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“みやざき再生”へ 21年ぶり6500億円超の新年度予算案を解説

  • 2023年02月16日

宮崎県は一般会計の総額で21年ぶりに6500億円を超える新年度の当初予算案をまとめました。
コロナ対策や防災対策で支出が膨らみ、河野県政では過去最大規模となっています。
私たちの税金が主にどんなことに使われるのか、県政担当の記者がわかりやすく解説します。

21年ぶり6500億円超え

公表された宮崎県の新年度予算案によると、一般会計の総額はおよそ6557億円。前の年度を142億円上回り、21年ぶりに6500億円を超え、河野知事の就任以降では最大の規模となりました。

この数年、国の交付金などを財源とする新型コロナ対策や道路整備などの防災対策の事業費が膨らみ、当初予算の額が増え続けています。

河野知事「みやざき再生予算」

河野知事は会見で「いま宮崎が直面している状況はこの3年以上に及ぶコロナ禍や物価高で影響を受けた県民の暮らし、そして経済の回復を図っていくことであると考えています。宮崎再生につながる取り組みはしっかりと盛り込んで当初予算を編成した」と述べました。

県は何に力を入れるのか?

県の当初予算と聞くと、少し身近ではないと感じるかもしれませんが、私たち県民の暮らしにしっかりと関わっています。県が掲げる今回の新年度予算案の3つのポイントを記者が解説します。

坂西記者(県政担当)

まず「宮崎再生」ですが、3年にもなるコロナ対策や生活に直面している物価の高騰から県民の暮らしを守り、経済の再生を目指すというものです。

坂西記者(県政担当)

たとえば、観光需要を喚起する費用として5億8000万円余りが盛り込まれており、国による「全国旅行支援」の終了後も県内への旅行代金を独自に割り引く事業や、「神話・自然」などの強みを活かして「神話にまつわる神社をめぐって記念の御朱印を集める催し」など観光客の周遊を促進する事業を検討しています。

上田キャスター

御朱印巡りは若い女性を中心に人気ですよね。

坂西記者(県政担当)

そのほかにもインバウンド客に戻ってきてもらうため、東アジアを中心にセールスを強化する事業もあります。

上田キャスター

観光業の復活は、県内経済の復活に欠かせないので、成果を期待したいですね。

安全・安心なまちづくり

坂西記者(県政担当)

2つ目のポイントは「安全・安心で持続可能なくらしづくり」ですが、これは一言でいうと大規模災害への備えということになります。
様々な事業が計画されていますが、今回、私たちは災害支援物資を備蓄する拠点施設の整備に注目しました。南海トラフの巨大地震などの大規模災害に備えて高鍋町に整備するため、測量などの費用として8200万円余りが計上されています。

坂西記者(県政担当)

ただの倉庫ではなく、災害が起きたときに物資を迅速に運び出し、輸送できるように設計された施設を整備する計画です。なぜそうした施設が必要なのか、県の危機管理課に取材をしました。

池野拓也さん(県危機管理課)

宮崎県では食料や毛布、災害支援物資が学校の教室などにところ狭しと積まれているのが現状です。
学校は倉庫ではないので、モノの出し入れを想定した作りにはなっていません。一つ一つ段ボールを手作業で運び出さなければいけないというのが課題で、エレベーターもないため、重い物資を手に階段を降りなければいけません。

坂西記者(県政担当)

県ではこうした備蓄場所を防災庁舎や県の出先機関など8か所に設けていますが、いずれも専用の施設ではありませんでした。
そこで今回、県が整備しようとしているのが拠点となる専用の施設です。県が参考にしている長野県松本市の施設を見てみると、物流倉庫のような広さがあり、物資を大量に保管できることが分かります。フォークリフトなどを使うことで一度に多くの物資を運び、迅速に被災地に送ることもできます。

坂西記者(県政担当)

県は同様の施設を高鍋町の県農業大学校のグラウンドの一角に整備する計画です。ここは津波などの災害リスクが低く、国道10号線や高速道路にも近いため、拠点の場所として最適だということです。

池野拓也さん(県危機管理課)

道路アクセスにも優れていて、被災が想定されている沿岸部や内陸の市町村も含めて県内全域に支援物資を効率的に迅速に届けることができると考えています。

坂西記者(県政担当)

こうした災害時の支援物資の拠点施設は全国的にも多くはなく、もし整備されれば、九州では初めてとなる施設となります。

活力ある未来のみやざき

坂西記者(県政担当)

3つ目のポイントは「活力ある未来のみやざきづくり」です。これは主に少子化や人口減少への対策となっています。

坂西記者(県政担当)

具体例をあげると、DVや生活苦に悩む母子家庭の支援事業があります。親子が一時的に身を寄せることができる民間施設を都城に整備する計画がありまして、この住まいを提供しながら経済的な自立を支援する施設の建設を補助するため、およそ1億6000万円が計上されています。

上田キャスター

これまで県内にそういった施設はなかったのでしょうか?

坂西記者(県政担当)

以前はあったのですが、老朽化により閉鎖されてしまっていて、全国の都道府県のなかでも宮崎だけがなかったんです。これまでは子どもが児童養護施設に入って、親子別れて暮らさざるを得ないというケースもあったということです。

上田キャスター

ここまで新年度予算案をポイントごとにみてきましたが、今回は河野県政が4期目に入って最初の予算編成となりましたが、どんな印象を受けましたか?

坂西記者(県政担当)

堅実な予算編成だと思う一方で、河野知事が4期目のテーマに掲げていた「ワクワク感」だったり、「希望を与えるような県政」を感じさせる事業があまり見当たらなかったという印象はあります。ただ、今回の予算案は知事選直後に編成された「骨格予算」でもあります。河野知事も会見で6月の補正予算で肉づけをして、さらに政策を打ち出していくと話していたので、期待したいと思います。

  • 坂西俊太

    NHK宮崎放送局

    坂西俊太

    入局5年目の記者
    担当は県政

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