2025年卒業の就職活動本格化 女性警察官を確保せよ!
- 2024年03月13日
2025年春に卒業する大学生の就職活動が3月1日から本格化していますが、人口減少が進む島根県内では様々な分野での人手不足・なり手不足が課題となっています。私たちの安全を守ってくれる警察もなり手不足と無縁ではありません。こうした中で、県警察本部が頭を悩ませているのが「女性警察官」の確保です。現状や現役女性警察官の思いを取材しました。
(松江放送局 記者 浅井和人)
活躍する女性警察官、でも・・・
松江警察署地域課の入澤花奈巡査長です。入澤さんはパトロールなどを通して、市民に近い立場で地域の安全を守ってきました。
「市民の安全のために声かけをずっと続けてきました。そうした中で、松江駅とかも以前はやんちゃな子が多かったんですが、『やんちゃな子がいなくなってきて』という声を聞くと、声かけを続けてきたことには意味があったんだなと」
県内では現在、およそ150人の女性警察官が活躍しています。ただ、県警察本部は「このままでは足りない」と危機感を募らせます。
「女性が被害者となる犯罪やその被害に遭った後の支援など、そういう場面で女性が対応した方がより適切だという場面が多くあります。その一方で女性の採用・応募者数も減っているという現状があります」
女性警察官不足の実態と不足で生じる懸念
現在、県内で働く警察官のうち、女性の割合は2023年4月時点で10.5%。性犯罪被害者への支援やドメスティックバイオレンスなど女性警察官による対応が必要な業務が多くなる中、県警は国の計画に沿って女性の割合を2年後の2026年4月には12%に引き上げたい考えです。
ただ、人口減少や民間企業との競争などによる「なり手不足」が壁に。5年ほど前には100人を超えていた女性の応募者は、今年度・2023年度およそ50人とほぼ半減。このままでは女性警察官を増やしたくても増やせないと懸念されているのです。
不足の背景は?警察官が考えること
応募減少の理由を女性警察官に聞いてみるとさらに・・・。
「警察官になる前は厳しい世界でもあるし、やっぱり男性社会というのは頭にはありました」
「母からは『やっぱり警察官は危ないから違う仕事にした方がいいんじゃないの』と反対されたことはあります。会う学生さんの8割くらいがちょっとネガティブな印象を持っています」
警察組織は「体力勝負」で「男性社会」。眞木さんや池田さんもかつてはそうしたイメージを持っていたといいます。しかし、今は違うと話します。
女性の被害者や子どもの話を聞くとなると、どうしても「女性の方と話がしたいです」とあったりもします。そういったところで女性の役に立つじゃないですけど、女性警察官としてできることがあるのではないかなと。
女性警察官だからこそ「できること」も
女性警察官だからこそできること。その1つが災害時の被災者支援です。
「日々不安に感じている被災者の不安を少しでも取り除くように被災者に寄り添う形で任務を果たしてきてもらえるように期待をしています」
1月、能登半島地震の被災地へ派遣された1人、西村香苗 係長です。被災地では主に女性に性犯罪などに遭わないよう注意喚起を行ってきました。
被災地では、避難していた女性にわいせつな行為をした疑いで自称・アルバイト従業員が逮捕される事件も起きていたことから、チラシを配りながら女性の安全に気を配ってきました。
避難所を20か所ほど回った西村さん。男女が同じ部屋で寝泊まりする中、着替えの際に男性の目が気になるといった不安を打ち明けられることもあったといいます。女性警察官だからこそ、厳しい状況の中で女性を支えられると、西村さんは感じています。
男性の頼もしさとはまたちょっと違ったしなやかさとか優しさとかで被災者の方に少しでも寄り添うことができるのは女性警察官の強みかなと。
パトロールなどを通して街を見守ってきた松江警察署の入澤さんも、女性警察官の存在が
求められていることを感じています。その思いを強くしたエピソードが。
夜パトロールをしていた時に運転手が若い女性の1台の車に声をかけて会話を終わろうとした時に、ちょっと表情が曇ったので私が『どうされましたか』と尋ねたら、『実はさっき元彼に殴られた。どうしていいか分からん』と口を開いて言ってくれて。
女性が犯罪に巻き込まれるケースも相次ぐ中で、女性に寄り添える警察官はこれからますます必要になると感じています。
「警察というと身構えてしまうので、女性の方だと同性なので親しみやすい感じは受けるかなとは思いました」
男性警察官には力ではかなわないので、そこで同じことをするのではなくて、違う視点で何がいま必要か、女性警察官として何ができるか 常に考えて行動するようにはしています。
女性警察官増やすために
県警は、警察学校の見学会などを通して女性警察官の現状を伝えたり、実際に活躍している人の姿を見てもらったりして、興味を持ってもらいたいとしています。
県民の安全や安心を守るために警察はあるので、県民のニーズに的確に答えられない場面が出てくるのは非常に困るところはあります。女性がその能力を十分に発揮できる職場を作るためにこれからもまい進していきます。
男性警察官と女性警察官でそれぞれより適した業務がありますし、どちらが欠けても地域や私たちの安全を守れない時代になっています。県警は、警察官のやりがいを含め、性別に関係なく活躍できることや社会に必要とされている職業であることを広く情報発信をしていくとしています。