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平成26年度 第1回
視聴者のみなさまと語る会〜NHK経営委員とともに〜in佐賀
(平成26年4月19日開催)

 

<会 合 の 概 要>

 「経営委員会による受信者意見聴取」の平成26年度第1回は、佐賀放送局で実施し「経営全般」「放送」の2つのテーマで公募による22名の視聴者のみなさまからご意見を伺った。

 

<会 合 の 名 称>

視聴者のみなさまと語る会〜NHK経営委員とともに〜in佐賀

 

<会 合 日 時>

平成26年4月19日(土) 午後2時〜午後4時10分

 

<出  席  者>

〔視聴者〕

公募による視聴者22名

〔経営委員〕

石 原   進  (委員)

 

美 馬 のゆり  (委員)

〔執 行 部〕

堂 元   光  (副会長)

 

上 滝 賢 二  (理事)

 

緒 方 浩 之  (佐賀放送局長)

〔司 会〕

野 村 正 育  チーフ・アナウンサー

 

< 会    場 >

 NHK佐賀放送局 2階スタジオ

 

< 開 催 項 目 >

 以下のとおり進行した。

 

1 開会あいさつ

2 経営委員による説明

  協会の基本方針、その他協会の運営に関する重要な事項について

3 意見の聴取

 (1) NHKの経営全般について

 (2) NHKの放送について

4 閉会あいさつ

 

 「視聴者のみなさまと語る会」終了後、「大河ドラマ『軍師官兵衛』制作の舞台裏」と題して、ドラマ番組部の中村高志チーフ・プロデューサーによるトークショーを開催した。

 

<概要・反響・評価>

  • 公募の結果、はがき、ホームページなどを通じて計40名から参加の申し込みがあり、全員に案内を送付した。その際、参加者の意見把握と参加意志確認のために事前アンケート調査を実施したところ、24名の方が参加すると答えていた。当日は22名のみなさまが来場された。なお、事前アンケートで寄せられた意見などについては、とりまとめて当日、参加者へ配付した。

  • 「経営全般」と「放送」の2つのテーマを設定し進めた。「会長の発言や辞表取り付け」に関する意見や、「職員の給与」「受信料の公平負担」「番組の民放化の問題」に関する意見等、多岐にわたる意見や提言が寄せられた。

  • 終了後、意向集約のアンケートを行ったところ20名の参加者から回答をいただいた。

  • 参加者の満足度については、「大変満足」6名(30.0%)、「満足」7名(35.0%)、「普通」3名(15.0%)、「不満」2名(10.0%)、という回答で、未記入が2名(10.0%)あったが、「大変不満」という回答は無かった。

  • また、回答者の40.0%にあたる8名の方が「経営委員会の仕事を知らなかった」としていたが、「語る会」の終了後は「よく知っていた」「知っていた」と答えた方も合わせて60.0%にあたる12名の方が「経営委員会の活動について理解が深まった」と回答した。


◆協会の基本方針・重要事項の説明

(石原委員)
 経営委員の石原でございます。
 22年12月に任命されまして、現在2期目を務めております。若干固い話でございますが、ちょっとお耳を貸していただきたいと思います。初めに、私ども経営委員会の役割についてご説明いたします。
 経営委員会の役割は、放送法に明記されておりまして、NHKの経営の基本方針などの議決や、会長以下、NHK執行部の役員の業務の監督など、NHKの経営に対して重い責任を負っております。こうした役割を持つ経営委員会の委員は、衆参両議院の同意を得て内閣総理大臣より任命されます。委員の選任に当たっては、教育、文化、科学、産業、その他の各分野及び全国各地方が公平に代表されることを考慮しなければならないと、放送法で定められております。委員の任期は3年でございます。再任されることもあります。
 また、経営委員の中から監査委員が任命されることになっており、経営委員を含めた役員の職務の執行を監査する役目を負っています。現在その監査委員は、常勤委員でもあります上田委員、そして、室伏委員、弁護士の渡委員の3人が務めております。
 次に、経営委員からの意見聴取でございますけども、私ども経営委員がただいま申しましたようなそういった責任を果たすために、視聴者の皆様のご意見を直接伺うことも定められております。本日はその機会として、皆様からNHKに対する忌憚のないご意見をお聞かせいただきたいと思っていますが、その前に、この会合においては経営委員が協会の基本方針や重要事項を説明するという定めがございますので、いま少しお時間をいただき、平成24年度から26年度3か年のNHK経営計画と、平成26年度の収支予算と事業計画について、簡単に触れさせていただきます。
 まず、平成24年から26年度のNHK経営計画でございます。本年度は3年間の経営計画の最後の年に当たるわけでございます。計画は3か年の基本方針のもとに4つの重点目標で構成しています。基本姿勢として、公共放送の原点に立ち返りその役割の達成を目指すことを、強く意識しております。
 重点項目の1つ目は、「公共」です。東日本大震災でのさまざまな体験や教訓を生かし、いかなるときにも皆様の安全・安心を守るための情報をいち早く正確に提供するため、放送機能を強化します。
 2つ目は「信頼」です。これは世界に通用する質の高い番組、そして日本、地域の発展につながる放送やサービスの充実に取り組むというものです。
 3つ目が「創造・未来」。進展する放送と通信の融合時代にふさわしい新しいサービスを充実させます。
 4つ目が「改革・活力」です。効率的な経営を行い、公共放送の価値を高めるとともに、受信料制度をご理解いただき、受信料の公平負担に向けて努力をいたします。
 また、視聴者の皆様へ受信料を還元するために、NHKにとっては事実上初めてとなる受信料の値下げをお約束し、平成24年10月から実施しているところでございます。以上でNHKの経営計画の説明を終わらせていただきます。
 次に、平成26年度収支予算と事業計画について説明をさせていただきます。
 26年度は、先ほど説明した3か年経営計画の最終年度でございます。掲げた4つの重点目標の達成に向けた取り組みを推進していきます。事業収入は、受信料の増収などにより、25年度に対して150億円の増収となる6,629億円、事業支出は、国内放送・国際放送の充実や大規模災害に備えた公共放送の機能強化を図るとともに、スーパーハイビジョンなど次世代サービスの開始・推進に予算を重点配分することなどによりまして、25年度に対して60億円の増加となる6,539億円としています。以上により、事業収支差金は90億円となり、このうち80億円を老朽化の進む渋谷の放送センターの建てかえ等に備えて建設積立資産に繰り入れて、残る10億円は財政安定のための繰越金に繰り入れます。3か年計画では、経営計画に対して事業収入の増加などにより413億円の収支改善を見込んでいます。この413億円のうち、47億円を25年度の経営計画で想定した赤字の解消に充て、残り366億円の全額を建設積立金に繰り入れます。収入の増、それから経費も抑制、それによって413億円の収支改善を見込んでいるわけでございます。建設積立資産は、渋谷の放送センターの建てかえ等に備え、これまでに確保した事業収支差金の中から積み立ててきた資金でありまして、26年度末の残高は950億円となる見込みです。渋谷の放送センターが建ったのは、昭和40年、オリンピックの次の年でございます。第1期工事の完成から半世紀近くが経過して、老朽化と狭隘化が進んでおり、いかなる災害時にも放送の中枢機能を維持するためには建てかえが必要です。建てかえには多額の資金を要しますので、建設積立資産を積み立てていきます。なお、新しい放送センターにつきましては、放送開始100周年に当たる37年度の運用開始を想定しています。
 次は、受信料収入についてです。26年度の受信料収入は、受信契約数の増加等によりまして、6,428億円を見込みます。また、受信料の公平負担を徹底し、支払率は75%、収納率は97%の達成を目指します。26年度の受信契約数については、契約総数で49万件の増加、未収数は13万件の削減、衛星契約は68万件の増加を目指します。
 26年度の重点事項の具体的な内容をご説明いたします。まず、1の「公共」でございますが、東日本大震災からの復興支援と公共放送の強化、この2点でございます。想定される首都直下地震や南海トラフによる巨大地震など、いかなる災害時においても放送が止まることがないよう、放送設備や体制を強化します。渋谷の放送センターの機能が停止した場合に、大阪放送局から放送衛星を使って全国ニュースを送出できるようにバックアップ機能を整備し、さらには大阪放送局から送出できない場合、福岡放送局から送出できるよう、これまで設備の整備を取り進めてまいりました。26年度には、これらの整備を完了させ、運用を開始する予定です。
 次が「信頼」でございますが、世界に通用する質の高い番組と地域放送サービスの充実についてであります。国内放送では、各チャンネルの特性を生かして多様で質の高い番組を放送するとともに、26年度はワールドカップサッカーブラジル大会がございます。そして、放送開始90周年に関連した番組を実施します。地域放送では、より地域に密着した情報を提供するほか、ドラマなど地域を舞台にした番組を充実していきます。それから、「国際発信力の強化」についてです。NHKでは、日本やアジアの情報を海外に伝えるため、テレビ国際放送として外国人向けに英語で放送する「NHKワールドTV」と、邦人向けに日本語で放送する「NHKワールド・プレミアム」があります。ラジオでは、日本語と17の言語で「NHKワールドラジオ日本」を放送し、インターネットによる配信も実施しております。26年度は、NHKワールドTVの1日の基本編成の単位を4時間から6時間に拡大することで番組のラインアップを充実するなど、国際放送にも力を入れてまいります。
 3「創造・未来」でございますが、放送と通信が連携する時代にふさわしい新しいサービスについてであります。現行のハイビジョンの16倍の高精細映像である8Kスーパーハイビジョンについては、2016年の試験放送開始、2020年の東京オリンピック開催年の本格放送開始に向けて、研究開発を進めてまいります。また、インターネットを活用したハイブリッドキャストについては、昨年から総合テレビでサービスを開始しておりますが、26年度は教育テレビやBS1、BSプレミアムにも拡大してまいります。番組を有料配信する「NHKオンデマンド」については、コンテンツの充実や利便性を向上させ、利用者の拡大を図ります。
 4番目の重点事項「改革・活力」として、NHKは3か年経営計画の達成に向けて、世論調査を実施して経営計画の進捗状況を把握・検証し、事業運営に役立てていきます。事業支出の75.8%を国内放送番組の制作と送出に充てております。建設費につきましては、公共放送の機能強化に向けた設備投資を重点的に行うほかに、スーパーハイビジョンの設備整備も進め、全体で750億円としております。以上が、平成26年度収支予算、事業計画の説明でございます。
 終わりになりますが、経営計画、26年度の事業計画を着実に実行するためにも、視聴者の皆様からいただくご意見やご要望は大変貴重なものと考えております。本日、佐賀放送局にお集まりの皆様から頂戴するご意見・ご要望は、私ども経営委員全員はもちろん、執行部とも共有して、今後のNHKの経営に反映させてまいりたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

