茨城発 広さは東京ドーム×25 山口さんのメガな米づくり
- 2024年05月10日
コメの生産量全国7位の茨城県で、大規模なコメ作りが始まっている。
広さは東京ドーム25個分の115ヘクタール。戦後のコメ作りを支えた農家が
次々とリタイアしていく中で、120人から土地を借りて地域の水田を守ろうと
立ち上がった茨城県稲敷市の山口貴広さんの挑戦に迫る。
(水戸放送局 ディレクター 小澤昌之)
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コメ農家9代目の挑戦
霞ヶ浦と利根川にはさまれた茨城県稲敷市は関東有数の米どころ。
コメ農家の9代目の山口貴広さん(40)は28のときに父親から経営を引き継ぎ、大規模で儲かる農業をやってみたいと5年前に農業法人を設立。両親を含む7人で大面積に挑んでいる。
120人の〝先達〟の思いを受け継いで
山口さん自身の農地は4ヘクタール。115ヘクタールの大部分は高齢化や会社勤めなどによって作り手がいなくなった水田で、地権者は約120人に及ぶ。
戦後のコメ作りを支えてきた、現在80歳前後の農家が次々とリタイアし始め、頼まれる面積が急激に拡大。茨城県内のどの地域でも、限られた担い手に農地がどんどん集まっている。
課題は農地が点在し、移動時間のロスがあること
田植えや稲刈りは時期が決まっているので、面積が増えると作業が集中し、間に合わなくなる恐れが・・・遅れるとコメの品質や収量に影響するので、大規模経営にはリスクがある。
茨城県が農地の集約を後押し カギは「交換」
山口さんと同じ悩みを持つ地域の担い手が集まり、より大規模で効率的なコメ作りを行うための情報交換が始まった。ポイントとなるのが農地の集約。地権者の了解を得ながら、借りている農地を互いに交換するという踏み込んだ対策によって、山口さんの農地もだいぶまとまってきた。
米どころの受け皿となる〝農業集団〟を目指して
農業法人を立ち上げた山口さんは、幼稚園から高校まで一緒だった元自動車整備工・坂本展康さんに真っ先に声をかけ、大面積を経営する山口さんの右腕として、農作業のリーダー役を任せている。
さらにコメ作りに興味がある若者を県外からも呼び込み、地域のコメ作りをしっかりと継承していける体制づくりに力を注いでいる。
今後多くの面積が一気に出てきたときも誰も作る人がいないという状況はなくしておきたいという思いで、受け皿として僕たちがその役割を担えればと思っています。