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平成27年度 第4回
視聴者のみなさまと語る会〜NHK経営委員とともに〜in仙台
(平成27年10月3日(土))

 

<会 合 の 概 要>

 「経営委員会による受信者意見聴取」の平成27年度第4回は、仙台放送局で実施し「経営全般」「放送」の2つのテーマについて、公募による49名の視聴者から意見を聴取した。

 

<会 合 の 名 称>

「視聴者のみなさまと語る会 〜NHK経営委員とともに〜」in仙台

 

<会 合 日 時>

平成27年10月3日(土) 午後2時〜午後4時

 

<出  席  者>

〔参 加 者〕

視聴者の皆さま49名

〔経営委員〕

本 田 勝 彦  (委員長職務代行者)

 

美 馬 のゆり  (委員)

〔執 行 部〕

吉 国 浩 二  (専務理事)

 

板 野 裕 爾  (専務理事)

 

安 齋 尚 志  (理事)

 

西 村 睦 生  (仙台放送局 局長)

〔 司 会 〕

内 多 勝 康  シニア・アナウンサー

 

< 会    場 >

 NHK仙台放送局 第1スタジオ

 

< 開 催 項 目 >

 以下のとおり進行した。

 

1 開会あいさつ

2 経営委員による説明

  協会の基本方針、その他協会の運営に関する重要な事項について

3 意見の聴取

 (1) NHKの経営全般について

 (2) NHKの放送について

4 閉会あいさつ

 

 「視聴者のみなさまと語る会」終了後、「テレビの素顔 あさイチの舞台裏」と題して、柳澤 秀夫 解説主幹による講演会を開催した。

 

<概要・反響・評価>

  • 公募の結果、はがき、ホームページなどを通じて85名から参加の申し込みがあった。

  • 語る会には、49名が参加し、「経営全般」と「放送」の2つのテーマについて意見や提言を募った。

  • 参加者からは、「受信料制度」「さらなる経費節減」「公平公正な報道」「アナウンス力の向上」「NHKに望む番組」など、多岐にわたる意見や提言が寄せられた。

  • 語る会終了後に行ったアンケートには、48名から回答があった。主なアンケートの結果は次のとおり

    <参加者の満足度>
     「大変満足」12名、「満足」24名、「普通」9名 (未記入3名)

    <経営委員会の仕事について>
     「今回のイベントに参加して、経営委員会の活動について理解が深まりましたか」との質問に対し、「経営委員会の活動について理解が深まった」との回答が30名からあった。


◆協会の基本方針・重要事項の説明

 (美馬委員)

 初めに経営委員会の役割についてご説明をさせていただきます。
 経営委員会の役割は、放送法に明文化されており、NHKの経営の基本方針などの議決や、会長以下NHK執行部の役員の業務の監督など、NHKの経営に対して重い責任を負っています。
 こうした役割を持つ経営委員会の委員は、衆参両議院の同意を得て、内閣総理大臣より任命されます。
 委員の選任に当たっては、教育、文化、科学、産業、その他の各分野、および全国各地方が公平に代表されることを考慮しなければならないと放送法で定められています。
 委員の任期は3年で、再任されることもあります。定数は12名です。
 また、経営委員の中から監査委員が任命されることになっており、経営委員を含めた役員の職務の執行を監査する役目を担っています。現在、その監査委員は、上田委員、佐藤委員、森下委員の3名が務めています。
 そして、私ども経営委員が、ただいま申しましたような重責を果たすため、視聴者の皆さまのご意見を直接伺うことも放送法に定められています。
 本日は、皆さまからNHKに対する忌憚のないご意見をお聞かせいただく前に、経営委員が協会の基本方針や重要事項を説明することという定めもありますので、いま少しお時間をいただき、平成27年度から29年度、3か年のNHK経営計画、平成27年度収支予算および事業計画について簡単に触れさせていただきます。
 まず、平成27年から29年度のNHK経営計画です。
 NHKでは東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年を見据え、NHKが今後進むべき大きな方向「NHKビジョン 信頼をより確かに、未来へつなぐ創造の力」としてまとめました。
 世界から注目が集まる2020年に最高水準の放送・サービスを視聴者の皆さまにお届けし、より身近で信頼できるメディアとなることを目指します。そして、2015年度からの3か年を、このビジョンの実現に向けた第一ステップと位置づけ、経営計画として5つの重点方針を掲げました。
 重点方針の1つ目は、「判断のよりどころとなる正確な報道、豊かで多彩なコンテンツを充実」です。
 これは、公共放送NHKの根幹となる放送・サービスを視聴者の皆さまの幅広い期待やニーズに応えて充実・強化していくというものです。
 重点方針の2つ目は、「日本を世界に、積極的に発信」です。
 次期経営計画では、国際発信の強化に特に重点を置いて取り組んでいきます。情報の国際化が進む中、日本の政治、経済、社会、文化などの正確な情報を世界に届け、日本を正しく理解していただくことは、公共放送のとても大切な役割だと考えています。
 英語のテレビ国際放送「NHKワールドTV」は、「見たくなる国際放送」を目指して、ニュースや番組を充実・強化していきます。また日本の豊かな自然や文化、暮らしなどを積極的に世界に発信し、多くの方に日本の奥深い魅力を知っていただきたいと思っています。
 重点方針3つ目は、「新たな可能性を開く放送・サービスを創造」です。 パソコンやスマートフォンなど携帯端末でもNHKの情報や番組などに接していただくため、インターネットを活用したサービスを強化します。8Kスーパーハイビジョンについても先導的な役割を果たしていきます。
 重点方針4つ目は、「受信料の公平負担の徹底に向け、最大限努力」です。
 支払率80%、衛星契約割合50%の達成を目指し、受信料制度の理解促進活動に取り組むとともに、営業改革を一層推進し、過去最高の支払率の達成に努めます。
 最後の5つ目の重点方針は、「創造と効率を追求する、最適な組織に改革」です。
 放送・サービスの強化・充実を図るためには、創造と効率をともに追求する組織を目指す改革を進める必要があります。関連団体を含めたNHKグループ全体の業務体制改革を推進していきます。また、男性女性を問わず、多様な働き方ができる職場改革に努めてまいります。
 3か年の収支計画については、受信料を初めとする収入の増加を確保し、重点方針で取り組む放送・サービスの強化、そして放送センターの建て替えや2020年の東京オリンピック・パラリンピックなどの将来の備えに充てていきます。さらに業務全般にわたる見直しにより、経常経費を削減し、重点事項に充てていきます。
 以上が3か年経営計画の全体像です。今後は、この経営計画の着実な実行が何より重要です。経営委員会は、今後も執行部と協力して、よりよい経営の実現に向けて努力を重ねてまいります。
 3か年経営計画の初年度となります今年度の取り組みについても、簡単に触れさせていただきます。
 平成27年度は、2015年−2017年度経営計画の初年度として、5つの重点方針に沿った事業運営を着実に遂行していきます。事業収入は受信料の増収などにより、前年度の予算に対して201億円の増収となる6,831億円を見込んでいます。事業支出は国内放送・国際放送の充実、インターネットの活用やスーパーハイビジョンなどの新サービスの推進などにより、前年度予算に対し229億円増の6,769億円としています。
 以上により、事業収支差金は62億円を確保し、全額を東京渋谷の放送センターの建て替えなどに備え、建設積立資産に繰り入れることとしています。
 なお、平成26年度に過去最高となる受信料収入を確保したことなどにより、26年度決算の事業収支差金は、予算に対して306億円増の396億円となり、このうち386億円を建設積立資産に繰り入れました。
 放送センターの建て替えについては、現有地での建て替えが決まりましが、これから1年かけて建設基本計画を策定していくこととしています。
 経営委員会としては、国民の皆さま、視聴者の皆さまの十分な理解のもとで計画を進めることが重要であるという認識のもとに、建設基本計画が出た時点で収支を見直して直近の予算・事業計画から直ちにそれを反映し、執行部案を示すことを求めています。
 以上、平成27年度の収支予算、事業計画などについて触れさせていただきました。
 ただいま説明いたしましたNHKの3か年経営計画、27年度収支予算、事業計画を着実に実行するためにも、視聴者の皆さまからいただくご意見やご要望は、大変貴重なものと考えております。
 本日、仙台放送局にお集まりの皆さまから頂戴するご意見・ご要望は、私ども経営委員全員はもちろんのこと、執行部とも共有して、今後のNHKの経営に反映させてまいりたいと考えています。
 本日はどうぞよろしくお願い申し上げます。

