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【京都・南丹市】ゴミのポイ捨て撲滅を歌で訴える謎の歌手

  • 2023年12月19日

南丹市を中心に話題沸騰!?謎のポイ捨て撲滅シンガー

 

「ポイ捨ての撲滅を歌で訴える謎の歌手がいる」という情報を聞きつけ、我々がやって来たのは南丹市八木町で行われた地域イベント。特設ステージの上に、その人はいました。

ステージで歌う謎の歌手

♪「捨てないで~あなたの心 
   キレイな町を見たいから~」

ド派手な衣装に金髪のウィッグ。タバコと空き缶のイヤリングを身につけてホウキのマイクで熱唱する姿は、一目見たら忘れられないインパクトがあります。

イヤリングは知人に作ってもらったそうです

この人こそ、ポイ捨て撲滅シンガーの“五美(ごみ)ひろえ”さん、永遠の53歳(自称)です!

代表曲は「捨てないで」。捨てられるゴミの気持ちを確かな歌唱力で情感たっぷりに歌いあげる姿に、会場はこの日一番の盛り上がりを見せていました。

盛り上がる会場
観客A

もう最高!最高というか、かわいかったです!!

観客B

五美さんを見習って、落ちてるゴミは拾うようにしています。

ステージ終了後は会場周辺のゴミ拾いを五美さんは日課にしています。
移動に使う車の中には常に作業用手袋とゴミ袋を常備。この日はタバコの吸い殻やガムの包み紙などを拾いました。

イベント後のゴミ拾い
五美さん

キツく言うんじゃなくて『ゴミのポイ捨てせんとって、おおきに~』と優しく伝えるために五美ひろえとして活動しております。トント~ン!

 

五美さんの口癖「トント~ン」両手の指を上に突き上げる

“五美ひろえ”は何者なのか?その正体を追う

謎に包まれた歌手“五美ひろえ”さんの正体を調べていくうちに、ゴミ収集場でよく似た男性が働いているという情報が入ってきました。早速、南丹市の京都中部クリーンセンターを訪ねてみると…

どこか見覚えのある男性が…

五美さんによく似た男性を見かけました。
直接話を聞いてみます。

カメラマン

ひょっとして五美ひろえさんですか?

森田さん

いや僕は森田愛三といいます。五美さんはポイ捨て防止の歌を歌ってますけど、僕は瓶の資源収集をしています。…おおきに~トント~ン

少し照れたトント~ン

あっ、それは五美さんの口癖「トント~ン」!!
という事で五美ひろえさんの正体は南丹市の清掃員・森田愛三(もりた あいぞう)さんでした。
ちなみに年齢は53歳ではなく、本当は48歳です

森田愛三はどうして“五美ひろえ”になったのか

 

南丹市美山町

森田さんは南丹生まれ南丹育ち。
南丹市は美山町のかやぶきの里など自然豊かな景観が今も残っています。

五美ひろえとして活動を始めたきっかけについて話を聞こうと、この日は美山町のとある川沿いを訪れました。そこには何者かが放置したバーベキューの跡とみられる大量のゴミが散乱していました。

「この量は個人ではどうしようもないな…」と思う私をよそに、森田さんは車からゴミ袋を取り出しゴミを拾い始めました。出かけた先で捨てられたゴミを見かけると、拾うように心がけているそうです。

 

ゴミを拾い始める森田さん

子どもと一緒に地域の清掃行事にも参加してきましたが、子どもがポイ捨てされたタバコの吸い殻などを拾う姿に疑問をもっていました。

森田さん

タバコとかの100%大人が捨てたゴミを、子どもが拾うのは見ていて悲しいですね。

 

後部座席いっぱいのゴミ

どうすればポイ捨てをなくす事ができるのか?「歌手・五美ひろえ」になるきっかけは5年前、この場所でタバコをポイ捨てする観光客を見かけて注意した時でした。

森田さん

腹は立ってたんですけど『こんなきれいな場所にきて何でポイ捨てしはるんですか?すみませんけど拾ってください。』というふうに優しく伝えました。
偉そうに言うより、そういう伝え方のほうがいいと僕は思いました。

ポイ捨て拾え…ゴミ拾え…ゴミひろえ…
あっ“五美ひろえ”ってキャラでポイ捨て防止を訴えるような歌を作れたらどうやろって、その時に思いつきました。

趣味でバンド活動をしていた森田さんは、優しく楽しく歌ってポイ捨て防止を伝えようと考えたのです。

“五美ひろえ”への変身

“五美ひろえ”という名前の語感と53という数字が「ゴミ」と読めることから、自称53歳の女性というキャラクターにしたそうです。

そして、生まれた。

ちなみに口癖の「トント~ン」には「トントン拍子で、あなたと私は対等、トントンの立場でゴミ問題の啓発をしていきたい。」という意味が込められているそうです。
 

広がる「ゴミ拾いの輪」

“五美ひろえ”として活動を始めた森田さん。
初めはウイッグだけの変装も徐々にパワーアップしていきました。その衣装にもこだわりがあります。

活動を始めた頃の五美ひろえさん
森田さん

歌を聴いてくれはったお客さんが『この衣装を買ったけど使ってへんので着てください。』という事で集まりました。
着なくなって捨てる服をリユースして使えますので非常にありがたいです!!

ほとんどの衣装がもらい物

「五美ひろえ」として活動して4年。
ことしは50を超えるステージで歌い、共感してくれる人が少しずつ増えたと感じています。

ステージで歌う五美ひろえさん
五美さん

『歌を聞いて携帯灰皿を持つようになった』などのメッセージをいただきます。『私も拾おう、私も捨てない』という気持ちが広がっていけば、必ずきれいになると信じてこの地道な活動を続けていきたいです!トント~ン

♪「捨てられてたら 拾ってねぇ~」

  • 根来勇輝

    ニュースカメラマン

    根来勇輝

    京都に転勤してきてゴミの分別が細かくて驚きました。ちゃんと覚えて出してます。

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