過去の議事録(過去の議事録を閲覧できます)
第1424回
一覧へ
2023年6月2日(金)公表
※「10 審議事項 日本放送協会放送受信料免除基準の一部変更について」は2023年6月16日(金)公表

日本放送協会第1424回経営委員会議事録
(2023年5月16日開催分)

第1424回 経 営 委 員 会 議 事 録

<会 議 の 名 称>

第1424回経営委員会

 

<会 議 日 時>

2023年5月16日(火)午後1時55分から午後4時35分まで

 

<出 席 者>

〔経 営 委 員〕

  森 下 俊 三 村 田 晃 嗣 明 石 伸 子
    井 伊 雅 子   礒 山 誠 二 大 草   透
    尾 崎   裕    原 一 夫 堰 八 義 博
    不 破   泰   前 田 香 織 水 尾 衣 里
  ◎委員長 ○委員長職務代行者(以下、「代行」という。)

 

〔執 行 部〕

  稲 葉 会 長 井 上 副会長 小 池 専務理事
  竹 村 専務理事 林   専務理事 山 名 専務理事
  根 本 理 事 中 嶋 理 事 安 保 理 事
  熊埜御堂  理事 山 内 理 事 寺 田 理事・技師長

 

 

< 場   所 >
○放送センター  22階経営委員会室  21階役員会議室

 

< 議   題 >

 

1 議決事項

 (1) 経営委員会事務局職員の同意人事について

 

2 今後の議事運営について

 

3 会長報告(1)

 

4 評価・報酬部会

 

5 日本放送協会放送受信料免除基準の一部変更に対する意見募集の結果について

 

6 議事録確認

 

7 監査委員会報告(資料)

 

8 会長報告(2)(資料)

 

9 報告事項

 (1) 2022年度第4四半期 視聴者活動の状況(資料)

 

10 審議事項

 (1) 日本放送協会放送受信料免除基準の一部変更について(資料)

 

11 その他事項

 (1) 総務省 デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会「公共放送ワーキンググループ」について(資料)

 

 

<議事経過>

 

<経営委員 入室>

 

 森下委員長が経営委員会の開会を宣言。

 

 本日の議題および日程について説明。

 

<井上副会長 入室>

 

 

1 議決事項

 (1) 経営委員会事務局職員の同意人事について

 経営委員会事務局職員の評価と人事について、井上副会長より説明を受け、同意した。

 

<井上副会長 退室>

 

 

2 今後の議事運営について

 今後の議事運営について、情報共有と意見交換を行った。

 

<稲葉会長、井上副会長、竹村専務理事、安保理事 入室>

 

 

3 会長報告(1)

 (稲葉会長)
 NHKプラスの衛星放送番組の配信問題についてです。
 去年12月の稟議において、前会長以下役員が、2024年度からNHKプラスで衛星放送番組を本格配信する前提の設備整備事業を承認した事案がありました。しかし、経営委員会の議決を経て、ことし1月に公表した今年度のインターネット活用業務実施計画は、地上放送番組の配信を前提としたもので、衛星放送番組の本格配信を前提としたものではありません。実施計画の前提となる総務大臣の認可が必要なインターネット活用業務実施基準にも衛星放送番組の配信の記載はなく、ことし4月の改正時も同様でした。NHKのインターネット活用業務は、実施基準や実施計画を順守することが放送法で定められていますが、今回の事業はこのまま進むと認められた範囲外になる恐れがありました。そこで、複数の業者と契約が結ばれ、予算執行が行われているということに気が付きましたので、4月24日に臨時の理事会を開催し、開発を一時止めるとともに、法務部に法的問題点の検討を指示しました。さらに、内部監査室に決定プロセスの妥当性について、監査を命じました。
 きのう、法務部の見解と監査報告を受領いたしました。法務部の見解によりますと、経営委員会の議決を経ていない今回の業務執行は、役員の忠実義務違反と評価されうるということです。また、開発を一時中止していることは、目的外の事業の続行による多額の賠償の発生と受信料の大きな毀損を防ぐうえで妥当であるが、他方で、すでに発注したものについては、合理的な事業目的の変更によりインターネット活用業務実施基準、実施計画の範囲内で業務執行できるのであれば、その部分は実施すべきで、変更不可能な設備に限って契約を解除し、業者に賠償するのが現実的であるとの見解でした。すべての事業の契約を解除することが合理的とも考えられますが、逆にそれによる賠償金が多額になってしまえば、同じく受信料を毀損することになるからです。
 一方、内部監査室が行った監査では、インターネット活用業務実施基準との整合性や生じうるリスクの認識が不足していたこと、役員間の情報共有が不足していたこと、適切な情報伝達を欠いていたことなどが指摘されました。
 今後の対応について、これらの報告に基づき、きのう法務部の見解にのっとって、一時的に止めている開発について、私からインターネット活用業務実施基準や実施計画で認められた範囲内に事業目的を変更し、開発を再開するよう指示したところです。具体的には、整備が本来的に求められている、衛星放送番組の周知広報を目的とする配信の設備、地上放送番組の配信のバックアップ資材として利用します。
 また、本事案は、公共放送のガバナンスや受信料の使い道に関わる問題であることから、総務省に内容を報告し、判断を待ちたいと存じます。他方で、再発防止については、総務省の判断を待たずに対処してまいりたいと考えています。
 きのうの理事会で私から大草監査委員に、役員のガバナンスの問題でもあり、第三者の視点で検討する必要があり、経営委員会で検討していただけないかとお願いしたところです。なお、今後、監査委員会の監査状況や経営委員会への報告と対応状況への質問、あるいは問い合わせなどもあろうかと存じますが、その際は執行部では対応できないため、お伝えするのみとなりますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 今回の問題は公共放送のガバナンス上あってはならないことであり、大変深刻に受け止めています。執行部としては、今申し上げた監査報告などに基づいて、関係者の責任を明らかにします。再発防止策については、経営委員会でまとめていただければ、執行部として決定したいと考えています。