 

 

《視聴者のみなさまからのご意見とNHK側からの回答》

 

第1のテーマ:NHKの経営全般について

【会場参加者】
 経営委員会のメンバーの中に監査委員がいることをはじめて知った。アクセルとブレーキを一緒に踏んでいるような感じがする。要するに、執行に対して、ある意味、経営委員がアクセルで、監査委員はブレーキであり、アクセルとブレーキが同じ委員の中にあるのは、奇異に感じる。

(本田代行)
 先ほど美馬委員からご説明しましたように、経営委員会というのは公共放送NHKの最高意思決定機関であると同時に、執行部の監視・監督機関でもあります。経営委員会が、さらに役員の職務執行の監督ができるようにすべき、ということで監査委員会ができ、監査委員は経営委員から任命されるということが放送法で定められています。
 ご発言は、一般企業の場合に監査役と取締役とは違うのではないか、という意味だと思います。監査委員会の監査後に、遅滞なく経営委員会に報告する義務があるというところは、通常の株式会社とは違うところですが、あくまでも監査委員も経営委員であり、経営委員会はいわゆる会長以下の執行部門に対しての監視・監督機関でもある、とご理解いただきたいと思います。

【会場参加者】
 けさの新聞に26年度の受信料支払率が75%と出ていた。イギリスでは95%程度、ドイツは96%の支払率とのことだが、NHKでは25%の方が受信料を納めていないことになる。80%の支払率を目指す背景についてお聞かせいただきたい。

(吉国専務理事)
 受信料制度は国によって異なっていまして、日本の場合、受信機を持っている人に対して契約を義務づけ、NHKがその方々と契約をし、その上でNHKが受信料を払っていただくという形になっています。 
 一方、ヨーロッパでは支払わない場合、罰則があるケースや放送局ではなく、別のところにお金を集めてもらっている形もあります。
 NHKの場合、26年度末の受信料支払率は、約76%であり、確かに4分の1近くの方が払っていないという状況ですが、地域別では、東北各県の支払率は全て80%以上で、一番高い秋田では97%までいっています。
 一方、都心部では、オートロックマンションなど、直接、受信者や契約者とお話ができないなどの制約があります。
 また、10年ほど前にNHKは大変な不祥事を起こし、そのときに不払いが一気に増えてしまったこともあり、そこから着実に支払率を上げていくよう努力してきました。毎年ほぼ約1%ずつ回復してきており、ここ数年を見ても、毎年60万件程度の新規契約をいただき、不払いになっていた方に払っていただくような努力をすることで、支払率が向上しています。
 3年後に支払率を80%まで向上させ、公平負担に近づけていくという努力をしているということをご理解いただきたいと思います。

【会場参加者】
 民放とは異なり、NHKは受信料を義務として集めているが、努力をしなくてもある程度のお金が必然的に入ってくるように感じている。NHK職員は、そういうことをきちんと理解しているのか。
 NHKにとって国民は株主のようなものであり、少しでも経営努力をして、無駄遣いをしないよう努力するべき。そして、受信料を値下げする努力をしていただきたい。
 また、何回か催促しても受信料を納めない人は給料から天引きするといううわさを聞いたが、実際はどうなのか。

(吉国専務理事)
 NHKが不祥事を起こした際に、大変な不払いが起きた経験から、受信料の重み、信頼を失ったときの怖さというものを実感しています。
 まずは、放送を通じて、NHKが視聴者の皆さまのお役に立つようにしていかなければならないと、全職員が一から出直す気持ちで奮起してきました。まだ十分とは言えないかもしれませんが、経費については無駄を省いていくための相当な努力をしてまいりました。その結果、支払率の向上によって収入が増加し、また、経費を抑制することで収支差金を捻出できるようになりました。その成果で、3年前には初めて受信料の値下げを行いました。そのような努力は、今後もずっと続けていかなければならないと思っております。
 現在の経営計画でも受信料支払率を80%にさらに高めていくということで、組織改革など、さまざまなことに取り組み、これからも支出を抑えていく努力を継続していきます。

