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ジブリパーク全面開園!宮崎吾朗監督インタビュー

  • 2024年03月08日

愛知県長久手市の「愛・地球博記念公園」につくられた「ジブリパーク」。3月16日に、いよいよ5つ目のエリア「魔女の谷」がオープンし、全面開園を迎えます!制作を指揮した宮崎吾朗監督が、パークへの思いを語ってくれました。
(NHK名古屋放送局 「まるっと!」キャスター 金子紗也)

全面開園も「出発点」

金子:まずは「魔女の谷」のオープン、おめでとうございます。出来栄えはいかがですか?

宮崎吾朗監督
「そうですね…『ひとまずできた』という感じですね。
愛・地球博記念公園の緑とか山とか森があって、その中に“小さな村”みたいな感じで、いろんな建物を建てたというイメージなんです。けど、それで出来上がりかというとそうじゃなくて、植えた木がもっと大きくなって、なじんでくると、もっとよくなると思うんですよ。だからまだ『ひとまずできた』という感じですかね。」

金子:まだ終わりではないんですね。

宮崎監督
「やっぱり人が使っていってこそよくなるって思うんです。人の息吹とか手あかがついてよくなっていくっていう。これからスタッフとかお客さんとかが使ってくれることで、よくなっていくと思っているので、まだ出発点ですね。

大人も没入できる“リアルな再現”

金子:「魔女の谷」は、“こんな店があったらいいな”とか“作品のこういう場所が本当にあったらいいな”というのが現実になった場所だなと感じました。その中でも、ぜひここを見てほしい!という「推しポイント」はありますか?

宮崎監督
「推しですか?推しは…基本的に『この作品のこの建物は、こういう材料でこういう工法でつくるだろう』っていうことをできるだけ踏襲しているということ。あとは、建物としての機能はちゃんと備えるということ。例えば、風呂場があったらちゃんと入れるとか、キッチンがあったらちゃんと使えるとか、そういうことですかね。」

金子:ハウルの城の2階や「魔女の家」にも、お風呂やキッチンがありましたね。

宮崎監督
「お風呂、入れますよ。」

金子:えっ?!…監督は入られました?

宮崎監督
「…内緒です(笑)。

金子:(笑)映画では、お風呂に入ってハウルの髪の色が変わってしまうシーンがありましたよね。監督だったら何色になると思いますか?

宮崎監督
「そうですね…色より前に、増やしてほしいですよね(笑)。」

金子:そんなことないです!(笑)でも、そういうことも考えながら作られたんですか?

宮崎監督
「そうですね…大人の“ごっこ遊び”じゃないですけど、いい大人でもそこに入っちゃうと、映画の中に自分が入って主人公とか登場人物の気分を味わえる、そういう空間ができたら幸せだなと思っていたので。

ファン心をくすぐる秘密は、“スタッフの愛”

金子:今回、ジブリパークで初めて、アトラクションもできましたね。メリーゴーランドの乗り物の中で、監督のお気に入りはありますか?

宮崎監督
「僕ですか?僕は…こうやって動く(『ハウルの動く城』に登場する)ゴム人間ですかね。僕が『こうやったら動くんじゃない?』ってアイデア出したらうまくいったんで。まさにああいう動きですもんね、映画の中でも。」

ゴム人間

金子:私も乗りました!「え?前も後ろも動く!」って面白かったです。あれは監督のアイデアなんですね。スタッフのみなさんのアイデアで、監督が「お!これは!」と思ったことはありますか?

宮崎監督
「うーん、いろいろあるんですよね(笑)。はっとさせられるというか、『よくやるなぁ』みたいな。たとえばハウルの城を担当していた人とかね、僕が『こうなったらいいな』って言って、次に現場に行ったときには『ちょっとやってみました』って、それができているんですよ。仕事が早いし、それを面白がってくれるんですよね。ハウルは着道楽だから、映画に出てくる以外にもいっぱい衣装があるに違いないとか(笑)。僕以上に、みんながこだわってやってくれたって感じですね。

最後のエリアの制作を終え、いま思うこと

金子:5年以上の構想、さらに最初のエリアのオープンから1年4か月たって、ようやく全面開園です。これまでを振り返ってみて、改めてどんなことを思いますか?

宮崎監督
「長かったようであっという間のようで…っていう感じですかね。本当にたくさんの人のおかげでできている。『こういうのを作りたい』っていう僕らの思いを受け入れてくださって、協力してくれて、遊びに来てくれる方がいる。本当にみなさんのおかげだなと思っています。

宮崎監督
「だけど、最初のエリアのオープンからずっと、今でも不安ですよね。この『魔女の谷』にしても、『長く楽しんでもらえるのかしら』とか『ジブリパークが10年もしたら廃墟になりましたとかなったら嫌だな』と思いますよ。だから、そうならないために、できることはやっていかなきゃなとは思います。」

金子:今から考えていることは、あるんでしょうか?

宮崎監督
「また新しいエリアを付け加えていくっていうのは難しいかもしれないんですけど、アイデアひとつでいろんなことがきるんじゃないかなとは思っています。スタッフも『次のおもしろいことをやらせてくださいよ』って言っているので、また何かやれたらなと思っています。」

ジブリパークと愛知のこれから

宮崎監督
ジブリパークは、東海地方、愛知でよかったなと思っているんですよ。今みたいなものを東京近辺でつくって合うかっていうと…なんか合わないんじゃないかなって。じゃあ大阪かというと、これまた合わないだろうなって。プロデューサーの鈴木敏夫の地元だからってわけじゃないですけど、愛知っていう場所がジブリパークをつくるのにちょうどいい場所だったんじゃないかと、今さらながら思いますね。

金子:そう言っていただけて、愛知県民としても、いちジブリファンとしても嬉しいです。これから、ジブリパークや愛知のファンが増えるといいですね。

宮崎監督
「お客さんに知られていくには時間がかかると思うんですけど、ジブリパークと愛知が互いに影響し合っていくことで変わっていくと思います。ジブリパークから、周辺の街並みが変わっていくかもしれない。そういうことがあると、僕らとしてはいい仕事したなと思いますね。」


【取材後記】
長期間、制作を指揮してきた宮崎吾朗監督。これまで何度かインタビューさせていただきましたが、いちばん笑顔が多かったように思います。
多くの人が魅了されるのは、宮崎監督はじめスタッフのみなさんの、ジブリ作品への大きな愛があってこそ。「スタッフやお客さんとともによくなっていく」という言葉は、ジブリ映画と似ているなと感じました。訪れるたびに想像を超えるわくわくがある「ジブリパーク」。これからこの場所が、そして愛知がどのように変わっていくのか、楽しみです!

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