 (大草委員)

 きのう開催された監査委員会でも説明を受け、議論の結果を簡単に報告します。
 このNHKプラス衛星放送配信対応設備の案件について、今回の稟議書における実質的な責任者は誰なのか、はっきりしていません。起案者が技術局になっていますが、業務フローから考えると、本来は経営企画局だったのではないかという議論がありました。つまり、職務権限と責任があいまいであり、今後、明確化されることが重要と考えます。
 次に、サービスさえ始まっていなければ準備などはしてもよいといった理解で、見切り発車をしたような印象がありますが、局内の各種手続きでさまざまな確認ポイントがあったはずです。それが十分チェックされず、今回に至っているわけですが、役職員一人ひとりが自分事として各段階で責任を持ってチェックしていただくことが大事であると思います。
 本来であればすべての契約をいったん白紙にするということもありますが、一部契約を残す場合には次のような注意が必要と考えています。
 目的変更しても使える設備の発注は残すにしても、それ自体に投資の必要性があるのか、あるいは無理やり後付けで理由をつくっていないかどうかなど、客観的に視聴者への説明責任が果たせるような形の実施が望ましいと考えています。

 (森下委員長)

 NHKプラスは現在、地上波番組のみの配信ですが、BS番組を配信するための設備を発注したということです。まだBS番組の配信は決まっていないので、放送法違反の恐れがあるのではないかということで、設備整備を止めたということです。すでに発注して工事も始まっており、その設備をどう活用するかという話です。監査委員会は誰がどのように発注したのか、どこに責任があるのか、分からないということなので、経営委員会で第三者の視点で検討してほしいという意見です。
 経営委員会は業務執行に関与しません。基本的には業務執行の範囲の中でどのように発注したらよいか、どのように作業したらよいか、という執行の内容です。経営委員会としては、調査まで関与することは非常に難しい話です。経営委員会は経営に関する基本方針・重要事項の決定、役員の職務の執行の監督を行います。執行の中身が適切か、妥当かということについて、経営委員会が判断することは難しいです。また、執行部の判断を評価することは、経営委員会として執行部、役員の職務の執行を監督する立場でできますが、中身を見ることは難しいです。誰がいつどのように判断して決めたのかということについては、執行部側で第三者の専門家に調査してもらうなど、本質的に問題があるのかどうかということを精査してもらう必要があると思います。
 経営委員会は平成19年の改正放送法で、放送法または放送法に基づく命令に別段の定めがある場合を除き、個別の放送番組の編集、その他の協会の業務を執行することができないと定められています。その放送法が施行される以前は、経営委員会が外部機関を設置したということはありますが、平成19年に改正放送法が定められて以降、この法の趣旨を踏まえてそのような外部機関を新たに設置したことはありません。したがって、経営委員会の中に外部機関を設置して執行の内容を管理・調査することは難しく、慎重にやらないといけません。執行部が設置する委員会に経営委員が参加することも、経営委員の職務執行の監督権として妥当なのか、というのも疑問が残ります。
 基本的には執行部が主体的に第三者も含めて、執行の中身と合わせて調査・検討したうえで、再発防止策を整理し、経営委員会に報告していただければ、経営委員会としていろいろと意見が言えると思います。経営委員会がみずから第三者委員会を設置することは難しいのではないか、というのが私の考えです。

 (礒山委員)

 執行部が第三者委員会をつくられることに賛成です。放送法に関わるような話でありながら、執行部の理事会にかけていないということ自体が問題であり、理事会にかけていないような内容を経営委員会の下に置く第三者委員会で検討するというのは論理が成り立たないと思います。全理事が承認しているわけでもなく、執行部は理事会案件ではないという認識ですよね。このような理解で進めたガバナンスに問題があると思いますので、それをどのように調べるかは会長が指名される第三者委員会でやられたほうがよいのではないでしょうか。理論を組み立てるとそのようになると思います。また、このような稟議だけで済むというガバナンスや理事会での審議基準などもあり、経営委員会に諮るかは次の判断だと思います。

 (森下委員長)

 技術局が稟議していますが、これを立案する前段があったはずです。どこかから経営判断があったうえで、技術局が稟議、決断したということだと思います。どこで誰が決めたのでしょうか。

 (大草委員)

 NHKプラスでBS番組を配信することも含めて、BS停波対策について議論して、その結果このような方向の実質的な経営判断がなされたことを受け、技術局が設備工事の起案をしています。

 (森下委員長)

 このような大きな案件を担当者だけで集まって決められる話ではないと思います。そのような意味では1つの執行の中身を評価しなくてはいけませんが、経営委員会はそこに口を挟むわけにはいきません。

 (尾崎委員)

 一般論として、組織には職務権限規程があり、NHKの執行の中でも、この人はこのような権限を持っているという規程があるはずです。まずそれに照らして、今回その権限に沿ってすべてが進んでいるのか執行部で調べて、もしどこかで規則に違反していたらそれをしっかりと改めて順守してもらい、もしどこにもそれに抵触しないで進んでいたとしたら、そもそもその規則のどこかに重大な欠陥があるということだと思います。その辺りを十分に調べて、仕組みが悪かったのか、仕組みは問題ないがやり方が悪かったのか、ということをまず解明してもらうことが大事だと思います。その仕組みが悪かったのであれば、どのような仕組みにしたらよいのかを考えていかなくてはいけません。

 (稲葉会長)