(美馬委員)
 受信料は皆さまからいただいている貴重な資金ですので、業務を見直し、本当にこれで適切なのかという位にまで職員数を削減し、給与の引き下げなども行っております。経費削減という面では、これまでも受信料の引き下げもありました。執行部から、取り組みについて報告を受けながら、適宜、経営委員会もコメントしています。
 また、今年度からの経営計画を着実に実行し、より皆さまからの信頼を得るべく、コスト削減に向けた経営改革が必要であることを経営委員会としても、執行部に対して求めています。
 経営の執行状況についての報告を通して、経営委員会としても、皆さまの受信料で支えられているということを深く認識し、引き続き、経営削減に努めるよう執行部に対して申しており、これからもそういう形で見ていきたいと思っています。

(司会)
 受信料をお支払いになっていない方の、受信料の天引きの問題についてはいかがでしょうか。

(吉国専務理事)
 受信料をお支払いいただいていない方に対しては、NHKの公共放送としての意義をきちんと理解していただけるように説得していく、ことが基本です。
 最後の手段として、契約があっても受信料をお支払いいただいていない方に滞納部分をお支払いいただく、契約していない方には契約を求めるという民事訴訟を提起し、ほぼ、われわれの主張が受け入れられています。裁判に勝って、受信料を請求してもお支払いいただけない場合、最後のやむを得ない手段として、差し押さえという手段をとる事はあります。
 当然のことながら、会社の給料から天引きする権利は、われわれにはありません。裁判の手続きにのっとって対応しています。

【会場参加者】
 受信料に関する検討委員会についてお聞きしたい。以前から受信料の一種の税制化という話があったが、今回、自民党の小委員会で同じような話が出てきている。NHKとしては内部で別途委員会を設けて考えていくという話であったが、執行部はどう考えているのか。
 また、今後の受信料について、受信機設置に対して税金的な扱いをされるのか、それとも人に対してなのか、家庭に対してなのか、教えていただきたい。

(吉国専務理事)
 受信料支払いの義務化や徴収の仕方について、以前よりいろいろな勉強をしています。先日出された自民党の提言は、通信と放送の連携時代において、サービス・環境が変わってきた中で、現行の受信料制度でよいのか、という大きな問いかけだと思っています。
 NHKとしても現在の経営計画の中で受信料制度を見直すことを掲げており、経営委員会からも同様の指摘を受けています。今後、いろいろな議論をしていきますが、現在の放送法において、契約の義務を課されるのは受信機を持っている人であり、インターネットで流れているものについては、規定されていないなどの問題について、公平負担の観点から考えていかなければなりません。
 受信料は、もともと放送の対価として、見た分だけ支払うという形ではなく、NHKが公共放送の義務を果たすために必要なお金を皆さまに負担していただくという形であり、インターネットなど業務が広がっていく中で、どこまで公共放送として対応していくかを議論し、最終的にどういうあり方が一番よいかを考えていくものだと思います。
 諸外国の例で言いますと、例えばドイツでは、当初、パソコンやテレビなど、いろいろな料金体系を決めていましたが、現在では、世帯あたりで一律に徴収する形になっています。イギリスの場合は、受信許可料という形で受信機を持つ人から徴収しています。また、ヨーロッパの場合、日本とは異なり、インターネットで流しているものも同じ放送という扱いになっており、インターネットからも課金できるような形になっています。そういった部分も含めて、日本に最も適した制度を考えていかなければならない、ということだと思います。

(美馬委員)
 受信料の支払い義務化についてはいろいろな考え方があると思います。特に公平負担という観点では、お支払いいただいている皆さまからすれば、支払っていない人は、きちんと支払ってほしいという考えは、ごもっともであり、私もそのように考えます。
 現在、このような議論が起こってきたというのは、ひとつはインターネットが出てきたことがあります。私が日々接している学生の多くは、テレビを持っておらず、インターネットから情報を得ています。そういう人たちにどのように負担してもらうか、ということも今後考えていかなければならない問題だと思います。
 支払いを義務化し、税金のように徴収するべき、罰則を規定すべきなどいろいろな考え方について、どのような方式を採ると、どのような事が起こるのかを考える必要がある、と思います。
 義務化して罰則を設けた場合、公平かもしれないけれども、われわれがなにを失っていくことになるのか。「国営放送」と「公共放送」は異なります。「公共」というのは皆のものであって、皆で支えていくものだから、皆が意見を言えます。皆で「これはいいだろう、悪いだろう、この放送はもっとこうしてほしい」と皆で議論し、作っていくというものです。義務化した場合、どういうことが起こり得るのかを考えていくことも大事だと思います。
 放送は、私たちの生活に深く関わっています。特に、次世代を担う若者、子供たちの人間形成に大きな影響を与えるもので、出てくるさまざまな意見について、皆で考え、その中から選択していくべきだと個人的には思います。

(本田代行)
 受信料制度の問題について、いろいろな角度から検討していますが、制度改正については、かなり時間もかかると思います。まずは、現在の支払率の向上や、公平性の確保にどのように取り組んでいくか、が重要です。
 今、執行部では、現行の3か年経営計画の中で、受信料制度についてご理解いただくための活動に取り組んでいます。
 一方、通信と放送の融合が進む中で受信料制度はどうあるべきか、ということについては、今年度から3か年の間にNHK執行部において、調査、検討を進めるよう求めていますが、基本的には視聴者の皆さまの理解をいただかなければなりません。やはり、この問題は、大事な問題であり、国民、視聴者のご理解をいただくことを考えながら、現在、執行部で検討を進めていることをご報告しておきたい、と思います。

【会場参加者】
 私は安倍政権の放送への介入を許すな、ということを要望したい。
 安倍総理が民放の番組に出演した際、国民批判をかなり集中的に取り上げたことに対し、不快感を示し、NHKをはじめ各社に対し、公平・中立を求めるという通達を出したという。
 それぞれの放送局において局としてのポリシーがあるのは当然で、それに政権がクレームをつけるのはお門違いであり、NHKは、放送界のリーダーとして、このような通達は受け入れられない、と突き返すぐらいの気概が欲しかった。
 籾井会長が「政府が右というものを左というわけにはいかない」と発言したように、弱腰なスタンスにがっかりしている。政府の言うことをそのまま流すだけではとてもジャーナリズムとは言えない。
 「ニュースウォッチ9」のキャスターだった大越キャスターが原発再稼働に慎重な姿勢を見せたことが総理の意に沿わず、籾井会長に更迭を促した、という記事があった。これは、憶測だと思うが、日頃の総理や会長の言動から、この記事が事実であっても不思議ではない、と思う。そのような国民の疑念や不信につながらないよう、政府の圧力に屈せず、毅然としたスタンスで経営にあたっていただきたい。

