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2020年度 第3回
オンライン学生ミーティング(1都3県)
(2020年10月30日(金))

 

<会 合 の 概 要>

 「経営委員会による受信者意見聴取」の2020年度第3回は、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、パソコン等を使ってご自宅等からオンラインで参加いただく形で開催した。
 東京都と神奈川県、埼玉県、千葉県の1都3県にお住まいの18歳以上の学生を対象に、「自分とNHKとの関わり」、「ネット時代のNHK」、「その他、NHK全般」などをテーマに、公募による25人の視聴者から意見を聴取した。

 

<会 合 の 名 称>

オンライン学生ミーティング(1都3県)〜視聴者のみなさまと語る会〜

 

<会 合 日 時>

2020年10月30日(金)午後5時〜6時45分

 

<出  席  者>

〔参 加 者〕

1都3県にお住まいの18歳以上の学生25人

〔経営委員会〕

佐藤 友美子  (委員)

 

高橋 正美  (委員)

〔執 行 部〕

児野 昭彦  (専務理事・技師長)

 

林 理恵  (理事)

〔 司 会 〕

中谷 文彦   アナウンサー

 

<開 催 項 目>

 以下のとおり進行した。

 

1 開会あいさつ

2 経営委員による説明

  協会の基本方針、その他協会の運営に関する重要な事項について

3 意見の聴取

 (1)「自分とNHKとの関わり」について

 (2)「ネット時代のNHK」について

 (3)「その他、NHK全般」について ほか

4 閉会あいさつ

 ミーティング終了後、「『チコちゃんに叱られる!』はこうしてできる!」と題して、水高満プロデューサーによる講演会を開催した。

 

<概要・反響・評価>

  • 公募の結果、ホームページを通じて35人から参加の申し込みがあり、対象となる32人に参加案内を送信した。

  • 当日は25人が参加し、「自分とNHKとの関わり」、「ネット時代のNHK」、「その他、NHK全般」について意見や提言を募った。

  • 参加者からは「新型コロナウイルス関連の報道について」、「NHKプラス」、「インターネットの活用」などについて、多岐にわたる意見や提言が寄せられた。

  • 視聴者のみなさまと語る会の終了後に行ったアンケートには、21人から回答があった。主なアンケートの結果は次のとおり。

    <参加者の満足度>
     「大変満足」7人、「満足」11 人、「普通」3人、「不満」0人、「大変不満」0人

    <経営委員会の仕事について>
     「今回のイベントに参加して、経営委員会の活動について理解が深まりましたか」との質問に対し、「理解が深まった」との回答が15人からあった。


◆協会の基本方針・重要事項の説明①

(司会)

 経営委員会は何をしているか、ご存じですか。あまり知らない方が多いと思うので、はじめに佐藤委員から説明します。

(佐藤委員)

 経営委員について説明します。私たちNHKの経営委員は12人いますが、放送法という法律に基づき、国会の同意を得て、内閣総理大臣から任命されています。経営委員会では、中期経営計画や予算・事業計画など、経営の重要な事項について議決するほかに、NHK会長の任命も行います。会長や副会長、理事らが決められた方針に沿って、NHKを運営できているかどうかをチェックすることも私たちの役割です。
 皆さまは、NHKが受信料で運営されていることはご存じでしょうか。NHKは、税金で成り立っている国営放送ではありません。受信料で成り立っている公共放送です。そのため特定の利益や意向に左右されることなく、公共的な役割を果たしています。受信料については、今月から2.5%値下げしています。
 公共放送の役割の一つとして、NHKは、災害や新型コロナウイルスなどから国民の命や暮らしを守る「安全・安心」な情報をお届けします。また、“NHKだからできる”放送に力を注ぎ、多様で質の高い番組や情報をお届けしてまいります。そのために経営委員会も頑張っています。

 

 

テーマ1:自分とNHKとの関わり

(司会)
 大きく三つのテーマに分けて意見を伺っていきます。まず、「自分とNHKとの関わり」について、次いで「ネット時代のNHKはどうあるべきか」について、若い方から提言やアイデアを伺いたいと思います。最後に「その他、NHK全般」について伺っていきます。
 では、一つ目の放送について伺っていきます。日ごろ、自分とNHKの番組との関わりについて、あるいはコロナ禍で大学になかなか通えないこともあったかと思いますが、NHKの放送との関わりに変化があったかどうか。コロナ禍でNHKが実際役に立ったのか、必要なコンテンツがあったのかどうかなどを伺っていきたいと思います。
 Teamsには「手を挙げる」機能がありますので、それを使ってアンケートを取っていきたいと思います。NHKのテレビを「ほぼ毎日、または一週間に数回見る」という方は手を挙げてください。
 (集計の結果)16人。
 たくさんの方に見ていただき、ありがとうございます。
 「月に数回見る」という方は手を挙げてください。
 (集計の結果)5人。
 「ほとんど見ない」という方は。
 (集計の結果)1人。
 正直にありがとうございます。まずは、「ほとんど見ない」と答えた方に伺います。

【参加者】
 小学生のときはNHKのテレビを見ていましたが、歳を重ねるにつれて自然と見なくなりました。中学、高校あたりから見る頻度が減って、テレビ自体をあまり見なくなり、インターネットに移っていきました。

(司会)
 続いて、ラジオについて伺います。「ほぼ毎日、または一週間に数回聴く」という方は挙手をお願いします。
 (集計の結果)3人。
 「月に数回聴く」という方は。
 (集計の結果)6人。
 「ほとんど聴かない人」という方は。
 (集計の結果)14人。
 テレビはずいぶん多くの方に見ていただいていますが、ラジオはなかなか聴くことがないという方が多いようです。
 NHKのどんな番組を見ているのか、コロナ禍で見るようになった番組は何か伺います。

【参加者】
 よく見る番組は大河ドラマ「麒麟がくる」です。また、コロナ禍で授業がオンラインになったため、午前中に国会中継を見ていました。国会中継ではメディアが放送していないところも見えるので、「この人は本当はこのようなことを言いたいのに少し切り取られて出ている」などと感じるところもあり、さまざまな発見があっておもしろかったです。NHKに関しては、中立を保てていると思うことが多いです。民放は少し偏っていて、少し信頼性がないというのが自分の中にあります。