 

 

《視聴者のみなさまからのご意見とNHK側からの回答》

 

第1のテーマ:NHKの経営全般について

【会場参加者】
 私の近所の人で、「NHKは見てないから、受信料は払わない」という人がいる。私は当たり前のように払ってきたが、どうなっているのか。

【会場参加者】
 NHKの職員の給与が民間、公務員のレベルに比べてどうなのかということ、そして、深夜、『クローズアップ現代』など再放送があるけれども、録画のできなかった時代ならともかく、今は、ビデオも普及しているので再放送は無駄だと思う。

(石原委員)
 NHKの職員の給与が高いという話がありました。私は果たしてそうなのかなと思うところです。NHKの場合、職員がほとんど大卒です。どこと比較するかですけども、例えば公務員と比較した場合に、公務員については高校出の方も随分いらっしゃる。そうすると、日本の給与体系からいって、やはりどうしても一定の差が出てくるという面があります。人材確保という点では、放送の業界と比べるのも結構大事なことです。放送業界、特に東京のキー局あたりは比較的、給与が高くなっています。NHKよりも恐らく高いと思います。というようなこともあり、NHKの職員の給与については、果たしてどうなのか、それほど高くないのではないか、と思うこともあります。そうした中で、NHKは、25年度から職員の給与体系を大きく変えました。25年度の年度当初のベースから職員の給与を5年間かけて10%下げていくということを今、取り組み中です。そういう努力もNHKは一生懸命やっているところでございます。

(美馬委員)
 再放送についてご意見をいただきました。最近はいろいろな時間帯で働いている方がいらっしゃいます。例えば私たちは、本屋さんにフラッと入って、お目当ての本だけではなくて、その場で、あれっ、これなんだろうと目に留めることがあります。それで手にとって、おもしろそうだと思って購入する場合もありますね。最初から見たい番組が決まっている場合には録画という方法があると思いますけれども、夜中帰ってきてテレビをつけたときに、これはおもしろそうだ、と気づくこともあると思います。今後は技術革新によってインターネットを活用して放送形態が変わっていくかもしれませんけれども、私としては、なるべく多くの方にいろいろなところに、ふとしたときに興味を持っていただくような番組の配信というのは、あってもいいのではないかと思います。

(石原委員)
 最初に受信契約の話がございました。これはまことにそのとおりでございまして、NHKの放送を受信できるテレビなどいろいろなデバイスを持っている方は全員、NHKと契約を結ぶ義務があります。これは放送法に書いてございます。それでも、払わない人が実はそれでも結構いるんです。先ほど支払率は75%が目標と申しましたけれども、逆に言えば、25%、4分の1の皆様方が払っていないというのが現実でございます。これが不公平感を皆さんに感じさせている。そこで、NHKとしては、NHKの公共放送の使命を達成する上に、全員から払っていただくことを目指した営業活動を一生懸命やっているところでございまして、徐々にこの支払率は上がってきています。ですから、お隣の方が、「私は見ないから払わない」とのことですが、見ないか見ているかではなくて、受信装置を持っていれば契約しなければならないわけで、契約すれば払うと、こういうことになっているわけでございます。ぜひその旨をお隣の方にもお伝えいただきたいと思います。NHKからも営業の人がまた回っていくと思います。よろしくお願いします。

(上滝理事)
 受信料については、今、石原委員から話をいただきました。私どもとしては、災害など安全・安心にかかわる大きなことが起きた場合は、直ちに災害報道をするわけです。視聴者の皆さんの命にかかわる大事なニュースは、とにかくすぐお伝えするということ、それが公共放送の役割と考えて取り組んでいます。また、それだけではなく、心を豊かにする番組など、NHKならではの放送をお伝えすることによって、皆様のお役に立ちたい、判断のよりどころになりたいということがあります。そしてそれは、皆さんにご負担いただく受信料で成り立っているということでございます。今、放送法の話がありましたが、広くあまねく、私どもは全国に放送をお届けするということでやっておりますので、払っていただけない方がいらっしゃるということは非常に残念です。公平負担をできるだけ徹底させていきたいと考えています。佐賀県の支払率は、今80%ということですが、それをさらに高めていく努力をしていきたいと思っております。どうぞご理解をいただければと思います。

【会場参加者】
 私自身はいいと思っているが、昔はNHKには、スター的な職員、例えば鈴木健二アナウンサーや宮田輝アナウンサーがいた。今NHKを見ると、そうしたずば抜けたスターをなるべく作らないようにしようと人事が働いているのではないかと思いながら見ている。人気番組でいい評価をとられたアナウンサーが、ずっと番組に出演し続けるとますます優秀に見えてしまう。しかし、それは本当の意味で優秀ではなく、たまたまその番組に合っていただけではないかと思う。目立たないところで一生懸命やっている方も、人事異動で調整し、みんなが能力を伸ばせる番組に出会える機会をつくって欲しいと思う。もう一つ、これは質問だが、NHKの籾井会長が辞表を預かっていると聞く。NHKのような国民が支えている放送局の中で、これは大変非民主的なやり方に私には見える。実態はどうなのか、何も法的に抵触していることではないのかも知れないが、理事の辞表を事前に預かるという行為自体がNHKしてどうなのか、素朴な質問として聞きたい。

【会場参加者】
 事前のアンケートにも書いたが、NHKが自治体など公的機関のコマーシャルを扱うべきだという事について話をしたい。これは自治体間でもそういう経営の競争というものがあってしかるべきじゃないかという観点からです。今の日本は国全体の借金が1,000兆円を超えることになっている。とにかく誰かが、みんなが知恵を出して増えないように、もしくは減らしていくような知恵を出さなくてはいけないと思う。そういう場合は、自治体間の合理化競争というのがあってもいいのではないか。例えば、NHKでは、自治体が何をする、どうしたというのは当然放送されるが、それはあくまでもNHKの職員がつくったもので、私は、自治体が、我々の町はこんなにいいんだよ、こんな良いことをしているんだよということを伝えようという熱意があれば、その自治体がつくったコマーシャル的なものを流したほうがより効果的だと思う。自治体の合理化が進み、競争が少しでもいい方向に進んで、借金が減ればなと思う。そうしないと、本当に、このままでは日本は成り立っていかない。皆さん、知恵を出して、その一端をNHKは担ってほしい。そういうことです。

【会場参加者】
 先ほどの方の質問と一部重複するが、事前のアンケートで籾井会長の国会での発言について、公共の場で慰安婦の問題とか、辞表の提出などそういう人事権の行使に問題があり、今後のNHKの改革の必要性について書いた。それから、ここ10年間でNHKの職員の不祥事というかいろいろなことがあって、どのくらい退職というか首を切ったのか、その人数を知りたい。天下の放送局だから、その辺を聞きたい。

