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第1423回
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2023年5月19日(金)公表

日本放送協会第1423回経営委員会議事録
(2023年4月25日開催分)

第1423回 経 営 委 員 会 議 事 録

<会 議 の 名 称>

第1423回経営委員会

 

<会 議 日 時>

2023年4月25日(火)午後0時45分から午後5時30分まで

 

<出 席 者>

〔経 営 委 員〕

  森 下 俊 三 村 田 晃 嗣 明 石 伸 子
    井 伊 雅 子   礒 山 誠 二 大 草   透
    尾 崎   裕    原 一 夫 堰 八 義 博
    不 破   泰   前 田 香 織 水 尾 衣 里
  ◎委員長 ○委員長職務代行者(以下、「代行」という。)

 

〔執 行 部〕

  稲 葉 会 長 井 上 副会長 小 池 専務理事
  竹 村 専務理事 林   専務理事 山 名 専務理事
  根 本 理 事 中 嶋 理 事 安 保 理 事
  熊埜御堂  理事 山 内 理 事 寺 田 理事・技師長

 

 

< 場   所 >
○放送センター  22階経営委員会室  21階役員会議室

 

< 議   題 >

 

1 視聴者のみなさまと語る会(関西・学生)の開催について

 

2 議決事項

 (1) 2023年度経営委員会委員の報酬について(資料)

 

3 評価・報酬部会

 (1) 2022年度役員目標年間総括ヒアリング

 

4 新役員あいさつ

 

5 議事録確認

 

6 委員長報告

 

7 監査委員会報告

 (1) 令和4年度「経営委員会委員の服務に関する準則」遵守の確認書の受領について(資料)

 

8 会長報告

 

9 議決事項

 (2) 中央放送番組審議会委員の委嘱について(資料)

 

10 報告事項

 (1) 2022年度第4四半期業務報告(資料)

 (2) 視聴者対応報告(2023年1〜3月)について(資料)

 (3) NHK情報公開・個人情報保護の実施状況(2022年度)(資料)

 (4) 子会社管理状況等の報告(資料)

 

11 監査委員会報告

 (2) 子会社管理状況等の報告に対する監査委員会の意見

 

12 報告事項

 (5) ラジオ中継放送局の開局について(資料)

 (6) 地方放送番組審議会委員の委嘱について(資料)

 

13 日本放送協会放送受信料免除基準の一部変更に対する意見募集の状況について

 

 

<議事経過>

 

<経営委員 入室>

 

 森下委員長が経営委員会の開会を宣言。

 

 本日の議題および日程について説明。

 

 

1 視聴者のみなさまと語る会(関西・学生)の開催について

 2023年度の2回目となる「視聴者のみなさまと語る会(関西・学生)」を、関西2府4県、大阪・京都・兵庫・和歌山・奈良・滋賀にお住まいの学生の方を対象に2023年6月22日木曜日にオンラインで開催することを決定した。

 

 

2 議決事項

 (1) 2023年度経営委員会委員の報酬について(資料)

 ※議事に先立ち評価・報酬部会を開催し、2023年度経営委員会委員の報酬について審議を行った。
 (森下委員長)
 2023年度経営委員会委員の報酬について、大草評価・報酬部会長から評価・報酬部会の審議結果を報告いただきます。
 (大草委員)
 議案書「2023年度経営委員会委員の報酬について(案)」をご覧ください。表紙に続き、2枚目に経営委員会委員報酬支給基準、3枚目に別表として報酬額を記載しています。
 2020年1月に施行された改正放送法により、経営計画策定時や放送受信規約の変更時には、経営委員会が意見募集を行うなど、協会のガバナンス強化に向けた取り組みが評価され、執行部だけでなく、われわれ経営委員が、これまで以上に大きな職責を果たしていくことになりました。
 そのうえで、評価・報酬部会では、他の公共性の高い企業や法人との比較や、昨今の経済状況も含めて検討を進めてきました。
 ご存じのとおり、4月11日の経営委員会では、執行部の役員報酬の審議にあたり、前年度と同額で議決しています。経営委員会委員の報酬は、役員報酬と同様にこれまで段階的に減額してきましたが、総合的に判断し、昨年度と同額とすることが妥当であり、十分説明責任を果たすことができると考えています。

 

   採決の結果、原案どおり議決。

 

<中嶋理事、熊埜御堂理事、山内理事、安保理事、山名専務理事、井上副会長 順次入室>

 

 

3 評価・報酬部会

 (1) 2022年度役員目標年間総括ヒアリング

 中嶋理事、熊埜御堂理事、山内理事、安保理事、山名専務理事、井上副会長に対して、2022年度役員目標年間総括ヒアリングを実施した。

 

<中嶋理事、熊埜御堂理事、山内理事、安保理事、山名専務理事、井上副会長 ヒアリング終了後、順次退室>

 

<稲葉会長、井上副会長、専務理事、理事 入室>

 

 

4 新役員あいさつ

 (竹村専務理事)
 竹村です。どうぞよろしくお願いいたします。
 会長、副会長を補佐して、専務理事の役割をしっかりと果たしたいと思います。
 担当は人事と経理となっておりますが、このような時代であるからこそ、放送法に書かれている理念を職員一人ひとりがしっかりと自分の血肉にして、しっかりと働いていただくこと、そして全体としてこれからのこの激しいデジタル社会に公共放送の使命を果たしていけるよう、取り組んでまいります。
 どうぞよろしくお願いいたします。
 (根本理事)
 経営企画と情報システムを担当します。
 私は一昨年6月から昨日までNHKグローバルメディアサービスの社長をやっておりました。協会では報道が長かったですが、株式会社に出向して経営を担うという、本当に大きな経験をさせていただきました。これからは、この経験を生かしていければと思っております。株式会社における、ルールにのっとって利益を上げ、税金を払って配当するという経験が、特殊法人の協会と直接どのように関わるかというところはありますが、その経験をしっかり生かして、これから業務にまい進しようと思っております。
 よろしくお願いいたします。
 (寺田理事・技師長)
 このたび理事・技師長を拝命いたしました寺田です。
 稲葉会長がおっしゃっている新しいNHKに必要な人の育成と技術の活用、テクノロジーで経営に貢献するというところは、正に技術部門のかじ取り役である私に課せられた重い責任だと思っています。
 技術が直面している課題について、メディア環境が変わっていく中で、NHKとしてデジタルにどのように対応していくかが挙げられます。また、総務省の「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会」で放送ネットワークの民放との共同利用などについての議論がされていますが、これに対してNHKとしてどのように準備して計画を立てていくか、さらに、すぐ先に情報棟の完成がありますので、この対応も必要となります。
 地域の職員を中心に、将来に不安を抱いている人たちがいると聞いています。今後、このような方々とのコミュニケーションを大切にし、新しいNHKに向かって技術一体となってしっかり努めていきたいと思います。
 精いっぱい頑張りますので、よろしくお願いします。
 (森下委員長)
 ぜひこれまでの経験を生かしていただいて、ご活躍を期待しておりますので、よろしくお願いします。

 

 

5 議事録確認

 第1422回(2023年4月11日開催)の議事録を承認し、所定の手続きを経て、2023年4月28日に公表することを決定した。

 

 

6 委員長報告

 (森下委員長)
 本日、2023年度経営委員会委員の報酬について、評価・報酬部会からの議案を受け、昨年度と同額で議決しました。私からは以上です。

 

 

7 監査委員会報告

 (1) 令和4年度「経営委員会委員の服務に関する準則」遵守の確認書の受領について(資料)

 (大草監査委員)
 2022年度の経営委員会委員の服務に関する準則の遵守について報告します。「監査委員会活動結果報告書」をご覧ください。
 監査委員会は、4月11日開催の第1422回経営委員会の際に、放送法、日本放送協会定款および監査委員会規程等に基づき、経営委員会委員の皆さまに対して、「経営委員会の服務に関する準則」の遵守について確認書の提出を求めました。
 2022年4月1日から2023年3月31日までの間の経営委員会委員の業務執行について、経営委員会委員12人全員からそれぞれ当準則に基づき行動したとの確認書を受領しました。
 次のページは「確認書」の書面です。
 この件については「日本放送協会令和4年度業務報告書」に添える監査委員会の意見書に記載する予定です。報告は以上です。

 

 