(本田代行)
 放送法は、放送の不偏不党、真実および自律を保障することによって、放送による表現の自由の確保することを目的としており、NHK執行部もそのことを十分にわきまえて行動していると思います。
 今後ともNHKが公共放送として、放送法や番組基準を遵守しながら公共放送の使命を果たしていくよう、経営委員会としてもしっかりと監督してまいりたいと思います。

【会場参加者】
 非常に細かいことであるが、経営計画のパンフレットが非常に立派で、金がかかり過ぎている、と思う。こういうことにもっと節約していくべきではないか。

(吉国専務理事)
 ご意見については、これからの参考にさせていただきます。

【会場参加者】
 籾井会長の罷免・辞任を求める声が全国に広がっている。会長就任以降、政府の広報機関のような報道姿勢が目立つ。
 政権寄りの報道への抗議のためNHK放送センターを約1,000人の市民が包囲し、2,000人以上の退職者有志が会長罷免を求めている。この事態を経営委員会はどのように受け止めているのか。また、タクシー問題など、コンプライアンス上の問題としてどのように捉えているのか。

(本田代行)
 今、ご質問がありましたようなご懸念持たれているということは、大変残念なことです。受信料で成り立つ公共放送NHKのトップの言動は、大変大きな影響力があり、その点は深く認識する必要があると思っています。
 会長には公共放送のトップとしての責任を再確認し、さまざまな意見に対して、これまで以上に誠意を持って対処するよう、経営委員会として申し入れています。経営委員会としては、今後も引き続き、会長以下執行部が放送法に定められているNHKの使命を十分に果たせるよう、監視・監督をしていきたいと思っています。
 タクシー問題については、自身の支払いの最終確認をしていなかったことで、公私の区別をきちんとすべきであり、その旨を伝えています。

【会場参加者】
 支払い義務化について、2007年から先送りされているという話であり、8年も経過している。そもそもNHKが法律の改正を求めるべきであり、そうすれば国民も視聴者も納得する。もしそれが成立しなければ、当然それは応援する側に回るはず。
 例えば、全ての受信可能機器に対し、0.1%でもいいから賦課金を設定すれば、受信料の税金化という話は出てこず、徴収する手間もかからない。法律によって、そのようなこともできるはずであり、10年先、20年先の放送についての責任を持って提案していただきたい。

(美馬委員)
 受信料の収納について賦課金を設定することは、メリットもデメリットもあると思います。
 いろいろなやり方がある中で、NHKの中でも受信料制度の改定について検討を始めており、「インターネットの同時再送信」という、「放送と通信の融合時代」に入ったという世界の潮流に遅れることなく、放送事業全体のいっそうの発展に向けて積極的な役割を果たすためには、どうあるべきか、ということを議論しています。
 どのような課題があって、公共放送としてどのような対応をしていけばよいのかということは、法改正も含めて研究し、提案を進めていくことが経営委員会として、これからの3か年の課題であると考えています。

【会場参加者】
 本日配付された「視聴者のみなさまと語る会」のプログラムに、「語る会」の内容が記載されていない。本来は、期日、出席者の次に内容が書いてあるべきであり、さらに第1部に「語る会」、第2部に講演会と、2部構成であることを記載すべき。物事をきちんと分けて筋道立てて考えずに進め、堂々巡りをしているため、私たちはこのようなミスをし、何年たっても進化しない。上司が、部下がつくったものに対して、「こうしたほうがわかりやすいし、的確でないか」という指導を行い、その結果、よりよいものが提供できる。
 日本とドイツの受信料の支払率が異なるという話や、ドイツの制度が違うという発言があったが、きちんと基準が統一されていない中で数字を比較しても意味がない。これは経営の根幹であり、常に構造化を図る、文字化をするということによって違いや問題点がはっきりわかる。そこが日本人の一番のウイークポイントだと思う。
 もう1点、用語に整合性がない。経営計画の資料に「公正・公平で正確な報道」とあるが、別のページでは「正確・迅速な報道」と変わっている。NHKの経営計画とあろうものが、ここに整合性がないということはいかがなものか。

(美馬委員)
 参考にさせていただきたいと思います。
 特にプログラムについてのご指摘はおっしゃるとおりで、1部、2部という構成で分けるべきだったと思います。次回以降、ぜひ参考にさせていただきます。
 経営計画資料については、公共放送の原点を堅持するということについて、ジャーナリズムの役割として「公平・公正で正確な報道」とあります。また、「正確・迅速な報道」というのは、国際発信とインターネットによる情報発信を強化することで、さらに迅速な報道を行っていく、ということで使っていると思われます。

 

 

第2のテーマ:放送について

【会場参加者】
 私は子供の頃から物の呼び名と人間の呼び名について厳しく言われて育ってきた。例えば、人間が多いときは「大勢」と言い、物は「たくさん」と言いなさいと、厳しく言われてた。
 しかし、全国のニュースなどで、NHKのアナウンサーの半分は区別しないで話しているように思う。子どもたちは、NHKのアナウンサーが言ったことを正しいものと受け止めるという意味でも、大事な発言だと受け止めている。
 アナウンサーは、いろいろな研修や教育を受けていると思うが、正しい標準的な言葉を使い、日本を正しい方向に持っていっていただきたい。

【会場参加者】
 私は、こよなくラジオを愛しているが、NHKのアナウンサーの国語力が落ちているのではないか、と感じている。例えば「一番最後」という表現はおかしいのではないか。最後は一番、最初も一番であり、一番最後、一番最初と言う必要はない。
 また、ニュースでは、最初にニュースの主題を言ってほしい。例えば、TPPの問題であれば、まず「TPPについて」と言ってほしい。そうすることで、「これはTPPの問題かな」と、すぐにわかる。

【会場参加者】
 政権寄りの報道が多数見られる。安全保障関連法案や戦後70年談話の放送内容は、政府側の主張や見解をできるだけ効果的に伝えようとしている一方、政権への批判を招くような事実や批判の言論、市民の反対運動を極力報じないという放送内容が目立った。解説についても、問題点や欠陥に踏み込まず、内容を伝えることに終始した。
 特に法案に反対する国会前のデモについての報道では、民放各社が詳しく集会の様子を伝えたのに対し、NHKは極めて小さな扱いであり、戦後70年談話では、総理の談話説明に番組のほとんどの時間を充て、批判意見などの紹介は非常に短い時間だった。これは放送法第4条に明らかに違反しているのではないか。
 放送事業者は、自律して、権力を監視する機能が求められるが、受信料で成り立つ公共放送NHKは、いっそう権力からの独立と国民の知る権利に応える責任があると思う。ぜひ国民の期待に応えていただくよう、期待している。