(佐藤委員)
 NHKは受信料で成り立つ公共放送なので、論が二つあれば二つとも出して皆さまに判断いただけるようにしています。それが守られているか、皆さまもチェックしてほしいと思います。

(林理事)
 NHKの業務は法律で定められていますが、基本は自主自律です。自主自律の自律は「立つ」ではなくて「みずからを律する」と書きます。みずからを律するためにいろいろな方法があるのですが、そのうちの一つが「NHK放送ガイドライン」で、自分たちでルールを定めて間違いのない放送を出すようにすることです。
 私は取材記者でしたので、取材に対する思いはもちろんありますが、NHKの放送として出すにあたっては、きちんとルールに基づいて出すというのが大原則です。いろいろな方の意見を多角的に出す、思い込みで取材をしないといったことは非常に基本的なことですが、最後は自分たちで設けたルールに従って放送を出していくということだと思います。これはニュースだけでなく番組も同じです。

【参加者】
 中途障害になってから、「ハートネットTV」や「バリバラ」などの福祉番組を見るようになりました。また、「NHKスペシャル」でやまゆり園事件などが特集されると見ています。
 私は、中途障害になってから当たり前のことができなくなり、「当たり前、それが意外とありがたい」ということばをつくりました。そのことばを広げたいのでNHKで取り上げてもらえるとありがたいです。また、自分以外の障害を知ることが自分の勉強にもなると感じていますので、当事者への取材をどんどん行って、障害を取り扱った番組を増やしてほしいです。

【参加者】
 「バリバラ」や「ハートネットTV」は新型コロナウイルス感染拡大以前から拝見しています。社会人やお年を召した方が出ていますが、学生など若い世代を中心に番組が進んでいくことが増えるとよいと思っています。身体に障害のある方だけではなく、性的マイノリティの方なども含めた、若い世代を中心としたコンテンツ制作を望みます。

(児野専務理事)
 非常にまっとうなご意見だと思います。Z世代、ミレニアム世代などと言われている若い方々は、みずから参加することに非常に熱意を持っています。放送というメディアは、同じ情報を一方向で大量に送り届けるという性格でしたが、インターネットと組み合わせることによって当事者が参加しやすくなる環境は整ってきました。番組のつくり方も、参加型のものは単にクイズに答えるというレベルではなく、企画段階からさまざまな問題について掘り下げるような参加のしかたで番組をつくられる時代になっていると思います。そのようなことを訴求していくことで、NHKは若い世代にもっと見てもらえるのではないかと思っています。

(佐藤委員)
 2018年から「ザ・ディレクソン」という番組を地方でつくっています。いろいろなアイデアを持っている方に来ていただき、コンテストを行い、一番になったチームの番組をつくり、皆で応援することにしています。全国に広がっていますが、まだ皆さまの耳には届いていないかもしれません。もっと多くの方に参加していただかないと意味がありませんので積極的にやっていきたい。学生対象があってもよいですし、障害者の方々で何かができるという機会も広がっていくと思いますので、ぜひ注目していただきたいと思います。

 

 

テーマ2:ネット時代のNHK

(司会)

 「ネット時代のNHKはどうあるべきか」について意見を伺っていきます。現在のNHKのインターネットを活用した取り組みについて紹介します。


◆協会の基本方針・重要事項の説明②

(佐藤委員)
 放送を中心としながら、インターネットも活用して、公共性の高いコンテンツや情報を「いつでも、どこでも」受け取れる環境を整えて、視聴の機会を増やすことは、NHKの使命を果たしていくためにも大事なことです。公共放送から公共メディアへ、インターネットを活用して進化を続けているところです。
 「NHKニュース・防災アプリ」やNHKラジオ「らじる★らじる」、「語学講座」など、いろいろと役に立ったり、楽しんでいただけたりするアプリがあります。皆さまがお使いになっているものはあるでしょうか。
 NHKでは、ことし4月1日から、「NHKプラス」というサービスを開始しました。総合テレビとEテレの番組を、インターネットで放送と同時に配信する「常時同時配信」と、それらの番組を一週間程度いつでも見ることができる「見逃し番組配信」のサービスがあります。NHKと受信契約をしている方であれば、追加料金なしで、いつでも、どこでも、何度でも、NHKの番組を楽しむことができます。ぜひこうした新しいサービスを学生の皆さまにもお使いになっていただきたいと思います。皆さまはお使いになっているでしょうか。

(司会)
 「NHKプラス」を使っている人は挙手してください。
 (集計の結果)13人
 ふだんインターネットと放送のどちらの利用が多いですか。インターネットという方は。
 (集計の結果)16人。
 放送という方は。
 (集計の結果)6人
 まず、放送の利用が多いという方に意見を伺います。

【参加者】
 娯楽ではインターネットを使うことが多いのですが、インターネットはどうしてもバイアスがかかってしまい、情報の入手手段としては公平性が期待できないので、情報を集める手段としてはテレビの方が大事だと思っています。特にNHKは民放と違って、あまり解釈を加えず、なるべく公平に淡々と情報を提供してくれるので、貴重な情報源として活用しています。

【参加者】
 高校生のときはインターネットを主に使っていましたが、新型コロナウイルスに関して、塩水を目薬にするとよいなどといったフェイクニュースが飛び交い、インターネットの情報が正しいとは限らないと気づきました。NHKのニュースの方が、解釈も加えずに客観的な事実を多方面から伝えてくれます。今回のコロナ禍で、自分が情報を知って判断する際には、NHKのニュースを判断材料にしようと強く思いました。

(司会)
 次に、インターネットの利用が多いという方に意見を伺います。

【参加者】
 NHKに限らず民放も、ネットニュースやアプリなどで、テレビ放送と同じクオリティのものがスマホで見られるようになっています。また、テレビだけを見ていると、尺の中で選び取られた情報しか得られないような気がします。インターネットの方が、さまざまな観点からさまざまな意見に触れることができるという意味で、情報の広がり方、視野の広がりが強いと感じています。もちろんNHKを見ることはありますが、インターネットで番組を知って見るというサイクルです。最近では「おげんさんといっしょ」などを見ましたが、最近はテレビを見るにもネット始まりがとても多いと感じています。

【参加者】
 小さいころから今までNHKをかなり見ていますが、情報源を1か所に絞りたくないという思いがあり、インターネットも利用して両方取り入れていきたいと思っています。私の周りの大学生は1人暮らしが多く、情報源はインターネットのみという人も多いのですが、情報が偏っていると感じることもあるので、私は、インターネットありきの放送という形で利用しています。