8 会長報告

 (稲葉会長)
 最初に、職員の懲戒処分について、安保理事から報告します。
 (安保理事)
 札幌放送局のアナウンサーがことし2月に都内で逮捕された件につきまして、先週21日金曜日に懲戒処分を決めましたのでご報告します。
 被処分者は、札幌放送局の船岡久嗣職員です。処分内容は、諭旨免職です。処分が決まった21日に内示をし、28日に発令となります。
 被処分者は、ことし2月、都内のマンション共用部に侵入したとして、邸宅侵入の容疑で警察に逮捕されました。さらに、ストーカー規制法に基づく禁止命令を受けています。邸宅侵入の容疑については、3月下旬に不起訴、正確には起訴猶予となりましたが、事件は大きく報道され、公共メディアの信頼を傷つけた責任は重大と判断し、職員就業規則等に基づき、諭旨免職の懲戒処分とすることを決めました。
 関係者や視聴者の皆さまに改めて深くおわびします。引き続き職員のコンプライアンス意識の徹底に努めてまいります。
 (森下委員長)
 執行部から再発防止策を確実に実施するとありました。あってはならない件であり、コンプライアンス以前の、やはり人としての対応だと思います。しっかりと組織の中で徹底して、信頼をなくすようなことが起こらないように取り組んでいただきたいと思います。
 (稲葉会長)
 承知しました。
 次は、「改革の検証と発展」についてご報告します。
 これからさらに検討を深めるもの、あるいは段階を踏んで周知すべきものなどが含まれています。
 まず、なぜ「改革の検証と発展」を行う必要があるのか、ということです。本来NHKのような多くの専門家集団からなる組織は、それぞれの考え方をぶつけ合う真摯な議論を行い、そこからよりよい結論を導いていく、そのようなプロセスが大事だと思いますが、組織の「神経系統」がしっかりしていないのではないか、と考えています。この「神経系統」が現在各種の改革の進展の中で“目詰まり”を起こしていて、現場の議論の集約が経営・改革に反映されていないきらいがある。これを立て直すのが最重要課題だと認識しています。これが終わると、改革を実現するための方法論になっていくと理解しています。
 そのような議論のために、役員レベルの検討体制である「役員検討会」を立ち上げました。同時に、改革を当初の目的どおりの軌道に乗せるよう、会長、副会長の下に、各現場の声をはじめ、多角的な観点からインプットをもらい、議論を深めるための「ハブ」としてのコアチームを設置しました。
 この内容は、3月1日および本日4月25日に、「改革の検証と発展」を伝えるトップのメッセージでも周知しています。
 次に、「役員検討会」を中心とした進捗状況についてご説明します。
 初回の2月21日では、今後の体制整備等の方向性を確認しました。
 2回目の3月20日では、今後の経営テーマについて、個々の役員が事前に課題を持ち寄って、これまでの改革の課題を共有する議論を行いました。テーマとしては、経営資源の配分の問題、グループ経営の在り方の問題、プラットフォーム戦略、インターネット業務の方向性、番組・コンテンツの質・量の現状認識、地域体制の今後、営業体制の強化についてと内容は多岐にわたりました。さらに、テーマ出しを行うとともに、共有して前に進める必要のある内容を深掘りしていきたいと考えています。特に営業体制の強化については、さらに検討を深めることとしています。
 3回目の3月24日では、人事制度改革を中心にレビューを行いました。コアチームからのインプットに対して議論を実施しています。役員はおおむねコアチームの整理に賛同し、対応施策を検討する方向で進めていくこととしました。
 人事制度改革に対するコアチーム整理の内容について、全体として、どのような立場であってもプライド、専門性が毀損されたという心理的な不安定さがもたらされていることが報告されています。また、組織改正、経営方針の伝達・実行などの進め方に起因して、手段が目的化してしまったという声がある一方で、「復古主義」への動きを警戒するという意思表明もありました。
 個別の施策としては、施策の大きな方向性として、若手登用、年功序列・タテ割り打破への賛同がある一方で、プロフェッショナル・専門性重視のはずが“現場の視点”がないといった根本的な問いかけが多数ありました。
 具体的には、基幹職選抜プログラム(試験)などへの公平感欠如への批判、実際のポストに選抜層が当てはめられない矛盾、ポストオフや熟練人材といったシニアの扱いに対するモチベーションの低下を考慮していないといった声がありました。また、新人採用・育成(ジョブトライアル)の危うさや、マルチスキル、ジョブローテーション、ミッションチャレンジなどについての詳細設計がなく、実施ありき、数ありきになっているのではないか、マネジメントの負担増への認識のなさ、教育の弱さなどを指摘する意見がありました。
 結局、現場からは現場視点を重視した評価・配置に変更すべきとの改革・修正提案が多数に上りました。また、本来の経営方針策定の筋道、実際の進め方に疑問があるといった意見も出されました。具体的には、明確な基準、方針を求める声(抽象的なトップダウンへの批判)、また、その際の議論の共有、断行というステップ、透明性が欠けているという声が多数ありました。
 コアチームの総括としては、人事制度改革の今後の「検証と発展」にあたっては、個々の人事施策の修正だけで済ませるのではなく、企業文化・風土に大きく影響を与える結果となっていることに留意すべきではないか、各所で歯を食いしばっている「個人」をよく見るべきだ、という意見が示されました。また、協会の独自性を認め、大切にしていくべきところと、引き続き意識変革を求めるべきところを明確にして進めていくべきではないか、と締めくくられています。
 この回の最後には、前回の強化の必要性についての議論を受けて、営業体制の強化について議論を行いました。単に要員を増加させるだけではなく、より経営全体として戦略的な措置を検討することで一致しました。
 4回目の4月4日では、これまでの改革全般のレビューについて、コアチームからのインプットも受けて議論しました。役員はおおむねコアチームの整理に賛同し、今後、次期経営計画などの議論に反映していきたいということですが、その際、特に「人」、そして「技術(テクノロジー)」に着目するとともに、容易に測れない質をどう高めていくか等を今後の議論の柱、検討の柱にしていきたいと考えています。
 改革全般に関するコアチーム整理の内容についてです。各改革に共通する部分の検証として、前体制の会長特命プロジェクトで目指していた軸が、各施策を計画・実行していく中でさまざまな要因によってその目的が変化もしくは消失してしまったと結論づけています。
 その要因については、1つ目として、改革のスピードを重視する、つまり「見える形で進めること」を重視してしまったこと。2つ目として、“神経系統の弱さ”につながる組織全体として課題解決施策を計画・実行する機能が働いていないということ。3つ目として、改革に対する意識・腹落ち不足があることなどを分析しています。
 次に、個別の各改革の「検証」、さらに今後に向けての「発展」についてです。まず、メディア総局改革、これはコンテンツおよびデジタル面の改革です。コンテンツの質・量の充実をいかに実行するかについての見通しがない、厳しい競争環境の中で戦略的に存在感を示す方法論が必要なところ、基本は個別コンテンツ強化とその集合という戦術になってしまっているのではないか、というような指摘がなされました。その結果、差別化の源泉となる“内部制作力”の空洞化への考慮がなされていないという総括をしており、これらを踏まえてNHK本体、関連団体、外部のあるべきポートフォリオを設計する必要があるとしています。
 次に、営業改革です。“訪問”に頼りきりにならず、収入をいかに確保していくのか、具体的に考えていくアプローチが各層で定着できていないという指摘です。営業新戦略は単純に“勝ち筋”を思いつくようなものではなく、たゆまざる発想と横展開が前提で、クリエイティブな業務であるのに単純作業型として要員削減が先行し、高度な専門性に対する適切な評価も失われている等の意見が示されています。特に今後も変わらず受信料制度の根幹を支える重要な業務だということが適切に周知・理解されず、評価を受けない印象が形成されていると総括しています。
 次に、地域改革です。地域強化はどのようにすれば完成形なのか、どのように実行するのかについて、議論が尽くされていないとされています。地域のコンテンツ強化とはそもそも何を指すのか、これを踏まえて地域職員の扱いを含めた体制の議論も可能になるのではないか、さらには“視聴者接点”としての地域局の役割はどのように考えるのか、ということが提起されています。
 次に、技術改革です。技術の将来像と現状のギャップ埋めが十分にできていない、急速に変わるメディア環境に対応する改革になっていることが必要であるとの意見が示されています。コンテンツ制作に関わる技術体制の検討には、協会全体で議論が必要であり、テクノロジー変化に合わせる改革に対してコミュニケーションが不足しているということも指摘されています。
 最後に、専門性重視とマネジメント育成という観点で追加的なまとめをしています。NHKの将来像に基づく業務の在り方を踏まえた要員配置の設計が必要であること、そのためには中長期ビジョンおよび中期経営計画と要員計画のひも付け、グループも合わせてNHKグループとしての業務と要員の設計をすべきであると提起しています。そして、クリエイティブ能力を成長させるためにはどうすればよいのか、ということについて突っ込んだ検討が必要であり、目標管理など他施策との連携を図りながら進めるべきだとしています。
 また、4回目では、人事制度改革に関連して喫緊の課題への対応方針について人事担当より提起がされました。方針案について、より根本に立ち返って検討を行ったうえで進める方向で議論が進みました。現場の声を取り入れるプロジェクト体制を人事局に設置し、短期の“止血策”、すでに考課・昇進、異動のプロセスが動いている中で、最小限の手直しをして“止血”をするという作業、また、本格的な人事制度の検討、これらの2つに切り分けて進めていくことも一致しました。
 今後の「改革の検証と発展」についてです。コアチームの整理の反映、同チームメンバーの各種プロジェクトへの関与も図りながら、「役員検討会」を軸に議論を深め、“神経系統”の再生をしていきます。関係する部局が合議を重ね、その中から結論を出していく、そのような体制の在り方で再生していきたいと思います。このようにしっかり進めることが現在のNHKに欠けていて、そしてこのハイブリッドな専門家集団からなるNHKにふさわしい方法だと考えています。審議・議決事項が生じれば、理事会および経営委員会にかけてまいります。また、進捗状況についても適宜お伝えしていきたいと思っています。