(司会)
 私、30年間アナウンサーをやってまいりましたが、ことばというのは、時代に応じて変わるものだということを感じています。先ほどのご意見は、ご幼少のころのお話があって、それがずっとベースとして残っていらっしゃるものと思います。
 言葉が時代に応じ、また、視聴者の方の反応も随分と変わってきています。「たくさん」「大勢」に限らず、いろいろな話をする中で、視聴者の方から、ご指摘をいただきます。NHKには、用語委員会といういろいろな言葉について判定するセクションがあり、私たちは、現在のNHKの言葉についての指針がどうなっているのかについて判断を仰ぎながら、アナウンサーによって対応が異なることがないよう、日々取り組んでいます。ただし、全国に500人程いるアナウンサーに細かいことまで徹底できているのか、と言われると、「100%できています」とは言えないのも現状です。このようなご意見があったことを私も宿題として持ち帰り、後輩たちにも伝えていきたいと思っています。
 日々、精進は続けているということをぜひご理解いただき、至らない点については、真摯に反省し、今後に生かしてまいりたいと思っています。

(板野専務理事)
 この「視聴者のみなさまと語る会」には、何度も出席をさせていただいていますが、アナウンサーの言葉遣いの問題については、よくご指摘をいただきます。
 日々、私どもが放送に使っている日本語の言葉遣いについて、放送文化研究所という研究機関でも研究をしており、できる限り間違いを犯さないよう日々努力を重ねているところです。
 先ほどご指摘があったような、「大勢」と「たくさん」の言い方の違いといった問題など、いろいろなご指摘を真摯に受け止め、時代によって少しずつ変遷するということも取り入れながら、現時点での正しい日本語をお伝えできるよう、努力を続けてまいりたい、と思います。
 お二人目のご意見について、ラジオを聞いていただいているとのこと、大変ありがとうございます。ラジオは、「安心ラジオ」というキャッチフレーズで、東日本大震災以降、いざというときは、ラジオの放送が人の命を守る、皆さま方の安全・安心を確保するために大変重要である、という位置づけで取り組んでいます。
 私が入局しました昭和52年には、テレビ放送が本格的に始まっており、テレビが中心になってきた時代でした。それ以前は、最初はラジオが中心、その後テレビが中心、とラジオとテレビの位置づけは徐々に変わってきました。ご意見は、NHKがテレビ向けにつくっている原稿の限界というもののご指摘であったと思います。
 テレビでは、先に文字がアナウンサーの後ろに出て、同時にアナウンサーが口頭で伝えても、違和感なく受け入れられると思いますが、ラジオでお聞きになっている方にとっては、周りくどく感じる、主語が全然出てこない、といったご指摘があろうかと思います。
 このような問題の両立を図るのはなかなか難しく、テレビをご覧になっている方からすると、ラジオ用の原稿は逆に「まどろっこしい」というご指摘もあるのではないか、と思います。われわれも、ラジオを中心にお聴きになっている方のこともよく考えながら、取り組んでいきたいと思っています。
 また、今後は、インターネットによる放送展開も徐々に広がっていくことになると思いますが、そのような場合の放送上の表現についても、いろいろ考えていきたいと思っています。
 最後の方のご質問ですが、私どもとしては、放送法にのっとった公平・公正な放送を常に心がけています。政治上の諸問題については公平公正、自主自律を貫き、何人からの圧力、働きかけにも左右されることなく伝えることにしております。NHKでは年2回、視聴者を対象に14の観点から調査を行っており、ことし1月の調査では、公平・公正についておよそ8割の方から「実現している」という評価を頂戴しています。引き続き、事実に基づいて公平公正な姿勢を堅持してまいります。

(安齋理事)
 毎月「この表現はおかしいのではないか」など、さまざまなご意見が寄せられますが、ご意見を集約し、言い間違いや、誤った使い方などが再発しないよう担当者などと共有しています。
 また、アナウンス室では間違いやすいものの言い方や、用語の使い方を集めて全国のアナウンサーに資料で配付したり、テストを行うなど取り組んでいます。職員のアナウンサーだけでなく、各放送局で一緒に働くキャスターにも同じようなことをするように努力しており、皆さまからご指摘していただいたご意見を一つ一つ解決していきたいと思っています。

(美馬委員)
 本日、何人かの方の発言で、「放送法」という言葉が出てきました。私が経営委員になってから、なぜこの法律があるのか、どうしてこの法律ができたのかということを知るために、いろいろ調べてみたところ、放送法制定に携わった荘宏さんという方が1963年に書かれた著書を見つけました。法律をつくる方がどれだけのことを考えて、一つ一つの条文をつくっていったのかを知ることができました。
 その中には、放送と国家権力、国権が関与することがどういうことなのか、表現の自由と公共の福祉、放送における表現の自由など、どういうところに留意すべきか、ということが一つ一つ書かれており、そのためにこれらの条項があるということ、戦後民主主義のあり方に深く放送がかかわっているからこそ、国民に対して積極的に情報を提供していく必要がある、ということが書かれています。いろいろな意見があることを知り、自分たちで判断し、参加していくことが民主主義国家をつくっていくことにつながるという思いが、法律をつくってきた人たちの中にあらわれています。
 また、「なぜ公共放送になったのか」「なぜ受信料制度という制度をつくったのか」ということも書かれており、とても感銘を受けました。今ここで議論になっているようなことが、当時から想定され、法律で押さえている、ということがわかりました。
 ただし、その中には、時代が変わっていくことによって、そぐわなくなってきているところもありますが、原点を見たような気がしています。

【会場参加者】
 大河ドラマがマンネリ化してきた気がする。繰り返し時代劇をやればいい、というような印象を受け、バラエティー番組については、質が落ちたような気がする。
 若者を意識し過ぎているためか、「LIFE!〜人生に捧げるコント〜」は、このような番組がなぜNHKでできたのか、と驚いた。朝の番組のMCを歌手が務めていること、内容にも「朝からこんなこと話さなくても」と思うことがある。そういうことで、視聴率が落ちている番組がたくさんあると思う。なぜ視聴率が落ちたのか、ということを検証し、次の番組制作に生かされているのか、ということを聞きたい。

