バスケ高校選手権「ウインターカップ」 桜花一丸で日本一へ!
- 2023年12月18日
バスケットボールの全国高校選手権「ウインターカップ」が12月23日に開幕、おととしまで3連覇を果たした愛知の桜花学園高校バスケットボール部はことしも日本一を目指して日々汗を流している。
ことしはチームのコーチ陣もパワーアップ。日本女子バスケットボール界に多くの名選手を輩出し続ける桜花学園ならではの現役、卒業生チーム一丸ぶりを本記事にてご紹介します。
「あれ、Wリーガーがいる?」
ことしのチームを取材に訪れた夏の終わり。まずおどろいたのは、国内女子バスケットボールリーグで最高峰のWリーグで活躍する選手が桜花学園高校の体育館でコーチをしていることだった。聞けば、今春から現役を引退し、桜花学園のアシスタントコーチに就任したという。まだまだ現役でチームの主力として活躍出来る2人がである。
バスケットボールファンならおなじみだが、愛知の桜花学園と言えば、全国でその名を知らない人はいないほどの名門高だ。夏の高校総体や、国民体育大会、そして冬の選手権「ウインターカップ」(以前は選抜大会だった)など、全国大会での優勝は60回を超える。
桜花学園で輝かしい成績を残した選手たちはその後多くが実業団チームへ(名門大学を経るケースも)。東京オリンピック2020で銀メダルを獲得したメンバーも約半数が桜花学園の卒業生であることは有名な話。
そんな栄光ある桜花学園高校だが、去年、ことしと高校総体や選手権で苦戦を強いられている。そこで数々の名選手を育ててきた名将・井上眞一監督からのオファーを受け、佐藤コーチと白コーチがチームに加わったのだそうだ。
井上監督
「指導者にも向いている教え子が戻ってきてくれないかということは常日頃考えていた。今春は佐藤、白という2人が戻ってきてくれて、2人とも明るい性格なこともあり、チームの雰囲気が非常に良くなっていると感じる。佐藤はアウトサイド(リングから遠い位置)、白はインサイド(リングに近い位置)と役割を分けて選手とコミュニケーション取ってくれていいて、選手もやりやすそうに見える。バスケットはやっぱりコミュニケーションのスポーツなのでね」
師である井上監督の監督のオファーで母校に戻ってきた2人のコーチはいまや、チームには欠かせない存在。その2人に2年ぶりの日本一に向けてポイントを聞いた。
佐藤コーチ
「桜花学園の持ち味であるディフェンス(守備)の練習は今もしっかりと行っています。その上で今の課題はしっかり守ったあとのオフェンス(攻撃)ですね。このチームはとても真面目で優しい選手が多く、それが攻撃では消極性につながっているかもしれないです。味方へのパスをまず考えてしまってシュートを打つべきところで打てていない。やはりバスケットはシュートを打たないと点にならないので、フォワード陣(シュート力のある選手たち)とは『リングと磁石のようにひっつこう』という合い言葉をきめました(笑)。ボールを持ったらリングに近づいていくし、シュートを打てばリングに引き寄せられる、そういうイメージを共有しています」
優しい選手たちをアグレッシブ(強気)に指導するのではなく、イメージしやすい例えで積極性を引き出している話を聞き、感服した。(この佐藤選手の指導者としての才能も見極めた井上監督もやはり恐るべし・・・)
だが佐藤コーチが語る消極性とは別に、もう1つ桜花学園には喫緊の課題がある。それは近年ライバル校で増えている身長が高く、体幹の強い留学生プレーヤーの存在である。実際に去年から主要大会において留学生プレーヤー要する京都精華高校(昨年度のウインターカップ優勝校)に惜敗し優勝を逃すというケースが増えてきている。
そこで、頼りになるのがもう1人の元Wリーガー、白コーチである。
白コーチ
「桜花学園の伝統的な強みはディフェンス(守備)、ファンダメンタル(基礎)、それに加えてセンタープレーヤー(多くがチーム最高身長でリング付近での活躍が特に期待されるポジションの選手)の強さだと思います。そこでの強みを消さないために私が留学生役で練習もしています。留学生相手にやってはいけないのは力に力で対抗してしまうこと。それは相手の土俵なので、こちらは頭を使ったプレーをしたい。体を当てるタイミング次第で先手を取れることもありますし、相手が動くほんの少し早くしかけることで優位を取れることもある。そのコツみたいなものを伝えています。そのあたりはWリーグで強いプレーヤーたちを相手に戦ってきた経験が生きていますね」
体育館の中央には「桜花一丸」の張り紙。
高校選手権「ウインターカップ」の初戦は12月24日
文字通り、現役選手、卒業生、スタッフが一丸となり日本一。 集大成となる大会が始まる。