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期待集まるコメの新品種「にじのきらめき」

  • 2022年11月02日

新潟県のコメ農家の間では夏の異常な暑さによるコメの品質低下や、農地の集約にともなう農作業の効率化などが課題になっています。こうしたなか上越市の研究施設で開発され注目を集める新品種について取材しました。(新潟放送局 阪本周悠)

 新品種「にじのきらめき」

2018年に開発された、コメの新品種「にじのきらめき」。

暑さに強い品種「なつほのか」と背丈が低い品種をかけ合わせて開発されました。

コシヒカリに比べて背丈がおよそ25センチ低く、台風でも倒れにくいことから収穫を効率的に行うことができるという特徴があります。

また2019年に上越市で行われた研究では、暑さの影響で白く濁ったコメの割合がコシヒカリより低いという結果も出ました。

こうした長所に注目が集まり、作付け面積は新潟県をはじめ全国で3000haまで増えています。

農研機構 中日本農業研究センター 上越研究拠点

開発したのは国の研究機関「農研機構」の上越市にある研究拠点です。

農研機構中日本農業研究センター上越研究拠点 梶亮太さん

梶亮太さん 食味もコシヒカリに近く、米の品質もいい。作りやすく使いやすいという使い勝手のいい品種です。関東や九州の方まで作ることができるのでより多くの農家さんがうちの地域でも試せるんじゃないかと、興味を持っていただいています。

実際に育てる地元の農家は

現在、地元の上越市などではおよそ150の生産者が「にじのきらめき」を栽培しています。

その1人、上越市頸城区のコメ農家 小島陽さんは、4年前から「にじのきらめき」を育てています。

小島さん 丈が短く、倒れにくいお米で粒が大きめなお米です。夏の暑さにも強く、白くなりにくい、品質のよいお米です。

小島さんは自分の田んぼで5つの品種を栽培しています。「にじのきらめき」はコシヒカリより5日ほど収穫が遅く、作業の時期を分散させることができるメリットがあるといいます。

また、この日は台風が通過した直後でしたが田んぼの稲はほとんど倒れていませんでした。

コメ農家 小島陽さん

小島さん 台風でも倒れなかったので稲刈りの作業がしやすい。他の品種より収量が多いなと感じながら稲刈りをしています。

品質に手応え 魅力的なブランドイメージを

稲刈りから1週間。収穫された「にじのきらめき」の品質検査がJAの施設で行われ、担当の職員らがコメの色や形を目視で確認しました。

検査にはJAえちご上越の幹部も立ち会いました。

JAえちご上越 岩崎健二 常務理事
白いコメとか青いコメの割合が少なくて、透き通ったコメの割合が高い。大粒という品種の特性がよく出ています。外観もきれいに仕上がっているように思いますね。いいんじゃないですか。

検査を受けた「にじのきらめき」は、次々に1等米の評価を得ていました。

JAえちご上越 岩崎健二 常務理事

品質に手応えを感じているJAですが「にじのきらめき」をさらに普及させるためには、効果的なPRと
魅力的なブランドイメージを作り上げることが欠かせないと考えています。

岩崎常務理事 全国的に米の消費、需要が減る中で、いっそう産地間競争が厳しさを増してくると思っています。「にじのきらめき」は上越生まれということで、それを強み、ストーリー性の1つと位置づけて生産・販売強化を進めながら稲作所得の確保確立につとめていきたい。

新潟県内ではことし10月、新潟大学が暑さに強いコシヒカリとして開発した新品種について、従来より品質が高いことが確認されたという発表がありました。

JAえちご上越では、来年度から「にじのきらめき」を本格的に生産し作付け面積をことしの2倍以上に増やす計画です。地元のコメ農家への栽培指導に力を入れるなど、さらに普及させたいと意気込んでいます。

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