(安齋理事)
 どのような方がどのような支持をされたのか、どのような批判があったのか、ということを見ながら次の番組の検討をしています。
 ただし、先ほどのご意見にあったような「LIFE!〜人生に捧げるコント〜 」などは、ご批判がある一方で、広い世代からの支持も大変に大きく、賛否両方のご意見をよく聞いて、判断していきたいと思っています。今の段階で、極端に品が悪い、視聴者の支持を受けていないとは考えていません。
 また、視聴者の方にどのように受け止められているのかというインタビューや、世代別の視聴率、どのような発言をした際に視聴をやめたのか、などがわかる分析などを参考にしています。

(板野専務理事)
 大河ドラマのマンネリ化のご指摘は、われわれも非常に耳が痛いところです。時代劇の、テーマにも限りがあり、戦国時代の有名な武将ばかりではなく、「軍師官兵衛」など、あまり知られていない方を取り上げるなど、制作現場も大変苦労しているところだと思います。
 これまでも、いろいろなテーマの大河ドラマを扱ってきましたが、まだまだ皆さまに見ていただけるような大河ドラマをつくる余地はあると思っています。また、大河ドラマは、地域振興という意味からも、地域の方から要望の強いものです。「独眼竜政宗」は、NHKで大河ドラマで最高の視聴率となった成功例ですが、それに匹敵するものをつくるのが難しいということは承知しながらも、努力をして、多くの皆さまに見ていただけるようなものを制作していきたい、と思っています。

【会場参加者】
 民放を見ているかのような番組が非常に増えてきている。私がずっと聴いている「音楽の泉」のような番組が少なくなってきているのではないか。視聴した後、豊かな気分になるような番組をつくっていっていただきたい。
 また、仙台放送局の「てれまさむね」というタイトルの番組があるが、このような変わったタイトルの番組はなかなかないような気がする。

(板野専務理事)
 民放化しているのではないかという批判は、私もこの「視聴者のみなさまと語る会」に参加させていただくと、よくご指摘をいただきます。
 決して民放のまねをしているつもりはありませんが、恐らく、NHKらしくない演出の仕方などが最近多いのではないか、というお気持ちをお持ちの方がいらっしゃることと思っており、ご指摘は大変重く受け止めています。
 先ほどご指摘がありましたように、今回の大河ドラマは、あまり視聴率がよくありません。見ていただく努力はしなければならない、と思っています。例えば、大河ドラマや朝の連続ドラマ小説のように、幅広い視聴者の方に見ていただく番組もある一方、教育、教養番組などは、視聴率がどうであろうとも放送しなければならない、と思っています。
 私は、制作現場に携わっている人たちにNHKらしさを失わないようにしながら、見ていただけるような質の高いものを生み出す必要があると言っています。
 民放は、視聴率を獲得するため、必死に試行錯誤しています。最近、日本テレビが好調ですが、非常にまじめに番組をつくっていながら、多くの家族の方々に見ていただける番組の開発に成功している例もあります。われわれもそうした例を参考にしながらも、NHKらしさを失わないような番組を制作していきたいと思っています。

(西村放送局長)
 「てれまさむね」は、夕方6時10分から59分まで放送しているニュースを中心とした情報番組です。タイトルは、私が仙台局に来るずっと前からだと思いますが、恐らくテレビと伊達政宗を融合させたネーミングとして、仙台の方になじみやすいということで付けられたタイトルだと思います。
 同じタイトルで10年以上前から続いていると思いますが、全国でもこれだけ長い間、同じタイトルで放送しているニュース番組があるかどうか、というほど長く続けられ、親しまれている番組だということを認識し、引き続き、このタイトルでニュースを続けているところです。

【会場参加者】
 私は、台湾出身で結婚してこちらに来ており、視聴時間の8割以上、NHKを視聴している。「LIFE!〜人生に捧げるコント〜」も毎週見ており、大変おもしろい、と思っている。
 また、字幕機能を常に用いているが、字幕機能に対応していない番組がある。字幕機能の有無の基準について知りたい。

(安齋理事)
 「LIFE!〜人生に捧げるコント〜」へのご支援をいただき、ありがとうございます。いろいろなご意見があり、後期からお休みに入っていますが、どのようにしたら、より皆さまに支持していただけるのかを考え、次の機会をうかがっていますのでご期待ください。

(板野専務理事)
 字幕放送については、ここ10年間で、一貫して拡充する方針で取り組んでいます。3か年の経営計画の中でも、字幕放送の強化を盛り込んでいますが、全ての番組で対応するという状況には至っていません。特にニュースについては生放送で、事前に準備をすることが難しいケースもあります。現在は、東京を中心として拠点局をベースにしてニュースへの字幕放送の付加というものを広げてきているところです。

(西村放送局長)
 仙台では、ニュースにも字幕がついています。

(板野専務理事)
 災害発生時の緊急報道の際には、字幕をつくる時間的な余裕がないということは、まだまだ課題であると考えています。また、国会中継などについても正確を期さなければならないという関係もあり、まだまだ着手できていない部分が多いことは承知しています。
 また、読み上げる速度を少し緩くできるようなシステムを考案して、お年を召した方々に聞きやすい手法の試みに取り組むなど、引き続き努力していきたいと思います。

【会場参加者】
 NHKが民放化しているという意見があったが、NHKの本質は、ドキュメンタリーやヒューマンヒストリー、教養番組だと思うが、そのような番組は、充実しており、感謝している。
 政治的公平性の問題については、選挙報道放送などを見ていると、自由民主党に多くの時間をとっているが、選挙の立候補者数に比例しているという観点からいえば、私は公平だと思っている。国会中継も、政党の議席数に比例して質問時間が配分されていると思うので、私は公平だと思っている。
 また、賛成・反対の意見があるニュースについては、最初に反対の意見を取り上げた際は、反対派に重きを置き、賛成多数の報道の際は賛成側に重きを置いていると感じており、それなりに配慮していることに感謝申し上げたい。

【会場参加者】
 新幹線の中で焼身自殺をしたという事件について、民放では、乗客が煙の中を脱出している状態や、緊迫感のある報道がされていたが、NHKではその時点で緊迫した状況の報道はなかった。組織規模が大きいNHKには、もっと詳しく迅速な報道をしてほしかった。そのような場合、危険な場所には記者を派遣しない、などの判断があるのか。