 (森下委員長)

 いろいろと課題を整理していただいて、これから鋭意検討していただくということでした。次の3か年経営計画に載せるには時間的な制約があり、この検討項目の中で優先順位をつけて実行されると思いますが、どのように考えていますか。われわれから見ると、やはり営業改革が一番気になります。

 (稲葉会長)

 営業改革は大事なので、先行して議論しています。ある程度人員も増強します。そのような中で、全体としてどうやっていくのかをもう少し踏み込んで検討を続けていきたいと思います。
 そのほかにもグループ経営として、特にさまざまな番組制作にわたって本体と関連団体、外部の力と、この三者を有機的に使いながら、内部の番組制作能力をどのように高めていくか、というのが2番目にあります。3番目は、技術力の面で特にデジタル化を推進し、スリムだけれども、強靱な、質の高い番組をつくる、そのような素地をデジタル面から確保したいということがあります。また、地域施策、対策をどのように考えたらよいかなど、項目立てはできつつありますので、検討が進み次第、またご議論いただきたいと思います。

 (尾崎委員)

 全国の声のまとめについて、いくつ集まりましたか。

 (竹村専務理事)

 今回はハブチームにそれぞれ集めていただきましたので、何人という数はありません。つまり、一人ひとりというよりも、ある部局ではどのような声があるのかということを丹念に集めました。

 (尾崎委員)

 何人ではなくて、声は何件ぐらい集まりましたか。

 (竹村専務理事)

 声はハブチームのメンバーが集めており、その単位となりますので、20ぐらいです。

 (尾崎委員)

 全国の声なので数百かと思いましたが、20ぐらいの声を聞いたということですか。サンプリングとしては少ないのではないでしょうか。もっとよい声がたくさんあるような気がします。

 (竹村専務理事)

 サンプリングのような、あなたの意見を聞きますという形ではないです。ハブチームが責任を持っているエリアがありますので、その職員の声をよく聞いてもらったということです。

 (経営企画局専任局長)

 検証のメンバーは、各部局から20名程度選ばれており、地域からの声ということでは、地域改革支援局からハブチームに参加しているメンバーおよび地域改革支援局の協力を得て、地域の部局長含む全国の職員からの意見募集を短期間で行っています。声としては、正確な数はありませんが、全国の部局長の声全員の数は少なくとも届いているということになります。

 (尾崎委員)

 このような調査をするときは、ネットで全従業員にまず声を聞いて、それを集約したものを例えばマーケティング会社に分析してもらうなどして、いろいろと考えたほうがよいと思います。個人を指名するとバイアスがかかるのではないか、と気になりました。

 (竹村専務理事)

 そのようなやり方もあるかと思いますが、今回のやり方でバイアスがかかるというようなことはあまりなかったのではないかと思います。聞くときに何が課題であると考えているのか、それは単なる印象なのか、実は背景にどのようなことがあるのか、何をもってそのような印象を持つに至ったのかということも含めて、ハブを担ってもらった人には、しっかりと確認をして、意見としてまとめてもらいました。目詰まりを起こしていることの裏返しで、今なぜこのようなことが起きているのか、単純に出てくる意見だけではなく、それがどのような背景にあるのかということも、それぞれのハブのメンバーが相当短い時間の中でまとめてきてくれたものです。その全体をわれわれは読み切って、再度これはどのようなことなのかと聞きながら、最後のまとめをしていますので、私自身は一つのやり方として認めていただけるものであろうと考えています。

 (尾崎委員)

 職員の間でいろいろな問題があるのであれば、横断的な意識調査を一度やれば、別の切り口で見えてくるかも分からない、そのようなことも考えてくださいということです。

 (竹村専務理事)

 承知しました。また考えます。

 (村田代行)

 全国の部局長に問いかけをして、答えが返ってきたということですが、全国の部局長の数はどれぐらいですか。

 (経営企画局専任局長)

 部局長の数は、本部・地域を合わせて93人と記憶しています。加えて、営業と技術は現場の率直な声を全国から集めていただいており、われわれがその声を読み込むという作業をしています。

 (村田代行)

 数百の方々の声は聞いているということになりますか。

 (経営企画局専任局長)

 100人以上の声は確実に聞いています。

 (大草委員)

 先ほどのご説明の中で、審議、議決事項等があれば、理事会や経営委員会にも諮るということでしたが、例えばどのようなことがそれに相当するのでしょうか。また、今後の年間スケジュールを考えると、検証と発展の作業と、次期中期経営計画をつくる作業がラップしてくると思います。その場合に、どのような期間で経営委員会と情報交換ができるのか、スケジュールイメージを教えていただければと思います。

 (井上副会長)

 先ほど、会長がご報告した検証と発展のコアチームからの意見聴取、それを受けての役員検討会での検討作業は、きょう新しい体制ができて以降、事実上、中期経営計画の策定作業に入ることになります。当然柱立てに沿って議論を深めていきますので、徐々にそれを向こう3年間の経営計画の重点項目に据えていって、その項目を役員のみならず、全職員にも周知しながら、議論を積み重ねてまとめ上げていくという作業になります。したがって、検証作業については、短期間ではありましたが、全組織の考え方など意向を聞きましたので、これからは発展に向けて、中期経営計画の議論に事実上移っていくと考えています。

 (大草委員)

 審議事項、議決事項が生じれば、経営委員会に諮るということですが、例えばどのようなものがそれにあたりますか。

 (稲葉会長)

 この検証と発展の成果は、次期中期経営計画に反映させるという形で実施をしていきたいと、かねがね申し上げてきたので、経営委員会にお諮りするのは、次期中期経営計画だと思います。そこに基本的には盛り込まれ、それを来年度から実施していくということで、改革の発展が実現すると理解しています。そして、検証の調査ですが、今後いろいろな改革をするにあたって、ハブチームがそれぞれのところから、スタッフ、基幹職、部局長、それぞれの人たちに対して、言いたいことや、自分たちが気付いて述べたいことを持ってきてほしいと言って、それが吸い上げられています。したがって、これはバイアスがあるのではないかと言われればそれまでですが、これから検証するにあたって、持っている意見を言ってきてほしいと申し上げて、新人から部局長まで申し出るという形で吸い上げました。それはつまり、改革をしたいとの思いがそこに詰まっているということだと思います。逆に言うと、改革をしてほしくないという人の声は、あまり入っていないかもしれません。そのような意味ではバイアスがあります。しかし、この作業をやるには、それが一番よろしいのではないかと私は思います。

 (明石委員)

 現執行部の考え方がこちらにも伝わりました。ただ、尾崎委員も言われたように、大きな改革をして、その後に改革に対する検証を問いかけると、一般的に反対の声が大きくなるのはある程度想定できます。執行部は、そうしたバイアスをきちんと修正したうえで、このようなまとめをしたものと期待しています。その中でも、人事制度改革については2回議論もされ、ある程度の方向性を出していると拝見しましたが、今後の検証と発展にあたっては、人事施策の修正だけで済ませるのではないという説明がありました。また、短期の止血と本格的な検討という説明もありました。それは今の人事制度そのものを新たに見直して、少しの修正ではなく、制度づくりから考え直すということでしょうか。

 (竹村専務理事)