 監督を受ける側ですので、あまり軽々に意見を申し上げるのは差し控えたいと思いますが、私は皆さんの考えとは少し違います。森下委員長には、番組その他に関して改正放送法では経営委員会は干渉しないが、協会の活動を支える経営については監督しなくてはいけない役割があるのではないでしょうか。その下で、今回起こったこと、例えば、稟議はしっかりやっているのかについて、内部監査室の調査では稟議のプロセス自体は書かれてあるとおりにやっていました。それぞれの役員の権限に照らしてやっているのか、それに書かれているとおりのことをやっていなかったのではないか、ということについては、権限上の役員の行動が違反しているということは見つかっていません。それが事実として間違っている、経営行動、経営判断として間違っているということは、その稟議のやり方、あるいは、役員の権限の決め方に不備があったということです。
 ルールがおかしいということになりますと、これは内部でつくっているわれわれが検討することになりますが、普通は上部の団体が、ルールがおかしいのではないか、あるいはルールはおかしくないが判断に間違いがある、と決していただくのではないでしょうか。

 (森下委員長)

 経営委員会では経営の重要事項や事業計画を決めますが、個別の予算の執行は執行部に任せています。経営委員会がどのように執行したかという判断は通常はしていません。

 (稲葉会長)

 執行した項目が不適切かどうかではなく、執行したそのやり方が不適切ではないのか、ということです。

 (森下委員長)

 それは執行の話ですから、執行するほうが考える話です。

 (稲葉会長)

 その執行を監督するのが経営委員会ではないのでしょうか。

 (森下委員長)

 執行をどのように処理したかというのは執行部でやっていただいて、どのようにそれを処分したかということについては経営委員会に報告してください。経営委員会はその処分について適切だったかを確認して、もう少ししっかりとやってください、ということはできます。執行上で問題が起こったときには執行部が対策を練って改善策を報告していただく、経営委員会は監督する立場として、再発防止はしっかりやってください、それでしっかりと再発防止はできますか、とは言えます。執行のやり方が不適切だというと、執行に関与したことになります。今回の場合でもどのように権限が分担されていたのか、あるいは判断したのか、そのやり方は正しかったのか、というのは全部執行のやり方の話で、執行部にお任せしています。それを正しくないと言うことは経営委員が執行に関与することになり、そのようなことまでは言い切れません。

 (尾崎委員)

 ガバナンスの話は経営委員会がやることになっています。

 (森下委員長)

 ガバナンスは経営委員会がやります。

 (稲葉会長)

 これはガバナンスの話です。

 (森下委員長)

 稟議のしかたを指摘することも間違っています。この稟議ではなぜこのようなことを決めているのか、というのも執行のやり方です。そこを経営委員会がガバナンスと言い出すと、執行の中身に手を突っ込むことになります。それでは会長にどこまで権限委任されているのか、その権限委任が正しいのか、という話になります。それは執行の話です。会長の考えでいくら以上を権限委任しますといったことは経営委員会の話ではないです。

 (礒山委員)

 衛星放送番組をインターネット配信することは放送法に反する恐れがあり、このようなことを協議するときに、経営委員会に諮らなくてはいけないのではないかといったことを発想して、そのガバナンスが効けば、経営委員会に上がってきたのではないかと思います。執行する段階での中身について経営委員会が何かを言っているわけではありません。執行するのであれば、しっかりと手続きをしてやらなくてはいけなかったのをやらなかったということではないでしょうか。あくまでも執行部の権限の中でやって、理事会にもかけなくてよいという話になっていますよね。

 (森下委員長)

 理事会にかけるかかけないかは執行部の考えです。

 (礒山委員)

 したがって、理事会にかからないということについて経営委員会から言う話ではないということです。

 (稲葉会長)

 いまおっしゃっているじゃないですか。

 (森下委員長)

 理事会にかけるか、かけないかは執行部の議論です。経営委員会は関与しません。

 (稲葉会長)

 それでは経営委員会としての機能が発揮できないのではないでしょうか。

 (森下委員長)

 そのようなことはないです。それは事業計画で確認しています。事業計画の中にこれをやりますと書いてあるでしょう。経営委員会は、基本事項、重要事項の議決をするのです。予算をどのように執行するかは執行部の話です。

 (稲葉会長)

 今回、すんでのところで私が見つけて、その処理のしかたも妥当ではないかと自分たちでは考えています。しかし、本当はこのようなことは起こらないほうがよいのですが、起こらないためには、経営委員会がどのようにお考えになるだろうか、それを問い合わせしてお答えを聞かせいただきたいと言うことです。

 (森下委員長)

 執行は会長がどこまで権限持ってやるのか、前田前会長のときに、決裁の一定金額以上は会長を通るようにした、それは執行部が決めている話です。

 (稲葉会長)

 結果的に法令違反になる可能性があるにもかかわらず、決定をしてしまっている。事実上予算書にも違反しているような事態になりかねないという状態です。
 このような事態を未然に回避するために、NHKをガバナンスする経営委員会としてはどのような対応策を取るのが将来に向けて正しいのか、ということです。

 (村田代行)

 今回のこの個別事案について、なぜこのようなことが起こったかというのは、やはり執行部の側での対応で、経営委員会ではカバーできないことがいろいろあります。どこで何が間違っていて、どのような経緯で、ということは執行部で調べていただいて、そのような事例を受けて、抽象的にガバナンスとしてどうあるべきか、という議論は経営委員会でやっていくことになると思います。

 (森下委員長)

 執行部で起案書、稟議書を見たときにNHKプラスに衛星放送設備と書いてあれば、おかしいと思わないといけないのではないでしょうか。

 (稲葉会長)

 そのように思います。

 (森下委員長)

 そのようなことまで経営委員会で議論する話にはなりません。

 (稲葉会長)

