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動物園でSDGs?「楽しみながら学べる」取り組みとは

県立のいち動物公園で学べるSDGsについて紹介します
  • 2023年08月01日

高知県で人気の観光地・県立のいち動物公園。ここで学べるのがSDGs=持続可能でよりよい世界を目指すために国連が定めた国際目標です。“楽しみながら学べる”動物園について取材しました。(高知放送局 キャスター 矢島夏)

自然な姿を楽しめる動物園

高知県香南市にある県立のいち動物公園は、大手旅行情報サイトの口コミによるランキングで2019年から2年連続で1位に輝くなど、県内有数の観光スポットです。

ことしの春には、アメリカビーバーのふたごの赤ちゃん「らん」と「まん」が誕生し、話題になりました。

ここでは同じ種などで展示するのではなく、「熱帯の森」や「ジャングルミュージアム」など動物が生息する気候帯ごとに分けてより生息地に近い環境で飼育する「バイオーム展示」という手法をとっています。

ほかにも、およそ100種1100の動物たちが、のびのびと過ごす自然な姿を楽しめます。

さらに「動物を見て楽しめる」だけでなく、SDGsについて学べる取り組みが行われているとのこと。

動物園とSDGs?
どのように学べるのかを取材しました!

動物園とSDGsがつながる?

笑顔がすてきな塚本園長

塚本愛子園長にお話を聞きました。

よろしくお願いします!さっそくですが、動物園でSDGsを学ぶというのはどういうことでしょうか?

動物園の「リサイクルの取り組み」や「種の保全」を通してSDGsを学んでもらおうという取り組みなんです!

リサイクルはなんとなくSDGsとわかりますが、種の保全はなにやら少し難しく感じます。
園長に実際の場所に連れて行ってもらいました。

リサイクルで廃棄物を減らす

はじめにリサイクルです。

案内されたのはキリンやシマウマがいる「アフリカ・オーストラリアゾーン」です。

これ、なんだか分かりますか?

これは、堆肥ですか?

そうです!キリンやシマウマなど、ここで飼育している草食獣のふんや敷きわらなどを集めて、機械で発酵させて作っています。

月に一度「エコでぇ~」というイベントでこの堆肥を先着100名に無料で配布しています。

このイベントは、園内の廃棄物を減らして自然環境を保全していきたいという思いから始まりました。

一袋600gの堆肥 1日で無くなるそうです

廃棄物を減らし、リサイクルをして使うという事は、地球にとってもすごくいいことなのではないでしょうか。
こんなちょっとした取り組みですが、来園者の方々にそういうことを感じ取っていただければ、園としても非常にうれしいと思います。

園長と散歩して学ぶSDGs

次は、どんな取り組みですか?

次は、種の保全です。
「のいち de SDGs 園長と散歩」というイベントを通して、SDGsの開発目標である「海の豊かさを守ろう」と「陸の豊かさを守ろう」について学べます。

SDGs14番「海の豊かさを守ろう」
15番「陸の豊かさを守ろう」

県立のいち動物公園では、絶滅が危惧されている動物の飼育や動物の繁殖活動など、種の保全活動に積極的に取り組んでいます。

そしてことしから、園長みずから種の保全活動について来園者に説明するイベントをスタートさせました。

プラスチックごみの廃棄や森林伐採によって減少してしまった生き物たち。「その生態系を知ってもらい、種の保全につながる小さな一歩にしたい」と園長の塚本さんは話します。

こちらは、絶滅危惧種に認定されているシロテテナガザルです。

ここでは何が学べますか?

シロテテナガザルは森の中に住んでいて、ほとんど地上に降りることはなく、腕だけで移動します。
そのため、生息地の森に近い形を目指したタワーを作り、腕だけで行動ができるような展示になっています。

ロープを張り巡らせ腕だけで移動しやすいタワーを設置

絶滅が危惧されている動物をどうしたら守っていけるのかをわかりやすく説明する塚本園長。
実際の動物を見ながら学ぶことで、私も「種の保存」について理解できた気がしました。

 

群れて行動する習性があり、みんな同じ行動をしていたのが印象的でした

こちらのフンボルトペンギンも絶滅危惧種です。

このフンボルトペンギンはカタクチイワシなど餌となる魚の減少や気候変動により海流のルートが変わってしまったことなど、さまざま要因で個体数が減ってしまいました。

この展示ではどういった工夫をしているのですか?

園では暑さ対策のミストをはじめ、ペンギンの足場をコンクリートではなく岩にしたり、子育てをするための洞窟を作ったりと、生息地を可能な限り再現しています。

洞窟に入ってリラックス?しているフンボルトペンギン

より野生に近い環境をつくることで、少しでも個体数を減らさないようにしているといいます。

また、生息地を再現した展示方法によって動物にかかるストレスも軽減されることから、ここには長生きな動物が多いそうです。

目指す動物園の姿とは

これからの動物園のあり方について教えてもらいました。

後ろにいるのはハシビロコウ

動物がどんな所で暮らしているのかな、ということをお伝えすることで、減っている生態系がだんだんと壊されていく中で、どうすれば生態系を守ることができるんだろうということを考えるきっかけにしていただきたいな、と思っています。
動物園が「楽しく学べる場所」になればいいなと思います。

「のいち de SDGs 園長と散歩」は事前に予約が必要です。
詳しくは県立のいち動物公園(0887-56-3500)にお問い合わせください。

  • 矢島夏

    高知放送局キャスター

    矢島夏

    今回の取材の中で「動かない鳥」で有名なハシビロコウが元気に動いている姿を見て、びっくりしました!

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