 私たちの受け止めとして、人事制度改革そのものを否定する声はあまりないと思っています。NHKのこれまでの人事制度というのは、昭和30年代後半から40年代初めぐらいの相当古いものでしたので、それを思い切って改革していくということは、大変な努力が必要でありました。それをわずか何年間かで新制度に切り替えるということに伴う相当大きなフリクションがありました。例えば、職能から職務に切り替えていく考え方は、そうそう簡単には切り替わらないという問題があります。実際の運用では相当難しいことがいろいろと起きています。多くの声は、そのようなことに対して、これでよいのかという声で、人事制度改革で掲げたものは、多様な専門家集団が仕事をもっとやりやすく、処遇されるということを目指していたが、そこのところが本当にそうなっているのかというような疑問であります。したがって、運用だけの問題で済むならそれを変えればよいですが、もともと目指していたものに合う形で、制度そのものを修正というよりは、もう少し深く考えるところも必要ではないかと思っています。昔に比べて、職員の働き方も多様になっています。多様な働き方を、もっとしっかりと全体のフレームの中で有効に人事制度の中にどう取り込んでいくかということも、今の人事制度の中ではあまり深く追求されていないので、それも含めてよりよいものにしていく必要があろうと思っています。

 (明石委員)

 結論としては、全体も含めて見直しをするということで、新しい制度を導入する可能性もあるということですか。

 (竹村専務理事)

 今の方向性の中で、よりよいものにしていくのだろうと考えています。

 (井伊委員)

 役員検討会で3月20日に議論された今後の経営テーマの議論に関して、4回の役員検討会での議論を基にした会長のご説明だったと思いますが、前回の経営委員会でご発言された後、少し違和感がありました。会長から、「数値で切られたアイデアが、採用されずに不満としてたまっているという面もあり、コンテンツを質・量ともに充実させるということは、必ずしも数値的な指標によらず、もう少し制作担当者の間のディスカッションや合意など、ソフトな感じの決定のやり方もあってもよいのでは、という考えです」とおっしゃいました。今はいろいろなところで、エビデンスに基づいたポリシーメーキングや、エビデンスに基づくという話が言われています。そこでよく誤解されているのが、エビデンスに基づくとか、統計に基づくというのは、数量的な指標が絶対だと言っているのではなくて、参考資料の一つとして用いるということです。しかし、ここでは、あたかも絶対的な指標というように、少し誤解されたような発言に思いました。会長のご発言の中で、制作担当者の間のディスカッションや合意など、ソフトなものと、数値的な指標の両方が必要で、どちらも欠けていてはだめということをぜひ確認させてください。優秀なセントラルバンカーは、アーティストでありサイエンティストでなくてはいけないという議論も昔からありますが、金融政策でもアートとサイエンスの両方が必要であることと同じだと思います。経営委員会にも数値に基づいた資料を示していただき、議論ができればと思います。

 (稲葉会長)

 まさに委員がおっしゃったとおりの理解を、私はしているつもりです。定量的な指標だけ依存するとミスリードします。むしろ、質が重要な議論の場合は、コンセンサス、合議でもってそれを補完しないといけないと思っています。私は専門が経済学というよりは統計学をやってきており、データのいい加減さを痛いほど承知しています。この社会は、データが出ると本当だと思う悪い癖があります。私はこのソフトな質の向上という議論には、非常に有害だと思っていますので、少しその辺りを強く言い過ぎたのかもしれません。ただ、申し上げたいことは、まさに委員がおっしゃったとおりです。

 (井伊委員)

 統計が必要ないとおっしゃっているのではないということですね。

 (稲葉会長)

 そのとおりです。

 (井伊委員)

 分かりました。

 (堰八委員)

 先ほどのいろいろな意見の集約について、コアチームが各局の意見を吸い上げるというやり方は結構ですが、ここ3年間、コロナ禍で執行部の役員のみなさんが、現場を訪問することに制約を受けて、しばらく行っていない局もあると承知しています。私の地元の札幌は拠点放送局ですが、残念ながら前会長はお越しになるチャンスがなかったのではないかと思います。意見の中には、立てつけの問題で一部マイナーチェンジするところも必要だと思いますし、気持ちの問題もあると思います。そこで誤解や理解不足が生じている可能性もあるので、できれば12名の役員の方たちは、担務に関係なく、地域の五十数局を1人4、5局回っていただければ、短時間で行けると思います。特にこの人事制度改革について聞くのではなく、久しぶりに現場の全体の視察も兼ねて訪問していただければ、そのときにいろいろな意見も出てくるのではないかと思います。ぜひそのようなことをやっていただければと思います。

 (稲葉会長)

 はい、承知しました。

 (森下委員長)

 技術がこれだけ進歩していく中で、技術戦略部門だけを経営企画局に持っていって、現場との連携は大丈夫なのかと心配していましたが、その技術改革の内容は、まだ経営委員会に報告されていません。例えば、生成系AIやChatGPTは各部門に影響してくるわけです。制作部門にも経理部門にも影響します。一体誰がこのようなものに対して旗を振るのかというと、技術の問題は技術がわかる人がやらないといけません。このようなものについては、やはり技術部門がしっかりと全体をコントロールしないといけないので、そのような意味で技術改革はどうなっているのか、ということをかなり心配していますが、いかがですか。

 (寺田理事・技師長)

 技術改革は、去年の夏に全職員向けに説明をしていますが、今の業務を効率化する話ばかりになっており、もっと前向きな、技術部門全体としてデジタルにどう対応していくのかといったことは、しっかり示してきていません。これについては、だいぶまとまってきたので、全国の職員に示して、かつ彼らの意見をしっかり聞いて、前に進めたいと思って準備をしています。経営委員会にも確かにご説明できていません。それに向けた準備をしていきたいと思いますので、まとまり次第報告させていただきます。
 また、生成系AIについても最近いろいろと言われていますが、これをNHKに入れたときにどのような影響があるか、あるいはNHKとしてどのような使い方をすべきなのか、どのようなデータベースにすれば使い切れるかという点について、放送技術研究所とも検討を始めています。これについても、まとめたうえで執行部の中で議論させていただいて、経営委員会にもご説明したいと思います。

 (森下委員長)

 議論しているのはよいですが、これはグループ会社も全部に影響してきます。これをみなさんのところで使うと、著作権の問題や個人情報の問題など、いろいろなところで引っかかってくるはずですし、フェイクニュースの話などの問題も出てくると思います。それを誰が司令塔となってきちんとやっているのかが見えません。検討していると言いますが、どこで誰が全体をまとめているのですか。

 (寺田理事・技師長)

 現時点では司令塔と言える形にはなっていませんので、こちらの検討のたたき台ができたうえで、メディア総局ともしっかり議論したいと思います。

 (森下委員長)

 この改革の中でやるのであれば、きちんと司令塔を作って、各部門でどのようにやるかという方針をしっかり形を作らないと、現場が勝手に使って問題を起こしかねません。せっかくこのようなことをやるのであれば、その体制をこの技術改革の中で取り組んで、司令塔をしっかりつくって、早急に指針を示し、このような場合はこうやるとか、このような使い方はだめだとか、それを早く出さないといけないと思います。いずれにしても、技術改革については、一度、経営委員会に報告していただきたいです。

 (寺田理事・技師長)

 準備します。

 (稲葉会長)

 率直に言って少し遅れており、ご報告するタイミングがなかったのだろうと思いますが、このような状態ではよろしくありません。特に、限られた財務の中で、質の高いコンテンツをつくるということは、デジタル化、あるいはAIを使ったテクノロジーをうまく使いこなしていかないとできないわけです。その前提として、技術の開発状態がどうなっているか、もう少し急ピッチにやってほしいと思います。その際、堰八委員がおっしゃったように、現場での実態をうまく見ながら、技術人が言わば現場に寄り添うという形で、そのAIなどの利用の仕方がどうあるべきなのか、というようなことを、間断なくアドバイスしていくということができるような体制をつくりたいと思います。この前はデジタル化のセンターをつくるとか、いろいろなことを試みていますが、どのような組織立てがいるのか、計画の中にも織り込んでご説明したいと思っています。

 (中嶋理事)

 会長がおっしゃった組織改正の中で、新しくメディア総局の中にできるイノベーションセンターでは、個人的にはChatGPTやジェネレーティブAIなど、そのようなことについても研究する必要があるのではないかと考えています。こうしたことについては、ユーザー側と技術を開発する側が、一体となってやらないといけない部分があると思いますので、先ほど寺田技師長からあったとおり、一体となってやっていきたいと思っています。

 (森下委員長)

 メディア総局だけの問題ではなく、経理部門、地域の放送局など、すべてのところに関係してきます。そのような意味でばらばらにやっていると、まずいと言っているわけです。誰が司令塔になってやるのか、ぜひそこをお願いします。

 (稲葉会長)

 承知しました。

 (森下委員長)

 今回、改革の検証と発展により、項目が大体出てきて、これから具体的に個別のことを議論されるということですので、ぜひ成果を期待したいと思います。また、中期経営計画の作成がありますので、そこに織り込むものは織り込む、後でよいものは後でよいですが、少し整理しながら取り組んでいただければと思います。経営委員会としてもできるだけ計画的に議論したいと思っていますので、よろしくお願いします。