 そのように思いますが。

 (森下委員長)

 それをチェックするのは誰ですか、執行部でしょう。これは執行のやり方の話です。

 (大草委員)

 今のルールが機能していなかったわけで、ルール自身に不備があった。「もしルールに不備があったとすると、より上位の機関でないとそのルールの改正は議論できない」ということではありません。執行の中でルール自身を変えて、再発防止策を第三者機関、第三者委員会の力を借りながら提案いただき、ガバナンスの見地から経営委員会が意見を述べる、これが経営委員会のあるべきガバナンスの姿だと思います。したがって、ルールそのものを経営委員会がつくるのは、経営委員会のガバナンスとしては少し違うと思います。経営委員会はやはりそのような絡み方ではないでしょうか。

 (明石委員)

 おそらく、執行のルールそのものに不備があったわけではないと思います。放送法はNHKにとっては憲法のようなものですが、それを一番熟知していなくてはいけない理事が決裁していることが問題だと思います。将来的な準備をしておくために検討するということであれば問題なかったのが、そこから先走って、すでに発注を含めて動いてしまったということが問題だと思います。

 (森下委員長)

 いずれにしても、箸の上げ下ろしまで経営委員会が言っていたら、執行の話に全部口を突っ込むことになります。

 (村田代行)

 おそらく、そのようにすると長期的には執行部は大変不自由なことになり、マイクロマネジメントになって、事細かに経営委員会が判断をしなければ、今まで執行の裁量でやっていたことができなくなって、たぶん悪い前例になってしまうのではないかと思います。

 (森下委員長)

 われわれは執行から独立しています。ことこまかな執行に関することについては、できるだけ口を挟まないようにしているわけです。

 (稲葉会長)

 委員長のそのお考えは本当にありがたいと思っています。引き続き尊重していただき、委員の皆さんとも共有していただけるとよいと本当に思います。私の正直な気持ちを申し上げさせていただくと、何でも責任は会長にあると言っていただいて全然差し支えありませんが、実際はなかなか難しいです。このようなときに頼りになるのは、経営委員会の皆さんのご見解と思います。執行部は真剣にやっていますし、最善の努力をして最善の戦略を立てて実行してまいります。しかし、執行部自身ではさまざまなルールの在り方、これまでのさまざまな慣行について、それが適切かどうかを十分に判断する能力が全くないというわけではありませんが、欠ける面があります。細かい執行の干渉を差し控えていただくことは本当にありがたいですが、その点については大きなサジェスチョンや示唆、経営上のルールの立て方や仕組みなどでご意見、ご議論があったら頂戴したいと考えています。

 (森下委員長)

 それは分かります。基本的に執行部で事態や事実関係をしっかりと調べていただき、経営委員会としては、その報告を受けたうえで、監査委員会でどうあるべきなのかという意見を整理させてもらうことはできると思います。

 (村田代行)

 今回のことだけではなく、会長がご指摘になったようないろいろな執行上の懸念、これまでのルーティンになっていたけれど、問題点があるとお感じになることを、例えば会長、副会長でいくつか論点整理をしていただいて、監査委員会なり経営委員会で時間をかけて検討してほしい、といった投げかけ方であれば、経営委員会の視点で議論することはできると思います。そのことと個別の今回のような出来事を経営委員会が調査・検討するというのとは、少し位相が違う話ではないかという意味です。

 (稲葉会長)

 執行上のさまざまなリスクをどう対処してやっていくかについては、執行部門においても安全部門、安全弁はあります。例えば、協会では内部監査室や法務部、番組に関しては考査室など、事前にどのようなリスクがあるか、そのリスクが経営に対してどれだけの問題を生じさせるものか、最終的に会長に届くように制度上はなっています。しかし、今回のようなことが起こったわけで、そのようなときは内部のリスクの対応の仕組みだけでは十分ではなくて、一般企業はその上の取締役会でもって、そのリスクを改めて評価し、執行部に対して適切なリスク対応をするようにというのは取締役会が果たすわけです。個々の経営について逐一指図するわけではなくて、在り方として取締役会の方から注意を喚起する仕組みを提言するということだと思います。その役割は経営委員会に担っていただけないかと思います。

 (森下委員長)

 分かりますが、経営委員会は非常に制約があります。個別の案件、個々の内容自体は、経営委員会が手を下すわけにはいきません。それを整理していただいたら、監査委員会で受け止めて、経営委員会としてどうあるべきなのかという議論をさせてもらいます。

 (堰八委員)

 今回の件は、第三者委員会のようなものをつくって調査するというのも大事かもしれませんが、案件としては極めて単純な話だと思います。放送法にも関わる問題ですし、理事会にも経営委員会にもかけるべきですし、そのぐらい大きな話だということを残念ながら誰も気づかずに、稟議という紙ベースで持ち回りで決裁をしてしまったということです。これは大きな問題なのに、理事会にも経営委員会にもかけてない、総務省にも言っていない、といったことをもし誰かが持ち回りのときに言ってくれれば、そこでストップできた話だと思います。普通、会社は自己防衛のために、このような問題が起きないようにいろいろな権限の縛りをつけて、網をしっかりとかけて、1人の役員が単独で暴走できないように、必ず複数の目でチェックするシステムをつくります。今回の件については、第三者委員会で調べても、悪意はなく判を押してしまったというのが実態だと思います。まずは執行部で確認して、再発防止のためにルールをこのようにつくり直します、ということを経営委員会に説明していただいて、何か意見があれば言わせていただくという、解決の方向でいかがでしょうか。

 (稲葉会長)

 企業では内部的にどのようなリスクがあるか、みずからいくつか堤防をつくって発見してきています。本件は、執行部でつくっている堤防をことごとく打ち破ってきています。抜けてしまっているのに、その執行部に対して堤防をしっかりとつくりなさいと言っているようなものです。

