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こころフォト

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菅野まち子さん(まちこ・当時58歳)武身さん(たけみ・当時34歳)あゆみさん(当時31歳)ハルヨさん(当時85歳)
福島県南相馬市

震災後、長八さんの妻・まち子さんと長女・あゆみさんは見つかりましたが、次男・武身さんと母・ハルヨさんは今も行方不明のままです。

震災から11年PHOTO

「こころフォト」ニュースリポート

震災から11年を迎えて

菅野長八さんより

家族への手紙

皆、あの世で仲よく過ごしているか。
俺はなんとかやっているよ。
もうすぐ3月11日になるけど、あれから11年、
俺にしてみればあっという間だったような気がするし、ついこの前のように思う。

俺のふだんの生活を書くね。
だいたいはえんがわで鎧の修理や作ったりしている。
それをしている時は集中しているから夢中になれる。
それでも飽きてきたら、畑に行って野菜を見て水をやったり肥料をあげたり消毒をしたり草をむしったりして手入れをしている。
ハウスもあるので温度調整をしなくてはいけないので暑い日はわきをあけたり、寒い日はしめたり、畑仕事はいくらでもある。
今ある野菜は大根、にんじん、ねぎ、白菜、キャベツ。
ハウスにはレタス、いちご、スナックエンドウ、セロリ、多肉植物がある。
自分が食べきれないので隣や家に来た友達、親せきなどにやったりしている。
すると、天ぷらあげたからとか、混ぜご飯作ったからと持ってきて頂いている。
ありがたいと思う。
皆に世話になりながら毎日を好きなことをして有意義に過ごそうと思っている。
鎧の修理や作成は、完成までかなり時間がかかるが出来たときの達成感。
思いどおりに出来たときの満足感はなんともいえない喜びでもある。
1人で生活していて、炊事、洗濯、掃除など、日常の家事をしてみて、皆といっしょにいるときはまったくしなかったことをしなくてはならない立場になって、家族のありがたみをいつも思ってしまう。
スーパーやコンビニにいけばなんでもあるけど、野菜を作っているので無駄にしてもいけないので、いためものにしたり、みそ汁や煮物などにして食べている。
洗い物は好きでないので、ためてシンクがいっぱいになってからしている。
洗濯は洗濯機にいれればしてくれるのでそれほど苦にならない。
掃除は気が向いたときしているが、ゴミ屋敷にならないくらいの思いでしているが、どれも好きにはなれなくているが、しかたなくするしかない。
こんな生活は思いもしなかった。それでもこれが事実なのです。
思いたくはないけど、これが俺の運命かと、時間がたつにつれ思うことがある。
誰でもそうだが、いつか皆あの世に行く。
自分では決められないその日が来るまで、頑張っていく。

俺には野馬追がある。
好きな野馬追を楽しみにしながら、野馬追の伝承と発展に関わり、後輩の育成に努め、地域の文化に協力していく思いでいる。
野馬追に関しても皆に手伝ってもらって続けてこれた。
感謝している。皆の成仏を祈っている。

これからも俺を見守ってくれ。あの世で仲良く過ごして下さい。
今いるところは集団移転で土地も家も自前で払ったから結構お金がかかったけど、年金が入るし、なんとかなると思い切って決めた。
平屋だが家の間取りは震災前の家と同じ間取りにした。

菅野まち子さん、武身さん、あゆみさん、ハルヨさんへのメッセージ・写真を募集しています。

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