 (稲葉会長)

 はい、承知しました。

 

 

9 議決事項

 (2) 中央放送番組審議会委員の委嘱について(資料)

 (山名専務理事)
 中央放送番組審議会委員について、次のとおり委嘱を行いたいと思います。委員の委嘱にあたっては、定款第69条第2項の規定により経営委員会の同意を得ることとなっております。
 新規委嘱がお一人です。株式会社アシックス代表取締役社長で、スポーツをはじめ幅広いコンテンツにご見識のある廣田康人氏です。
 続いて、再委嘱がお二人です。介護現場の人材育成などの事業を展開する秋本可愛氏と、マーケティング会社を経営しZ世代の価値観や行動に詳しい椎木里佳氏のお二人です。お二人とも若い世代の観点で放送番組全般に有益なご意見をいただいていることを踏まえ、再委嘱したいと思います。
 なお、委員の選定にあたっては、社会の各分野と男女、年齢等の属性を総合的に勘案し、調和のある構成となるように努めています。いずれも5月1日からの任期となります。
 なお、キリンホールディングス株式会社代表取締役社長の磯崎功典さんは2月28日付で退任されました。

 (村田代行)

 委員の任期は1期2年でしょうか。

 (山名専務理事)

 はい、そのとおりです。

 

   採決の結果、原案どおり議決。

 

 

10 報告事項

 (1) 2022年度第4四半期業務報告(資料)

 (根本理事)
 2022年度の第4四半期の業務報告です。放送法第39条第4項の「会長は3箇月に1回以上、自己の職務の執行の状況を経営委員会に報告しなければならない」という規定に基づいて行うものです。今回は第4四半期の進捗に加え、年間視点で報告をまとめています。
 2ページです。2022年度の概況です。2022年度はロシアによるウクライナへの軍事侵攻の長期化など、国際情勢が刻々と変化するなか、NHKは公共メディアとして物価高騰や宗教と政治との関係などについて、多角的で正確な情報を放送・デジタルで提供しました。
 放送では、4月から地上波で42%の番組を入れ替え、最新の生活実態に合わせた編成としたほか、ローカル放送を拡充し、放送時間を拡大しました。コンテンツの見られ方についても詳しく分析し、多様な視聴スタイルでご覧いただくための取り組みを続けてきました。大みそかの「第73回NHK紅白歌合戦」では、NHKプラスでの「見逃し視聴」が同時視聴を初めて上回るなど、取り組みは成果をあげつつあります。
 営業ではデジタル広告や特別あて所配達郵便の活用、外部企業との連携を強化し、訪問だけに頼らない営業活動への転換を進めました。12月には「NHKメディアホールディングス」を設立したほか、1月には経営計画を修正し、受信料の1割値下げや衛星波の1波削減を決定しました。第4四半期では、経営計画の最終年度にむけ、これまでの改革の検証を始めたところです。
 3ページです。「5つの重点項目」について主な進捗を記載しています。
 まず、「1.安全・安心を支える」です。年間を通じて、命と暮らしを守るコンテンツを拡充してきました。新型コロナウイルスや気象災害についてきめ細かく報道したほか、番組と連動し「NHK全国ハザードマップ」を提供しました。南海トラフ巨大地震については、ドラマやドキュメンタリー、ウェブ記事でもお伝えし、多くの反響がありました。
 ロシアによるウクライナ侵攻の長期化など大きく動いた国際情勢については、5月にウクライナのゼレンスキー大統領に対面インタビューをしたほか、7月からNHKスペシャル「混迷の世紀」をスタートさせ、多角的な視点で伝えてきました。侵攻から1年となった2月にはキャスターがウクライナに入り、戦禍に巻き込まれた人々の実情を伝えました。
 4ページです。「2.新時代へのチャレンジ」です。今年度は、地上波の編成を大幅に変更しました。リアルタイムや録画視聴、NHKプラスの見られ方の検証を進めました。視聴者層のターゲットを絞った総合テレビの午後10時台、11時台ではNHKらしさを追求した新しい番組群が生まれ、定着しつつあります。
 その下は、デジタル技術を活用した放送・サービスへの取り組みです。ニュースの「AI自動要約技術」、8K映像を活用した教育コンテンツの開発、大河ドラマ「どうする家康」でのインカメラVFX撮影について紹介しています。
 5ページです。「3.あまねく伝える」です。NHKではさまざまな部局で「人にやさしい放送・サービス」の拡充に取り組みました。ニュース番組でのユニバーサルデザインの導入拡大、「天気・防災 手話CG」、国会中継の字幕放送の拡充に取り組みました。
 公共放送として、多層化した社会をつないでいくためのキャンペーンにも取り組んでいます。子どもや若者の声に耳を傾ける「君の声が聴きたい」のプロジェクトでは、若い世代のさまざまな声に応える番組を放送しました。持続可能な社会を目指す国連の目標「SDGs」に関連して、17の目標をミニドラマで伝える取り組みについても紹介しています。
 6ページです。7月の参議院選挙ではさまざまな障害のため、投票に行きにくかった方々の声を共有する「みんなの選挙」プロジェクト、初めての試みとなるインターネットのコンテンツ「ボートマッチ」について記載しています。
 外国人向けの取り組みとして、総合テレビの特設ニュースを「NHK ワールド JAPAN」のウェブサイトに自動で配信するサービスを始めました。速報性が求められる状況で、きめ細かなサービスが可能となりました。
 7ページです。「4.社会への貢献」です。4月からローカル放送の時間を拡充し、コンテンツの取材制作に経営資源を集中させるため、44の放送局で組織を改正しました。地域に密着した放送局を目指し、資料室に保管されている映像資料を活用したコンテンツ制作で、成果を上げている事例を紹介しました。
 その下では、NHKが取材した情報やデータのオープン化の取り組み、放送メディア業界の未来を支える取り組みを紹介しています。
 8ページです。「人事制度改革」の進捗をまとめました。
 9ページです。新しいNHKを目指す構造改革についての取り組みです。まず「保有メディアの整理・削減」についてです。12月に衛星波を再編し、2024年3月末に2Kのうち1波を停波する予定であることを決めたほか、音声波については聴取者への調査を行いました。
 「インターネット活用業務」では、情報空間におけるNHKの意義・役割を確認するため、テレビを全く、あるいはほとんど見ない方々を対象に「社会実証」を実施しました。また、NHKプラスではテレビ機器向けアプリのリリースや、「仮登録」の導入により利便性を向上させました。
 続いて、「受信料の価値を最大化するためのマネジメント施策」についてです。効率的な業務体制の確立に向け、本部のコンテンツ部門、視聴者部門、全国各地の放送局で大規模な組織改正を行いました。
 東京・渋谷の放送センターでは、第Ⅰ期工事が順調に進捗している一方、第Ⅱ期工事については、保有メディアの再編やデジタル化などを踏まえ、現在、計画の見直しを進めています。
 営業では、検索連動型広告や外部企業との連携、特別あて所配達郵便の活用により、営業経費の削減や受信料の公平負担に取り組みました。
 10ページです。12月には中間持株会社NHKメディアホールディングスを設立し、NHK本体とグループの一体改革を推し進めるための体制を整えました。
 その下は「収支と受信料の考え方」についての進捗です。1月に修正した経営計画で、10月から受信料を1割下げることや、学生免除を拡大し、被扶養の学生について受信料を免除することを決めました。
 11ページです。波別の質的指標です。今期は統計的な変化があった項目はありませんでした。
 12ページです。量的指標です。接触者率は、前年同期と比較して、四波で下回っています。個人視聴率は前期と比べると同水準ですが、総合テレビでは前年同期に比べ下回っています。一方で、「NHKプラス」、「らじる★らじる」、「NHKワールド JAPANオンライン」などでは順調に推移しています。
 13ページです。編成の多様性やコンテンツ全体の質について、世論調査の結果を載せています。「多様性をふまえた編成」の項目では、期待度が上がり、実現度との差が有意に開きました。
 その下では、放送・サービスの「年間の評価」について記載しています。放送の接触者率は、前年同期と比較すると総合テレビで5.6ポイント、Eテレで4.1ポイント減となり、BS1、BSプレミアムでも低下しました。要因としては、民放を含むテレビへの接触の減少が進んだことや、前年度は夏・冬2回のオリンピック・パラリンピックが開催されたこと、新型コロナウイルスの感染状況に落ち着きが見られたことなどが影響したと分析しています。4月の改定でコア視聴層を定めた時間帯では、想定した層で増加が見られました。インターネットサービスでは、今年度、新型コロナウイルス感染の落ち着きにより、NHKオンラインの接触者率・訪問UB数は前年比で減少しました。NHKプラスについては、ドラマやサッカー・ワールドカップの同時視聴、「NHK紅白歌合戦」の見逃し視聴が伸び、新規ユーザーの拡大につながっています。後追い視聴など多様な視聴ニーズに応えるための取り組みが成果を上げつつあると思います。
 質的指標については、波ごとの評価だけでなく、「番組カルテ」などによりコンテンツ単位、ジャンル単位での質の評価を継続的に見ていきます。編成の多様性に関して、期待度と実現度の差が有意に開く形になったことについては、「多様性をふまえた編成」の認知度を上げるため、外部プラットフォームを活用し、周知広報に力を入れていきます。
 その下、「中央放送番組審議会の意見」は、5月の開催のご意見を改めてご報告します。
 14ページです。国際放送の状況です。今年度もコスト面で有利となるデジタルシフトを進めました。16の国と地域でOTT事業者経由の配信を開始し、サブサハラ・アフリカの地域衛星での放送などを削減しました。配信でのリーチ者も、放送でのリーチ者と同等の理解度を維持できていることが確認されました。
 15ページです。受信契約の状況です。契約総数は年間目標10万件の減少に対して、10.7万件の減少です。衛星契約は年間4万件増加の目標に対して、4.5万件の減少でした。支払率は速報値で79.0%、衛星契約割合は53.0%でした。「訪問によらない取次」の進捗は、総数取次数が192万件、衛星取次数は102万件でした。
 16ページです。課題に対する今後の取り組みを記載しています。あらゆる分野で進めてきた構造改革について、幅広く現場の意見を集約し、検証を進めていきます。必要があれば修正を行い、次の中期経営計画の検討に反映させ、発展させていきます。
 同時に、コンテンツの質の向上にも取り組み、これまで以上に高品質なコンテンツを効率的なコストで生み出すため、デジタルテクノロジーを活用して番組の制作・発信までの生産プロセスを抜本的に見直していきます。
 営業活動については、今年度に効果を上げてきた施策をさらに進め、NHKの公共的価値に共感していただき、納得して受信料をお支払いいただくための取り組みを強化していきます。
 総務省の有識者会議では、NHKがインターネット上で果たすべき役割や業務について議論が行われ、ことし6月をめどに取りまとめが行われる予定です。NHKとしても、その議論を踏まえながら、公共メディアとして適切なサービスのあり方について検討を進めていきます。
 NHKが過去に投かんした文書の一部が郵便法違反と指摘された件に関して、総務省から行政指導を受けた問題については、業務管理を徹底し、3月に公表した再発防止策を着実に実施していきます。職員の不祥事については、コンプライアンス意識を改めて徹底し、信頼回復に向けて取り組んでいきます。
 以上です。

