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寒サバで町おこし 高知・室戸の冬に”サバらしい”名物を

  • 2023年03月10日

冬の室戸市では寒サバが水揚げの最盛期。
地域に伝わる食文化に注目し、
冬の名物として売り出す取り組みを取材しました。
(高知放送局 カメラマン 大和田純平)

全て1000円!! 絶品のサバ料理

サバの漬け丼やサバのカレーなど、数々のサバ料理。

室戸市では
2月1日から3月8日にかけて
飲食店11店舗が合同でサバ料理のキャンペーンを行いました。
 

中にはサバを使ったすき焼きも、、、!
これらはすべて1000円で堪能できます。

このキャンペーンを仕掛けたのが
地元の水族館で館長を務める
若月元樹さんです。

新鮮で脂がのってとてもおいしいので、
このサバを食べるためだけのツアーができてもいいのかなと
思うくらいです。

冬の室戸の隠れた魅力 「寒サバ」

高知県東部に位置し、漁業の町として栄えてきた室戸市。

しかし漁業の衰退などで人口は減り、
町のイベントがない冬の時期は観光客もなかなか訪れません。

この時期、室戸沖に設置された定置網では
産卵前の脂がのった寒サバが旬を迎えます。

定置網で捕まえた寒サバは、わずか10分で港に運ばれるため新鮮そのもの。
多い時には1日に40トンも水揚げされます。

室戸では昔、牛肉が手に入りにくかったため
なんとサバを使ったすき焼きが親しまれていたそうです。

 

地元の人

サバですき焼きもする。ネギやら豆腐やら入れて食べた。

地元の人

昔はすき焼きにしたわな、特別な料理ではないぞな。

地元の人にとっては、当たり前の魚に当たり前の料理。
そこに目をつけたのが若月さんです。

若月さんは室戸でウミガメの研究をする中で、
地域の食や自然に惚れ込み移住してきました。

若槻さんが館長を務める水族館は、地元の漁業者が捕った魚を展示しています。

飲食店や、水族館を支える地元の漁業者を活気づけ、
観光客の少ない冬の室戸を盛り上げようと「寒サバ」に注目しました。

朝どれの寒サバをその日の昼に食べられる環境、
他の地域には知られていない「サバすき焼き」という食べ方、
ブランド化されていないからこそ安価で食べられること。

寒サバは冬の名物になると確信しました。

地元の方はこんなおいしいサバを食べられるのが当たり前だったので、
そのおいしさを広めなきゃっていう意識はなかったのかもしれない。

そうして2019年から始まったサバ料理のキャンペーン、
その名も「サバらしい日々」。

若月さんの呼びかけに賛同した飲食店が、
趣向を凝らしたサバ料理を一律1000円で提供します。

店舗の努力が支えるキャンペーン

若月さんは
お客さんの様子や寒サバの状態を確認しようと、
毎日参加店舗に足を運んでいます。
この日訪れたのは元漁師が営むお店です。

お店では、前日はサバが売り切れたことを嬉しそうに話してくれました。

昨日はサバが切れたんですか?

飲食店 店員

切れた、もう全部出てしもうて。

「サバすき焼き」を丼に仕立てた
「サバすき丼」を提供するこちらのお店。

店主が毎朝市場に出向いて、
美味しいサバを選んでいます。

このような店舗が室戸には数多くあり、
美味しい魚料理が提供されています。

漁獲によって取引価格が大きく変動する寒サバ。
一律1000円で提供するのは大変。

こちらの店ではある工夫を行っています。
料理に使う野菜は家庭菜園で取れたもの。

さらにサバの白子や卵、アラまで余すところなく料理に使うことで
値段を抑えています。

冬の"サバらしい"名物へ

4年目を迎えたこの取り組み。
参加店舗では寒サバを目当てに訪れる人も増えてきました。

このキャンペーンを通して、県外の人や
これまで少なかった若い客が来るようになったといいます。

また地元の漁業者たちも、
港で熱心にサバを選ぶ店主の姿や
飲食店が賑わっている様子をよく見るようになったと
笑顔を交えて話してくれました。

椎名大敷組合
橋本健
組合長

サバをたくさん捕ることがプレッシャーだったりもするんですけど。
おいしい魚があるから室戸に行きたいと、
そんなふうに思ってくれる人が1人でも増えてくれたらと思ってやっています。

キャンペーンを立ち上げた若月さんも手ごたえを感じています。

大衆魚でありながら高級店に負けない味を出せるのがサバだと思います。
室戸はその鮮度と料理の腕を持っていると思いますので、
ぜひ室戸まで足を運んでほしいです。

美味しい寒サバが水揚げされるのは
例年3月上旬までということですが、
サバの次は、脂がのったブリを楽しむことができます。

取材の中で飲食店の方は
「室戸は黒潮や海洋深層水のおかげで
 年中通して多種多様な魚を楽しめるのよ。
 もっと知られてほしい」
と話していました。

このサバのキャンペーンが
その思いにつながる一歩になるかもしれません。

  • 大和田純平

    高知放送局 カメラマン

    大和田純平

    2020年入局
    高知の文化や自然についてリポートで発信
    美しい自然に心洗われています!!

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