(司会)
 参加者への事前アンケートで、NHKのウェブコンテンツの利用状況について伺ったところ、「NHKプラス」と「NHKニュース・防災アプリ」が13人、「らじる★らじる」が7人、「NHKオンデマンド」が5人となっていました。ウェブコンテンツも含めて、どのように発信をすると情報が伝わるか、このようなコンテンツがあるとよいといったことを伺いたいと思います。

【参加者】
 NHKは、1週間や2週間と時間を区切って過去の番組を見られる配信サービスを行っていますが、過去の番組を全部見られるようにするなど、インターネット独自のサービスに変えていけば使う人も増えていくのではないかと思います。

(児野専務理事)
 過去の番組を見る方法として、「NHKオンデマンド」というサービスがあります。これは受信料とは別の料金体系で行っているサービスです。過去の番組をインターネット上で配信するためには別の権利をクリアする必要があります。放送されたコンテンツをすべてインターネットに載せることは、著作権や著作隣接権の関係でできないため、数が絞られているという状況です。放送番組をインターネットで配信する際の権利の扱いについては国の方でも議論がなされており、まさに動いている最中ですが、権利関係の問題がクリアされると、ご要望にあったようなサービスが可能になってくるかもしれません。ただハードルはそんなに低くないような気がしています。

(司会)
 チャット機能を使って、「私の実感として、民放はインターネットサイト等で意見を投稿できるページがありますが、NHKはまったくなく、固い印象を持っている」という意見が寄せられました。

【参加者】
 「当たり前、それが意外とありがたい」ということばを投稿したいと思っても、番組のサイトなどに投稿できるページがないので、いつも悔しく思っています。民放の番組にはあります。今回こちらのミーティングに参加して初めて言えました。

(佐藤委員)
 ご意見をいただいたようなパターンはあまりないかもしれませんが、いろいろな番組で企画は募集していると思います。例えば「サラメシ」のように、自分のサラメシを紹介してくださいといった形で出しているものもあります。私の知り合いも提案して通ったと言ってテレビに出ていました。NHK側が求めているところもたくさんありますので、ぜひ積極的に出していただければ、きっと熱意が届くのではないかと思います。ぜひチャレンジしてみてください。

【参加者】
 私はテレビだけを見ることはあまりありません。スマホでメールを確認したり、友達と連絡を取ったりしながら同時にテレビを見ていることが多いので、これらが連携していれば、若者もテレビを見るようになったり、スマホからテレビを見ようというきっかけになったりするのではないかと思います。

(佐藤委員)
 スマホを見ながら見ているテレビは、どのようなものですか。

【参加者】
 NHKでは結構ニュースを見ています。カチカチのニュースを見ながら手元では友達と連絡をするという使い分けを同時にやっている感じなので、もう少しよい具合に融合できたらと思います。

(佐藤委員)
 ドラマなどではなくニュースですか。固い番組とスマホが連携するのはアイデアとしてとても面白いです。

(高橋委員)
 大変勉強になります。私も子どもが3人いますが、生活パターンを見ていると、居間にはほとんど来ません。各部屋にテレビも置いてあるが、パソコンもあって、それを見ながら自由に使っているというイメージです。私は不器用で、同時にあれを見たりこれを見たりはできず、勉強しているときに音楽を流すのもダメだったので、若い人には感心しきりです。ぜひとも能力を生かしながらテレビも生かしてもらえればと思います。

(児野専務理事)
 かつての“ながら見”で一番多かったのは食事をしながらテレビを見ることでしたが、だいぶ前からスマホを見ながらテレビを見るのが主流となっています。これは若い人だけではないかもしれません。先ほどインターネットかテレビかという設問がありましたが、私はその質問自体にあまり意味がないと思っています。インターネットかテレビかという分け方ではなく、インターネットとテレビのよいところをどう組み合わせるかという視点で考えていかないと、公共メディアは実現しないと思っています。
 チャットで「若い世代の意見を求めるにはSNSでの募集が最善かと思う」と書かれていましたが、このような取り組みを積極的にやっていくことが、放送をメインとしつつ、インターネットとの相乗効果で放送の価値を高めていくことにつながると思います。

(司会)
 ネットとテレビをどう融合させていくとよいものができるでしょうか。

【参加者】
 実家暮らしなので親の支払いでNHKを見ています。もし1人暮らしを始めたらと考えると、たぶんテレビは買わず、パソコンとスマホだけになり、NHKからも遠ざかると思います。今でもテレビを見なくてもYouTubeなど、いくらでも面白いものがあります。NHKが公共メディアを目指すのであれば、NetflixやHulu、YouTubeといったスマホでもテレビでもパソコンでも見られるメディアがライバル会社と想定されますが、例えば「NHKプラス」ではBSの番組が見られないという差があると、顧客を獲得できないのではないでしょうか。公共放送といっても支払いをするという点では有料コンテンツと変わらないわけで、使いづらかったら意味がないと思います。NHKアカウントのようなものがあって、登録していればどこからでも見られるようにシフトしていくべきだと思います。
 また、NHKと受信契約をしていない人でも「NHKニュース・防災アプリ」でニュースが見られますが、テレビを見る人が減り、アプリを使う人ばかりが増えていくと、公共政策などでよく言われるフリーライダーの増加につながって、NHKそのものの破綻を招くのではないでしょうか。

(児野専務理事)
 「NHKニュース・防災アプリ」のコンテンツはかなり充実してきていると思いますので、満足される方もいるかもしれませんが、NHKが公共の電波を通じて行う放送がすべてネットに取って代わられるという事態を招かないよう、私たちも努力していかなければならないと思っています。インターネットか放送かではなく、例えばインターネットで見たニュースを、さらに掘り下げて考察したいときに放送に戻ってくるというような関係で、放送に立ち返っていただくように考えていきたいと思っています。
 NHKのアカウントを持っていればすべてのサービスを受けられるというアイデアは非常によいと思います。ただ、NHKは放送法に書かれている、あるいは大臣の認可を受けたことしかできません。例えば衛星放送の同時配信や過去の番組をすべてインターネットで流すことは、いまのNHKではできませんが、これからの世代の皆さまがどんどん要望を出して、制度を変えるほうが世の中にそぐう状況だという世論が沸きあがれば、法律を変えることになるかもしれません。ぜひ大きな声で意見してもらえればと思います。