(石原委員)
 籾井会長の辞表取り付けについてのコメントは私は差し控えたいと思いますけども、籾井会長は国会の答弁でも、はっきりと人事権は乱用しないということを明言しております。また、放送法上も籾井会長は、本人の意に反して勝手に役員を首にできません。本人の意に反して理事の職を免ずるためには、経営委員会の同意が必要なんです。私ども経営委員会は12名の委員からなっており、皆、良識がある方々でございます。そこできちんと議論をしますので、辞表をどういうことで預かったかということが私はよくわかりませんが、乱用しないということを、また乱用できないということを信じていただきたいと思います。

【会場参加者】
 そういうことであれば、辞表を集める必要はないと思う。確かに乱用なんかしないとそこは信じているが、なぜ集める必要がないような辞表を集められるのかと。素朴な疑問として不思議に思う。

(石原委員)
 籾井会長の発言についてどう考えるのかという質問がもう一つございました。私ども経営委員会としては、籾井会長の発言、これは、やはりいろいろな複数の考え方がある問題について、公共放送のトップとして、公の場でそういう話をしたというのは、これはトップとしての自身の立場を軽んじた行為であると言わざるを得ないということで、籾井会長に注意しました。籾井会長からは、国会でも反省の言葉が何回もございました。そして、放送法に明記されている公平・公正、不偏不党を順守すると明言がありました。会長以下、職員が一丸となって事態の収拾に当たるということを私どもとしては信じているわけでございます。籾井会長からは、さらに国民、視聴者のみなさま方にも改めて説明しますという話もあり、その一つとして、4月13日11時からNHKで放送に出演されました。ご覧になった方もいらっしゃると思います。これからも仕事上において公平・公正だということをきちんと国民の皆さん方に見せていくという努力を可能な限りしていくことによって、国民の信頼を取り戻していただくということだと思っております。

(堂元副会長)
 今の石原委員の説明を若干補足をいたします。籾井会長の発言問題で非常に厳しいご批判を頂戴しました。今の、石原委員の説明どおり、本人も反省をしておりまして、再び同じことが起きないように相努めるという趣旨のことをおっしゃっています。私は副会長ということで、補佐をする立場でありますけども、私が一番ポイントだと思っていますのは、国会はじめ、先日のテレビ番組の中でも、また職員向けのメッセージの中でも明確におっしゃっている「自分の考えを放送に反映させることは断じてない」という点だと思っています。
 なぜならば、NHKは、公正・公平であるとか不偏不党であるということが放送法をはじめ、番組基準や、さらに細かいガイドラインにも明確に記述をされています。私どももそういう番組をつくっておるわけですから、ポイントはそこにあるのかなと私自身は受けとめています。そして、現場職員、放送現場の職員が、全国津々浦々で頑張っておりますけれども、そういう職員にも機会あるごとに私が今申し上げたことを伝え、しっかりとした放送を出すということで、頑張ってもらいたいということを言っていきたいと思っております。
 辞表問題につきましては、一言で言いますと、役員に緊張感を持ってもらいたいという趣旨で辞表を頂戴したという籾井会長自身の発言でございます。私自身は2月12日にこういう立場になりましたので、辞表を出してないんです。それは特に何かあるというわけではなく、辞表を出してくれと言われればいつでも出す用意はありますが、自分から進んで出すのも何か失礼だなと思ったりもして、今日まで来ているのが正直なところです。一方、隣にいる上滝理事は出しておるんで、上滝理事がどういうことを考えているのかについては、後ほど本人の口から聞いてもらいたいと思います。
 それから、もう一点、鈴木健二さんや宮田輝さんという話、私も幼いころに大先輩の紅白歌合戦とかクイズ番組を見て、すばらしいスターだなというふうに思っていましたけども、恐らくあの当時から誰か特定の人をスターにするためにやっているという考え方は、NHKの場合はないんじゃないか思います。それぞれいろいろな番組を展開している中で、能力があるといいますか、視聴者の皆様の評価をたくさんいただくとか、そういうことが積み重なって宮田輝さんが生まれたり鈴木健二さんが生まれたりしているのではないかと思います。最近スターがいないんじゃないかと、こう言われる。私はスターが誰かというのはなかなか言いにくいところがあるんですけども、今、司会をしている野村アナウンサーもスターなんですよ。

(司会)
 針のむしろです。

(堂元副会長)
 いや、本当にスターなんです。直接、「君、スターになれよ。頑張れよ」とは言えませんし、本人の努力でスターにみずから育っていただきたいと思っているところです。あとのご質問等については上滝のほうからお答えをいたします。まず本人の辞表問題について。

(上滝理事)
 すごい振られた方をしてしまいましたが、私は1月25日、籾井会長が就任された日に会長から辞表を書いていただけないかという要請があり、日付のない辞任届に署名捺印をしたということです。そのときの気持ちとしては、私はこれまでどおり、これからも私の与えられた職務に全力を尽くすということを常日ごろから思っていましたので、それはそれで私は淡々と書いたと。今も以前と同じように、日々緊張感を持ちながら仕事に向き合っているというところでございます。それで、籾井会長から視聴者の皆様に4月13日、『とっておきサンデー』という番組で皆様に3分間、おわびとこれまでのご説明をしたわけですが、私なりに受けとめた点としては、やはり会長が公共放送への期待の大きさを実感し、NHKが皆様に支えられてこそ成り立っているということの思いを新たにしたということを、放送の中で述べました。そして、皆様の声を何よりも大切にして、公共放送の使命に基づいてよりよい放送サービスをお届けするということで、これまで以上に信頼を得られるように頑張っていくと、皆様に対してお伝えしましたので、これから見ていただければと思っております。
 それから、先ほど、NHKで自治体とか公共事業体がつくったコマーシャルを流してはどうかという提言をいただきましたが、NHKは放送法に基づいて設立された公共放送です。視聴者の皆さんからお預かりする受信料でその事業を行っています。また、そうした皆様に支えられて公平・公正、自主自律、不偏不党の報道機関として存在しています。国とかあるいは地方自治体からの広告収入をいただいて広告を出すということになりますと、やっぱり財政面で、政府あるいは自治体からの影響を受けることになりかねないと。自主自律が損なわれかねないというおそれや影響が出て、公共放送としての役割が果たせなくなるおそれもあるということで、今そのような考えは持っておりません。地方自治体はそれぞれホームページを立ち上げて、かなりPRをしてきていると思います。また、各自治体は自治体なりの取り組みをして、より効率的な行政運営をされているというふうに私は思っております。
 それから、人材育成についてご意見いただきました。NHKは今、全国でアナウンサーがおよそ500人います。4月の新年度番組では新しいキャスターが次々と出て、若い人たちに活躍の場を与えています。自分自身が責任を持って放送に向き合うことで、アナウンサーとして、キャスターとして一人前に育っていくよう、活躍の場を与えるという人材育成に相当力を入れてやっているということをご理解いただければと思います。そうしたことで、適材適所、人材が育っているということでございます。
 それから、不祥事についての退職者数ということでございましたが、正確な数は、手元になくて申し訳ございません。ただ、去年の10月に放送技術研究所の職員が業者と結託した形で、公金およそ300万円を不正に請求して受け取っていたということがわかりまして、そこは懲戒免職処分といたしました。私どもはそういう不祥事については、毅然として絶対にこれは許さないという姿勢で臨んでおりますので、その点はご理解いただければと思います。

(堂元副会長)
 今、不祥事の話がありましたので、1つだけ申し上げておきますと10年ぐらい前にNHKでは大きな不祥事がございました。番組のチーフプロデューサーのお金にかかわる不祥事がありまして、それで視聴者の皆様から当然のことながら厳しい批判を受けて、受信料収入も激減をしました。当時、私は、東京で放送現場におりましたけれども、NHKはどうなるんだろうかという状況でした。あの不祥事以降、私どもはいろいろな制度、仕組みも、まだ不十分な点もあるかもしれませんけども、かなり徹底的に見直しました。関連会社の話でありますけれども、なおかつ、まだ出てくるというのは、非常に申しわけないという気持ちがあります。私個人的には、10年前我々現場で実感をした「NHKはどうなるんだろう」ということをもう一回思い起こせと。当時を知る世代が現場にたくさんいますので、もう一回これはきっちりと、表現は悪いんですけども、みずからに緊張感を植えつけるということが必要です。また、不祥事を起こした場合には、いろいろな処分の仕方があろうかと思うんですけども、世間並の不祥事の処分の仕方があるとすれば、それ以上のより厳しい処分を課さなければ、NHKに対する信頼はおかしくなるぞという気持ちを強く持っているということをお伝えをしておきたいと思います。