 (前田委員)

 放送サービスの状況をグラフでまとめていただき、質的指標の評価などをいくつか出していただきました。番組の質的指標の検討も見直しが必要と言われていたと思いますが、インターネットで出しているコンテンツに対しても全く同じ指標が使われています。インターネットでNHKのコンテンツ、放送番組を見るというときに、テレビで見るときに求めているものと、インターネットで見るときに求めているものは、そもそも違うと思います。若者が多いということもありますし、コンテンツそのものに対する質ということもあるかもしれないのですが、もともと求めているものが違うと思います。例えば、「わくわくドキドキする」からインターネットでNHKのコンテンツを見るかというと、それはおそらく少ないと思います。
 もっと情報を得るために見る可能性がとても高いので、どのような比較のためにこれを出しているのか、以前から気になっていましたが、何か検討をしていただくほうがよいのではないかと思います。
 また、接触者率や、訪問UB数という指標が使われていますが、これが一体何の指標なのかよく分かりません。これが多いとよいのだとは思いますが、接触してくれているからインターネットを見てくれているのか、その中のコンテンツに関心を示してくれているのかについては疑問に思います。これは注釈のところを見ると、別のところから取られているデータに見えますが、そのあたりについても、もう少し研究が要るのではないかと思います。
 もう一点、課題に対する今後の取り組みのところで、コンテンツの質の向上に向けた取り組みがあるのですが、NHKは、デジタルコンテンツを配信する放送技術というデジタルテクノロジーを持っているのだから、デジタルテクノロジーを活用するのではなく、みずからそれを開発すべきではないでしょうか。例えば、放送をずっとやってきたことでできてくるセキュリティ技術や、新しいインターネット配信技術などの開発に目を向けるぐらいでないといけないのではないかと思います。
 活用するのではなく、みずからデジタルテクノロジーを開発してほしいと思いますので、よろしくお願いします。

 (根本理事)

 まず指標については、確かにご指摘のように、放送とインターネットではかなり違う部分があると思いますので、検討課題として考えたいと思います。
 また、いろいろな数字が並んでいるということもご指摘のとおりではありますが、現状なかなかこれに替わるものがないということであり、それでも数字の部分は大事ですので、何らかの検討は必要だと考えています。
 最後に、デジタルの関係ですが、現に放送の制作の中で、いろいろな形で新しい技術を使っていますし、これからもその部分は、単に効率的につくるというだけではなく、演出上も含めてさまざまな可能性があると思いますので、しっかりと検討していきたいと考えています。

 (熊埜御堂理事)

 インターネットに関しては、放送と同じ指標に加えて、「いつでもどこでも見られる」など、インターネットの特性を踏まえた5指標を追加して見ています。
 また、インターネットに関してはUB数だと単に量の指標ですが、アクセスしてどのぐらいの時間滞在してコンテンツ、テキスト、動画などを視聴したのか、あるいは読んだのかという視聴時間も一つの重要な指標だと思って見ています。
 また、リーチですが、今は放送もインターネットコンテンツも、1週間に1分見た、接触した人をリーチとしてカウントしています。

 (森下委員長)

 営業の支払率79%をどのように認識しているかについて、今年度以降、放っておくと下がっていく可能性があるのではないかと思います。せっかく80%を超えるところまでいったので、これをどのように維持していくかということが課題だと思います。

 (小池専務理事)

 契約総数について、第3四半期末ではマイナス21.7万件で、年度末では43万件減るのではないかという見込みを出させていただきました。結果的に10.7万件のマイナスということで、第4四半期はインターネットなどを通じて自主的に受信契約を申し込まれた方が増え、約11万件改善しています。これは一部で割増金が始まるという報道があったという側面もあるとは思いますが、NHKがこれまで進めてきたデジタル広告による接点の拡大、特別あて所配達郵便の配達によるアプローチ、さらには全国各地の放送局で行われている視聴者リレーション活動、これらの中に有効な施策を見いだしつつありますので、このあたりで受信料に対する理解をいただくことができた成果だと考えています。
 今年度も始まりましたが、引き続き、訪問によらない営業活動への転換を着実に進めていき、成果を出していきたいと考えています。

 (森下委員長)

 いろいろな施策をやっていただいていますので、期待しておりますが、その辺りは、注意深く見ていく必要があると思いますので、よろしくお願いします。

 (井伊委員)

 受信契約の質の評価もされるのでしょうか。

 (山名専務理事)

 質ということで言うと、巡回訪問でご契約いただいていた方に比べ、訪問ではない新しい営業活動で契約を結んでいただいた方は、しっかりと継続してお支払いいただける傾向にあります。いわゆる受信料制度を理解して契約していただいている方が増えているということだと思います。

 

 (2) 視聴者対応報告(2023年1〜3月)について(資料)