(佐藤委員)
 NHKにとっては「安全・安心」が一番のキーワードで、例えば災害時には受信料を支払っていなくても災害情報を見ていただくことは外せないことと思っていますので、「NHKニュース・防災アプリ」も充実させていくということです。ただ、それがすべてではありません。いまの時代は、インターネットの利用が増え、学生はテレビを持たず、見なくなっています。安全・安心の情報が届かなくなってしまうのは一番怖いことです。公共放送・公共メディアとして番組や情報を皆さまに届けることは使命だと思います。いくつもハードルがありますが、ハードルを変えるような力を持っていきたいと思っています。

【参加者】
 インターネットの時代にどのようなコンテンツがよいかという話でしたが、ハードの面も気にしなければならないと考えています。例えばデジタルデバイド(情報格差)の問題がありますが、NHKが公共メディアに生まれ変わるためには、障害のある方や高齢者の方など、スマホをうまく使いこなせない人たちにも等しく、むしろそのような人たちこそ大切にして情報を提供しなければならないと思います。例えば「テレビ体操」など高齢者をターゲットにした番組で「NHKプラス」の使い方を紹介したり、市役所などの公共施設で誰でも自由に使えるニュース端末を設置したり、一人でも多くの人に等しく情報を発信することの重要性はとても大切だと思います。こうした取り組みはしているのでしょうか。

(林理事)
 できるだけ多くの方々にNHKのコンテンツ、放送・サービスに接していただきたいといつも考えています。法律、制度によって、できること、できないことがいろいろありますが、できることはできるだけしていきたいと思っています。私たちがまずできることはコンテンツをつくることです。チャットで「単純に放送にこだわる理由を知りたい」という質問がありましたが、みなさまからいただく受信料でNHKができる業務は、まず放送を出すことです。インターネットはあくまでそれを補完する業務ですので、まずは放送を通じてできるだけ多くの方にコンテンツをお届けすることが大事です。
 また、NHKがしなければならない業務のひとつに、放送をよくするための技術開発もあります。例えば、お年を召して聞き取りにくくなった方のためにスピードを落として音声を出す機械や、手話をできるだけ人の手を使わずCGでつくる仕組みなどの人にやさしい技術の開発もしながら、できるだけ多くの方にNHKに触れていただく努力をしています。ご意見をいただいたように、もっと頑張らないといけない部分もありますので、一生懸命取り組んでいきます。

【参加者】
 テレビ局としてコンテンツを考えるのはとても大切なことで、むしろ業務の中心だと思います。同時に、ハードや、どうやって伝えるのか、何を使って伝えるのかもあわせて考えてもらえると、より公共メディアとして受け入れてもらえると思います。

【参加者】
 インターネットは“ついでに”利用するところが大きいと思っています。ただNHKのコンテンツに関しては、“ついでに”視聴することがあまりありません。例えばradikoで検索して「こんな番組がある」と分かっても、NHKの番組はタイムシフト視聴ができないし、「NHKプラス」は他の動画サブスクリプションサービスから見ることができません。ほかのサービスとの互換性があれば、ついでに見ることができ、NHKのコンテンツの質の高さに気づくこともあると思います。NHKのアプリだけだとアクセスしにくいのですが、よいコンテンツがあると思うので、アクセスする機会が増えたらよいと思います。

【参加者】
 NHKであったらよいと思うコンテンツは三つあります。一つ目は、年齢ごとに楽しみながら学べる性教育が重要だと思っています。性といってもジェンダーとセクシュアリティとセックスがあると思いますが、性に関する認識がまだまだ日本は低いと思うので、そのようなコンテンツをNHKで扱ってほしいです。最近、「おはよう日本」で緊急避妊ピルに関する発信をしていて、大変ありがたいと思いましたが、「おかあさんといっしょ」のような世代を対象にした番組でできるとよいと思います。二つ目に、メディアリテラシーに関する教育をしてほしいと思っています。SNSは自分から情報を受け取りに行くスタンスですが、テレビと一緒で受動的な捉え方をしている人が結構多いので、メディアとの関わり方、向き合い方について、NHKにぜひやっていただきたい。三つ目は若者の参加型ディスカッションです。互いに自分たちの意見を言い合える場所が必要だと思います。「ハートネットTV」の「#8月31日の夜に。」という番組がとても好きですが、匿名性はあるものの、自分の意見や気持ちを代弁してうまい具合に回していて、あのような番組を政治や社会問題に反映させていけば、今の社会がどんどんよくなっていくと思いました。

 

 

テーマ3:NHK全般について ほか

(司会)

 NHK全般についてご意見を伺います。まず、この先どんなコンセプトで活動していこうと計画しているのか。来年度からの3か年の計画について、簡単に説明してもらいます。


◆協会の基本方針・重要事項の説明③

(佐藤委員)
 最後に「中期経営計画」について、簡単にご説明します。「中期経営計画」は、受信料によってNHKを支えていただく視聴者の皆さまに対するNHKの「お約束」として、次の3か年の具体的な経営目標や重点方針を掲げるものです。
 いま、2021年度から3か年の中期経営計画について議論を進めている最中です。きょうの皆さまの意見も反映されるかもしれません。キーコンセプトは、「新しいNHKらしさの追求」です。皆さまが参加していただけるものになると思います。すべての人に「安全・安心」と「正確、良質で多様なコンテンツ」を届け、信頼される「情報の社会的基盤」としての役割を果たし続けるために、5つのキーフレームを設定し、重点的に取り組みます。視聴者の皆さまの期待に応えることができるような計画にしたいと考えていますので、ぜひいろいろなご意見をお寄せください。

 <5つのキーフレーム>
 1.安全・安心を支える
 2.新時代へのチャレンジ
 3.あまねく伝える
 4.社会への貢献
 5.「NHKらしさ」を実現するための人事制度改革

【参加者】
 質問が二つあります。一つ目は、NHKの国際化についてです。民放との違いとして、NHKは世界中のニュースを取り扱うことが強みだと思っています。「NHKワールドJAPAN」のアプリを多用していますが、今後どのように世界中のニュースをもっと扱っていくのか、もっと国際化していくのでしょうか。二つ目は、固定費の削減、斬り込みという観点で、スポーツ放送権料などをどんどん絞り込んでいくことが経営方針に書かれていましたが、近年はラグビーワールドカップや来年行われる東京オリンピック・パラリンピックなど、スポーツ熱の高まりがあると思います。今後スポーツ放送をどう考えているかを伺いたいと思います。