 (堰八委員)

 お願いしているのは業務執行上のルールです。

 (大草委員)

 監査委員会で議論した内容ですが、重要な案件を十分議論せずに持ち回りで決めているところに、そもそもリスクがある。今回の案件はそもそも理事会にかかっていないのですが、経営意思決定プロセスである理事会、役員会ではほとんど議論がありません。重大な意思決定がクローズなところで不透明な形でされてしまうこと自身に問題があり、企業風土、組織風土の中に何かそのようなものが内在していると思います。これは執行の方で仕組みをつくって、その仕組み、改善策に対して、経営委員会が実効的かどうかを評価する、そのような2段階の形になると思います。

 (稲葉会長)

 システムとしてこのようなことが起こらないようにする対策は、執行部段階でもリスク回避の堤防を1段、2段と持っているわけです。これが現実に突き破られてきているわけです。最後にガバナンスを利かせるための堤防が経営委員会にあるわけです。協会のガバナンス強化のために、経営委員会は何をすべきなのかが問われることになるのではないでしょうか。

 (村田代行)

 まず執行部の側で吟味していただいて、それを経営委員会に上げていただかなければいけないと思います。経営委員会が直接何かいうことがガバナンスと言えばきれいですが、そのやり方では機能しないと思います。

 (原委員)

 今回なぜこのようなことが起こったのかという事実解明、分析と、それに対して再発防止策を立てていかれると思います。事が単純なので、第三者委員会まで設けてやるのかという問題があり、内部でやることにも合理性はあると思います。執行部の調査の結果を踏まえて、経営委員会が検討するのはよいですが、本当に執行部の調査だけでよいのか、第三者性、中立性が保たれた事実解明ができているのか、という批判を外部から受けますので、調査の部分でもある程度、執行部から離れた目で調査が行われたことを担保しないと執行部としてはもたないと思います。そこに経営委員会がどのような形で関与するのか、どのような形の仕組みをつくるのか、を考えることに関与する必要があると思います。

 (森下委員長)

 外部の人は入れたほうがよいのではないでしょうか。

 (原委員)

 外部の人を入れたほうが執行部の調査の部分で第三者の目が入っていることになり、事実関係の解明が客観的で中立的なものになっていることが担保できます。執行部だけに調査を委ねる形は、中立的、客観性の観点から、外部に説明したときにもたないのではないかと思いますので、経営委員会でもそのような仕組みを考えるサポートは必要だと思います。

 (稲葉会長)

 執行部側でもそのようなリスク回避のための堤防はしっかりと持っています。たぶん、協会の堤防の持ち方は、ほかの企業と比べても、著しく劣っていることはないと思います。しかし、どの企業も内部でそのような堤防を持つと同時に、例えば外部、上部の取締役会で、堤防が突き破られたときに、最終的に会社を守るためにどのようにガバナンスを利かせるかということに一枚加わっているわけです。今回もそのような役割を経営委員会で果たしていただくとありがたいということです。

 (森下委員長)

 具体的な調査の結果に基づいて、こうあるべきだということは言えます。

 (稲葉会長)

 それには原委員がおっしゃったように、やはり公正性があり、このような問題を起こして内部でいろいろと調査しました、このような発言がありました、それはバイアスがかかっているに決まっています。したがって、外部の人間を入れて、実際どうだったかというのはやはり大事なことではないかと思います。上部団体でそのようなガバナンスを利かせるのは、内部の当事者から離れた第三者的な機能を発揮してもらいたいと考えています。

 (森下委員長)

 経営委員会では基本的にはそのような調査はできません。

 (稲葉会長)

 物事の組織はそのようにできていると思います。

 (森下委員長)

 基本的にはできていますが、客観的な第三者委員会をつくって、外部を入れて調査されればよいのではないでしょうか。経営委員会は取締役会と違い、執行の中身に関与できないため、事業の中身に口を挟めません。このような決裁のやり方はおかしいと思いますが、それは執行のやり方なので、これはだめだと経営委員会としては言えません。

 (井上副会長)

 この問題についての執行部の取り組みや動向については当然問われると思いますが、そのときに監査委員会、経営委員会がどのような対応をしていたのか、再発防止に向けてどう監督していくのか、といったことも問われると思います。

 (森下委員長)

 私はそれを考えて言っています。執行の中身まで関与しません。あくまでもこれは執行の内容なので、経営委員会として監督はしますが、執行の内容については口を挟みません。経営委員会として監督はしっかりとやります。具体的な調査していただいたら、改善策については経営委員会もいろいろと意見を言います。

 (井上副会長)

 どちらが調査委員会をつくるかは別として、執行部と経営委員会が一緒にやっていくという姿勢を見せるということになりますよね。

 (森下委員長)

 それはなかなか微妙な話です。経営委員会は執行部から独立した機関になっています。したがって、一緒にやるということが、非常に微妙な立場です。

 (井上副会長)

 いろいろな組み合わせのやり方があると思います。今回のことについて、経営委員会も役割としてどのような仕組みでやればよいか、ということです。

 (森下委員長)

 経営委員会は内容には関与していません。

 (井上副会長)

 今後の再発防止についてです。

 (森下委員長)

 もちろんそれは経営委員会の立場で監督します。

 (井上副会長)

 執行部としても一生懸命やっていきますので、経営委員会の視点で何かやれるようなものをつくれないか、ということも検討してもらえないでしょうか。

 (森下委員長)

 執行部で調査をして、第三者委員会をつくって、結果を出してもらったら、それに対して経営委員会はいろいろと意見を言います。

 (大草委員)

