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しまねっとマガジン 島根特集

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「いつか日韓で竹島の話し合いを」隠岐出身の大学生の願い

  • 2024年02月27日

 

2月22日。この日は明治時代に竹島を島根県の所管とした「竹島の日」です。
竹島は日本固有の領土ですが、韓国も領有権を主張して占拠していて、2024年で70年間この状況が続いています。こうした中で「竹島について日本と韓国で話し合えたら」と中学生の頃から願い続けてきた大学生が松江市にいます。竹島の日にあわせてその思いを見つめました。                                                   (松江放送局 記者 川邉貴史)

解説員は大学生!

島根県庁にほど近い場所にある竹島資料室です。                        ここには1905年に島根県が竹島を編入した時の告示文書や竹島が明記された過去の日本地図など                    さまざまな資料が展示されています。       

来場者に説明する木瀨さん

訪れた人に竹島について解説しているこの女性は、   島根大学に通う木瀨春香さんです。                竹島がある隠岐の島町出身で、竹島について小さい頃から触れてきました。

(木瀨春香さん)                                      
島根県から出てしまうと竹島の学習とか認知度ってどうしても減ってしまう事実を知っていました。関心の差を埋めて、全国に“竹島問題”があるっていうことが認知されるといいなと思ったのがきっかけです。そして竹島の現状を平和的に解決するために、いつか日本と韓国で話し合いとかができる環境に持って行くのが理想だなって思います。                             

“学生解説員”その胸に秘めるのは

その理想への思いが詰まっているのが、中学2年生の時に書いたこの作文です。                執筆に当たって、祖父に聞いた話が竹島に向き合うきっかけになったといいます。

「どちらが悪いのではない。立場が違えば考え方も違う」。このように祖父は話してくれたそうです。

(木瀨春香さん)         中学生の頃は敵対心ばかりで、竹島については全部韓国が悪いと思っていました。ただ祖父は「最終的に日本人も韓国人も竹島に行くことができるようになるといいな」って願いを持っていました。そこから敵対心ばっかりの気持ちじゃいけないなって感じたので、そういう気持ちはそれ以来持たないようになりました。

「解決に向けては話し合うことが必要だ」と締めくくったこの作文。県のコンクールで最優秀賞にあたる賞に選ばれました。             

解決に向けて話し合いへ     そのためにも知識が必要

高校生の時の木瀨さん

その後、高校生になると、竹島について考える意見交換の場にも参加して外務省の担当者や大学生などに混じって自分の考えを伝えてきました。        

こうした活動の土台にはあるノートがあります。

中学2年生の時から使っているというこのノート。                           祖父に聞き取った内容をメモしたことから始まり、勉強したことのメモのほか、記事の切り抜きなども貼っています。“参考書でもあり活動記録”だと教えてくれました。

そして今は、新しい情報を吸収している最中です。                       2月のある日、参加したのは大学で開かれている市民講座。大学には竹島に特化した授業はなく、研究者が開く講座などに自主的に参加しています。この日は日韓の古い地図をそれぞれ読み解いたほか、竹島周辺での韓国側の動きといったテーマも話題に上がりました。

いつか竹島について話し合う上で、知識を増やすことは欠かせないと考えています。

竹島について多くの人が関心を

自分1人が詳しくても韓国と話し合いはできないため、多くの人に竹島に興味を持ってもらう必要があると考え、解説員を始めました。

解説員になってからおよそ半年。約15分の説明の中で、歴史や現状を分かりやすく伝え、来場者の質問にも的確に答えられるようになるのが目標だといいます。まだまだ他の解説員の先輩に教わることが多いとしながらも、聞いた人の受け止めは上々です。

(解説を聞いた男性)
まとまっていて分かりやすかった。          
続けなければいけないことなので良いことだと思います。

時折笑顔で取材に応じてくれました

最後に、活動の目的や竹島への思いを改めて尋ねました。

(木瀨春香さん)
平和的に解決するために、日本と韓国が話し合える環境を作ることが大切だと思います。
そして竹島が忘れ去られるのが一番怖いことです。   まだまだ日韓で話し合える前段階だと思っていて、まずは啓発を続けて竹島を知らない人を無くしていくのが必要だと思います。より多くの人に知ってもらって、関心度が韓国と同じくらいのレベルになった上で話し合いができたらいいんじゃないかと思いますね。

竹島について日本と韓国が話し合う。
木瀬さんは中学生の時に思い描いた
その未来を今も見据えています。

  • 川邉貴史 

    NHK松江 記者

    川邉貴史 

    岡山局を経て松江局に。
    島根県政や原発、竹島問題などを担当しています。

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