(林理事)
 NHKの場合、世界のニュース、国際ニュースというと二つの意味があります。一つは日本の情報を世界に出すこと。アプリを導入してご覧いただいているのはこちらだと思います。英語など外国の言語で発信しています。もう一つは、国際的なニュースを日本の視聴者の皆さまにお伝えすることです。どちらも非常に大事なNHKの仕事です。「NHKワールドJAPAN」は国際放送ですが、皆さまからいただいている受信料でNHKが必ず行わなければいけない業務の一つであると放送法に書かれています。日本を正しく世界に知ってもらうというNHKの使命があります。同様に、世界のニュースを日本国内の方にきちんと知っていただく報道もとても大切な使命です。NHKには海外特派員がいますし、連携している海外の放送局からも素材をもらったりしつつ、国内の方に世界の動向を知っていただく放送を引き続きしっかり行っていきたいと思います。
 スポーツの放送につきまして。スポーツ放送権にはものすごくお金がかかります。全部放送したいという気持ちはありますが、本当に日本の国内の皆さまが見たいもの、あるいはラグビーのワールドカップやオリンピック・パラリンピックなど、放送することがNHKの大切な役割であるものをきちんと選択して、皆さまの期待に応えられるように放送していきたいと思っています。

【参加者】
 NHKのスポーツ中継は、民間と違ってCMもなく期待しているので、ぜひいろいろと放送していただけると嬉しいです。

【参加者】
 まず要望ですが、「鬼滅の刃」ブームからアニメブームが起こり、Eテレで「銀河英雄伝説 Die Neue These」や「SHIROBAKO」を放送しています。アニメなど若者に沿ったものを配信してくれると、Eテレをはじめ若者が視聴してくれるのではないかと思います。
 次に質問ですが、国内視聴者から受信料を取っているのに、国際放送で受信料を取らないのは、おかしいと思います。NHKの収支を見ると、7,200億円の収入のうち国際放送に260億円使っています。なぜ国際放送をするかのQ&Aもありましたが、日本という国を理解してもらうために、日本の国益につなげるために国際放送を行っているとは思いますが、若者にとって具体的にどのような利益につながっているのかを教えてほしいと思います。260億円に見合う国益が得られているのか実感できないので、具体的に教えてください。

(高橋委員)
 国際放送に関して、どのような形でやらなければならないかの理由は、すでに林理事から話がありましたので、具体性を追加していただきたいと思います。若者向けのアニメは非常によいポイントで、いろいろなところで議論されています。ただ、番組の中で一定の範囲というものがありますので、アニメをどの程度のパーセンテージとしていくのかも含めて、いま議論がされているということだと思います。皆さまにどうやって理解してもらうか、どうやって見ていただくかが、ものすごく大事なポイントだと理解しています。

(林理事)
 NHKは受信料を使って国際放送を実施しなければならないと定められています。放送法では、国際放送の目的について、「日本の文化・産業その他の事情を紹介して日本に対する正しい認識を培い、および普及すること等によって国際親善の増進および外国との経済交流の発展に資するようにしなければならない」とあります。これが放送法に定められている条文です。定量的にどのぐらいの効果があったのかを説明するのは非常に難しいですが、例として申し上げれば、国際交流の増進という面では、NHKの国際放送には、若者のJポップの番組やアニメ、映画などカルチャーを紹介する番組がたくさんあります。SNSでも情報を発信していますが、これには海外の若い人たちを中心にフォロワーがものすごく付いていますし、海外でPRのイベントを行うと大勢の方が会場にいらっしゃいます。日本のソフト、日本の柔らかい文化についてNHKの国際放送を通じて海外の方に伝えることで、日本のファンが増えるということが現実としてあります。
 もう一つは、「経済交流の発展に資するようにしなければならない」という点。企業がさまざまな工夫をして開発した商品を紹介したりすると、海外から非常に大きな関心が寄せられます。
 実際にビジネスにつながるかどうかは別にして、日本でそのようなことに取り組んでいるのだという情報を海外の人に紹介することができる。おそらくこれはNHK以外のほかの国際放送や海外の放送局ではなかなか取り上げない話でしょう。細かいことを取り上げて日々積み重ねていくことによって、海外の方の日本に対する理解が増す、そして海外の日本ファンが増える、ひいては日本と海外の交流の円滑化や、日本と海外のよりよい関係の構築につながると思っています。定量的にどれぐらいかは説明できませんが、ご理解いただけましたか。

【参加者】
 直接的に若者に利益があるかどうかは言えないかもしれないですが、間接的には利益があるかもしれないという認識でよいですか。

(林理事)
 受信料をいただいているすべての方々のために放送・サービスを行っていますので、若者に限らず皆さまに長期的にプラスになることが目的と思っています。直接プラスになれば嬉しいですが、このようなことは時間がかかりますし、地道に積み上げることが必要だと思います。

【参加者】
 若者を話題や主題にしたコンテンツを増やしてほしいです。自分に関連があるコンテンツが増えれば若者の視聴者は増えると思います。
 また、コロナ禍で大学生がキャンパスに行けない実情について本格的に取り上げられたのは、夏になってからだと思いますが、後回しになっているという印象を受けましたので、コンテンツを増やしていただきたいです。
 もう一つは海外のドキュメンタリー番組を取り上げている番組がありますが、世界のドキュメンタリー番組などのコンテンツを選んで紹介すること自体に価値があり、国内にいると見ることができないものに触れられるので、そのようなコンテンツも増やしてほしいです。

【参加者】
 私は、NHKの好きなところを伝えたいです。毎朝「あさイチ」を見ていますが、特集で「おばさんって、どこから呼ばれるのか」や「推しのいる生活」に関するテーマなどが挙げられていて、大学生でも身近に感じられるようなユニークなテーマがたくさんあるので、私は中学生や高校生のときより、むしろ今のほうがNHKをたくさん見るようになりました。
 これからもNHKならではのユニークな視点で情報を届けてほしいと思います。