【会場参加者】
 収支予算が、6,400億円ぐらいというのは私、知っていたが、全体の予算が6,629億のうち6,400億円が受信料ということは、非常に大きいことだと思う。私自身は、もし赤字が出た場合は、国民の税金が直接使われると思っていた。なぜなら、NHKの予算は国会の承認が要るわけなので、受信料以外にある程度国の税金で出ると思っていたが、そうではないことを理解した。それならば、もう少し時の政府に遠慮せずに経営ができないかと。例えば、経営委員の任命権は総理大臣を中心とした内閣にあります。経営委員長は経営委員で互選するけれども、今問題になっている会長は経営委員が決める。自薦・他薦、本来は受信料で賄っている。受信料はNHKが努力して、あるいは徴収する人が努力しているんですから、自薦、他薦などでもっと政府から自由な形で経営委員を任命するような制度ができないだろうかというのは、多くの国民が思っていると思う。その点について考えを聞きたい。
 また、今問題になっている新会長に、いわゆる放送界とかマスコミとか、そういうジャーナリストに関係のない人が公共放送の会長に選ばれるということに、私自身は非常に疑義を持っている。英国のBBC放送のように、時の政府から自由にフリーな立場で経営をできたらいいというのが私の意見。その点についてコメントしてください。

【会場参加者】
 籾井会長のことを皆さんいろいろ言われたが、私はよくやったと思っている。尖閣諸島の問題も日本の領土だって言ってくれたし、従軍慰安婦も今問題になっているが、少し前に橋下知事の発言のときに、何でこんなに問題になるのかとインターネットや書物で調べてみた。この従軍慰安婦問題というのは、朝日新聞の若宮啓文さんという主幹が、2013年の著書「新聞記者 現代史を記録する」で、「従軍慰安婦問題について、朝日新聞もこれを熱心に報じた時期があった。中には、力ずくの慰安婦狩りを実際に行ったという日本の元軍人の話を信じて、確認のとれぬまま記事にするような勇み足があった」というふうに、朝日新聞のキャンペーンに根拠がないことを暴露しています。やはりこれは朝日新聞のねつ造であって、そういうねつ造を一切謝らないで、籾井会長を悪いように言っているが、私はNHKがよくやったと思っている。私が大問題だと思うのは、これもインターネットや書物で知ったのだが、中国の国営放送、CCTVが渋谷の放送センターに入っているということだと思う。NHKの本社にどうして中国の国営放送が入っているのか、例えれば警察署に暴力団の事務所があるということではないか。そういうふうに私は感じた。何でNHKに中国のCCTVが入っているのか、今日はそれを聞きたいと思って来た。

【会場参加者】
 情けないと思うのは、NHKのこの「語る会」がこういう場であっていいのかということ、副会長、理事、残念にお思いではないか。こういうふうな行脚をされて、地方を回るときにほとんど籾井会長の話が出てくるのは非常に残念と思わないかと、私は気の毒に思う。部外から入られた会長は、福地さん、松本さん、と3代続きだが、いろいろな方がいる。辞表については福地会長もとられていたということを雑誌で読んでいる。いろいろな方がいらっしゃると思うが、記者会見での質問で自分のことを言ってしまった。これは不謹慎だと思う。石原委員から注意をしたという話があったがこんなことをしているNHKは情けないと思う。もう少しNHK、ちゃんとしてと言いたいのが本音。この「視聴者のみなさまと語る会」というものが、籾井会長の発言の言訳をして回るような会だったら、これは本当、情けないと思う。国会でもこの1カ月、2カ月間、相当な給料をもらっている方が、こうした対応に追われていることについては理事、副会長も恐らく忸怩たるものがあると思う。悪口を言うわけではないが、もっと早くけじめをつけて、本来のNHKの姿に戻し、こういう行脚をしなくてすむようにしてほしい。籾井さんは九州の出身ということで、非常に心で応援していた。福地会長も小倉の人で、九州から会長が出るということで頑張れ籾井という気持ちだった。こういう「語る会」にならいように、NHKにしっかり頑張ってもらいたい。

(石原委員)
 政治との距離感の話、これは本当にもっともでございまして、いろいろな考え方の国民がいるんですから、NHKは公共放送として、公平・公正、不偏不党でなければならない。そして、日本は法治国家ですから、放送法に基づき放送の不偏不党、自律、表現の自由を確保する。それをやり切らなければだめだということです。その結果、国民の皆様方にNHKに対する信頼を持っていただき、受信料をきちっと払っていただく。経営委員会は、会長以下の執行部が、そうした業務執行を行うよう、監視、監督するという考え方のもとにできているのだと思います。一般的に特殊法人の長などは、国会の同意なり、閣議での了解を経て任命することになっています。例えば公共企業体であった国鉄の総裁並びに役員は、国会や内閣の承認を得ていたわけです。人事はガバナンスの最大の要件ですから、NHKには中立性を保つために経営委員会があります。経営委員会で議論し、所定の手続きを経て、会長を選出する。この段取りも半年ぐらい前から始めて、12月の下旬には、籾井さんを指名したわけです。本来、そこには政治の介入というのはないんです。ただ、経営委員の選任については、衆参両議院の承認を得て、内閣総理大臣が任命する。ここに政治の話があるわけですけれども、NHKという特殊な法人が、国民との接点をどこでとるのかということになると、国民の代表である国会が何らかの形で関与する必要があると思います。そういう点では予算も同様です。NHK予算は、国会で、総務委員会で審議し、衆参両院の決議を得て成立します。これはやはり民主主義として国民のコントロールがそこにあるんだという理解をしています。ですから、全く政治と無縁ということにはなりませんが、NHKは自分の存立をかけて、公平・公正、不偏不党を守る。国民に理解いただく。そういう努力をずっとし続けるということが大切なのだと思っています。

(美馬委員)
 私自身もそうですけれども、何か事件、事故、災害等があるとつけるのは、まずNHKですよね。皆さんも同じだと思います。それはやはり、私も含めて、みなさん、NHKのつくる番組を信じているからだと思います。NHKの役割というのは、いろいろな番組、ドラマもありますけれども、やはりまずは一番、ジャーナリズムということだと思うんですね。それが政府から自立して機能しているということだと思います。一般的にジャーナリズムの機能というのは大きく二つあると言われています。1つは、権力を監視・監督する、批判的な機能を常に持っていること。2番目は、アジェンダ機能と言われますけれども、社会が今取り組むべき課題、論点など、いろいろな見方を明らかにして、社会の中で議論ができるようにしていくこと。ですから、先ほど言われたいろいろな会長発言にもあったような問題は、きちんと番組として、いろいろな争点があるんだ、見方があるんだということを示し、そこで私も含めて視聴者が考えていけるような状態にしていく。そのことがジャーナリズムの機能であるし、そういった精神を持った記者の方たち、番組をつくっていく方たちがたくさんいます。NHK職員のほとんど皆さんそういう気持ちでつくっておりますので、そこのところは政府から自立したジャーナリズム機能を持っているというところを信じていただければと思います。ぜひ皆さんのご支援もお願いしたいと思います。

(堂元副会長)
 一言だけ申し上げたいんですけれども、私は、会長がNHKの出身者であるのか、あるいは外部の方が来られるのかということについては、さほど関心がないんです。内部であれ外部であれ、そのトップになった会長がどういう経営といいますか、どういう仕事をされるのか、方向性は何かというところが一番大事なんであって、内部か外部かにはさほど関心がないということなんです。私は内部の人間ですから、時々、「堂元さん、頑張って早う会長さんになりなさいよ」と言う方がいらっしゃいますけども、私は全然そういう考え方はないんで、今言ったことが一番大事ではないかと思っています。
 最近の会長は、最初は福地会長、それから松本会長、そして籾井会長と3代、民間の方がなられています。私の生意気ですけれども評価をさせていただくと、福地会長は、大きな不祥事の後を引き継ぎながら会長をされたので、コンプライアンスを徹底するということを常に言われて、全国54の放送局を全て回られました。職員のコンプライアンス強化、意識改革ということを徹底的に言われた会長ではないかと私は思っています。それから、松本会長は、一言で言うと構造改革、例えば職員給与の引き下げの実現に踏み切ったり、あるいは、全体最適という名前でNHK全体の構造を見直してみるとか、構造改革に手をつけられた会長ではないかなと思っております。そういう意味で、お二人の会長に対して、我々内部で仕事をしてきた人間から言うと、やはりよくやっていただいたという感謝の念を、みんなが持っているのではないかと思います。籾井会長は就任直後の会見での発言問題ということがあったわけでありますけども、ようやく新しい年度に入ってスタートしたわけですから、ここから籾井さんの方向性といいますか方針というものをしっかり出していただいて、3代目の会長さんも立派な会長さんだったと評価されるような仕事をしていただければというふうに思っているところでございます。