 2段階と言っているのはそのようなことです。1段階だと、中立性が疑われてしまいます。2段階であるから、より中立性の説得力を持たせることができます。

 (井上副会長)

 やり方については、このあといろいろと協議して決めていただければよいと思います。

 (森下委員長)

 経営委員会としても協力したいのですが、そのような立場なので難しいです。

 (稲葉会長)

 放送法の下での経営委員会の在り方は、本当によく考えられている委員会だと思います。いわゆる企業組織の取締役会に近い役割を果たしてもらいたいと思いつつ、協会の番組・報道等の具体的な行動に対して干渉がましいことを言わないこと、そのようなことが伝統として引き継がれていると思います。

 (村田代行)

 制度として、会長が経営委員会のメンバーではなく、通常の取締役会とはまた違います。

 (稲葉会長)

 取締役会とは違うというのはあります。一方で、この協会は多くの方から受信料をいただいて、それを支出に使ってビジネスをやっているわけです。そこではしっかりとした厳格な管理が必要で、そのようなことについては経営委員会がしっかり見てくれるということですよね。

 (森下委員長)

 もちろんそれはそのとおりです。

 (稲葉会長)

 そのような中で、この種の問題が起こったときに、経営委員会として執行部を助けてください、と申し上げています。大事なのは、再発防止をどうつくるかということです。

 (森下委員長)

 経営委員会ももちろん協力します。

 (稲葉会長)

 再発防止について基本的に内部で考え、それを経営委員会に提出し、吟味していただくということでよろしいでしょうか。

 (森下委員長)

 結構です。

 (尾崎委員)

 報告をいただいて、経営委員会でこれはとんでもないと判断したら、直接はたぶんできないので誰かにお願いして、違う方法でもう一回再調査をするということになると思います。会社組織にはたくさん堤防があって、不具合をせき止めるようになっていますが、止まらなければ、やはりせき止めるものを考え直さなくてはいけない。考え直したものを運用するのは執行部なので、執行部が、3メートルではなく、10メートルの波が越えないように設計するのであって、具体的な内容を経営委員会から言うことではないと思います。

 (稲葉会長)

 経営委員会と取締役会が違うとはおっしゃいますが、やはりこのようなときに経営委員会が機能しないと、執行部が迷走してしまうと思います。

 (尾崎委員)

 アナロジーでいえば、財団法人などの理事会と評議員会の関係ではないでしょうか。評議員会は実行実施権が全くありませんが、意見は言うという形になっています。最終的に理事を選任するのも評議員会という形のガバナンスでやっています。営利組織の株式会社と営利を目的としていないNHKは、必ずしも取締役会のアナロジーが当てはまるのかどうかは疑問です。

 (稲葉会長)

 よく考えられた組織ですが、もう少し取締役会的なアナロジーが利くとよいかと思います。

 (尾崎委員)

 あまり経営委員会が強くなり過ぎるのは望ましくないと思います。

 (稲葉会長)

 ある程度、経営委員会のガバナンスが利くとよいと思います。

 (森下委員長)

 また議論することにしたいと思います。

 

<稲葉会長、井上副会長、竹村専務理事、安保理事 退室>

 

 

4 評価・報酬部会

 2022年度役員の業績評価に関する評価・報酬部会を行った。

 

 

5 日本放送協会放送受信料免除基準の一部変更に対する意見募集の結果について

 日本放送協会放送受信料免除基準の一部変更に対する意見募集の結果について、意見交換を行った。

 

<稲葉会長、会長、専務理事、理事 入室>

 

 

6 議事録確認

 第1423回(2023年4月25日開催)の議事録を承認し、所定の手続きを経て、2023年5月19日に公表することを決定した。

 

 

7 監査委員会報告(資料)

 (大草監査委員)
 入札契約委員会について報告します。
 きのう行われた第390回監査委員会で、執行部から2022年度入札契約委員会の概要について報告がありました。これは放送法および総務省の「子会社等の事業運営の在り方に関するガイドライン」等を踏まえ、監査委員会としての報告を受けたものです。
 資料にあるとおり、入札契約委員会は、入札および調達契約処理手続きに関し、公正性および透明性の一層の確保のため、外部有識者による経理局長への助言機関として2001年度に設置されました。
 2022年度は4回開催され、NHKと外部との契約状況、関連団体との取引について報告し、点検を受けたほか、随意契約、建築一式工事契約について案件抽出による事後点検、審議を行っています。個別案件の審議結果については資料のとおり、いずれも問題ないものと確認されています。
 執行部からの報告に対し、監査委員からは「調達契約に当たっては公正性、透明性を高めることが重要である。引き続き入札契約委員会の知見も得ながら適正なコストで実効性を伴った契約につなげられるよう取り組んでほしい」といった意見が出ました。
 監査委員会としては、今後も役員の職務執行の監査の一環として、協会による関連団体を含む外部との契約の適正化の取り組みについて見ていきます。

 

 

8 会長報告(2)(資料)

