1日の低気圧(1030hPa)と6月5日の高気圧(1002hPa)。数字が逆転していますね。

今回は異なる時期の天気図の比較を紹介しましたが、ひとつの天気図上で低気圧より気圧が低い高気圧が存在することもありえます。あくまでも周りとの比較で決まるためです。

ちなみに、低気圧の中心気圧の数字が下がると(=気圧が低くなる)、低気圧が発達していることを意味します。そうした場合は天気が荒れる傾向にあるので注意が必要です。気圧の数字にも注目してみてください。

今回のお答え

高気圧と低気圧の分かれ目に数値の基準はない。
周りと比べて気圧が高いことを高気圧、低いことを低気圧という。

「教えて加藤さん」 天気の疑問・質問募集中!
どうしてこんな天気になるの? 気象情報でよく聞く「〇〇」ってどういうこと?
「新潟ニュース610」で気象情報を担当している加藤直樹キャスターが、みなさんの天気の「?」=疑問・質問にお答えします。質問はコチラから。

  • 加藤直樹

    気象予報士

    加藤直樹

    秋田放送局を経て新潟放送局1年目。休日は山登りをしながら空を眺めています。

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