(上滝理事)
 先ほど、中国のCCTVがなぜNHKの放送センターの中にあるのかというご質問をいただきました。NHKは、海外の放送機関と友好・協力関係を進める協定を結んでいます。これに基づいて複数の外国の放送局にスペースを貸しているということです。中国のCCTVもその一つです。こうした協定をアメリカのABCや韓国のKBS、そしてオーストラリアのオーストラリア放送協会などとも結んでいまして、それらの放送局にスペースを貸しています。もちろん、賃料を含め必要経費については、賃貸契約を結んで、先方に負担いただいています。NHKは、さまざまな外国の放送局が流す放送を紹介するということも大事な役割の1つだと考えており、ニュース映像を交換する覚書をさまざまな国の放送機関と結んでいます。CCTVもそのうちの一つということをご理解いただければと思います。

(石原委員)
 先ほどこうした籾井会長の弁明のような「語る会」などやめるべきだというお話がありましたが、これは、弁明のための会ではございません。経営委員が視聴者のみなさま方のいろんなご意見を伺う会であります。今回は籾井会長の発言などがクローズアップされているためにそういうご質問が多いということだと思います。NHKに対してたいへんご理解をいただいているものと理解しております。ありがとうございました。

【会場参加者】
 最初に職員の給与の問題が出てきて、委員のほうから「高くないと思います」ということで終わってしまってはここに来たかいがないという感じがする。もっと具体的に、例えばアンケートの中にNHKの平均給与を1,600万と書いてあるんですが、これは本当でしょうか。これはアンケートを書いた人が書いているものですから、正しいかどうかわからないが、それこそ私たちの受信料で賄われているんであれば、給料の体系というのは、具体的に何職で幾ら、何職で幾らというふうなものが出てしかるべきだと思う。その上で、本当に高くないのかどうかというのは、私たちが判断することではないか。委員とか理事というのは、ほとんど年収2,000万、3,000万というふうなところから引き抜かれている。そうすると、その判断と私たちとでは違うという感じがする。実際、私はNHKの職員の平均給与が幾らというのは全く知らない。そして、予算というのが国会で承認されて、それで国民の了解が得られたというのは余りにも飛躍していて、私たち、ほとんど具体的にわからない。制作費にどれぐらい使っているのか。資料の中にも制作費が幾らか書いてあるが、人件費というのは数字が全然記されていない。もっと具体的に教えてほしい。私たちの小さなサークル活動でも、明確に収支報告というのは出すものですから。再放送の件もいろいろな勤務形態の人がいて深夜にしか見られない、深夜にスイッチを入れる人もいるんだというお答えでしたが、私個人としては夜中の放送はしないほうがいいという意見を持っている。健康の面からも、省エネの面からも、真夜中の放送はなくていいのではないかという意見を持っている。録画も確かにそういう機器を持ってなければできないことだが、再放送というのは、結構、日中もやっているんじゃないか。

【会場参加者】
 籾井会長の件で意見がいろいろ出ているが、私たちにはリコールする権利というのはないのだろうか?それを聞きたい。

【会場参加者】
 会長がどれほど番組制作に影響を与えているのかわからないが、4つの重点目標を実現しようと頑張っているのは現場の人たちではないかと思う。その現場の人たちの質がやはりよくなければ、いい番組、何をもって優良番組かという評価は難しいところだとは思うが、現場の人たちの給料は上げてほしいと私は思う。つくっている職員の優秀性、それは学歴にかかわらず、高卒であってよいし、高齢者であってもよいし、そういう採用の仕方もあるのではないか。「改革・活力」には、やはり同じようなメンバーではなくて、全然違った環境の人材や学歴はなくとも実績がある人材の採用も考えてほしいと思う。それから、再放送について。私は昼間にゆっくりテレビを見る時間がないので、夜中や早朝にいい番組があると、非常にうれしい。録画という方法もあるが、録画したものを見る時間もないわけです。そういう者にとっては、再放送してもらうことで、「ああよかった、この時間にこの番組見られて」ということが多々ある。だから、私にとっては早朝、深夜2時ぐらいまでは再放送があると非常に助かる。昼間に見られない人もいる、そういう時間帯に見る人もいるということをご配慮いただくとありがたい。
それから、私にとっては野村アナもテレビに出ている人はみんなスターだという意識で見ている。また、某局の「徹子の部屋」のような長寿番組は私は要らないと思っている。新しい人にいろいろ新しい番組にチャレンジしてもらって10年ぐらいは長寿番組もいいと思うが、20年も30年も同じ人がずっと大スターでいるというのは、正直言って飽きます。いろいろな方にチャンスを与えてほしいと思う。
 最後に受信料について、払わない人がいるということが問題だが、私はコマーシャルがないからNHKが好きだ。民放の煩わしいコマーシャルを見たくない。それがないNHKが好きで、ほぼNHKを見ている。Eテレも、BSプレミアムも大好きで、コマーシャルがないとこが好きなので、その辺は皆さんが言われるように、皆様のおかげでできているNHKなので、受信料をお納めくださいという低姿勢というのが大事ではないか。あなたの1円がおもしろい番組、『ためしてガッテン』とかいろいろな健康番組とか、あなたの生活を豊かにし、あなたを幸せにする。大事な地震情報、災害情報もあなたの受信料のおかげで流されているんですよということで、全くNHKを見ないという方に受信料をいただくのは申しわけないが、もしNHKを見ているならば、あなたのための番組をつくるための受信料ですから、必ずお納めくださいということで、未納者を減らすのが一番収入を増やすのではないかと思う。コマーシャル料とかいろんな企業から取ると、いろんな倫理の問題で問題が出てくると思います。この4つの重点目標を達成できるような番組ができるとは思えません。

(石原委員)
 人件費の話がまた出ましたけども、これは大事な話です。アンケートに書かれている数字が正しいかどうか定かでありませんが、NHKに関しては、1,600万円というのは、これは単純にNHKの人件費総額を職員の数で割ったものだろうと思います。全て公表されていますので。ただ、その中には、退職給与などが全て入っています。退職金の支払い、退職給与引当金などを除くと、NHKの平均の職員の給与は1,100万円ぐらいじゃないかなと思います。それを今5年間かけて10%削減するということに取り組んでいます。
 それから、同時に役員の給与の話も出ました。役員の給与も公表されています。会長が3,100万ほどだと思います。ほうっとおっしゃるけど、極めて少ない。大手の民放は、その倍ぐらいあると聞いてます。NHKの役職員がどれだけ本当に一生懸命やっているか、ということも大切ですし、いい番組をつくるには、優秀な人材が必要です。そういうことをあわせて考えていただきたいと思います。
 それから、役員の給与、会長の給与は、平成17年に不祥事があったとき、15%削減されました。会長を落とせば、その下の専務理事、理事も、落ちます。ところが一般の職員の給与は変わらなかったんです。それで、給与体系が非常にゆがんだ形になっていました。会長の給与は実はその当時4,000万円ありました。今、それが3,100万円切るぐらいの金額です。会長の給与がそうですから、それにのっとって、専務理事、一般の理事、この給与も下がっているということですね。平均で役員は17%ぐらい、平成17年当時に比べると給与は下がっています。私は、NHKの役員には今の仕事から見たら、このぐらいは払っていいのではないかと思います。それから、受信料を払わない人、これは本当に大問題だと思います。NHKの営業も一生懸命やっていますので、何かありましたらご支援いただければありがたいと思います。
 それから、籾井さんのリコールの話がありました。会長のリコールシステムはありません。会長を罷免できるのは、放送法第55条にある通り経営委員会だけが会長を罷免できます。その罷免することについては、経営委員会は罷免の理由をはっきりさせなければなりません。籾井会長は、放送法を守って公共のための放送をこれからやっていきますということを再三明言していますので、籾井会長に私どもは頑張っていただきたいと。経営委員会はしっかりと監視とか監督をやっていくということでご理解をいただきたいと思います。