 (小池専務理事)
 放送法第27条に定める視聴者対応の状況について、放送法第39条第4項に基づき報告します。
 3ページです。視聴者から寄せられた意見・要望への対応状況です。視聴者からの意見・要望、問い合わせなどの声の総数は、1月から3月までの3か月間でおよそ75万1,000件になります。意見・要望はおよそ11万1,000件、このうち9万8,000件あまりは、ふれあいセンターなどの1次窓口で、残りの1万3,000件は2次対応として担当部局で回答や説明を行いました。
 続いて、分野別の内訳です。放送番組がおよそ22万8,000件、受信料は40万4,000件あまりとなっています。技術・受信相談は7,445件です。経営は1,444件です。
 4ページです。分野別に説明します。まず、放送番組に寄せられた視聴者の声の概要です。左の円グラフをご覧ください。内訳は、多い順に「放送内容」に関するもの、「放送予定」、「出演者」となっています。この傾向はこれまでと変化はありません。右の円グラフはご覧のとおり、番組のジャンル別です。また、寄せられた声のうち好評意見が37%、厳しい意見が63%、前年度同期から好評意見が、およそ12ポイントアップしています。これは「大河ドラマ」、「夜ドラ」、「ドラマ10」などのドラマ番組や音楽番組などへの出演者への応援や好評意見が多かったことが影響しています。
 次はインターネット業務に寄せられた声です。インターネット業務にはおよそ4万6,000件の問い合わせや意見が寄せられました。前年度同期よりも3,000件ほど増加しています。1月は「紅白歌合戦」の見逃し配信に関して、NHKプラスのテレビ向けサービスの利用方法などの問い合わせが、3月はNHKを名乗るフィッシングメールへの問い合わせや情報提供などが多く寄せられました。フィッシングメールについては、放送やホームページで繰り返し注意を呼びかけています。
 5ページです。受信料に関係する声の概要と対応です。受信料に関する声のうち、ふれあいセンターで受け付けた意見は1万1,000件ほどで、昨年度同期よりも3,500件ほど増加しています。その要因は、内訳を示した表をご覧ください。トップ項目にある特別あて所配達郵便や、衛星勧奨ダイレクトメールなどの送付物についての意見が増えたことで、7,457件ありました。ふれあいセンターへの入電が多く、つながりにくい状況が続いていることへの厳しい意見もいただいていますが、これに対しては、電話の受け付け態勢を強化しながらインターネットでの手続きを案内するなど、混雑の緩和に努めています。
 6ページです。技術・受信相談の声の概要と対応です。7,445件の意見や問い合わせが寄せられました。受信不良の申し出が最も多く、そのうち1,895件は訪問による2次対応を行っております。
 続いて経営への声です。NHKの経営に関して1月から3月の間に寄せられた声は1,444件、このうちふれあいセンターで受け付けたご意見、問い合わせは1,087件で、10月から12月の前期から2倍近く増えました。これは職員不祥事が続いたことに厳しい声が多く寄せられたためです。ほかにも経営計画修正案に関して、衛星波削減への意見や問い合わせがありました。また、BS4Kについては、大河ドラマアンコール「篤姫」についてBS4Kでのみ放送していることに、同じ受信料を支払っているのに見られない番組があるのは不公平などの意見が寄せられました。
 7ページです。視聴者から寄せられた意見を受けての改善事例を4つ紹介します。
 1つ目は、高校野球の優勝試合を年末に再放送した取り組みです。東北勢として春夏通じて初めての優勝を決めた宮城の仙台育英高校の快挙をもう一度見たい、あの感動を再び分かち合いたいという声が多く寄せられました。緑の部分が実際に届いた視聴者の声です。こうした声を受け、仙台放送局では、12月31日の大みそかに東北ブロックで決勝戦を再放送しました。オレンジ色の部分が視聴者からの反響です。さらに、年末年始に東北ならではの魅力を楽しめるような番組の集中編成を行いました。8ページに、その番組一覧をまとめています。今後も地域のニーズを機敏に捉え、地域サービスの一層の充実につなげていきます。
 9ページです。2つ目は、大河ドラマ「どうする家康」で、東海4県で放送した関連番組の全国に向けた集中編成です。大河ドラマ「どうする家康」では、東海地区のNHK各放送局で、昨年末からことし1月にかけて多彩なイベントや関連番組を企画、地元に向けて放送しました。全国の視聴者から反響が相次ぎ、全国放送を希望する声は400件以上に上りました。これを受けて3つの関連番組を、2月に全国に向けて集中編成することにしました。
 10ページが、集中編成した3つの番組です。最初の放送から時間がたった番組については、番組の中のドラマ映像を差し替えるなど、初めて見る視聴者でも楽しむことができるよう工夫しました。
 11ページです。3つ目は、視聴者の声を受けて、センバツ高校野球で選手名をフルネームで紹介した取り組みです。ここ数年、高校野球や駅伝などのスポーツ中継で視聴者から、選手の名前の読み方が分からないというご意見が目立つようになっていました。当て字を用いることなどで、読み方が一目では分からない名前の選手が増えてきたためと考えられます。ルビを振ることも考えたのですが、表示システムを改修する必要があるなどの課題もあり、実況を担当するアナウンサーが選手の名前をフルネームで紹介することにしました。ポイントはどのタイミングで紹介するかでしたが、放送尺などさまざまな検討を重ね、各選手の第1打席で、フルネームで紹介するトライアルを行いました。
 12ページに、中継をご覧になった視聴者からの主な声をまとめています。今後、ほかのスポーツ中継でも検討していきます。
 最後は、放送休止地域を案内するウェブページについてです。鹿児島放送局では、休止する地域を県内全域なのか一部地域なのかお知らせしてきましたが、視聴者からは具体的に知りたいという要望が寄せられていました。この要望を受けて1月に、影響を受ける地域を詳しく表示するようホームページを改修しました。小さな取り組みですが、きめ細かな情報をお届けすることで利便性の向上を図っていきます。
 続いて、誤記・誤読などへの指摘への対応です。1月から3月で視聴者からの指摘を基に、放送でのテロップのミスや誤読、事実関係の間違いに対応した件数は263件、番組ページやニュースサイトなどのミスに対応した件数は107件でした。前期とほぼ同じ水準です。これらについては直ちに番組担当者に連絡し、修正などの対応を取っています。
 最後に、2022年度1年間に視聴者からいただいた声の概況をまとめています。2022年度は299万8,070件の意見や要望、問い合わせをいただきました。これは前年度よりも10万6,688件の減少となりました。左上の円グラフは、その内容です。受信料の関係はおよそ153万件、放送関係はおよそ99万件です。受け付け方法など、そのほかの詳細についても円グラフにまとめています。また、反響が多かった番組についても棒グラフでまとめています。
 報告は以上です。

 (村田代行)

 大河ドラマについて、東海地方で関連イベントを行なって、それを編集して放送されたということで、NHKらしい大変よいことだと思います。去年も「鎌倉殿の13人」で鎌倉でのイベントをされたりしていたのではないかと思うのですが、このようなやり方というのは、ここ数年の新たな試みなのでしょうか。コロナ禍以前もそのようなことをやっていたのでしょうか。

 (熊埜御堂理事)

 コロナ禍以前の大河ドラマに関しては、そのご当地で関連イベントを実施し、一緒になって盛り上げるということはやっていました。また、昨年度は新型コロナウイルスも少しずつ落ち着いてきた中で、そして、かつてない数の大河関連イベントをゆかりの地を中心にハイブリッドで実施しました。その流れが今回も東海地方で継続していると考えています。

 

 (3) NHK情報公開・個人情報保護の実施状況(2022年度)(資料)

 (安保理事)
 2022年度のNHK情報公開の実施状況についてご報告します。
 1ページです。「開示の求め」の受付件数です。2022年度は合わせて17件の開示の求めを受け付けました。求めを出した視聴者の数でみると9人となっています。件数、人数ともに前の年度から大幅に減少し、件数は、NHKが情報公開の取り組みを始めた2001年以降で最も少なくなりました。その要因としては、開示の求めが多数寄せられるような、社会的に注目される大きな事案がなかったことや、特定の個人や団体が大量に開示の求めを行うケースがなかったことがあげられると考えています。
 「開示の求め」17件を分野別にみると、経営に関する開示の求めが5件で最も多く、次に放送と総務・経理がそれぞれ4件、技術が2件、営業と広報・事業がそれぞれ1件となっています。
 2ページです。「開示の求め」に対する判断を行った件数としては、2022年度中に23件ありました。その判断結果の内訳を記載しています。「開示」が2件、「一部開示」が8件、「不開示」が8件、「対象外」が5件でした。
 3ページです。主な「開示の求め」の内容と判断結果を記載しています。受信料の延滞利息や職員の企業年金に関するもの、また衛星波の整理・削減に関する調査関連文書といった開示の求めがありました。
 4ページです。NHKの判断に不服がある場合の「再検討の求め」についてです。2022年度は5件の再検討の求めを受け付けました。
 その下は、再検討の求めを審議する第三者機関のNHK情報公開・個人情報保護審議委員会の答申結果です。委員会は13回開催されました。8件の再検討の求めを諮問し、8件の答申を得ました。答申はいずれも、NHKの判断が妥当とされています。
 5ページです。答申を得た8件の「再検討の求め」の内容と、答申結果を記載しています。このうち1番から5番までの5件については、特定の団体の関係者からの再検討の求めで、主に受信料関係の内容になっています。NHKは、これら8件について審議委員会の答申のとおりに最終判断を行いました。
 ここまで情報公開の実施状況のご報告でした。
 実施状況のこの文書は、NHKオンラインの情報公開のページに掲載することにしています。
 引き続き、個人情報保護の実施状況についてご報告します。
 6ページです。個人情報の漏えい、滅失・毀損の事例についてです。個人情報の漏えい等は、「漏えい」が1件でした。個人情報保護法の改正で、2022年度から、漏えい等事案が発生し、個人の権利利益を害するおそれがある場合、当局への報告と本人への通知が義務化されました。
 法定の報告事案が1件ありました。去年7月、電子錠の登録を委託した業者のPCがウイルス感染したことが分かったもので、およそ8,000人分の従業員等の氏名、マンナンバーの漏えいのおそれがある事案です。法定の報告対象の1,000人を超える事態にあたり、本人への通知に代わる公表をしました。その後、本事案に関わる被害があったという連絡は受けていません。個人情報を取り扱う業務を委託する際には、委託先選定基準、覚書の締結のルールがありますが、このルールを守っていなかったことが原因の一つであることから、このルールの徹底などの再発防止策を行っています。滅失、毀損の法定報告事案はありませんでした。
 7ページです。個人情報の「開示等の求め」および「再検討の求め」についてです。2022年度は、個人情報の「開示等の求め」を2件受け付けました。いずれも「開示」の求めです。1件は、電話録音データの開示の求め、もう1件は、放送受信契約関係の記録の開示の求めでした。いずれも開示と判断しました。
 「再検討の求め」は、前年度2021年度の開示の求めに関するもので、同じ1人の視聴者から、7件受け付けました。放送受信契約に関する記録の「開示の求め」に対して、個人データが存在しないため開示できなかったことに対する「再検討の求め」です。再検討の求めについての答申は0件でした。2022年度に受け付けた7件の「再検討の求め」の諮問は、2023年度に実施する予定です。
 個人情報保護の実施状況のご報告は以上です。
 以上の内容は、NHKオンラインのプライバシーセンターのページに、資料編とともに掲載することにしています。
 ご報告は以上です。