 (稲葉会長)
 「ドラマのリハーサル中に国の重要文化財を破損した事案」と「NHKスペシャルでの画面トラブル」について、山名専務理事から報告します。
 (山名専務理事)
 2つの事案の概要と再発防止策についてご報告します。まず、ドラマ収録のリハーサルで滋賀県内の重要文化財を破損した事案について、関係者の方々に多大なご迷惑をおかけしたこと、視聴者の信頼を損なったことを改めて深くおわびします。
 概要についてご説明します。
 今回の事案は、先月25日の午後3時過ぎ、次の連続テレビ小説「ブギウギ」のロケをしていた滋賀県東近江市の「百済寺」で起きました。国の重要文化財に指定されている本堂の濡れ縁で、出演者10人がダンスの練習をするシーンのリハーサルを始めたところ、濡れ縁の床板を支える木材が折れ、床板の一部が外れたというものです。出演者や関係者にけがはありませんでした。
 当初このシーンの撮影は、境内の地面の上で行う予定でしたが、雨が降り始めたため、寺側に承諾を得て、濡れ縁で行うことにしました。
 事案の発生を受けて、直ちにロケを中止し、百済寺に謝罪するとともに、東近江市、滋賀県、それに文化庁に報告しました。
 修復については、関係機関の指導に従い、適切に対応していきます。
 再発防止については、全国の放送現場の責任者に今回の事案を共有し、重要文化財などでの撮影にあたっては、細心の注意を払うことなど、改めて文化財保護の徹底を図りました。
 また、ドラマのロケを文化財で行う際、急な変更があった場合は、番組責任者である制作統括が必ずロケの可否を判断することにしました。このほか、所有者の許可だけでなく、事前に関係自治体に連絡を取り、注意点などを確認して進めることにしました。
 続いて、「NHKスペシャルでの画面トラブル」についてご報告します。視聴者や関係者の皆さまに、ご迷惑をおかけして、大変申し訳ありませんでした。
 概要をご説明します。
 今月6日の午後9時10分から放送した「NHKスペシャル “いじめ”から逃げない 3年2組 4か月の挑戦」で、午後9時51分13秒から59秒間にわたって画像が途切れ、黒い画面にNHKプラスへ誘導するQRコードのテロップ情報だけが載った状態が続くという画面トラブルが発生しました。音声は正常でした。その後、番組内でおわびをスーパーしました。
 原因は制作担当者が、QRコードのテロップを作成し、登録する際に、設定を誤ったことでした。
 本来は、文字情報などだけを載せる「テロップ」として登録処理すべきところを、誤って画面全体をスーパーする「テロップ」として作成し、登録をしました。番組本編の制作では複数の作業者が関与しますが、今回は、テロップ情報のみを時刻に合わせてスーパーするための登録だったため、制作担当者がひとりで行いました。制作担当者は、以前にも同様の登録作業を行った経験がありましたが、今回は、提供されたテロップ素材を、作成機を使って登録用のテロップにする設定操作や、作成したテロップを登録する際のチェック操作について、理解が十分ではありませんでした。
 再発防止策についてです。
 まず、今回のトラブルの経緯を制作現場に広く共有し、作成機や登録機の使用方法の注意点や画像確認の方法を改めて周知しました。放送センターの登録機では、ミスが起こりやすい手順箇所については、写真付きで注意喚起するパネルを掲示しました。
 また、テロップを登録するときには1人で行わず、複数で行うことを原則としました。
 さらに今後、テロップを登録したときに、全画面にテロップ情報が載る設定になっている場合は確認を促すアラートが出る仕組みなどのシステムの改善も行い、再発防止を徹底します。
 ご報告は以上です。

 (森下委員長)

 いろいろと再発防止策をやっていただいているようですので、ぜひ徹底していただきたいと思います。

 

 

9 報告事項

 (1) 2022年度第4四半期 視聴者活動の状況(資料)

 (小池専務理事)
 2022年度第4四半期の視聴者活動の状況について報告します。
 最初に年間目標の達成状況です。
 受信契約の状況について、契約総数は、年間目標マイナス10万件に対してマイナス10.7万件となり、目標まで僅かに届きませんでした。衛星契約はプラス4万件の年間目標に対して、マイナス4.5万件となり目標を下回りました。
 最終的な支払率は決算に合わせて公表する予定ですが、速報値では79.0%となっています。また、衛星契約割合は53.0%となっています。
 「訪問によらない取次」について、第4四半期は、インターネット等を通じた受信契約の届け出が増加したことにより、第3四半期末から大幅に改善して、新規契約取次が104.6%、衛星契約取次が86.0%となりました。
 次に、年度別受信料の収納状況についてです。
 上段は、受信料収納額で、年間計画6,708億円に対して6,725億円となり、計画を達成しました。巡回訪問型の営業活動から訪問だけに頼らない新たな営業活動への転換を進めてきた結果、契約の質的改善が図られたこと、下半期には未収者への対策を加重したことなどにより収納額を確保することができました。
 2023年度は、これまでの知見を活かして、訪問だけに頼らない新たな業務モデルの確立に向けた取り組みを引き続き進めていきます。
 ご説明は以上です。

 (大草委員)

 インターネットで完結するような契約手続きに引き続き注力いただきたいと思います。同時に、契約がかなり戻してきたことは非常に評価したのですが、今後は未収のほうに気をつけていただければと思います。
 また、信書問題でいったんストップしているポスティングについて、問題点をクリアしたあと、再開して弾みをつけていただければと思います。

 (小池専務理事)

 承知しました。また、インターネットによる取次についても、インフラ企業とのシステム連携なども含めて対応していきたいと思います。

 (森下委員長)

 アナウンス効果や営業部門の努力も含めて、地上波のほうは成果が出てきているのですが、衛星波は、特にことし12月に1波減るということもあり、対策について何か特別なことをやっているのでしょうか。

 (小池専務理事)

 衛星については、1波削減してもサービスの低下にはつながらないことを編成上も含めて広報でしっかり周知し、視聴者の皆さまに理解を深めてもらうような努力を進めていきたいと思います。また、衛星契約については、ケーブルテレビ事業者の協力もNHKにとっては大きな力になることから、連携を一層深めていきたいと思っています。

 (森下委員長)

 今、日常の放送の中で、かなり周知をされているようですので、そのような意味でいろいろと手厚くやっていただきたいと思います。

 

 

10 審議事項

 (1) 日本放送協会放送受信料免除基準の一部変更について(資料)