(堂元副会長)
 先ほどから深夜の再放送の話が何回か出ておりますけれども、ご意見はやはりさまざまといいますか、両論あるのだろうと思います。それぞれのご意見はそれぞれそのとおりだなというふうには思います。1点申し上げますと、省エネということが叫ばれていたときに、深夜の放送をやってない時代が一時ございました。現在も教育テレビ、今はEテレと呼んでいますけども、これは深夜の放送はやっていないと思います。総合テレビとBSは24時間の放送をしていますが、その一番大きな理由は、夜中に大きな地震などが起きたときには、直ちに放送を出さなければならないということです。1分どころか、1秒を争うような事態に放送を中断していますと直ちに放送を再開するまでに時間がかかってしまうという技術的な問題がクリアできないことが深夜でも24時間の放送を出しておかざるを得ない理由です。安全・安心のための措置であることをご理解いただければと思います。それから、受信料でお支払いただいていない方がいるということ、先ほど来出ておりますが、要は、払っていただくものですということを理解いただくというのが基本線です。それはテレビを通じて、あるいは、ホームページを通じていろいろ周知徹底を図っていくということでありまして、どうしてもという方はやはり直接訪問をしてご理解をしていただくという努力を、営業現場は全国津々浦々で続けているという状況です。それでも、幾らお願いをして理解を求めても、なおかつ払っていただけないという場合に、民事上の手続、支払い督促という民事手続を活用した公的なやり方という方法をとらせていただいています。私どもとしては一生懸命そういうこともやりながら、まだまだ努力は必要だというふうに思っておるところでございます。

(司会)
 活発にご意見をいただいておりますうちに、残り時間が少なくなって参りました。佐賀の地元の放送についてなど、「放送」をテーマとしたご意見などもお伺いしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 

 

第2のテーマ:放送について

【会場参加者】
 今は給料とかの話ばかりが出ているが、私は経営計画にある「信頼」という項目が重要だと考え、アンケートにも記入しました。無駄な笑いというような番組、民放はもう全然見聞きしたくない年齢なので深夜の放送にしても、『美の壺』など、そういう楽しい番組をやってほしいと思う。よろしくお願いします。

【会場参加者】
 会長問題と放送の偏向、その2点について聞きたい。1つは、今ちょっと地域放送というふうなことがあったんですが、その信頼という意味では、佐賀放送局あたりでも非常に地域に出た、非常に地域の産業だとかそういうものを活性化させるような取り組みをしておられるというのを、よく番組で最近は感じています。そういう放送現場の努力でここまで少しずつ信頼というふうなのが、先ほど堂元副会長が言われたように、ある時期の不祥事以来、その信頼回復というのが非常に大きなテーマになったはずですね。そういうことで、私たち、NHK関係者あたりから聞いた話によると、福地会長の就任時はやや、みんな民間から来られるということで、いろんな危惧というのがあったやに聞いているが、非常に現場主義な形で信頼を高めて、特に受信料を収納する現場あたりに足を運んで、本当に職員の信頼を得て、それが一つの活性化につながったというふうに聞いている。そういう信頼が積み重なった状況の中で、今回の籾井会長のやはり不見識な発言、これは放送人としての適性を欠くような発言があったと思う。そういうことに対して、今後どうやって信頼を回復していくのか。特に、先ほど受信料の問題が出てきたが、どちらかというと払いたくない、いわゆる積極的に払いたいという人よりも、消極的な人が多いと思うので、そういう人たちに口実を与えるようなことをNHKトップが今回はやったということについて、先ほど石原委員から、「安心してください」という話があったが、また何かやりかねないのではないかという感じを我々としては持っている。個人的な発言と言っても、その人の思想性だと思うので、そうした思想性が経営にいつかは出てくるのではないか、可能性がないのか。どういう根拠で、堂元副会長も「安心してください」と言われるのか、非常に危惧をしている。特に、支えてもらいたい理事たちにいきなり辞表を出させるなど、いわゆる信頼関係をそぐような行動をしたということについては、これは非常に問題だと思います。
 もう一点、これは新聞記事などで知る範囲で言っているのだが、石原委員の仲間である松本会長の更迭といいますか、もう一期やってもいいと言った人に、偏向報道を容認したからだめだという。そういうこと、偏向ということについて、経営委員はどういうふうな判断をしているのか?偏向とはどういうことなのか。事実を報道することが偏向なのか。いろんな考え方があると思う。視聴者には、右から左の人が自分の立場で見た場合には偏向報道ということになると思うので、その辺をどう判断しているのかということをぜひ聞きたいと思う。

(石原委員)
 籾井会長は、反省して謝罪しています。そして会長は、放送法の公平・公正、不偏不党を踏まえて、職員・役員一丸となって努力するということを再三言っていますので、我々経営委員会としては、そこのところを信頼して、会長を監視・監督していく。そして、私は籾井会長はしっかりとやってくれると思っています。視聴者の皆様もNHKをよく見ていていただきたいと思うわけでございます。
 それから、松本会長の更迭という話ございました。私は、更迭とは全く思っておりません。松本前会長は、12月の記者会見で、1期3年になるので退任するという趣旨のことを、ある意味では突然言ったということでありまして、これは更迭でも何でもございません。経営委員会は全くそれに絡んでいないことは、ご理解いただきたいと思います。
 それから、偏向放送という話がございましたけども、やはりNHKの公平・公正、不偏不党というのは、一体何だろうかというのを考えたときに、事実を事実として淡々と放送する。これがまず一番大事なことです。そして、多様な考え方をできるだけ報道するということだろうと思います。それを見て、判断するのは、視聴者である国民の皆様方なんです。それをどこまできちっとやれるかということが、NHKが信頼される一番大事なところではないかと思っています。

(美馬委員)
 そこについては、半期に一度、アンケート調査を実施しています。詳しくはおそらく、上滝理事のほうからお話があると思いますけれども、その中で公平・公正な放送をしているかどうかというのを、きょうここにいらっしゃる方でも、いろいろ違ったお考えをお持ちの方いらっしゃるように、NHKとしてずっとそのアンケート調査を行っているということがあります。その結果については、上滝理事お願いします。

(上滝理事)
 今、美馬委員からお話がございましたが、NHKが本当に公共放送としての役割をきちんと果たしているかどうか、それを視聴者の方に年2回、全国3,600人を対象としてアンケート調査を行っています。それは「公平・公正な放送ができているか」「正確・迅速な放送ができているか」それから「ちゃんと地域の課題に向き合っているか」「人にやさしい放送ができているか」「受信料の公平負担は実現できているか」といった14の項目をつくりまして、皆さんにアンケートをお願いしています。それぞれの項目についてNHKにどれだけ期待していますかということと、そして、その期待に対してどれだけ実現をしているかというように、お伺いして、答えていただくという聞き方をしています。期待に対して「実現している」という人が多ければ多いほど、その差が縮まれば縮まるほど、期待にきちんと応えているんだと受けとめることができるような調査をしています。今年の1月に行ったばかりの調査では、公平・公正さについては、アンケートの回答者のうち、82%の方が「期待している」とお答えいただいていて、それが「実現できている」と答えていただいた方は80%という結果が出ており、8割の方が「公平・公正な放送」が実現できていると評価いただいています。また、「正確・迅速な情報提供」ができているかどうかについては、87%の方が期待されていて、実際それが「実現できている」というふうにお答えになったのが78%という回答をいただいています。このアンケートは、年2回行っていますので、絶えずこうした皆さんの答えを大事に受けとめながら、公共放送としての役割をより、きちんと果たしていくということを我々は肝に銘じているというわけです。この調査以外にも、各界の有識者の方たちによる放送番組審議会というのがございます。ここでもさまざまな意見を伺って、私どもの放送番組づくりに反映させていただいていると、参考にさせていただいているということがございます。そして、それらを踏まえて26年度、NHKはこういうことで放送を出していきますという、放送番組を編集するに当たっての基本的な方針を、今申し上げました正確・迅速で公平・公正な報道に徹すること、見応えのある番組をお届けすること、NHKでしか見られない、人々の心を豊かにする、魅力あふれた放送の実現を目指してやっていきますということを、皆様にお誓いをしてやっているわけです。そういうことで、私ども現場は放送に向けて、皆さんの信頼が得られるように努力していこうということを思っているということです。
 それから、もう一つ、イベントがございます。これは例えば「のど自慢」とか「BS日本のうた」などのいわゆる公開番組の収録や、さまざまな展覧会等にも取り組んでいます。去年も1年間で全国で1,000を超えるさまざまなイベントを行い、1,000万人を超える方に参加していただきました。そこでのアンケートでも、「満足した」という方が83%いらっしゃって、私どもの目標の80%を超える、そういうお答えをいただいたということでございます。申し上げました、さまざまな目標や指標など、それに対する評価を一つ一つチェックしながら、皆様の信頼にお応えできる放送を目指していっているということをご理解いただければというふうに思います。