【会場参加者】
 国会中継の延長などで、もともとの番組の放送を中止する場合、別のチャンネルでもともとの番組を放送することができれば、両方楽しめるのではないか。

(板野専務理事)
 ドキュメンタリーやヒューマンヒストリー、教養番組は力を入れており、「ファミリーヒストリー」という新しいシリーズ番組は、大変好評なご意見をいただいていますので、ぜひ今後ともご覧いただきたいと思います。
 国会中継や国会討論などにおける少数政党などの取り扱いについては、政治的な公平性を担保しながら、国政への参加の実態や議席数などを勘案し、自主的に判断しております。少数政党の主張や活動についても適宜取り上げており、「日曜討論」などには、基本的な基準があり、その基準に基づいて放送時間枠なども考慮しています。
 新幹線の中で焼身自殺を図った事件は、確かにご指摘のとおり民放が大変迫真に満ちた映像を撮っていました。あれは、たまたま車両に乗り合わせていた民放の記者が、スマートフォンでその映像を撮って早速中継したということです。
 ただ、NHKも別に手をこまねいているわけではありません。例えば先日の茨城県の河川氾濫のときは、ヘリコプターから大勢の方が救助される映像を、いち早く放送いたしました。東日本大震災をきっかけに、全国的にヘリコプターのネットワークを強化しているところです。
 東日本大震災の際の津波の映像は、大変心の痛む映像でしたが、NHKしか撮っていなかった映像が世界に配信され、東日本大震災の非常に厳しい被害の現状が世界に伝わりました。いろいろな反省点はありますが、そうしたことをきっかけにヘリコプターの取材網を拡充し、この間の洪水被害でも役に立ったと思っております。
 ただし、緊急報道については限りがありません。世界の各地で、われわれの想像を絶するような災害が起こっており、そうしたものに対応するためにも、緊急災害報道について、さらに力を入れて取り組んでいきたいと思っています。

(美馬委員)
 現場に居合わせた一般視聴者の方がスマートフォンで撮った映像をNHKに投稿し、その映像をニュース番組などで利用する「スクープBOX」というシステムがあります。

(板野専務理事)
 一般の視聴者の方が撮影した映像をNHKに投稿していただけるようなシステムを構築しています。
 先日、東京・調布市の飛行場で軽飛行機が墜落した際も、墜落直後の映像を視聴者の方々から提供していただき、すぐに放送に出すということもできました。皆さま方も何かそういう現場に遭遇された際は、NHKのことを思い出していただいて投稿していただければ大変ありがたいと思っています。
 また、国会中継の延長により、楽しみにされていた番組がご覧になれなかったことは申し訳なく思っております。
 ただし、別のチャンネルで放送できないのか、というご指摘は、参考にさせていただき、考えていきたいと思います。

【会場参加者】
 多くのタレントやスポーツ選手、文化人がいる中、「ためしてガッテン」などの長寿番組に同じメンバーがゲストとして何回も出ている。もっと多様なゲストを登用してほしい。
 また、テレビでの野球中継について、カメラワークの工夫、努力をしてほしい。例えば、当日の試合のメンバー表を映す、審判の名前をしっかり放送するなど、工夫してもらいたい。また、取材したことを中継の中でもっと取り上げてほしい。
 若いアナウンサーは、優秀で経験豊かなアナウンサーからもっと勉強するべき。また、スポーツでも正しい日本語で放送すべき。

(安齋理事)
 「ためしてガッテン」は長寿番組ですが、今までに4回ほど工夫を重ね、リニューアルしてきた結果が今の長寿につながっていると思います。そういったところを評価していただき、ありがとうございます。
 ゲストについては、持ち帰って相談してみます。また「ためしてガッテン」をさらに強力にしていこう、という計画も進めていますので、今後とも注目していただきたいと思います。

(板野専務理事)
 野球中継のご指摘はごもっともだと思います。
 CMがないということは長所ではありますが、その分工夫しないと、見ていただく方が途中でチャンネルを替えてしまうことがあるかもしれません。そこで今、いろいろと工夫を凝らすように準備をしております。
 例えばデジタル技術が非常に発達したことで、ボールの飛んでいく軌跡を画面の上で示す、カーブやシュートなど球種を画面で示す、サブチャンネルで選手の裏話なども含めた情報提供を行うなど、いろいろと野球中継の工夫を進めているところです。
 ここは東北楽天ゴールデンイーグルスの本拠地でもありますので、野球に関心を持たれている方はたくさんいらっしゃると思います。そういった方のご期待にも応えられるように、いろいろと工夫していきたいと思います。

(安齋理事)
 若いアナウンサーについてのご指摘について、努力していきたいと思っています。
 これまでも若いアナウンサーが、しっかりした日本語や放送技術を身につけるために鋭意取り組んできましたが、なかなか思うような成長に結びつかないのも事実です。実際には、各地方の放送局でも先輩アナウンサーが若いアナウンサーを指導する、東京のアナウンス室でも直接指導する、各地方局の若いアナウンサーが東京の「あさイチ」などの番組に来てリポートを行い、改善点についてアドバイスするということをアナウンス室を挙げて取り組んでおり、ぜひ、改善していきたいと思っています。

(司会)
 きょうはアナウンサーについてもたくさん厳しいご意見をいただきました。より厳しく指導していきたい、と思っています。ありがとうございます。

【会場参加者】
 きょうの参加者に若い方が少ないことに少し寂しい気がした。高齢者である私があえて若い人を代弁して申し上げたい。
 NHKの番組で取り上げる内容は、高齢者の問題が非常に多く、若い人の問題を深く取り上げたような番組が比較的少ないと思う。
 特に問題意識を持つのは、選挙法改正で選挙権が18歳以上の人になったが、今まで若い人の投票率は非常に低い。若い人たちも目を向けるような放送をお願いしたい。

【会場参加者】
 ニュースで平均株価や為替レートが表示されるが、誰が使うのか。平均株価と株主は関係なく、株主は特定の会社の株価にはかかわるが、平均株価は知ったことではないはず。先物取引についても、実際使っている人はどのくらいいるのだろうか。そろそろ考え直してもよいのではないか。
 それから、天気予報の最後に東北地方の風向きが表示されるが、地上何メートルでの風向きや風速なのかといった表示がなく、どういった目的で紹介しているのかがわからない。目的も吟味した上で本当に必要なものを続けることにしたらどうか。
 また、野球中継の中で、選手が唾を吐いているところなどは、モザイクをかけるべきではないか。子供たちが見ていたら、まねをして唾を吐くようになる。

