被爆から72年。長崎原爆に関するさまざまな知識・情報を夕方のニュース「イブニング長崎」で毎日、お伝えします。

長崎原爆ノート56「長崎の鐘」「長崎の鐘」は、みずからも被爆しながら被爆者の救護活動に力を尽くした医師、永井隆博士がまとめた被爆体験の本です。本では、永井博士も勤務していて、壊滅的な被害を受けた旧長崎医科大学のことや、多くの医師や患者たちが犠牲となった様子が克明に記されています。また、永井博士が原爆投下の直後から救護活動を行い、救護のかいなく被爆者が次々になくなっていく様子など原爆の悲惨さが生々しく描かれています。この本は、原爆投下から1年後の昭和21年8月には書き上げられていましたが、GHQの検閲によって発行が差し止められました。出版が許されたのは、昭和24年1月でした。ただし、旧日本軍が戦時中にフィリピンで行ったとされた殺傷行為についての証言を集めた「マニラの悲劇」という記録集を「長崎の鐘」に付けることが条件でした。「長崎の鐘」は、その後、英語やフランス語、イタリア語など各国の言語に翻訳され、世界的な反響を呼びました。この本をモチーフとして公開された映画は大ヒットし、その主題歌、「長崎の鐘」も昭和を代表する歌手藤山一郎さんが歌い、昭和26年の第1回の紅白歌合戦で大トリを務めるなど、多くの人に愛されました。
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