(司会)
 最後にNHKに対する意見やアイデアを伺います。

【参加者】
 アイデアが二つあります。一つは、若者向けのディスカッション参加型の番組が増えればよいと思います。私たちはZ世代と呼ばれる世代で、海外の研究で、ミレニアム世代やそれ以上の世代よりも、社会問題・国際問題に対する危機意識が強く、何か行動したいという意識を持っている人がとても多いと言われています。団体をつくって行動している若者も多いのですが、フェイスブックやツイッターでの活動にとどまっていて、大きなものに発展せず、くすぶっているものがあると感じています。私は、ことし2月に「おはよう日本」で、高校生として校則に関してスタジオで30分間議論するという新しいスタイルの番組に参加させてもらいとても有意義だったので、そういった番組がもっと展開されていくとよいと思います。
 もう一つは、中期経営計画で減収に備えてということでしたが、例えばNHKのドラマなどをもっと海外に輸出していけばよいのではないかと考えています。「よるドラ」など、視聴率は度外視で質の高いものを制作されているので、海外に輸出していけば収益にもつながるし、日本の文化や日本の生活の発信にもなると思っています。

【参加者】
 二つ提案したいと思います。一つは、大学生として論文を書く機会が多いのですが、NHKの学術機関であるNHK放送文化研究所(文研)が出す論文は社会的にも注目度の高い話題で、研究するうえで有意義なので、知名度が上がっていけばよいと思います。
 もう一つは首都圏というくくりがあまりに広すぎると思っています。私は神奈川県民として横浜局が地元の局にあたると思いますが、横浜局から出ている番組は、ほとんど見たことがありません。一方で横浜に住んでいながら、新潟や茨城、長野や山梨まで首都圏扱いしているのは納得がいきません。そのような地域の話は全国ニュースですればよいのであって、例えば正午の全国ニュースが終わってローカル放送のはずが、全国ニュースが続いているような気分になります。災害報道にも言えることですが、自分の近くにある地元局が出している情報はより身近に感じることができると思っています。マスメディアが苦手な“焦点を絞って伝える“という意味で、あまりに広すぎる首都圏というのは、響かない状態です。確かに人の往来が多い地域ではありますが、例えば横浜局から出すニュースでは、神奈川県内のニュースに加えて、プラスアルファでおまけ程度に東京の話題を扱うといったように、首都圏各局のスタジオをもっと使ってほしいと思います。

【参加者】
 二つありますが、一つはすでにあるのかもしれませんが、朝のニュース番組などがあとから話題になっていることを知ることが多く、通学途中など移動時間に見たいので、ニュースを手軽にスマートフォンで見られるサービスが欲しいと思っています。もう一つは、NHKという組織に対しての要望です。今回このような場所をセッティングしていただいて、経営委員の方々が気さくに年下の意見を聞いてくださるのを大変嬉しく思っています。私の周りでは、NHKのことをよく知らず、受信料を取りに来るだけと思っている人がとても多く、私が「このような番組がある」と言っても届かないことが多いです。NHKにはこれまでどおり周りに発信していくとともに、風通しのよい組織であってほしいと思っています。新しい価値観を受け入れたり、歳を取って忘れてしまったことを若い人から吸収したり、また、歳を重ねるからこそ見えてくるものを若い人に教えたり、共有したりすることで、よりよい組織になって欲しいと思っています。

(司会)
 スマートフォンから「NHKプラス」でニュースなどが見られますので、ご利用ください。

【参加者】
 学生や若い世代に見てもらうためには、インフルエンサーやアーティストなどを番組に出し、効果的に若者に見てもらえるような時間帯に放送するのがよいと思います。最近は「シュガー&シュガー」や「不可避研究中」などを見ていて、周りの若い世代も結構見ていますが、深夜帯にやっていることが多く、録画しても見るのを忘れたり、たまったりするということがあります。インフルエンサーやアーティストなどを若い人が見られるような時間帯に出す、またSNSでハッシュタグなどをつけると、SNSで見ている人たち同士がコミュニケーションでき、ハッシュタグがときにバズることもあると思うので、効果的な使い方をしてほしいと思っています。

【参加者】
 若者に見やすい政治番組をつくってほしいと思います。例えば、都知事選で「なぜこの候補者を選んだのか」と聞くと、「勘で選んだ」などと言う人が周りに結構多く、若者の中で政治離れが進んでいます。NHKが若者向けとして、俳優や女優を起用してアニメやドラマで政治番組をつくってもらえると、若者の政治への関心が高まるのではないかと思います。

【参加者】
 いまの時代はインターネットでたくさんの情報があふれています。かつてはインターネットが能動的に情報を探すのに対し、テレビなどのメディアは受動的に流れてくるものを受け止めるという感じでしたが、いまはインターネットでもSNSなどはタイムラインなどで流れてくるものを一方的に受け止めるだけになっていて、解釈が偏りがちになります。NHKが、解釈を加えずに情報を淡々と提供してくれるのはありがたいと思いますが、脚色されていない情報をどう解釈するか、解釈の方法も教えてくれる番組もほしいと思っています。民放はワイドショーなどで不安を扇動しがちです。例えば新型コロナウイルスの感染者が100人になったとしても、99人と100人の違いは数字のインパクトだけで大したものではないと思うので、統計学的にどうなのかなど、解釈するための教育番組があるとよいと思います。このような問題は、新型コロナウイルスになって認識され始めたと思いますが、政治でもある問題だと思うので、解釈の方法を教えて能動的に情報を取捨選択できるような番組があってほしいと思います。

【参加者】
 私の要望は、海外へのプレゼンスをもっと高めていってほしいということです。具体的には海外のメディアとコラボなどをするとおもしろいと思います。学生ミーティングということで、若者への利益はもちろんですが、やはり公共放送として日本国民全体の利益という観点では、海外へのプレゼンスを高め、海外情報をたくさん国内に取り入れていくことで、私たちの視野も広がります。また、日本から海外への発信はなかなか国内では見られないので、海外でもNHKは頑張っているということを私たちが見られるようにするためにも、海外とのコラボがもっとあると興味深いと思います。

【参加者】
 二つあります。チャットでも書きましたが、今回参加するにあたって、実際に友人約20人に「NHKについて、どのようなイメージを持っていますか」という質問をLINEなどで行ったところ、一番多かったのが「固い」「難しい」といったイメージが強いという意見でした。一つ目として、「チコちゃんに叱られる!」のような、勉強している感じではなく、楽しく分かりやすくいろいろな情報が得られるような番組が増えたらうれしく思います。
 二つ目は、日本の社会問題や世界の環境問題など、さまざまな問題を大学で取り扱うことが多いのですが、一番大変なのが情報を集めることです。正しいのか、正しくないのか、信じてよいのか、脚色が入っているのかなどを判断しきれないので、NHKが集めたデータや情報を閲覧できる場やデータベースがあると、ありがたく思います。