(板野専務理事)
 NHKは、なかなか若い人に見ていただけないという悩みがあります。例えば59歳以下の方々の視聴率をとると、NHKの番組はベスト100の中にほとんど入らないような状況です。この場に来ていらっしゃる方も比較的高齢の方が多いわけですが、高齢の方々に見ていただいているという特質は生かしながらも、若い方にも見ていただくような番組を制作するために、いろいろと考えているところです。
 また、18歳に参政権が引き下げられるということに伴い、仮称ですが「プロジェクト18」という形で、若い方々に向けた政治に関する話題や経済、社会に関する話題を伝えていく試みを、来年度に行っていこうと考えています。
 プロ野球の試合中の選手が唾を吐く映像については、特に大リーグでよく見られます。ただ、全部にモザイクをかけるのは技術的に難しいのではないかと思います。しかし、余り品のないシーンをたくさん映すというのは、問題であると思いますし、若い方に影響するというのは、全く本意ではありませんので、なるべく映さないよう現場と話をしたいと思っています。

(司会)
 たくさんご意見やご質問をいただきましてありがとうございました。残念ながらここで時間が来てしまいました。ここで締め切りとさせていただきます。では、本日最後にこの会全体を通しての感想を経営委員より申し上げます。

(本田代行)
 本日は、大変貴重なご意見、またご要望をお聞かせいただきまして、まことにありがとうございました。経営委員として、視聴者の皆さまとの結びつきをよりいっそう強め、ご意見やご要望を適切に事業運営に反映させていくこと、そして、地域の視点に立った業務は大変大事だということを改めて強く感じた次第です。
 頂戴しましたご意見やご要望は、私ども2人の経営委員に限らず、経営委員全員と共有して執行部とも協力しながら、今後のNHKの経営に反映させていきたいと思います。本日はどうもありがとうございました。

 

 

 

<視聴者のみなさまと語る会in仙台>参加者当日アンケート

※全表の単位はすべて人数

質問1:性別

男 性 女 性 未回答
24 19 5

質問2:年齢

30代 40代 50代 60代 70代 80代 90代 未回答
2 2 9 8 20 5 1 1

質問3:今回のイベントを何でお知りになりましたか(複数回答)

放送(テレビ) 放送(ラジオ) ホームページ 新聞 知人 その他 未回答
20 2 9 21 0 2 1

質問4:今回のイベントに参加していかがでしたか

大変満足 満足 ふつう 不満 大変不満 未回答
12 24 9 0 0 3

質問5:一番印象に残ったコーナーはどこでしたか(複数回答)

経営重要事項 経営など全般 放送について 講演会 特になし 未回答
6 16 17 22 2 6

質問6:NHK経営委員会の仕事を知っていましたか

よく知っていた 知っていた 知らなかった その他
2 21 25 0

質問7:今回のイベントに参加して、NHK経営委員会の活動について理解が深まりましたか

理解が深まった 特に変わらない わからない その他 未回答
30 12 2 3 1

 

 

<アンケートに寄せられた主なご意見>

 

経営全般について

  • 経営委員が監査委員を務める構造が理解できなかった。
  • 会長に関する意見について、奥歯にものが入ったような回答で不満。
  • 経営委員は、会長に対してもっと意見を具申してほしい。
  • 会長は問題があると思う。
  • 会長の数々の問題発言について、視聴者の立場から意見を言う場がほしい。
  • 経営計画の冊子は、すばらしい出来栄えだ。
  • 収支予算で給与が前年度マイナスになっているが、職員の士気の低下につながらない配慮が必要。

 

放送について

  • もっとローカル番組の充実を心がけてほしい。
  • アナウンサーは、街の中に出て、地元の人と交流の機会を増やすべき。
  • 宮城県の気象情報について、チャートの表示をもっと進化させてほしい。
  • ラジオの語学番組は非常に充実している。
  • 紅白歌合戦は、歌唱力のある歌手や今年ヒットした歌、老若男女バラエティーに富んだ人達を選んでほしい。
  • 若い世代をひきつける番組を制作し、脱高齢者を図ってほしい。
  • 子どもたちが、より平和な時代に生きていけるよう、NHKの報道が参考になるようにと思う。
  • 子ども向け番組を充実させれば、大人になってもNHKを大切にすると思う。
  • できる限り、全ての番組に字幕機能をつけてほしい。
  • 番組出演者には、それなりの服装で画面に出てほしい。
  • 再放送番組が多いのはなぜか。
  • 多くの意見を聞いているというが、否定する意見も聞けているのか。
  • 放送直後に質問や意見をどこに言ったらいいのかわからない。
  • 料理番組の出演者は、正しい箸の持ち方をしてほしい。
  • 番組が放送に至るまでの皆さんの努力に改めて感謝。
  • 受信料で成り立つ公共放送NHKは、今以上に「権力からの独立」、 国民の「知る権利」に応えていただきたい。
  • 視聴者は、このように色々と考えながらNHKのテレビ、ラジオ放送を視聴している、ということを考えて、番組を制作していただきたい。

 

運営、その他について

  • 知らないことが多かったが、会に参加してよく理解できた。
  • 様々な意見やNHKの姿勢を聞くことができ、参加してよかった。
  • 知りたいと思うことが多く、とても参考になった。
  • 皆さんの意見を聞いて、とても考えさせられた。
  • 参加者の年齢が高かった。若者の意見を聞きたかった。
  • 皆さんのNHK愛を感じる会だった。
  • 質問に説得力のあるものが多くあった。
  • 厳しい質問や意見が出ることは、それだけ愛されているのだと実感した。
  • 視聴者の意見は千差万別であり、意見に全て同意するものではなかった。
  • 論点についてもう少しつっこんだやりとりや議論がほしかった。
  • 政権等についての質問に対して、具体的回答がなかった。
  • 経営委員、執行部の誠実な答え方が印象に残った。
  • 経営委員や執行部と直接話し合いができることは、大変良い事だと思う。
  • 回答者の真摯な語り口に感銘した。
  • 内容的には満足だったが、時間が短すぎる。
  • 事前のアンケートを募ったのであれば、アンケートの質問に対する回答がほしかった。
  • NHKは、時間厳守であるべき。
  • これからもNHKらしさを失わず、頑張ってほしい。
  • 今までのスタンスで結構。
  • 案内が親切でよかった。
  • 新しい仙台放送局はいつできるのか。
  • 東京、大阪のようなホールを仙台にも建設してほしい。
  • 新しい仙台放送局には、高齢者用の駐車場を設置してほしい。
  • 一般の人にNHK側から意見を求める機会をもっと設けてみてはどうか。
  • NHKは進化し続けている。すばらしい放送を続けてほしい。
  • 視聴者が多様化するなか、更なる努力を。