【会場参加者】
 今、理事が公共放送と言われたが、それは、やめてもらいたい。会長が何したどうしたということは、隠してもいいが、最高裁の組織的な裏金に関する報道や、新聞社による部数詐欺などの報道をしないで、公共放送なんて言うことはやめてほしい。それから、給与の問題で、今1割下げたという話があったが、NHKの給与が幾らということは、働く時間で言うべき。新聞社は高いが、極端に言うと24時間労働で、残業代もない。記者自身が記事1行が何万円のコストになるという話をするが、それは残業代が入っているから。
 また、副会長から受信料の裁判の話があったが、NHKの前の職員がインターネットで、自分に電話すれば、受信料を払わなくていいようにすると言っているのをなぜ、裁判に訴えないのか、受信料に関して視聴者と裁判するならこのことを裁判しないというのは、おかしい。

【会場参加者】
 会長が、内部告発を上げるよう言ったことは良いことだと思う。職員から反発の声があったと聞くが、NHKは、誰かが万引きした、泥棒した、とどんどん報道しておきながら、自分たちの犯罪について内部告発を呼びかけた会長のことを批判するのは、おかしい。NHKのすることではない。

【会場参加者】
 私は、NHKは日本の言葉を守る機関であってほしいと思う。今、非常に言葉が乱れているので、日本語を正しく美しく話すということ、これをぜひ、今後の方針として取り組んでもらいたい。
 また、『紅白歌合戦』の視聴率が幾らというようなことがセンセーショナルに書き立てられるが、私は、NHKの性質上、視聴率のようなものに一喜一憂せずに、NHKの信念を持って番組をつくってもらいたい。そう思っている。

(司会)
 言葉につきましては、我々アナウンサーも放送最前線にいる者として、毎日毎日勉強して、ご要望にお応えできるように頑張っております。これからも勉強してまいります。

【会場参加者】
 私は、BS契約をしていないのでNHKの総合とEテレしか見ていないが、海外ニュースが少ないのではないかと感じる。日曜日の夕方に放送している『海外ネットワーク』が大好きでよく見ているが、総合テレビでの海外ニュースが少ないと感じる。

【会場参加者】
 何回も話題に出たが、籾井会長に関連して聞きたい。京都大学の曽我部真裕さんの「NHK経営委員、会長の政治的中立性問題」という論文に基づいて質問させてもらいたい。論文によると、まず1つのポイントとして、経営委員の役割は、「万が一、放送局で行き過ぎがあった場合は、適切にこれを修正すること。対外的には、番組制作に対する不当な外部干渉から現場を守る「とりで」としての役割を果たすことが経営委員に求められている」と書かれている。2ポイント目は、経営委員が国会の衆参の多数決で決まるということ。この2つから言えるのは、NHKが、まず国会とかかわっている、国とかかわっているということ。そして受信料で国民とかかわっていると。この折衷された間にNHKは存在するから、公共放送としてやっていかなければならないと私は思っている。そこで、籾井会長の発言だが、やはりこの公共性には合致しない。明らかにこれは右か左かといえば、右の発言、偏った発言がなされたことは事実。国会の議決で経営委員が決まるという今の任命のプロセス自体を抜本的に改革するという考え方をNHKは持っているのだろうか?

(石原委員)
 海外ニュースの話がありました。衛星放送はご覧になれないということでしたが、実は衛星放送では海外ニュースを毎日合計すると数時間扱っています。一方、総合テレビでは、朝の7時のニュースなどは、海外のニュースを扱うことがありますが、番組としては衛星に比べて本数が少なくなっています。海外ニュースはたいへん大事だと思いますので、これからも努力していくように執行部のほうにも言いたいと思います。
 それから、任命のプロセスの話がありました。これは私どもとしては、法律で決まっていることを粛々と誠実に進めたということで、それに対してどうだということを私どもとして反論する立場にありません。法律に従ってやっていくということで、この場ではご理解いただきたいと思います。

(堂元副会長)
 今の海外ニュースの件で若干補足いたしますと、『海外ネットワーク』という番組は週末の夕方、総合テレビで放送しています。それからニュースでは毎日、朝の時間帯で世界各国のニュースを、短いニュースが中心になっていますが、放送しています。そのように私自身、把握をしておりますが、ご意見はよくわかりますので、現場にも伝えたいと思っておるところでございます。
 それから、日本の言葉を守る、大事にするということは極めて当然なことです。長年それは言われていることでもありますし、大事にしていきたいと思っています。これについては、後ほど野村アナウンサーからも直接コメントをしてもらえればと思います。

(美馬委員)
 紅白のように視聴率を問題にしなくてよいというのは、とてもありがたいお言葉だと思います。皆様の受信料で運営される公共放送NHKとして、一番大きなものはやはりニュースですね。それからスポーツ、教育あるいは教養の番組、更にドラマのような、一般的な娯楽番組など、さまざまなものがあるわけです。その中でも私個人としては、私たちみんなの教養を高める番組や教育的な、そして文化の向上に資するようなものなど、こういったものはぜひとも続けていきたいと思っております。単に有名なタレントを使って大騒ぎするというところではないところで、言葉の問題も含めて、テレビというメディアが持つ役割はとても大きいと思っております。私も、毎日、若い学生たちと接していると、言葉がどんどんどんどん崩れていく感じがあり、今、口伝えで直すようなことも毎日のようにやっています。これからも頑張っていきたいと思いますので、ぜひ応援をお願いします。

(上滝理事)
 視聴率に一喜一憂せずに、というお言葉、大変ありがたく思っておりますが、その一方で、放送に携わる者として、正直、苦労して取材したり、制作したりした番組を一人でも多くの方に見ていただきたいという本能的に近い部分もあることも申し上げておきたいと思います。そういう意味では、朝の連続テレビ小説『あまちゃん』があり、『ごちそうさん』があり、今の『花子とアン』も大変多くの方々にご覧いただいています。これは、制作する側としては非常にありがたいことであります。視聴率というのは、やはり一つの大きな目標、目印ではあるんですが、それ以外に、本当に質のいい番組なのかどうかということが、大変大事だと考えています。NHKでは10項目の、これもまた目標、指標なんですが、10点満点でその10項目について点数をつけていただくという調査を年4回インターネットで行っています。その10の指標というのは「丁寧につくられているかどうか」、それから「新しい切り口があるか」「生活に役に立つのか」「人生を豊かにする」「感動的、心に残るものかどうか」といった点で、それぞれの項目について、番組の質、見終わった後の感想として、10点満点で評価いただくというものです。年4回繰り返し、評価いただくことで、番組の質を維持し、さらに高めていこうという努力をしております。それから、全国には番組モニターのみなさんが2,000人ぐらいいて、毎月、番組についての感想をいただいています。そういう方法で、視聴率だけではなく、番組の質という面をきちんと維持していけるような工夫・努力もしているということをお伝えしておきたいと思います。

(緒方局長)
 私の出番がなかなかなかったんですけども、先ほど唯一、「佐賀局、よく頑張っている」というお言葉をいただきました。ありがとうございました。佐賀局のホームページにも公表しておりますが、我々の業務運営方針として掲げています「放送局のちから」というものがございます。佐賀放送局では「県民の皆様に信頼され、親しまれ、地域が元気になる放送局を目指します」ということを掲げております。その中で、5つの具体的な目標を掲げています。第一は「安全で安心、健康な暮らしをしっかりと支えていきます」ということです。基本はやはりしっかりとした報道、信頼される報道ということが一番だと思っておりますので、皆さんの関心の高いニュースをしっかりとお届けしていくということをめざしています。次は「ふるさとの魅力をたっぷりと発信していきます」ということです。ふるさとの遺産、我々のふるさと佐賀の自慢できる遺産を全国へ向けて発信していきたいと思っています。また、テレビもデジタルになりましたので、デジタルの双方向の機能や、今後、いろいろなネットの機能も増えてまいりますので、そういう機能を生かして皆さん方の生活を豊かにしていきたいとの思いから「デジタルの活用で放送サービスを高めます」という目標を掲げています。さらに「県民の皆様とのふれあいを深めます」ということで、佐賀局の夕方の情報番組で、昨年度好評でしたアナウンサーが自転車で各地域を回り、触れ合って、地域の自慢をお届けするコーナーを今年度も継続しています。今年度もアナウンサーが各商店街に伺って、視聴者の皆さん方の身近な話題を提供していきたいと思っています。最後の5つ目は、「公共放送の使命と役割をわかりやすくお伝えしていきます」という目標です。受信料制度を含めて、NHKへの理解・促進を深められるよう努力していきたいというふうに思っておりますので、今後ともぜひご支援のほどよろしくお願いいたします。