【参加者】
 災害や事件などが起きたときに街頭インタビューをして、「不安だ」とか「かわいそう」とか、ある種、感情論的なものをよく流していますが、受け取り手や社会としては意味のある情報ではありません。本当に大事なのは、その問題が持つ社会的な意味合いなどのはずなのに、街頭インタビューを多用することで情報の本質がゆがめられています。ニュースを身近にするためという意義があるのは分かりますが、街頭インタビューは自制してほしいです。世論をつくる公共機関としてのNHKの側面を考えたら、一個人の感情論のようなものを流すのは不適切ではないかと前々から思っています。

【参加者】
 パラリンピックやパラスポーツに関して、NHKは特設サイトやアニメとのコラボなどを通じて魅力を伝えよう、盛り上げようという取り組みが民放に比べて強いと思いますが、それでもあまり広がっていないという印象があります。せっかく東京パラリンピックがある中で広めるのであれば、BSではなく地上波のよい時間に、例えば車いすバスケの試合を定期的に放送するなどしてほしいと思います。細かい紹介よりも定期的に放送して人の目につく時間を増やすことによって、おのずとおもしろさが伝わると思うので、パラスポーツを競技として試合を地上波で流す時間があれば、もう少し盛り上がると思います。

(司会)
 本日は、皆さまのご協力でさまざまなご意見を伺うことができました。長時間お付き合いいただき、ありがとうございました。最後に経営委員から全体を通してひと言申し上げます。

(佐藤委員)
 貴重なご意見をありがとうございました。インターネットは補完的業務となっていますが、テレビと一緒に考えていかなければならないものだということを強く感じました。もう一つは、若い人たちの元気が社会に届いていないのではないか、メディアを通してもっと発信したらよいのではないか、ということです。例えば日本の若い人たちは、海外に比べて社会的な問題にあまり興味がないのではないかと思われていますが、それはメディアに乗る回数が少ないからです。皆さまの意見や議論の場をテレビで放送し、ほかの世代にも見てもらう。記者にも入ってもらえばよいし、そのような場をもっとつくるのもNHKの役割だと思いました。やる気はありますので、ほかの人にもNHKを見るように勧めてください。

(高橋委員)
 きょう参加させいただき、期待が極めて大きいということを再認識しました。また、皆さまのところに届いていない情報が大変多いということも感じました。私は3年前に損害保険会社から常勤の経営委員として来ましたが、「なぜ、これをやらないのか」というのを結構強く感じ、今も強く感じていますが、いろいろと勉強すればするほど、がんじがらめになっていることが分かります。きょう皆さまが言われたことは、国民の皆さまの声だと思います。私も皆さまと同じ考え方を持っていて、インターネットをうまく使いながら、一対一で皆さまの声を思い切り拾っていくことがNHKを変える力になると思っています。皆さまから指摘されたことは真剣に考えられてはいますが、なかなか実行に移せないような制度になってしまっています。引き続き背中を押してもらい、皆さまの意見をわれわれにどんどん送ってもらい、皆さまに好まれる、期待されるNHKに変えていきたいと思います。きょうは、本当によい意見を頂戴しました。ありがとうございました。一歩ずつ皆さまの期待に応えていきたいと思います。

 

 

<このほか開催中のチャットで寄せられた主なご意見>

 

  • 「バリバラ」のようなコンテンツでも、同じ年代の学生にフォーカスした番組があれば、自分事化できる若い世代が増えると思います。
  • コロナ報道に関して言うと、実際のところメディアよりも“扱う側”に問題があるように思えます。
  • 若い世代への意見を求めるにはSNSでの募集が最善かと思うのですが、そういった取り組みは行っているのでしょうか。
  • 参加型NHK、いいですね。
  • 海外発信について、利益よりも周知が目的なのであれば、SNSでのコンテンツ発信を活性化させたほうが広くリーチできないでしょうか。韓国人の友人は、NHKを見たいけれど間口がないと言っていました。
  • 友人何人かにNHKにどのようなイメージを持っているか質問したのですが、「固い、難しい」といった意見が多くありました。これらの意見を変えるために、「チコちゃんに叱られる!」といった、楽しくわかりやすくさまざまなことを学べる番組が増えたらうれしく思います。
  • 「何をやればいいんだろう?」を解決するようなコンテンツがあればすごくいいですよね。環境問題など特に。
  • 記者が直接解説してくださるのも顔が見えると情報として安心します。

 

 

<オンライン学生ミーティング(1都3県)〜視聴者のみなさまと語る会〜> 参加者事後アンケート

※全表の単位はすべて人数

質問1:性別

男 性 女 性 その他 無回答
12 9 0 0

質問2:年齢

〜19歳 20〜24歳 25〜29歳 30歳〜
6 13 1 1

質問3:今回のイベントに参加していかがでしたか

大変満足 満足 ふつう 不満 大変不満
7 11 3 0 0

質問4:NHK経営委員会の仕事を知っていましたか

よく知っていた 知っていた 知らなかった その他
0 5 16 0

質問5:今回のイベントに参加して、NHK経営委員会の活動について理解が深まりましたか

深まった 変わらない わからない その他
15 5 0 1

 

 

<実施後のアンケートで寄せられたご意見>

 