 (森下委員長)
 本件については、4月11日の経営委員会において意見募集を実施することを決定し、4月12日から5月11日までの30日間、広く意見を募ったところ、152件のご意見をいただきました。
 経営委員会では、いただいたご意見を確認し、意見交換を行いました。そして本日、「みなさまからのご意見一覧」、および「経営委員会から執行部への検討を求める事項」を付して、執行部に提出します。
 今回の日本放送協会放送受信料免除の変更素案にあげられた「学生を対象とする免除の拡大」については、賛同するというご意見が50件以上寄せられました。
 また、免除の対象を学生に限定せずに、さらに広げてほしいというご意見や、申請の手続きに関するご意見、免除による減収分の補てんに関するご意見、施行時期に関するご意見など多岐にわたるご意見をいただいています。
 経営委員会としては、今回の変更案は、親元等から離れて暮らす学生の経済的に厳しい状況を勘案したことと、学生のテレビ設置の負担を軽減することで、多様で信頼できる情報の取得を促すものだと認識していますので、いただいたご意見について、執行部には真摯に受け止めるとともに、視聴者・国民に丁寧に説明していただきたいと思います。
 今回の意見募集では、日本放送協会放送受信料免除基準の変更素案にあげられた条項だけでなく、幅広くご意見をいただきましたので、改めて確認を行い、次回、5月30日の経営委員会で説明をしていただきたいと思います。この点について、考え方や方向性について補足がありましたら、小池専務理事から説明をお願いします。

 (小池専務理事)
 皆さまからのご意見一覧、並びに執行部への検討を求める事項について、まとめていただきありがとうございます。
 経営委員会から検討を求められた事項については、寄せられたご意見の内容をしっかり確認してお答えします。そして、これらを十分に踏まえて認可申請案の提出に向けて準備を進めていきます。

 

 

11 その他事項

 (1) 総務省 デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会「公共放送ワーキンググループ」について(資料)

 (根本理事)
 先月4月27日に総務省「公共放送ワーキンググループ」の第7回会合が開催されました。その概要をご報告します。
 まず、受信料制度に関する論点です。会合ではこれについて事務局から資料説明があり、議論に入りました。
 1点目です。「インターネット時代における受信料制度の在り方」です。「我が国の公共放送の財源として、例えば、以下のような選択肢が考えられるが、現行の受信料制度以外の考え方も採り入れるべきか」という論点が立てられ、「視聴料(サブスクリプション)収入」、「広告収入」、「税収入」、「受信料収入」の4つが提示されました。この論点について受信料制度に基づいて財源を考えるということで、構成員の議論が一致しました。
 2点目です。「インターネット活用業務の財源の在り方」です。「インターネット活用業務を必須業務化する場合の公共放送の財源について、どのような考え方を基本とすべきか。特に、テレビを設置しない者に対しても何らかの費用負担を求めるべきか」という論点が立てられました。1つ目の論点が、受信料収入を採用すべきということで、構成員の意見が一致しましたので、「現行受信料制度の考え方との整合性」や、「テレビ設置者との負担の公平性」の観点、そしてテレビを設置しない者に対する負担の在り方について、議論が行われました。
 テレビを設置しない者に対する負担の在り方については、資料には現在のドイツ、かつてのドイツ、現在のイギリスの3つの例が示されておりますが、構成員の議論は、現在のイギリスのようにテレビを設置していなくても、PC・スマホ等を持ったうえで、公共放送を視聴できるアプリ・サービスを利用しようとする者が公共放送の運営費用を負担することをベースに行われました。
 今後も継続して議論することにはなりましたが、構成員の意見は「アプリをインストールし、利用可能にした場合は費用負担を求める」という考え方が大勢を占めました。
 会合の最後には、日本民間放送連盟から「NHKインターネット活用業務の検討に対する民放連の見解と質問について」が示されました。具体的にはワーキンググループの議論について3点の疑問や懸念が示されました。
 1点目は、「必須業務化と受信料制度・財源との関係について」で、財源をめぐるワーキンググループでの精緻な議論を待つ必要があるとしました。
 2点目は、「必須業務化と情報空間の健全性確保について」で、プラットフォーム事業者をはじめ関係事業者や国民各層の代表を集めた大きな枠組みの議論がまずあってしかるべきとしました。
 3点目は、最も大きな疑問と懸念として、「放送法の下でのインターネット活用業務の適正規模・範囲について」で、放送法に存立基盤を置く特殊法人NHKがインターネット活用を拡大するのには限界があるのではないかとしました。
 こうした問題意識に基づき、日本民間放送連盟は13の質問をまとめました。これはNHKに対してではなく、ワーキンググループに対して回答を求めているものです。ワーキンググループは対応を検討するとしています。
 来週26日金曜日には第8回会合が開かれ、NHKに対するヒアリングが行われる予定です。
 ご説明は以上です。

 (森下委員長)

 次回のヒアリングはNHKだけですか。

 (根本理事)

 そうです。NHKへのヒアリングです。

 (森下委員長)

 今までの議論をベースに考え方を整理してくれということですね。

 (根本理事)

 去年11月のヒアリングでも、NHKとして考え方を示していますが、これまでのワーキンググループの議論も踏まえたうえで、NHKとしての考え方を示していくことになると思います。

 (森下委員長)

 今回、論点とされた料金の話などについて、意見は出すのでしょうか。

 (根本理事)

 これまでもインターネットの情報空間の中でも放送と同様の公共性の役割を果たすという前提で、インターネット活用業務の範囲・規律・負担を考えることが適切ではないかと申し上げてきておりますので、そのようなことを中心に説明内容を検討していくことになると思います。

 

 

 森下委員長が散会を宣言。

 

 

 上記のとおり確認する。

 

2023年6月13日       

森 下  俊 三 

 

 

大 草  透