(司会)
 放送の言葉につきましては、正しさとともに、皆様にわかっていただけるということを念頭に、全国のアナウンサーで常に議論しています。どこかの放送局で間違った事例があれば、例えば最近ですと、「采配を振る」、これを若いアナウンサーは「采配を振るう」と「う」をつけてしまったと。こういう事例があれば、今メーリングリストという便利なものがありますので、「注意してください」、「これは間違いです」ということをリストで回して、みんなで共有して注意をするというようにしています。常に正しい言葉、わかりやすい言葉でお伝えできるように勉強しております。
 さて、司会の不手際もありまして、まだご発言がおありの方もいらっしゃると思いますが、既に予定時刻を過ぎてしまいました。この場でご発言いただけなかったご意見などについては、受付でお配りしましたアンケートにお書きいただければと思います。最後にこの会全体を通しての感想とお礼を美馬委員からお願いします。

(美馬委員)
 まず、事前のアンケートにありました番組のお話が出なかったので、少しそのことに触れてからご挨拶をさせていただきたいと思います。『サイエンスZERO』のような科学番組の充実というご意見がありました。実は私、3年間、この番組のコメンテーターを務めておりましたので、この番組名が出たこと、とてもうれしく思います。科学技術というのは、社会を豊かに便利にしてきたものですけれども、今、とてもわかりにくくなってきています。分野が違えば同じ科学者でもわからないということが起こっていて、何とか日本の最先端の科学技術をいろいろな分野でわかりやすく知らせていこうという思いがあります。こうした役割を持つ番組は『サイエンスZERO』だけでなく、NHKの番組の中にいろいろありますので、ぜひ科学関係の番組をごらんいただければと思います。特に、「科学離れ」が言われ久しいですけれども、未来を担う子供たちに科学に興味を持ってもらうことはとても重要なことだと思っております。以上、私の個人的な思いをまずお話させていただきました。
 私は、今、函館という地方都市に住んでおり感じていることがあります。世界や全国のニュースを地域に届けるというのがNHKの一つの放送の役割ですが、地域のことを地域に伝えるということも大事なことだと思います。そして、さらに3つ目に大切だと思うのは、地域で起きている課題を全国に知っていただくということです。このことは、とても重要な役割だと思います。佐賀局という地域の放送局が、また、全国にそれぞれ放送局がありますけれども、そうした各放送局が地域の皆様と一緒になって番組を作り全国に発信していくということが、とても重要なことだと考えております。
 今日、参加させていただいた「視聴者のみなさまと語る会」で、こうしてみなさまのお声を直接お聞きできたことは、本当にとても重要なことだと思っております。本日いただいたご意見を、きょうここに参加できなかったほかの経営委員、あるいはNHKの執行部の方々とも、報告して共有して、今後の活動に生かしていきたいと思っております。本日はお忙しい中お越しいただき、どうもありがとうございました。

 

 

 

<視聴者のみなさまと語る会in佐賀>参加者当日アンケート

※全表の単位はすべて人数

質問1:性別

男 性 女 性 未回答
11 7 2

質問2:年齢

10代 20代 30代 40代 50代 60代 70
0 2 0 3 1 9 5

質問3:今回のイベントを何でお知りになりましたか(複数回答)

放送(テレビ) 放送(ラジオ) ホームページ 新聞 知人 その他
10 0 2 2 3 4

質問4:今回のイベントに参加していかがでしたか

大変満足 満足 ふつう 不満 大変不満 未回答
6 7 3 2 0 2

質問5:一番印象に残ったコーナーはどこでしたか(複数回答)

経営重要事項 経営など全般 放送について トークショー 特になし 未回答
7 11 1 6 0 0

質問6:NHK経営委員会の仕事を知っていましたか

よく知っていた 知っていた 知らなかった
4 8 8

質問7:今回のイベントに参加して、NHK経営委員会の活動について理解が深まりましたか

理解が深まった 特に変わらない わからない その他 未記入
12 5 0 0 3

 

 

<アンケートに寄せられた主なご意見>

 

経営全般について

  • 公共の不偏不党、公正・中立は完全には無理だと思う。それを担保するには、石原氏が言われたように右から左まで多様な意見を紹介することだと思う。言語の乱れについては、美しい日本語のドラマや映画を見せることです。昔の白黒の映画を見ると、こんなにも美しい言葉を使っていた時代があったのかと驚かされます。会長発言問題は小さいです。それよりも真実に対する探求心が問われています。
  • 参加した方のほとんどが、新会長への不満を言われ、参加した方の不勉強にびっくりしました。今回の参加者はマスコミTVばかり見ておられ、自分でインターネットや書籍で情報を取っていないのではないか?TVの受け売りだけでマスコミに作り上げられた世論というものを目の当たりにしてがっかりした次第です。NHKは真実を報道し今までの左よりを反省すべきです。今、一番言いたいのは、やはり日本を敵とする中国国営放送は撤退すべきです。
  • 公平・公正な放送が、実現されているとの回答に、疑問を持っていましたが、今回参加させていただいて、実感を得ました。経営についての質問ばかりで、人それぞれの考えがあると判りました。経営委員会の中立な立場で、今後のNHKを見直して、より公共放送を進めて行ってほしいと思います。
  • 競争の原理が働く組織にして下さい。例 第二NHK。国、自治体の借金を減らすことにもう少し必死になって下さい。公共の仕事の効率に目を向けて下さい。

  • 今後もNHKの経営と放送について健全に公平・公正に維持して下さい。
  • 経営、番組の語る会となるべき会が籾井問題に終始するのはNHKとしてなさけない事と思います。早く整理して本質に戻ってほしい。NHKがんばれと申し上げます。籾井事件は他企業では処分更迭と思います。もっと厳しい取扱いを望みます。

  • 籾井会長の事が話題となったが、個人の意見と組織としてのNHKがきちんと区別されていることが良くわかってよかった。受信料の問題はもっとNHKがゴネ得を許さない強い姿勢で臨んでもよい。民放が下品過ぎる。NHKがんばれ。

 

放送について

  • 公共放送の原点に立って、政治的なニュースに関しては、公平公正中立の立場で放送するのが原則であるが、時には政権(現内閣)の批判も行ってほしい。国民の意見がどの辺にあるかを判断して、放送の質を高めてほしい。『快馬は鞭影を見るや正路につく』中国の諺を送ります。
  • 文化勲章をもらった現役俳優である「高倉健」のスペシャルドラマを是非作ってほしい。NHKで全国民に感動ドラマを見せてもらいたい。
  • 民放はコマーシャルばかりでどちらを見ているかわからない。NHKを見たら、かしこくなれる。大河ドラマ『軍師官兵衛』は特におもしろく毎回楽しみに見ている。岡田准一のかっこよさは何とも言えない。今回の『花子とアン』は私も赤毛のアンを今読んでいるのですが、花子が恋愛に入って行くのが楽しみです。
  • 中村高志チーフプロデューサー 岡田准一さんのやりたいようにやらせて下さい!!お願いします。

 

運営、その他について

  • ある程度視聴者の率直な意見を経営委員や理事、副会長が聞く機会となったことはよかったと思うが、結局現在の姿勢のまま、体制のままで行こうという印象が強い。経営委員に失望。意見をもっと云いたいのに云えなかった。
  • 挙手をしましたが、時間が無く直接意見を言えませんでしたが、籾井会長の覚悟をうながす辞表提出要請は絶対におかしいと思います。「私は出していません」「私は出しました」と和やかなやり取りがありましたが、笑って聞ける話ではありませんでした。感覚がマヒしています。こういう事を改めないと、いくら信頼回復に全力で努めています、こんなに頑張っていますと言っても真実味が持てません。今回は人数が少なかったですが。
  • いろいろなご意見が聞けてためになりました。視聴者の声に耳を傾ける姿勢を持ち経営方針を達成するべくこれからも努力する現場の皆様を応援していきたい。良いことは良い、疑問点などは伝えて、私の好きな番組を増やしていきたいと思います。現場でがんばっている人たちの評価をきちんとして何がよい番組か、議論を重ねてよりよい物を目指して下さい。
  • 上滝理事の説明は特に参考になり説得力があり参考になった。
  • 籾井会長発言につき、今後も経営委員会が会長の監視・指導を責任をもって行うとの約束を得たことは良かった。放送倫理を実践できるNHKの執行体制を構築してもらいたいと思います。語る会の意義は大きいと思います。もう少し長い時間設定しても良いと思います。
  • 話がながいです。むだですね。始めに1分っていっていたのに、なんのためだったのか。朝からやったらどうですか。年数回ならやってもいいんじゃないでしょうか。
  • 若者がいませんね。若者を育てる力をつけるべき。佐賀で幕末に優秀な人材が多く輩出したのは、なぜか考えてほしい。その人本人もほめるべきだが、指導者がすばらしいということだと思いますが、どうですか。佐賀局の番組を愛知でもみてみたい。
  • 生涯現役と思って日常生活をしている中で少々気力が落ち気味の中、別の視点での「視聴者のみなさまと語る会」に参加して私自身再生した気持ちで有り難いことでした。