経営・放送全般について

  • NHKには、正直なところ、固く時代遅れなイメージがあったが、今回の話を受けてNHKのことをよく知らなかっただけだと分かった。最近は面白いドラマも多く、「チコちゃんに叱られる!」など固いイメージを崩す番組も多い。固い印象が強いNHKがやるからこそ、若者の心をつかむのも早いと思う。このギャップもえを今後も見ていきたい。
  • 若者のディスカッション番組制作は、若者のためだけでなく、ネット世代の実情をよく知らず「今の若者は」と思っている年配の世代の方にも、有意義な情報を伝えられる機会になると思う。
  • 高校時代、「おはよう日本」に生出演した際にSNSの反響を調べたところ、同世代よりも社会人の方が感想を多くツイートしていた。NHKは「Zの選択」など若者の不安定さ、繊細さに焦点を当てた番組制作を多くされているが、若者の社会問題に対する迷いや熱意にクローズアップした番組はない気がする。今後、自分も協力したいので、ぜひ声がけしてほしい。
  • 日常に即した形の、若者向けの政治アニメ、ドラマの検討をお願いしたい。
  • 放送法の制約については同情する。
  • 1億7,307台(平成30年度第2四半期(9月末))あると言われている携帯端末のうち75%はスマートフォンだが、仮に、全端末で常時同時配信にアクセスした際に維持できるのか、気になった。
  • 会議の中であった、NHKのアプリに他の配信サービスと互換性を持たせた方がよいという提案に賛同する。周りの友達はNHKを高齢者が視聴、利用するものと考えている人が多く、アプリであってもダウンロードする機会があまりない。他の配信サービスと互換性をもってNHKにアクセスしやすくすれば、若者にも視聴されやすくなるのではないか。

 

オンライン開催、運営について

  • 挙手機能を用いたアンケートなど、オンラインだからこそできる方法が見られた。参加しやすく大変満足している。今後もオフラインとの併用を進めていただけると、このイベントもより発展できると思う。
  • オンラインだからこそ、気軽に参加できたし、スムーズに話し合いが進められたと思う。
  • 改めてテレビとネットの関わりについて考え直す機会になった。すでに、今までとは違った視点でテレビを楽しめているように感じる。
  • 社会に抱いた疑問を発信したい!と強く思っている学生がいることを知り、とても刺激を受けた。受け身にならず、常に疑問や考えをもって過ごしたいと強く思う。
  • メディアや情報に対する意見を、制作側の方とリアルタイムでやりとりしながら聞けたのが有意義だった。最近、目の前にあるモノやサービスの向こう側に自分と同じ体温を持った人間がいることを忘れないでいたいと強く感じているので、制作側の方がどのような考えや思いで仕事に取り組まれているのかに興味を持つきっかけになった。
  • 制作者と視聴者が今よりも相互にやりとりできる仕組みがあれば、参加型のNHKになると思う。メディアリテラシーについてNHKが視聴者とゼロから考えるプロジェクトがあればよいと思う。
  • このようなイベントがあることを初めて知ったが、参加してとても有意義な時間だと感じた。経営委員に学生世代の意見を伝えることができるという点でも貴重な機会だったが、同年代の人の意見を聞くことができたのもとても良かった。今後ももっと開催してほしいと思う。
  • このイベントをとても楽しみにしていたので、ミュートを解除してもなぜか音声が届かず、せっかく指名していただいたのに発言できなかったのが本当に残念(NHKへの愛を語りたかった)。大学の授業でズームに慣れているので、Zoomでの開催だとよかった。
  • NHKを見ていないと答えた私の意見を取り上げてくれて感謝。貴重な体験ができた。
  • ミーティング自体は予想よりスムーズだったが、講演会で映像もスムーズに流してほしかった。時間が大幅に押したことも含めて、秒単位の正確さを大切にしながら映像を届けるのが最重要業務であるテレビ局の対応としては残念に思う。
  • 「放送法の縛りで〜」という行政的な話よりも、その中での現場の工夫や試みを中心に聞きたかった。「ネット時代」がテーマなのにネットワーク関連の部署の職員の参加がなく、「新しいNHK」を知ってもらおうという本気さを感じなかった。国際放送局がご出身の林理事が国際番組に関する質問に生き生きとお答えされていたように、各現場の奮闘が伝わる会だとなおよかった。
  • 少子高齢化や若者のテレビ離れによって、若者の声がなかなか通りにくい中で、経営委員に直接声を届けることができる非常に充実したイベントだと感じた。その一方で、参加人数に対して設定時間が短いため発言できない方も多くいたことや、あらかじめテーマが設定されていたため議論の方向性がある程度決まってしまうこと、発言者以外の経営委員の方のご様子が分からないことなど、何点か気づいた点はあった。
  • オンラインの難しさや時間の制限など制約は多くあると思うが、そのような中でも、若者を含む多くの視聴者の声に耳を傾け、日本の公共放送としてのNHKらしさを追求していってほしい。
  • テーマに沿った意見を言っている方が少ないように感じ、手を挙げて発言することをちゅうちょした。もっとNHKや学生同士でも意見交換しあえるとよい。
  • 手を挙げたが話を振られなかったのは少々残念だったが、大変貴重な経験だった。
  • オンラインでの開催には賛成だが、学生が使い慣れているであろうZoomの方がやりやすかったのではないか。
  • せっかく学生を集めるのなら、もう少し討論的な性格(ある学生の意見に対してその他の学生の意見を募る、の繰り返し)を帯びたセミナーの方が盛り上がったのではないか。学生の意見に、そのつどNHK側が「それはそうだが、このような事情があって」とエクスキューズをつける構造では、活発な意見交換の場とはなり得ないと考える。
  • 貴重な時間をいただき感謝している。学生やNHK側の話を聞く事ができ、とても楽しかった。時間が少し足りず、意見を言うことができない方もいたので、もう少し開催時間が長いと嬉しい。
  • 私たち学生の意見を親身になって聴いていただき、ありがたく思っている。「チコちゃんに?られる!」の制作話も聞けて満足。
  • オンライン開催だったが、進行がとてもスムーズで参加しやすかった。学生がNHKに対してさまざまな意見を持っていて自分自身も勉強になったし、こうした意見共有ができる場があることは良いことだと思った。
  • 発言に対してNHK経営委員会の方々が返答して下さって、学生の意見でもしっかり取り入れてくれるという風通しのよさを感じた。
  • 「チコちゃんに叱られる!」のコーナーも大変面白かった。
  • コメントを投稿することはできたが、自分の書道作品「当たり前・それが意外と・有り難い」の画像を投稿することができたら、さらに嬉しかった。
  • 発言こそしなかったが、同世代の方がどのような考えをもっているか、またそれに対するNHKの回答を聞くことができて、とてもよい経験になった。
  • 今回参加できなかったという学生が自分の周りにも何人かいたので、ぜひまた開催してほしい。
  • このような場で意見を持った学生たち同士がつながれるようなハッシュタグづくりや、事後コミュニケートが可能になるような仕組みづくりをすると、そこからNHKの制作やアイデアなどが生まれ、いわゆる“ファン”ができるのではないか。意見を取り入れたメディアづくりを楽しみにしている。