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38年ぶりの内部駅 愛しの「四日市あすなろう鉄道」 糸井羊司

2022年12月16日

ふだん東京で「正午ニュース」などを担当しておりますアナウンサーの糸井羊司です。

NHK名古屋「まるっと!」で放送中の「まるっと×鉄旅」、そのトークイベントに参加しました。※右側の人です。

実は私、三重県四日市市出身。
東海地方の鉄道といえば、ぜひ語らせてほしい!という路線があります。
故郷を走る「四日市あすなろう鉄道」です。

この鉄道、かつては「近鉄内部・八王子線(うつべ・はちおうじせん)」という名前でした。
10年あまり前、乗客の減少もあって一時、廃止が検討されましたが、「公有民営方式」への転換で、四日市市と近鉄が合意。
2015年から現体制での運営が始まりました。

生まれ故郷があるのは「内部線」の沿線。
今年でちょうど開業100年(八王子線は110年)。
大正時代から走り続ける、歴史ある鉄道です。

最大の特徴は、全国でも珍しい「ナローゲージ」であること。

レール幅762ミリ。
新幹線などの「標準軌」1435ミリ、JR在来線などの「狭軌」1067ミリに対して、かなり狭い「特殊狭軌」と呼ばれるものです。
当然、車体も小ぶり。
出入り口の高さは、頭がぶつかるんじゃないか?というほど。(身長176センチです)

車体が小さい分、架線の位置まで高低差があるため、パンタグラフが大きいのも特徴です。

かつて内部線を走った「モニ226」 
現在、三岐鉄道北勢線・阿下喜駅近くで保存されています

私が幼稚園に入る頃までは昭和初期に作られた旧型車両がまだ現役で、ドアの開閉は、なんと手動。
ボタン操作で開閉するのではなく、正真正銘の手動です。
駅に着くと、乗客自らドアロックを解除。
ドアノブをひねってガラガラガラと引き戸を開ける!(発車前はその逆。ドアは原則、乗客任せ)
すでに当時でも、時代錯誤の方式でした。

こちらも「モニ226」 廃車後、四日市市内で保存されていた時 1988年9月24日撮影

忘れられない思い出があります。
幼少期に住んでいたのは、内部線の中ほどにある「泊」(とまり)の近くだったのですが、内部線への有り余る愛ゆえに、ある日、「車庫のある終点まで行きたい!」との願望が...。

小学校へ入学直後の春のある日、自宅からおよそ2キロ離れた終点・内部(うつべ)まで、勝手に1人で行ってしまったのです。
しかも電車ではなく、自転車で。

補助輪がとれてまださほどたっていないというのに、線路近くの国道を1人、キーコキーコとこぎ続け、憧れの終点・内部に到達!(よく、道知ってたな、と思います)

達成感MAXで意気揚々と帰宅し、自慢げに報告したのです。
「ママー! 内部行ってきたー! 自転車で」
まどろんでいた母が飛び起き、烈火の如く、怒られました。
そりゃ当然ですよね・・・。
いまとなっては懐かしい思い出です。(人呼んで「昭和59年・内部自転車騒動」。テストに出るかも・・・笑)

あれから38年あまり。その内部を訪ねました。
そう、この「行き止まり」が見たかったんですよ~(涙)
私の鉄道趣味の中でもひときわ強い「終着駅への憧れ」、あの時に芽生えたんだなぁ、と再認識しました。

鉄道が大好きになった原点、「四日市あすなろう鉄道」。
これからも元気に走り続けてくれますように・・・!

「まるっと!×鉄旅」トークショー in 愛知・大府

糸井羊司アナウンサー×別井敬之アナウンサーの鉄道愛とこだわり満載トーク!動画で

東海地方のお気に入りの路線から、禁断?の自宅コレクションまで
しゃべりすぎでまさかの「遅延」発生!? たっぷり前後編でどうぞ

前編はこちら おきにいりの路線 禁断(?)の自宅コレクション

後編はこちら 「為替と株」ニュースは鉄道運行と似ている!? 地下鉄東山線のヒミツ

筆者

糸井羊司アナウンサー

2005~2010年まで名古屋放送局勤務。鉄道趣味については乗り鉄・撮り鉄など広く浅く、だが、ちょっと突出しているのは「模型鉄」かな・・・(保有車両数は150両ほど)。
現在は「正午ニュース」(平日)キャスター。「鎌倉殿の13人紀行」「出川哲朗のクイズほぉ~スクール」ナレーション担当。