 

 (4) 子会社管理状況等の報告(資料)

 (熊埜御堂理事)
 子会社の管理状況等について報告させていただきます。この報告は、執行部による子会社管理の取り組みについて、一般的な上場企業のコーポレート・ガバナンスの3つの視点に整理し、監査委員会・経営委員会へ定期的に報告しているものです。
 2ページです。ことし1月から3月の取り組みを記載しています。新会長・副会長から関連団体トップへ協会経営情報の説明会を実施しました。
 会長・副会長から改革の検証と発展の取り組みについての説明や、関連団体に期待することなどが語られました。そのうえで、各社社長・理事長と活発な意見交換が行われました。
 関連団体の独自採用社員の育成施策である「Gリーダーズ」についてご説明します。各団体の独自採用社員から将来の経営層を育成するもので、さまざまなテーマに沿ってレポートの作成や各社の課題共有を行うほか、新たにグループ討議を新設し、メンバー間のコミュニケーションをさらに活性化しています。
 4ページです。「2023年度経営目標制度」についてご説明します。
 これまでNHKが定める「経営目標」と各団体の「事業計画」が完全に連動していなかった点が課題でしたが、2023年度はより2つが連動するような形に見直しました。
 「ITセキュリティ」への対応です。関連団体のセキュリティ診断に関する施策として、「ドメイン診断」と「セキュリティガイドブック」の作成と共有を行いました。これら2つのツールを活用しながら、リスクへの対応を行っています。
 5ページです。「グループ全体での業務効率化・管理高度化」です。一般財団法人「NHKサービスセンター」など4財団の合併、「NHK交響楽団」を子法人とする統合が完了し、4月1日に新財団「NHK財団」が発足しました。
 また、12月1日に「NHKメディアホールディングス」が設立されてから4か月が経過しました。採用活動や法務相談の一本化を図るなど、持株設立による業務集約を始めており、NHKグループ経営戦略局と協力して行っています。
 ご説明は以上です。

 

 

11 監査委員会報告

 (2) 子会社管理状況等の報告に対する監査委員会の意見

 (大草監査委員)
 きのうの監査委員会で子会社管理状況等の報告を受けました。監査委員会で出た意見を、ここでいくつか紹介させていただきます。
 まず「事業計画」と「経営目標」については、NHK本体と関連団体の双方でグループ経営をより意識してほしい、事業規模の縮小とデジタル化が進む中で、グループとしてのノウハウがきちんとNHK本体もしくは関連団体に蓄積されるように留意していただきたい。
 次に、ITセキュリティに関しては、「ドメイン診断」や「セキュリティガイドブック」は有効な取り組みと評価します。本体の部局システムと同様、関連団体ごとの独自システムの運用には、例えばIDの付与や管理などリスクがあるので、十分に注意していただきたい。
 グループ全体での業務効率化・管理高度化に関しては、NHK本体と関連団体でそれぞれの担う役割の整理をより一層進めていただきたい。また、中間持株会社がスタートしたところですが、何が順調で何が課題かなどについて十分意識しながら、グループ経営改革をさらに進化させてほしい。さらに、ERPの導入について、関連団体には本体同様の混乱は生じていないのか、各団体の職員の働き方など、特性を十分考慮しながら慎重に進めることも大切といった意見がありました。監査委員会としては、グループ経営改革やグループガバナンス強化の取り組みについて、引き続き協会役員の職務執行監査の観点から注視していきます。
 監査委員会からは以上です。

 (水尾委員)

 ERPについて、少し運用が遅れている勤怠管理・経費精算システムをグループ全体に本体と同じように運用するということを聞いていますが、これを導入することが適正なのかという団体もあると思います。
 具体的に言えば、NHK交響楽団のようなアーティストを多く抱えているところでは、このような一貫的な管理があまり効果的に働かない、もしくは逆効果になってしまうと思いますので、職場ごとの適正に応じたものを導入すべきであり、一様に運用ということではなく、適材適所を考えてお願いしたいと思います。

 (稲葉会長)

 ERPを子会社に一律的に導入するのが本当によいことなのかと問題提起していますが、もう少し立ち戻って議論してみたいと思っています。

 (前田委員)

 Gリーダーズというプログラムがあるということですが、今回17名が参加されたなかで女性は何人ぐらいいらっしゃるのでしょうか。

 (熊埜御堂理事)

 17名中6名が女性です。

 (中嶋理事)

 前回もそれなりの人数の方が参加されました。女性の中の一人は、今回、中間持株会社に移り、そこで学んだマネジメントの経験を生かそうとしている方もいらっしゃいます。

 (原委員)

 協会の監査委員は子会社の監査についてはどのように関わっているのでしょうか。

 (大草委員)

 子会社の往査の中で具体的にお話を伺っていますし、子会社によっては、子会社の監査役も同席されるところもあります。同席されないところも含めて、監査状況についてはトータルで確認しています。

 (明石委員)

 関連団体のあり方は、これから重要になってくると思います。会長、副会長が関連団体のトップの方と意見交換会をされたのは大変よいことだと思いますが、これはオンラインでされたのですね。
 リアルな声を聞くことも重要だと思いますので、できれば今後は対面で実施されたらよいのではと思います。

 (井上副会長)

 1日も早く会長のメッセージを届けたいということでオンラインでやりましたが、その後、個別で分野ごとに対面でやりました。特にホールディングス化した5社については、これからの連携のやり方や、ホールディングス外との業務の提携、連携なども含めて意見を交わしました。

 

 

12 報告事項

 (5) ラジオ中継放送局の開局について(資料)

 (寺田理事・技師長)
 ラジオ中継放送局の開局についてご報告します。2023年3月に高知県の柏尾山を開局しました。FM波を利用したラジオ中継放送局となっています。津波対策を目的としたもので、自治体のハザードマップにおいて高知県の親局である新木ラジオ放送局への津波浸水被害が想定されているため設置しました。
 送信出力、周波数、世帯数、開局年月日、整備経費などはそれぞれお示ししているとおりです。また、ラジオ中継放送局の位置は参考資料をご覧ください。
 今回の開局により、3月末現在においてラジオ第1の放送局は281局、ラジオ第2は146局で放送しています。
 報告は以上です。

 (森下委員長)

 津波対策ということは、ふだんは特に問題ないのですか。

 (寺田理事・技師長)

 ふだんはラジオ第1の放送も出していますし、FMの放送も出している状況です。

 (森下委員長)

 柏尾山ということは、高知放送局の送信所がある山の上ということですか。

 (寺田理事・技師長)

 そうです。テレビの放送所があるところになります。

 

 (6) 地方放送番組審議会委員の委嘱について(資料)

 (森下委員長)
 報告事項(6)について特段の質問などがなければ、資料の確認のみで報告に代えさせていただきます。

 

<稲葉会長、井上副会長、専務理事、理事 退室>

 

 

13 日本放送協会放送受信料免除基準の一部変更に対する意見募集の状況について

 事務局から、日本放送協会放送受信料免除基準の一部変更に対する意見募集の状況について説明を受け、意見交換を行った。

 

 

 森下委員長が散会を宣言。

 

 

 上記のとおり確認する。

 

2023年5月16日       

森 下  俊 三 

 

 

大 草  透