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【KYジャーナル】"もはや昭和ではない!?"

2022年7月26日

あえて空気を読まず、働く女性の視点から
社会に切り込む、山本恵子解説委員(Keiko Yamamoto)の「KYジャーナル」。
今回のテーマは「もはや昭和ではない」。
6月公表された『男女共同参画白書』で強調された言葉です。
男女共同参画が進んでいない背景にある"昭和時代のまま"とは。詳しく解説します。

男女共同参画進まない背景にある"昭和時代のまま"

ことし6月、内閣府から公表された「男女共同参画白書」では100ページにわたって「人生100年時代の結婚と家族~家族の姿の変化と課題にどう向き合うか~」をテーマに特集が組まれました。
その冒頭には、次のように書かれています。

「新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響は男女ともに大きいが、特に女性の就業や生活への影響は甚大である。飲食・宿泊業等をはじめ、女性の就業者が多いサービス業を直撃し、非正規雇用労働者を中心に雇用情勢が急速に悪化したほか、女性の自殺者数が急増した。DV(配偶者暴力)相談件数の増加や、女性の貧困の問題等が可視化され、我が国において男女共同参画が進んでいなかったことが改めて顕在化した」

そして、こうした問題の背景には、
「ひとり親世帯や単独世帯の増加等、家族の姿が変化しているにもかかわらず、男女間の賃金格差や働き方の慣行、人々の意識、さまざまな政策や制度等が、依然として戦後の高度成長期、昭和時代のままとなっていることが指摘されている」

「昭和から令和】家族の姿はどう変わった?

家族の姿は、昭和からどう変わったのか。
昭和55年(1980年)時点で最も多かったのが「夫婦と子ども」で42.1%、「3世代等」が19.9%で、全体の6割を占めていました。
3番目が「単独」で19.8%でした。
しかし、おととし(2020)は、最も多いのが「単独」で38%、次いで「夫婦と子ども」が25%、「夫婦のみ」が20%の順になっています。
「ひとり親と子ども」は5.7%から9.0%と増えています。

背景には結婚しない人の増加が

背景には結婚しない人が増えていることがあります。
婚姻件数は年々減っていて、去年は速報値で51.4万件と戦後最も少なくなっています。
30歳時点での未婚の割合は女性が40.5%、男性は50.4%でした。

結婚したいと思わない理由とは?

「積極的に結婚したいと思わない理由」を20代、30代の独身男女に聞いたところ、最も多かったのが「結婚に縛られたくない、自由でいたいから」、続いて「結婚するほど好きな人に巡り会っていないから」でした。
男女差が大きく女性が高かった項目を見てみますと「仕事・家事・育児・介護を背負うことになるから」、「名字・姓が変わるのが嫌・面倒だから」。
また、ほとんどの項目は女性の方が高いなか、男性の方が高かったのは、「結婚生活を送る経済力がない・仕事が不安定だから」でした。

恋人がいない、デートしたことがない若者も

こうした経済的な問題は、若者の交際にも影響しているのでは、という指摘もあります。
20代の女性の51.4%、男性の65.8%が「配偶者・恋人がいない」と回答。
さらに、20代独身の女性の25%、男性の40%が「これまでデートした人数」がゼロでした。

婚姻件数の3分の1が離婚

一方、婚姻件数の3分の1が離婚しています。昭和55年と比べて、婚姻件数は25万件ほど減少していますが、離婚件数は5万件増えています。

ヤマケイのひと言「もはや昭和ではない!」

人生100年時代、独身でいたり、結婚後離婚して1人で子育てしたり、家族の形も、生き方もさまざまになっています。
「男は仕事、女は家事・育児」、3世代同居など"昭和時代のまま"を前提にした働き方や社会保障制度などはもはや限界が来ています。変化に対応した制度設計や政策が求められています。『男女共同参画白書』は内閣府男女共同参画局のホームページから誰でも読むことができます。ぜひ一度読んでみてください。

筆者

山本恵子解説委員(NHK名古屋放送局 報道部 副部長)
愛知県出身。1995年入局。金沢局を経て社会部で教育、女性活躍、働き方改革などを中心に取材後、名古屋局で赤ちゃん縁組や里親について取材。国際放送局World News部を経て2019年再び名古屋局。「子ども子育て応援プロジェクト#わたしにできること~未来へ1歩~」スタート。2021年より解説委員(ジェンダー・男女共同参画担当)を兼務。中学生の娘の母。